ビオって何??〜自然への回帰

 ビオロジック、ビオディナミ、リュットリゾネ、ヴァンナチュール、バイオダイナミック、オーガニック(=有機的な)ワイン、自然派ワインなどいろいろな言葉を聞くが、今ひとつ内容を知らないのでとりあえず勉強してみました。
 勉強してみると農業そのものの勉強にほかならないですね。

ビオロジック 有機農法
 ビオロジックの農業製品は、一般に生産過程で添加物を許可されていないが、ワインの場合は醸造過程である種の添加物が必要とされているから例外とされている。

ビオディナミ 有機農法+月カレンダーと星座の運行に基づく農法と調合剤
 「ビオディナミ」  ビオ=生命、ディナミー=エネルギー、英語ではバイオダイナミックス=生体力学。
 「バイオ」は生命、「ダイナミックス」は力学を意味する。
  ビオディナミ農法を初めに提唱したのはオーストリアの思想家であるルドルフ・シュタイナー氏(著作は300冊以上あるそうであるが、ビオに関しては「L’agriculture Bio-Dynamique」)で、農薬を一切使用しないのは勿論のこと、単に有機肥料を使うだけに留まらず本来その土地が持つ力に働きかけ、それを引き出す為の自然環境づくりから考えるのがビオディナミ農法。

リュット・リゾネ 非常に厳密な減農薬農法

第1、ビオロジック
有機農法について〜化学肥料、農薬との関係
1、栽培
@化学肥料の不使用
 栄養素としての化学肥料を施すと有害なカビなども栄養を取って繁殖する。カビ害を防ぐため農薬を使うと有用な微生物まで死滅する。土壌を活性化する微生物が滅びると、ブドウの樹は栄養不足となり、より多くの化学肥料が必要となる。しかるに、化学肥料を与え続けると、樹の根は浅いところに広がり、地中深くに根を伸ばして栄養を吸い上げなくなる。こうした悪循環によって、土壌の個性が失われ、テロワールを映さない葡萄が生まれる。
A農薬(殺菌剤・殺虫剤・除草剤)の不使用  
 農薬・除草剤は天然酵母を殺してしまうため使わない。農薬を使わないので雑草が生い茂る 雑草を削除する場合にも手作業
B土を踏み固めない 
 土を踏み固めてしまうと土壌のために有用な微生物、ミミズ、モグラなどが繁殖しないようになる。そこで、トラクターの使用をせず、馬で耕作するとか、特製の軽量トラクターを使う(Dトラペ)。馬が畑にかける圧力は点なので、全体的に重いトラクターよりも畑に優しく、土壌への空気の流入量も多くなる。畑の上で馬ふんをするのも有機肥料となっていい効果をもたらします。ひづめのあたるほんの少しの面積の土だけが圧縮されるので微生物生態系も傷つけない。
C収穫を手摘みでする、厳密な選果、厳しい収量制限=だから値段は高くなる

2、醸造
@野生酵母の使用
 テロワール・ヴィンテージを生かすため。その土地についている酵母を使用する。ビオの造り手は収穫したブドウについた酵母によって発酵が始まるのを辛抱強く待つ(ここで搾汁から発酵まで時間がかかりすぎ、ビオのワインはすべて酸化のニュアンスを持つ特性があると堀賢一さんは説く)。自然酵母はすべての酵母が一定数に達するまで増殖するため、このとき大量の窒素を消費する。すると酵母が必要な窒素(=アミノ酸など)が足りなくなり、これにより普段取り込まれない硫黄(S)を持ったメチオニンなどを消費し、不要なSを大量にワイン中に放出するため硫化水素ができる。
A酸化防止剤(亜硫酸塩)の不使用ないし制限 
 亜硫酸を使用すると野生酵母の働きを妨げてしまうためなるべく使用を控える。その場合、ワインは酸化や腐敗の危険にさらされるため健康なブドウを清潔な状態で醸造することを求められます。ビオワインを飲んで頭が痛くならないのは無添加のせいだという説がある。輸送販売条件に耐えられるように、瓶詰めの段階でほんの少し添加することもある。たとえばアラングイヨは1mg/l。酸化防止剤を使わないと、酸化を避けるため、(酸素を遮断する)還元的な醸造法になりがちであるが、そうなると硫化水素(H2S 卵が腐ったような匂い)などの異臭が出る。両者のバランスをとるのが難しい。
B温度管理をしない たとえば低温処理をしない
C補糖、補酸、清澄、ろ過しない
D完熟した素晴らしい葡萄を使うので新樽率が高い



第2 ビオディナミ特有のもの
1、月や天体の力
地球の植物は天体の動きに影響を受けているという思想がビオの根底にあります。
@満月の時は地下からエキスを吸い上げやすいのでブドウの収穫にいい。
A新月の時は澱が沈みやすいので澱引きによい
B引力に逆らってポンプでくみ上げることをしない
C瓶詰めは月のカレンダーに従い一番重力のかかった時に行う

2、プレパラシオン(preparation 仏 調合とか調合薬のこと)の使用 

  

第3、保存法、飲み方
 保存をする際には温度14度以上の場所に置かない。SO2無添加であり、高温の場所に置くと望ましくない乳酸菌(15度以上で活動を始める)の発生を抑制する
 デキャンターに移して、還元的な香り(硫化水素)を飛ばす。シャソルネイのフレデリック・コサールさんを訪ねたときに、氏は、デキャンタに入れて思いっきりシェイクするとよいと話されていた。
 開栓後ただちに酸化する場合と、もともと酸化に強い状態であるがゆえにSO2を使わないというだけあって、たとえば1週間1ヶ月と長持ちするというワインもあるようである。