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銀幕夢物語


5月16日 パクリか・・・。

 「交渉人真下正義」を見る。一言でいっちゃうと、展開は「フォーンブース」で、元ネタは「パトレイバー」な映画だった。

 もちろん、「踊る2」に比べれば格段におもしろかった。とはいっても、「踊る2」がダメダメすぎたから評価が底上げされるのは当たり前なんだけど。「踊る2」は本当に観客をバカにしている代物だった。筋書きと展開は「1」とおなじ。犯人像もリストラされて用なしだから「洋ナシ」でやーいやーい、というのが動機ってアホか。


 今回の「交渉人」でも犯人像を描かないのは踏襲されている。声を変換して接触してくる、という設定なんだけど、その声が毎回ちがいすぎ。パンフレットを見たら女の子だったり男の子だったりが演じてるし。そりゃちがうよ。しかも、犯人は最後まで顔も姿も現さない。それでいて、「誰だかわかりません」でおわる。いやいや、ふつうありえないから。「厳重に監視された」警視庁のホームページを改ざんし、最新鋭の地下鉄車両を乗っ取った上に自由に操り、地下鉄の脇線についても熟知していて、各所に爆弾をしかけ、真下のケータイの番号を知っていて、デートのコンサート会場の席まで知っている。これだけのことを一人でしておいて、何の痕跡も残さないなんてまずムリじゃないのかなぁ。まぁ、百歩譲って可能だったとする。じゃぁ、それを映画として、エンターテイメント作品として提示していいのか。

 ぼくはダメなんじゃないかと思う。「なんで犯人がそのような行動に至ったのか」という部分を明確に描くか、曖昧にぼやかすかの差はあれど、「犯人像」というものは提示した方がいいと思う。娯楽作品なんだし、その方が見ていてすっきりするから。たとえ、その犯人像に納得できなかったとしても、作中で手がかりが提示されなければ完結できないわけで、それは作品として失敗じゃないかと思う。

 しかも、犯人像を提示しなければ、作中で真下が「ぼくは君とはちがう」といっていた理由が明らかにならない。なぜ真下と犯人は「似たようなオタク」だったとして、まるで別の道に進んだのか。結局その部分はわからずじまい。警察のプロファイルで「こんな感じ」というのは提供されているけれど、それはあくまでも「警察が、そう思っている」ものであって、本当かどうかは別のもの。

 「フォーンブース」でいうと、警察側が想定していたような犯人が捕まってよかったよかった、というところで後ろを「誰か」が通り過ぎる。コリン・ファレルが振り返るものの・・・というところでおわる。この「誰か」がたぶん本物の犯人なんだろうなぁ、とは思うんだけれど、よくわからずおわる。これはこれでいいと思う。この場合、ベトナム戦争の帰還兵がどうのこうの、という「犯人像」って本物なんだろうか?と見ている側にちょっとでも考えることができるヒントが提示されている。それも、思いっきり最後にわかりやすく。

 だけど、「交渉人」ではキーホルダーをぶら下げていることと、カエル急便の車を使って移動していること以外ほとんどわからない。なんだか、途中まではふつうにたのしめる映画だったのに、最後の犯人像でこけて一気につまらなくなった感じ。もったいないなぁ。




ものおき



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