ビオって何?その2

有機農法について〜化学肥料、農薬との関係

そもそも「有機」って何ってところからつまづく。
国語辞典によると有機というのは生活機能を持つこと(もの)と定義され、炭素を主な成分とする化合物を有機化合物というとされる。これに対し、無機物とは生活機能を持たない物質の意、炭素を含まない物質、例えば水や鉱物などとされる。

 最初は植物は有機物をそのまま吸収すると思われていました。有機物を堆肥として土に混ぜると植物は生長するのでそう思っても当然でしょう。
 ところが、ドイツの科学者リービッヒは植物の栄養はすべて無機物で吸収されることを発見しました。すなわち、植物が生長するのに必要な成分は無機物で、無機物は、微生物が落ち葉や動物の死骸、フンなどを分解することによって作られる。微生物は有機物を食べて無機物に分解する。分解された無機物は、水分や空気ともに植物に吸収され、植物は生長する。

 この植物は無機物で成長するという発見が、化学肥料を生み出すことになる。

 土に直接無機物を補給する化学肥料は即効性があり、農業革命が起こったとまで言われた。しかし、化学肥料を使いつづけていると、どうも作物が病気や虫の被害に遭うようになり、よく育たなくなることに気づいた。そこで病気にならないように農薬が開発された。虫を駆除するのに殺虫剤が作られ畑にまかれました。しかし事態は一向によくならなかった。

 そこでよく調べてみると、有機物を無機物に変える微生物が、植物の生長に大きな役割を演じていることがわかってきた。植物には、無機物だけでなく、虫やミミズが作る空気穴や団粒構造が不可欠だったのです。

 有機物を無機物に変えるプロセスを科学する。これが有機農法なのである。


亜硫酸塩って何?
酸化防止と野生酵母などの殺菌に用いられる亜硫酸塩の正体、これも長らくの疑問だった。気体なのか固体(粉末)なのか?蔵めぐりをしていると白い粉が樽の栓のまわりについていることあった。昔スクールでならったときは何かを樽の中で燃やしてうんぬんと聞いたことがあった。さあ、どっちなのだろう。

答えは双方正解というのが今回の勉強の結果。
@伝統的には硫黄を燃やした気体(SO2)を樽に充満させていた。樽の消毒にもなった。
A現在は直接二酸化硫黄(SO2)を吹き込むことがある。
Bメタ重亜硫酸カリウム(粉末K2S2O5)。この薬品をワインに加えると液体中で化学反応をおこし、亜硫酸塩になり、ワイン全体に行き渡る。
Cソルビン酸、アスコルビン酸などビタミンCを酸化防止剤として使う場合もある

 亜硫酸塩に酸化防止効果がある理由。「亜」というのは、「亜熱帯」という言葉があるように「次ぐ、次」という意味で、化学用語でも「究極の状態の一つ手前」のような意味で、「亜硫酸」も、硫黄を徹底的に酸化してできる硫酸よりも一歩手前の酸化状態の化合物をいう。従って、まだ酸化される余力があるので、ワインのなかでも、酸素が存在した場合、ワインを酸化させないよう亜硫酸がその酸素を取ってしまう。言い方を変えると「亜硫酸」がワインの酸化を防止(酸化防止剤)したことになる。
 温泉地、火山にいくと黄色い硫黄の固まりがころがっているが、この硫黄(S)が酸化されると、亜硫酸ガス(二酸化硫黄SO2)ができ、これを水に溶かすと亜硫酸という酸ができる。これは酸なのでアルカリをもってきて、中和してできるものが「亜硫酸塩」ということになる。化学式で書くと、
 S→SO2(亜硫酸ガス)→H2SO3(亜硫酸)→Na2SO3(亜硫酸塩の一例)となる。

 オーガニックワインでは、ソルビン酸やメタカリなど一切合成保存料の使用は禁止。合成的に作った亜硫酸塩でなく、硫黄を燃やした気体を吹き込むことだけが許されている。その量もEUの通常ワイン(gあたり赤160ミリグラム、白210ミリグラム)の半分以下。厚労省基準(gあたり350ミリグラム)の1/4以下。

 普通のワインはヨーロッパで生産されても日本に向けて輸出される場合、そのタンクにメタカリを追加して添加することが広くおこなわれています。また、すでにボトルされているときは、コルクに注射針を使い、亜硫酸塩を追加して添加することが多いようです。