2月
2月20日 亜米利加
生まれて初めてアメリカへいったのは今から10年以上も前のことになる。場所はサンフランシスコから車で1時間ほどの小さな町だった。短期のホームステイで、たしか2週間は滞在しなかったように思う。
ある日いっしょにでかけた日本人の何人かと、それぞれのホストファミリーの人たちとでバーベキューをした。夕方くらいから集まって、公園というか広場というか、子どもが遊べる空間もあるような場所で、遠くのほうに見える山々の連なりを見て「あれがグランドキャニオン?そんなことないか。」とかなんとか、そういう他愛もない話をしながらもりあがっていた。
むこうのほうには沈んでしまった太陽の残像がまだあって、こっちのほうにはバーベキューを焼く火がほの明るく瞬いていた。そんな情景が展開されているのを目のあたりにして「おぉ、なんか美しいんじゃないか」などと一人で悦にはいったりした。「ユターカ、カモーン」と、聞き慣れないアクセントで手招きするホストファミリーの笑顔もすごく印象的に覚えている。
プログラムの終了時にはもちろん「お別れバーティー」みたいなものがあって、人の良い女の子(けっこうかわいい官僚の娘)なんかは泣きじゃくっていたし、かくいうぼくもホストファミリーと握手をしたときには、これからもう一晩いっしょに過ごすというのに、なにかこみあげるものを感じたのを覚えている。
2回目にアメリカへいったときにもサンフランシスコ近郊を選んだのは、チョコレートファクトリーやフィッシャーマンズワーフあたりの町並みが好きだったというのもあるし、やっぱり初めて体験したときのインパクトがあったからだと思う。そのときもホームステイで、前回のより人口が多くて栄えていそうな町だった。
ただ、そのときは期間が長めだったというのもあるし、ちょうど反抗期にあたる季節だったのもあって、決して好ましくないような態度で行動していた。日本人で集まってばかりとか、英語の授業を斜に構えて聞かなかったりとか。
そんなとき、ホストファミリーの老夫婦が、けして差しでがましい押しつけとかじゃなくて、細やかな気配りをしてくれたことは、子ども心ながらにものすごくうれしいことだった。たぶん、彼らの息子たちを育てた経験とか、人生のひだを重ねた先達であることとかもあったんだろうと思う。
でも、なによりも痛感したことは、アメリカはひろい、ということだった。はっきりいって、自分がホストファミリーとなって他国の人々を受け入れることができるだろうか、と想像してみると、答えは否だ。まぁ、まだ20代だし当然の帰結かもしれないけれど、じゃぁ、40,50、60となったときに気持ちが変わっているだろうか、と思うと、これもびみょうだ。
いちおう、ぼくは「いい人」とか「やさしい人」というのをセールスポイントにしているつもりだ。そのほうが結局のところ自分の時間を確保しやすいし、思わぬところで貴重な出来事を味わうこともできると学習したからだ。そのためにも「善意のある人」のように振る舞おうと心がけてはいる。だけど、ぼくにはホストファミリーの人々がしてくれたような善意はない。ぼくにあるのはあくまでも利己的な意味での善意であって、利他的なものではない。
なんで久しぶりの更新でこんなことを書いているのかというと、16日にNHKで放映された「心をいやす魔法の国▽難病の子どもたちを救え▽私財を投じた米国のホテル王」という番組がとても気になったからだ。ビデオに録画しておいたのを一昨日(18日)になって見たんだけれど、とても考えさせられた。
アメリカにあるボランティア精神というのは、本当にすばらしいものがあると思う。それはホームステイしたときに身にしみて感じたことだ。番組で取り上げられていた「ギブ・キッズ・ザ・ワールド」が数多くのボランティアによって運営されていることは、たぶん事実に立脚したことだろうし、元ホテル王の老人の語る言葉に偽りの腐臭を嗅ぎとることはできなかった。
ぼくは昨年のテロ事件以降「アメリカ人、あいつらアホだからなー、っていえなくなったオレだって被害者だっつーの。」などと、ごく親しい人には軽口をたたいてきた。このページでちょっと触れた「お化け屋敷化している世界」とか、「ビン・ラディンについて思うこと」なんかも、身近な人にはとっくに話し終えた事柄だというのもあるし、似たようなことを誰かがいっているのを見聞きしたこともあるし(後者についてはないんだけれど)、それに、こういうことをネットで発言することの「むなしさ」みたいなものをどこかで感じていなかったといえばウソになる。(もちろん、これは今回のこととは関係のないことなので余談。)
ただ、テロ事件があってから、自分のなかにあったアメリカのイメージと、現実に行動し、伝えられ、語られているアメリカとのあいだにある差異みたいなものについて、考える時間が以前より二割増くらいになったことは事実だ。
有名なエピソードだと思うけど、ホームステイ先の人から別れ際に家のカギを渡され「いつでも帰ってきていいんだよ」といわれるのは本当にあることだ。ぼくも経験したし、なんとか香織っていうアイドルに似ていた女の子なんか、目が腫れ上がるくらいの涙で名残を惜しんでいた。
じゃぁ、なんでそんな「フレンドリーで気さくな彼ら」はアフガニスタンに爆弾を落とすのだろうか??「ブルカを脱がせましょう」みたいなことをいうのだろうか??
いくら少子化が問題になっているからといって、厚生労働省の役人がやってきて「ユタヲくん、きみのところは一週間に一回もセックスしていないのかい??もっと励み給え。」なんてことをいいだしたら、「よけーなお世話だ、このやろー!」と思うにきまっている。こんなものは有難迷惑でしかない。(ちなみに、統計による平均的なセックス回数というのがあります。今回の数字はそれよりも少ないものにしました。当たり前か。じゃないと指導されないもんね。)
たぶん、アメリカには「自由」や「平等」や「独立」や「民主主義」といったものの残り香が他国に比べてすこしだけ多めにただよっているのだろうと思う。それは彼らが「自由の息子たち」であるからかもしれないし、ジェイ・ケイみたいにイロコイのような先人たちの文化を受容し、伝承しようとしているからなのかもしれない。
このあたりのことについて考えるのは、自分史を繙くようなものでもあるので、今いちばん楽しい時間の過ごし方のひとつだ。だからこそ、このホームページの更新は「最近ぜんぜん更新されてないねぇ」と複数の人にいわれるくらい、滞りがちになってしまうのだけれど。
ところで、はじめてのホームステイ先にリンゴマークのコンピューターがあったので、「マイ・ファーザー・ハブ・セイム・ワン」というと、「オー、グレート!!」といってコンピューターのことを熱っぽく延々と語りだしたパパさんの姿もなかなか印象的でした。(本当はうちにあったのはNECのPC8801mk−2で、リンゴマークはちょっとべつなんですけど、これまたコンピューターに関心のない人にはどうでもいい余談。)
アメリカもおもしろいけれど、最大の関心事は「物語ってなんだ??」のユタヲでした。
・かーなーり、たまっていたんですけれど、ユタヲの日記をアップしました。更新していなかったとしても、いちおうちゃんと毎日のようにつけてはいるんですよー。
・オススメ!も新しくしました。
それでは。
2月6日 ・・・。
すみましぇん・・・。1月31日に更新したつもりだったんですけど、このページ、なーんもかわっちゃいなかったんですね・・・。以下は先月末に書いたものなので、ちょーっと時期がずれてるところもありますけど(支持率とかね)、鈴木宗男っちのところは、まぁ意味があるかなぁー??ってところでのっけます。
では、前書きはこれぐらいにして、と。
前回ふれた「田中真紀子外相の泪(←演歌っぽく)問題」、更迭ということに相成りましたねぇ。いやぁー、そうくるか!?って感じです。
なんか、『みんなして「低レベルな話題だよ、あれは。」とかいって、なんとかハナシをそらそう、そらそうとがんばっていたんだけど、やっぱダメみたい・・・。なので、えぇーい、一気に処理するかぁ、って振り下ろしたとこまちがえちゃって他人の手までついちゃった餅つき』みたい。
んでさ、あいかわらずコイズミさんもいってることがアホなのね。「支持率が下がっても構造改革は進める!」って、おいおい。支持率0パーセントで政権運営できると思ってんのかなぁ??森前総理大臣の教訓はどこいったよ??ま、「そこまで落ちゃしねーだろ」と読んでのことかもしれないんだけれどさ。今後、あちこちで行われるであろう支持率調査の結果が気になるところです。
あ、そうそう、ぼくは鈴木宗男、きらいじゃないっすよ。ぼくが北海道が大好きなもんで、代表者たる彼が好き、ということではないですし、政策云々とかいうのもぬきにして、ああいう人は必要だと思うんですよ。なんつーんでしょう、こう「アメリカ帰りで独身、なんだそのえらそなヒゲ」みたいな人ってごろごろしてますよね。ああいう人たちって「いってることは正論なんだけど、どぉーやって実行するんだよ??」みたいな、机上の空論が多い気がするんすよねー。「スマート」であるが故に、ね。
そこへいくと、鈴木、古賀、野中、森みたいな「たいした学も才もないんだけれど、のしあがってきた人」のほうが、はるかに人間として魅力的で鑑賞に堪える人物だと思うんですよねー。森前総理なんて、あからさまに「裏口でぶ」って顔ですもんねぇ。
ユニコーンの「ヒゲとボイン」のつづきでいうと、「会社とはなんだ、人生とはなんだ」というものを、自らの身をもって体験したであろう人のほうが、観劇している側としては、飽きがこないんだよなぁと思ったりするのでした。
あ、あと、とても不思議なんですけど、「サラリーマン金太郎」はあんなにも人気がある(らしい)のに、なんで鈴木宗男は疎んじられるんでしょうねぇ??「サラ金」の世界って、まさに「鈴木宗男的、成り上がりの世界」だと思うんですけど・・・。それに、本人がいってましたけど、本宮ひろ志って自民党支持者なんすよー??ナゾですねぇー。
それでは。
e-mail yutao70@yahoo.co.jp
© 2005 yutao