ビオその4  肥料って何?


1、肥料とは植物の栄養となるものをいう。光合成や根から水分を吸収することで補えない栄養素を補給するものである。
 肥料の歴史は農耕とともに始まったといわれ、古くから草木灰、人間や家畜の排泄物、マメ科植物の緑肥などが使われてきたが、19世紀になると産業革命後の人口増加で、食料の供給が不安になってきた。
 1840年にはリービッヒが植物は無機栄養で生育することを明らかにし、化学肥料の基礎を作った。すなわち、リービッヒは植物の成長のためには、炭酸ガス、水と、チッ素、リン、カリが重要であることを発見した。炭酸ガスは光合成により、水は、根から吸収することで補えるが、そのほかのものをどのようにするかが検討され始め、ここから人工肥料の考え方がスタートした。しかし、リンとカリは鉱物資源として得られたが(下記)、チッ素はなかなか得ることが出来ず、肥料としては不完全なものであったところ、1913年にはドイツのハーバーとボッシュ(いずれもノーベル賞受賞)によるアンモニア合成が成功し窒素肥料を安価で大量に得ることに成功したのは重要(下記)。

2、化学肥料とは
 化学肥料とは、化学的工程を使って無機質原料から作られた肥料である。
  植物が栄養として最も必要とするのは窒素、リン、カリウムの肥料三要素で、そのほかに二次要素(カルシウム・マグネシウム・硫黄など)、微量要素(マンガン・ホウ素など)に分類できる。したがって、化学肥料も窒素リンカリウムが中心となる。
 化学肥料の三要素の組成であるが、
@窒素肥料の大部分はアンモニアを原料とする。アンモニアは大気中の窒素と水素とを高圧下で反応させて作る。
Aリン酸肥料の原料は、リン鉱石である。
Bカリ肥料の原料はカリ鉱石である。

3、有機肥料とは
有機(質)肥料とは動植物性の有機物のうち肥料成分(窒素・リン・カリウム)を含むものを原料とした肥料のことをいう。
 有機肥料は土壌に施用した後はいったん微生物によって分解され、無機化してから植物に吸収される。有機物は微生物の餌になるため土壌の微生物活性に資する。多く使われているのはナタネ油粕と骨粉、米ぬか、鶏糞、牛糞、豚糞など家畜糞尿など。 

4、堆肥とは
堆肥は有機肥料の一種であるが、発酵させる工程が加わったもの。
堆肥における発酵とは上記の有機肥料になるような材料や食品の残渣などを稲わら、落ち葉、オガクズなどと混ぜて積み上げる事で各種微生物がそれらを餌にして発酵し、温度が一旦約80度になって、温度が下がったら更に2-3回積み直して再び温度の上下を繰り返して、最終的に発酵が停止し、温度が下がって落ち着いた状態になったもの
 堆肥はいわば微生物の集団で、土の構造の変化をもたらし、植物にとって大切な「土の団粒化」の促進する材料となるもので、土壌改良の要素が強い(大量に投入する場合、無論栄養素としての意味合いも無視できない)
 
 堆肥には、対象物によって、「植物」と「糞」と「炭」とに大きくは分類される。
 植物は、「腐葉土」が最も有名であるがその他、「バーク(樹皮)堆肥」「オガクズ堆肥」「ピートモス」などがある。
 糞は、「牛糞堆肥」「豚糞堆肥」「鶏糞堆肥」など、家畜のフンに植物系を混ぜて発酵させたもの。これらは、栄養分(チッソ・リンサン・カリ)が、わりあい多く含まれている。
 炭は、「モミガラくん炭」や「木炭類」です。炭系は、微生物の住みよい環境を作る。
 
 また、堆肥は、その用法によって次の3種類に分類される。
養分資材・・・・・・土ボカシ、ボカシ肥、畜ふん堆肥
育土資材・・・・・・モミガラ堆肥、バーク堆肥、腐葉土、ワラ堆肥
ミネラル資材・・・・・・貝化石、麦飯石、草木灰、木炭
上記の3つの資材を作物によって、また組み合わせて使用することが大切です。土ボカシばかりでは土がかたまり目づまりしやすくなります。排水・通気性をよくするために育土資材を使いたいものです。