甲州ワインの未来
国産ワインの未来や発展を願って、このコンテンツを立ち上げました。
もっと日本の、山梨のワインが世界にはばたくためにどうしたらいいか、自分の頭で考えてみようと思ったのが最初のきっかけです。


2006.9.15 甲州市における原産地呼称制度拡大
弊サイトトップページに掲載している勝沼原産地呼称制度は旧勝沼町で制定されており、それが甲州市全域に引き継がれるかが課題であったが、今回市議会で田辺篤市長が甲州市全域に拡大する計画であることを表明した。

同時に旧勝沼町と姉妹都市であったボーヌ市と甲州市とで姉妹都市関係を引き継ぐ予定であることも明らかにした。


2006.9.1 甲州古木の苗木交換〜大和葡萄酒とカタシモワイナリー
以前おっくーさんがレポートされていましたカタシモワイナリーさんと大和葡萄酒さんつながりの記事がありましたので、山梨日日新聞のHPから引用させていただきました。テロワールの違い、適地適品種、クローン選抜など最近の話題にマッチした試みと思いました。

ブドウ古木の苗木交換・栽培、新しい甲州種創造へ
異なる味と香り育成「世界的ワイン原料に」

 山梨と大阪にある甲州種ブドウの古木の苗木を交換して栽培し、新たな甲州種ブドウやワインの生産につなげようという試みが動き出した。苗木を分け合うのは、甲州市勝沼町内に自生する樹齢百年余りの「甲龍」と、大阪にある樹齢80年の老木。同じ甲州種でも、育った土壌や気候風土によって房の形状や味が異なるため、関係者は「甲州種の可能性を広げ、世界へ通じるワインづくりにつなげたい」と意気込んでいる。
 ワインメーカー大和葡萄酒(甲州市勝沼町)と県内のブドウ生産農家でつくる「甲龍生産者組合」(椚更一組合長)の企画。同組合は、醸造用甲州種の品質向上を目的に甲龍から枝分けした苗木を垣根栽培などで育てている。大阪の甲州種の存在を知って苗木交換を打診した。
 大阪の甲州種の老木は、カタシモワイナリー(柏原市)が所有。同ワイナリーの高井利洋社長によると、一八七八(明治十一)年ごろに大阪府が設けた指導園で育った甲州種の苗木を、堅下村平野(現柏原市)の中野喜平氏が栽培に成功して普及。高井社長の祖父が同ワイナリーに植えた。現在、約二ヘクタールの畑の三分の二を甲州種が占め、最も古い木で樹齢八十年ほどという。
 大阪では「堅下本ぶどう」と呼ばれ、「粒はだ円形で、山梨の甲州種と比べて青白く香りが強い。糖度が低く、酸味は強い」(高井社長)。同社は「甲州古酒」などワインやグラッパ(蒸留酒)を作っていて、味わいも山梨産とは異なるという。
 来年一月ごろに両者で苗木を交換し、三月末から四月上旬に植え付ける計画。山梨では、甲州市塩山や同市勝沼町、甲府市など各地で数年かけて栽培し、適地を探す。
 大和葡萄酒の萩原保樹常務は「これまでの甲州種とは全く異なるブドウが生まれる可能性がある」と期待を寄せる。高井社長は「互いに協力しあい、日本のワイン産業の発展につなげたい」と話している。


2006.8.23 山梨ワイン産地確立会議その後
同会議の第3回会議が昨日開催された。
結論として、関係機関、団体が役割分担し、本年度から2016年までの11年計画で、醸造用ブドウの高品質化のため、適合品種の選抜や増殖に取り組むことが柱となった。

1、醸造用ブドウの高品質化という視点
 主要欧州系品種は県内に適した優良系統・品種の選抜を進める。具体的にシャルドネ、メルロでは、国内の優良系統、カベルネソーヴィニョンでは海外の早熟系統を中心に導入する。
 甲州種では、本年度から果樹試験場と県ワイン酒造組合が連携して、優良系統の収集などをスタートさせる。

2、役割分担の視点
 果樹試験場 特性把握
 県ワインセンター 特性の化学調査、優良系統の果汁、ワインの調査
 県ワイン酒造組合 適合品種の選抜

三澤さんのコメント「ブドウとワインの垣根を取り払って議論できたことの意義は大きい、これからはワイナリーがどのように醸造用ブドウを管理、確保していくかも重要になる」

この会議の当初は行政が入って何ができるのかなあと懐疑的でした。まとめてまとめっぱなしで終わりというのがこれまでの行政の悪しきスタイルであったが、長期的視野で、クローンや品種の選抜が実施され、追検証されるのであれば、意義深いものとなると思う。11年計画でそれらが可能なのか、などさらに追求して欲しい。三澤社長さんのブドウとワインの垣根を取り払う第1歩という控えめな印象にもニュアンスが感じ取れるように、まだまだ始まったばかりという感じであるのでしょう。

2006.8.8日本ワインを愛する会HP
5月に同会のHPができていました。
これから充実発展されていくものと思います。

2006.6.25 ドイツの甲州
ドイツから逆輸入の甲州種ワイン誕生!
ドイツのラインガウ地区で栽培・醸造された、甲州種ワインが、今秋に日本で発売予定。甲州種は、山梨ではおなじみのワイン販売コンサルティング業者の鈴木さんがドイツに紹介し、ショーンレーバー・ブリュームライン社の若手醸造家が興味を持った。鈴木さんによると、2002年に植原先生の挿し木約300本を搬送し、ドイツ政府の許可を得て翌年に同社の畑に垣根仕立てで栽培。2005年に初めて収穫、ステンレススチールタンクで低温・長期発酵し、近く瓶詰めの予定という。約200本が輸入販売される見込み。
 

2006.6.14 醸造用ブドウ生産者組合誕生
樹齢100年の「甲龍」(接木がなされていない純粋な自根の甲州種、観光ブドウ園中央園・勝沼町3003・TEL0553-44-1552)を枝分けした葡萄を使い、甲州市や甲府市の生産農家4人と大和葡萄酒さんが、「甲龍生産者組合」を設立。
今春より栽培を開始、計40アールの畑に約170本を植え、垣根栽培や短梢の棚栽培で育てている。ウイルスフリーの苗木作りを進め、3年後をめどに土壌や栽培管理の方策を確立させ、生産農家を増やしていく考え。醸造は大和さんが行う。大和さんは自社農園で甲龍から枝わけしたものを垣根栽培もしている。

生産農家の収入の安定という話はこの前も少ししたところで、こうした試みが根付き、ワインメーカーと栽培農家の共生が図れるようになるとすばらしいですね。

2006.6.3 ワイン産地確立会議設立
山梨県とワイナリー、ブドウ栽培農家らが6月2日、県産ワインの品質向上、消費拡大を目的に「山梨ワイン産地確立推進会議」を設立した。今後は質の高い醸造用ブドウの栽培方法を中心に意見交換し、8月中に提言や来年度に向けた方針をまとめる。

行政が絡んだ今回の企画であるが、2ヶ月という短期間の議論で何か意味のあるものができあがるのか・・。

伝え聞くところによると、栽培農家の方々の発言は高齢化問題を主張し、若い人たちに魅力のある環境でなければならないというものである。この耕作地放棄問題、離農問題、売買価格の問題は農家を入れた話ではそこからまったく脱却できない話になっている。

行政に何かができるのであれば、そして栽培農家も話し合いのメンバーに入れるのであれば、むしろそのことだけを中心課題にしたらどうだろう。

すでに醸造レベルではかなり世界レベルに達しているというのであれば、そして契約栽培が量的確保のために不可避であるというのであれば、栽培農家の抱える数十年来の問題点をこそ今議論すべきと思う。

質のいい葡萄を作る試みをしている栽培農家に対する補助金や低利の融資制度、積極的なアドバイスの制度などをまさに現実のものとしない以上、何の問題解消もない。栽培に関しては数十年単位での発展が期待されている。栽培適地の発見、棚作りから垣根作りへの転換、そのための台木レベルの改良、良質なクローンの開発などである。

もし農家の喫緊の問題に対する予算がないというのであれば、県産ワインに一定の税金を賦課し、消費者にそのお金を払ってもらうなどでまかなっていくという案は実現不可能なのであろうか。100円上がってもワインの長期的発展に資するのであれば、少なくともワインラバーーの人たちは喜んで出資すると思う。

垣根の高品質甲州を作れる契約栽培農家が近い将来出現するだろうか。そのときは、キロ1000円での取引、ボトルで1万円の甲州ワインが出てくるかもしれない。


2006.5.30 だら房
タイトルを見てぴんと来る人は地元の人かワイナリーの人。

山梨の降水量はご存知のようにヨーロッパに比べて多い。だからカビや菌、病気になりやすい。
普通のヴィニフェラ系の房の付き方は、栽培されたり、収穫を手伝ったりされた方は分かると思うのですが、小さい実がびっしりとつまって付いています。そうすると雨などの水分が入り込んだ場合、逃げ場所がなくなります。そこで「だら房」でだらっと実がついているのがだら房。詰まっていません。

この前のワインフェスティバルに行ったとき、旭洋酒の鈴木さんにブルゴーニュクローンとスイスクローンどう違うのですかとお聞きしたら、スイスクローンのほうはだら房なんだそうです。なんでスイスなんだろうと思った自分が馬鹿でした。3本ずつゲットしてありますので、飲み比べをしてみたいと思います。適地適品種といいますが、山梨の地にはスイスクローンのほうが合うかもしれません。
2006.3.29 甲州ワインプロジェクト
シンガーさん、アカデミー・デュ・ヴァンさん、グレイスさん、デュブルデュー教授、冨永さん、Rパーカーさんがタッグを組んでいる甲州ワインプロジェクトが今年の活動を始めたようです。

3月25日 サイトリニューアル かなり充実しました。
http://www.koshu.org/index.html

4月1日 KOSHU Cuvee Denis Dubourdieu
(甲州キュヴェ・ドゥニ・デュブルデュー)2005 発売 千住博さんエチケットを担当 2000円、国内5000本だそうです。今年は手に入るでしょうか。

4月15日 朝霧高原植樹500本。 垣根の甲州も??


2005.10.6 ソムリエ協会イベント
社団法人 日本ソムリエ協会
消費者と生産者の為の討論会
「国産ワイン及び甲州ワインの現状と将来への展望」

11月2日ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルにて。 

三澤さん、上野さん、有坂さん、フジッコの雨宮さんなどがパネラーで
会場の一般参加者などからも質問、意見をもらい、それらを反映させた
討論会とのこと。40社の試飲もあります。

締め切りすぎてしまったようですね。

http://www.sommelier.jp/menu/Frameset02.html

2005.11.26 テロワールの個性
勝沼醸造さんで、テロワールごとにタンクを分けてする仕込みを開始。さらに下記は契約栽培のあり方ばかりでなく、まさに土壌や栽培法による差異がワインにどのように影響するかを確認できる意味で、斬新かつ注目に値する試みですね。
「甲州栽培者10名を選び、各々の試験醸造も行なっています。これはデータ的(ロケーションや栽培法、防除履歴、成分分析など)にもかなり的を絞ることが出来るので、原料ブドウとワインとの関係という点で我々造り手としましては、大変興味深い試みです。」

ここから、勝沼醸造さんHPから抜粋させていただきます。
2005年6月25日
 昨年の当社ワイナリーのテーマは、「栽培地ごとの甲州種ワインの特性」があげられておりました。2004年収穫の甲州葡萄は、5地域と8名の栽培者ごとに醸造し、13種類のワインを試験醸造しました。各々の土地のロケーションの違い、栽培方法の違い、その栽培地の甲州種ワインの特性が面白いほど、見出せました。(もちろん、200本程度のものです。)糖度と酸とのバランスの違いで、味わいの個性が違ってきます。

【地区別】
・藤井・・・オレンジ様のフレッシュな果実香、酸と苦味もしっかりとあり味わいもやや強め
・金山・・・南の国の果実に代表されるパイナップルや缶詰みかんの香り、酸と苦味の骨格がしっかりとしている
・勝沼・・・やや青い柑橘系の果実香、味わいは軽やかでシャープ
・横手・・・林檎やびわの柔らかい穏やかな果実香、優しいボリューム感と穏やかな味わい、口中に果実味が広がる
・東雲・・・洋ナシとフレッシュハーブの香りと複雑な香り、酸も穏やかで柔らかく余韻が長い

【農家別】
・武藤辰也(勝沼町金山)・・・オレンジやみかんのシトラス系の果実香、果実味と渋みが見事な骨格を作り、余韻も長い
・三森均一(勝沼町牛伏)・・・林檎やみかんの果実香、果実味がしっかりと有り、ややこじんまりとしているが軽やかでバランスが良い
・三森紀行(勝沼町牛池)・・・日を浴びた熟したオレンジの香り、十分な果実味からエキスを感じ、十分な酸がバランスを良好にしている
・三森秀樹(勝沼町鳥居平)・・・オレンジ・林檎・洋ナシと複雑な果実香がする。多少のエキス感は感じるがボリューム感は豊富な果実味から来ていると感じる。
・上野昭男(勝沼町大坂)・・・林檎の様な果実香、ボリュームは小さく軽やかだが果実味と酸のバランスが良い
・飯島昭三(一宮)・・・グレープフルーツやハーブの香り、渋みが強めでシャープな味わい
・萩原冨美子(甲府)・・・夏みかんや桃のコンポート・スパイシーさもあり複雑な香りを持つ。ボリューム感があり、酸と渋みのバランスも良好
・風間正文(御坂)・・・マンゴーのような黄色い果実のドライフルーツのような香り、酸と苦味が強く複雑な味わい (イセハラの栽培農家さん)
2005.6.13 北杜ワインクラブに参加して
お二人の栽培農家の方の畑を拝見しました。
 丹精こめて作っているなあという印象でした。メルロとカベルネの成長時期の違いへの配慮の大変さとか、農機泥棒がいて困っていること、試行錯誤していく中で造りを変えていくこと、年をとってきて、この畑が十分樹齢を重ねたときに自分が面倒を見ることができない寂しさ、他の野菜も無農薬で作っていて、ブドウ畑と野菜の管理販売などでほとんど寝る時間がないこと、ワイナリーとの関係など、いくつか示唆に富むお話をしていただきました。契約栽培の農家さんの実態というようなものもわかりました。こんなにまじめな農家さんたちばかりなら、山梨のワインの未来は明るいなと印象をもちました。そして優秀な栽培農家がいるなら彼らに栽培はおまかせできるので、あえて自社畑栽培に貴重な人材をさかなくてもすむのかなという印象すら持ちました。ワイナリーの意図を忠実に伝え、それにレスポンスできる、能力のある栽培農家が育っているということが非常に印象的でした。

 作業のほうでは、実際に芽かき(ここでは30センチ以下に生えている芽と枝をむしり取ってしまう作業)と誘引(ここでは成長した枝を中央の鉄線に集める作業)を体験させていただきました。途中、栽培農家の方や、ワインメーカーの方のお話など自分のところの畑の参考にさせていただきました。

 そしてお弁当タイム!いやはやあんなにおいしいランチは生まれて初めてでした。
立野さんが作っている無農薬野菜をマリネにしたり(絶品!)、ラタトゥーユにしたりで、あと地元の地鶏のワイン蒸し・コンソメジェレがけ、その他もろもろと、インノさんのふかふかもちもちやわらかなパン、参加者の某パン業者さんから差し入れのできたてのバケットのやわらかいこと、そして、小牧ソムリエセレクトの野外のランチにぴったりなワインたち、長谷部さんの、お孫さんの名前をつけた、サンジョベーゼ70、メルロ30のワインのふくよかでしみじみとおいしいワイン(まさにイタリアンなおおらかさがあります)。

地元の食材と地元のワインであわせる幸せ、そしてその脇には、長谷部さんの垣根造りのブドウ畑があって、メンバーのにぎやかな談笑。最高のシチュエーションでした。お誘いいただいた某さんに感謝。

都合で早めに切り上げさせていただきましたが、とてもすばらしい会でした。
しかし、明野の日照はものすごい。半そででいったもので、まっ赤になりました。

2005.6.10 続々甲府駅のワイン環境
ワインショップセクト主義とでも名づけようか。

某所へのおみやげにと、「甲斐のしずく」を購入しようと思い、昼めしついでに駅ビル2階のワインショップに行ったところ、「置いてない」とのこと。え、なんでと思ったが、ないならないのであろう。で、次の瞬間そうか、メルシャンと取引がないからだということに気づき、「メルシャン置いてないからですか」と聞いたら、そのとおりという返事。

それで改札を外に出たキオスクに行ってみると、甲斐のしずくは置いてあるが、この30度近い温度なのに放置されていて、ちょっと買う気がうせてしまいました(結局買わずじまい)。

甲府駅はどこかワインセラーを完備したお店があるといいですね。
そこには県内の優秀なワインメイカー各社の代表的なワインが置いてあっていつでも安心して旅に出発できる態勢!いつか近い将来にちょっと期待したいと思います。



2005.6.8 新宿のワイン環境
昨日は仕事(ある人にインタビューの仕事)で東京に。甲州ワインのおいしいものを,
おみやげを持って行こうと思って、忘れてしまった。
そこで伊勢丹、三越に売ってないかと思い、行ってみた。あまり期待していたわけではないのですが・・。

伊勢丹は5社ほどのワインが置いてあった。
しかし、残念ながら想定していたワインはなかった。
三越に至っては、ワイン売り場がせまく、しかも国産ワインはゼロ!

高島屋はまだ確認していませんが、もう少しがんばっているのではと思いつつ。

お店のアドバイザーさんは、ぜひ国産ワインの品揃えの充実を要望してもらいたいなあと思った。

 夜は某所にて、有賀社長さんとばったり。私はいつもよいちくりんでご迷惑をおかけしています。で、私が「新宿のキオスクになんで甲州ワインが置いてないんですか、玄関口なのに」とまくしたてましたが、勝沼醸造さんは、自分のところのワインを理解してくれ、共感してくれるお店のみにワインをおろしているのでということでした。キオスクへの営業はちょっときびしいかもですね。

 でも、私としては、おいしい甲州ワインがもっと入手しやすくなるといいなあと思う毎日です。


2005.6.2 続中央線
本日東京往復をしたので、改めて検証。

甲斐のしずくであるが、甲府駅構内と朝の上りの電車には搭載されていた。帰りの電車にはない。

新宿駅構内であるが、キオスクはなんとワインの取り扱いが一切ないのでは!(全店舗確認したわけではないけど、東口近辺、5番6番線のキオスクにはなかった)。「おべんとう」とある56番線の中央付近のお店にシャッターホームがあるのみ、原茂さんのカップはこの店にも置いてなかった。甲斐のしずくはどこで売っているのであろうか。南口にはいろいろお店があるからそこで買ってほしいということでしょうか。

玄関口がこれでは思いやられますね。
キオスクへの営業はただちにすべきというかしてもらいたい。痛風もちにビールを飲ませるのか〜という感じ(笑)。

2005.6.1 中央線のワイン環境
「甲斐のしずく」誕生の記事を読んで、あらためて中央線のワイン環境は貧弱だったなということに思い及んだ。

勝沼の、ブドウ王国山梨の玄関口ともいえる新宿駅から甲府に至るまでの間(自分が甲府に住んでいるから甲府まで。笑)駅とキオスクと電車と3つにカテゴライズされたワイン環境があるとしてそれぞれについて考察してみると

@駅。新宿駅と甲府駅に限定する。
 新宿駅では、マイシティの地下1階にワイン売り場がある。ここではフランスの有名どころも買えるがアクセスまでがやや長い。試飲用のグラスが小さい(マイグラスをさすがに持ち歩いていないので、ただでつけてもらう。だけど日本酒のお猪口サイズ 笑)。抜栓を頼んだところ、失敗してもう1本あけてくれ、申し訳なかった(笑)。私がやりましょうかと申し出たくらい。閉店が8時ころだと思うので夜便には不便。
 そんなことで新宿駅はほぼ使えなかったのだが、最近、南口構内に成城石井ができ、結構品揃えもあり、さらにうれしいことに特急の終電11時までやっているという快挙を達成!ただ、地下鉄からだとやはりアクセスが長く、意外と使っていない現実に直面する。
 甲府駅。駅ビルエクランの2階西側フロアー(京樽とかのあるフロアー)にやや大きめなワインお酒専門店がある。ここはエアコンが効いているため、保存もまあまあかなと思わせる。セラーらしきものに飲み頃のワインも冷えており、これを特に使っている。しかしである。そこに入っているワインがこれはというものがなく魅力があまりない(入っている会社のみなさんごめんなさい)。そのほか駅構内に売店があるものの、ここはさらに日光常温保存であり、まったく買う気にならない。品揃えもやるきがあるのかという感じ。あそこで買って、おみやげにされ、それを飲んだ人が山梨のワインってまずいって(表現がすごくてごめんなさい)思われるととても不本意である。
 ところでご当地勝沼駅はどうだったのだろう。ほぼ無人駅に近いしなあ。

Aキオスク
 新宿駅のキオスクでは、ワインを置いてないところがほとんどというのが現実。さすがに中央線ホーム(5.6番線)にワインをおいてあるところが少しある程度。原茂さんのカップワインを探すのだがなかなか見つからないのは非常に残念である。そして、シャッターホームというカリフォルニアワイン(まあまあいける)を買うはめになる。
 甲府駅キオスク。冷蔵庫に原茂さんのカップが置いてあったような気もするが、以下省略(ほこりをかぶった日光保存がほぼ)。

B車内 原茂さんのカップワインがたしか唯一の存在だった。甲斐のしずくの登場はその意味でうれしい。しかし、飲み足りないとき、11時の最終便では、車内販売がないのが残念である。

このように中央線のワイン環境は優秀とは言いがたい。特に甲府駅についてはワイン王国とはとても思えないものである。もう少し考えてもらいたい。確実に甲州ワインファンを増やさないばかりか減らす原因ともなりかねないと思う。
JRなり駅ビルへの注文としては、全般にはキオスクでの取り扱いをもっと整備してもらい、キオスク・車内とも、すばらしいドメーヌなりワイナリーのおいしいワインも取り扱ってほしい。
そして、ワイナリーへの注文は、駅関係への営業にも力を入れていただき、かつ、もっとハーフサイズを取り揃えてほしい。電車の中でなかなかフルボトルで飲むのは(私でも)勇気がいるのです(笑)。


2005.5.11
国会議員団体視察
勝沼醸造さんに国会議員の方々(農林水産委員会の委員14名)が視察。
 05年4月21日に農業経営基盤強化促進法の改正法案が農水委員会を通過した(自公の賛成多数、民主、共産、社民は反対)。この法案の実地検証(&テイスティング?)が目的と思われる。
 農業経営基盤強化促進法の改正法案は、新たな農業の担い手として株式会社に期待する声に応えて、一般の株式会社に貸し付け方式で農地利用を認める法案である。
 この法人が借地できるという方式は03年4月に「構造改革特区」で認められたばかりである。この特区として認められたものを、法律で全国レベルで認めていこうという考え方であろうと思われる。
 賛成論もあるが、反対論もあり、その根拠としては、農地法の形骸(けいがい)化や農地の乱開発を引き起こす危険性が指摘される。
 特区の検証や農業現場の声も踏まえた慎重な審議が必要との意見もあり今回の視察となったものと思われる。現実に農家にとってのメリットは何なのかという質問も現場でなされたとのこと。

→農地についてはこれまで農業資格のあるものだけが譲受、借受ができたのであるが、規制緩和で農業資格者以外に譲受、借受ができるようにということで、特区が定められたのであるが、山梨の場合、ブドウ畑については離農が進んでおり、農業者の保護という観点でも賃借料収入が入ったほうがよいという選択をなす人がそれなりに存在すると思う。農地や農業者の保護という観点でこれまで規制されてきたのであるが、逆に固定化してしまい、身動き取れなかったという面もあるので
全国的に規制緩和するという今回の法案はまったく反対というわけでもないように考える。農家にとってデメリットといえばたとえば有機農法を堅守している農家がいるとして、そのようなところに、大企業が借り受けという形で、実質地上げをなし、たとえば農薬の空中散布なんかでコストを安くし、近隣のまじめな農家に迷惑をかけるというような事態であろうか・・。また、賃借を強制されるわけでもない。賃料での折り合いについては個別の農家が賃料が折り合わなければ貸さないという選択をすればいいだけだと思う。他にどのような農家にとってのデメリットが考えるのかどなたか詳しい方教えてください。

 まあ、でも畑で喧々諤々の議員の先生方も、勝沼醸造さんのおいしいワインでなごまれたことだと思う。


2005.5.6 ダンタイツアー
団体ツアーと聞くとおぞけを催すワイナリーの方々も多々いらっしゃると
思われる。某S社では見目麗しいお嬢様方が案内してくださるのであるが
セクハラは多数、またバスの中での飲みすぎで大声で談笑しつつ、ゲ○まで
してしまうというひどさであるという。

しかし、今回、この日本でもすばらしい団体ツアーがなされたことが報告された。
ワインに興味を持つ人々のみが東京から60人乗りのバスに乗って、塩山、勝沼へと
畑へ、醸造所へ、また試飲会へと充実した1日を過ごされたのである。

これまで個人のお客さんで、あるいは団体さんでも特定のワイナリーだけを対象に
このようなツアーがなされたことや各種のワイン祭りで複数ワイナリーが集い、
消費者も多数集うということはあっても
ここまでの団体さんでバスをチャーターし複数ワイナリーを回るということは
前代未聞ではなかろうか。企画された某氏がこれまでつちかってきた各ワイナリー
との信頼関係がないとありえない企画である。

あの難攻不落のイケダワイナリーの畦道にそのバスが止まったというのには
驚くほかないし(笑っちゃいけないけど・・ごめんなさい)、
あの金井さんの決して広くないショップに40人がいる画像はすばらしい!

というわけで、このツアーを企画した某氏および某レストランには敬意を表したい。
次回はスペシャル参加させていただきたいと思いつつ、
このような企画が日本のワインがブームで終わらないことにつながるのではと予感
している。

くわしくは
http://www2.odn.ne.jp/%7Ecdj80950/japon/c004.htm


2005.5.2 樹液商品
メルシャン勝沼工場では、化粧水やクレンジングオイルなど10アイテムを販売している。ぶどうの樹液はアミノ酸やミネラルが含まれ、昔からぶどう農家の女性たちが化粧水代わりに使っていた。
ヴィナージュシリーズ http://store.yahoo.co.jp/mercian/vinage.html

矢作洋酒も近くブドウ樹液の飲用販売を試験的に始める。剪定した枝の切り口からあふれ出る樹液をペットボトルで採取、無菌ろ過した後、土産品として約1000本を売り出す予定
矢作洋酒HP http://www.yahagi-wine.co.jp/index.htm

ブドウ樹液の販売が軌道に乗れば栽培農家の副業として収益が期待でき、栽培農家の経営が成り立ち、ひいては甲州ワイン業界全般に及ぼす影響は大きい。

→ワイン関連の女性はものすごくこのテーマに興味を持っており、この産業はきっとヒットします。うまくブレイクしてくれるといいですね。樹液確保を効率的にするのと、広報宣伝が不可欠ですね。


2005.4.7 甲州種と寿司の相性
勝沼町は甲州種ワインの消費拡大を狙い、寿司との相性をPRするポスターを作成した。全国の寿司屋さんや酒店で掲示してもらう。町の産業課は甲州ぶどうは味や香りが軽やかで寿司本来の味を損なわずにマッチする。ポスターは無料。問い合わせは同課。0553-44-1111

20058.2.25
中央葡萄酒さんのHPに甲州種のことなら何でも分かる甲州ミュージアム新設。

2005.2.23
 ボーヌ在住のしらいさんから情報を頂いた。原文のまま紹介させていただきます。
 去年、勝沼の中学生グループがボーヌにホームステイしていたのをご存知ですか?そして、今度はボーヌの中学生が勝沼へホームステイ。確か、そろそろ出発のはずです。私の友達で観光案内所で研修をしていた女性が日本語の授業を週一回行っていたそうです。
  勝沼の中学生達は純粋で恥ずかしがりやさんだったのか、初めのうちは恥ずかしがって言いたいことが言えなかった子もいたようですが、フランスの子たちはどうなのでしょうね。
  こうやって、ブルゴーニュと勝沼、ワインの産地の交流が深まることはとても良いことだと思います。
→勝沼の将来を背負う次世代をブルゴーニュに派遣するなんて本当に素晴らしいですね。昔の龍憲さんたちの時代からの伝統とすら感じます。葡萄農家やワイナリーの大切な担い手となってほしいものです。そもそも勝沼とボーヌは姉妹都市らしいですね。


2005.2.16
 グラス問題 
  リーデル風のグラスがあればいうことはありませんが、料理店割烹のほか普通のフレンチやイタリアンレストランでさえも小さいグラスを使っているところがほとんどなのには正直意気消沈してしまいます(毎回グラスの持ち込みを本気で考えるところです)。グランヴァンは置いてないからこのグラスのサイズでいいという考え方もあると思いますが、大きいグラスで飲んだほうがおいしいことも事実です。
 レストランではさすがに脚付きの一応ワイングラスですが、ホテルや旅館ではどうでしょうか。ワイングラスを貸して欲しいと言われたときに、山梨県ではどの程度のレベルの対応が出来ているでしょうか。せめて勝沼仕様のテイスティンググラスがあるといいのにと思うことしきりです。これまでグラスの啓蒙はほとんどされてこなかったのではないでしょうか。
 グラスの問題もしかりですが、肝心のワインについて、県内のホテル、旅館、割烹、お寿司屋さんの(国産)ワインのセレクトはほんとに情けなくなることが多いです。そして保存の問題も無視できない状態にきていると思います(在庫を適当に倉庫に放置しているケースがほとんどと思います)。
 今山梨のワインががんばってここまでレベルを上げてきているのにと歯ぎしりしたくなります。
 山梨の顔であるホテル旅館飲食店関係にはワインやワイングラスの問題を真剣に考えてもらわないといけない時期が来ているのではないでしょうか。


2005.2.15
 今朝の新聞を読んでいると、相変わらずのYBS席書き大会の親子をまきこんだフィーバーぶり(フィーバーも死語か?)が報じられる一方、フランスではチョコのパッーケージデザインを子供から募集し、優勝作品をパッケージに使用するとともに優勝した子供のいる学校にリシャールさんやエルメさん(どちらだったか?)が訪問し、正しいチョコレートの造り方味わい方の講習をするなかで味覚教育を施すのだという。
 これをワインに応用できないかと思った。パリのほうは3000人の応募があるという。席書き大会の隆盛振りは年々高まるばかりとすれば、11月に誕生する勝沼、塩山を擁する甲州市もワインのエチケットの絵を募集したらどうだろう。優秀者の作品をぶどうの丘で展示表彰するとともに、公営ワインのボトルや民間のワイナリーにも協力願って、エチケットとして使用してもらうといいかもしれない。優秀者の学校には甲州ぶどうを給食用にプレゼントしたりの副賞もあってもいいかもしれない。あるいはぶどうの苗木をプレゼントして、学校でぶどうを栽培してもらうとか。垣根なら設備投資的にも難しくないし、収穫の喜びを感じてもらうにはいいだろう。1年を通じて生物をお世話することや段々たくましくなる葡萄の樹を見ていくこと、1年目からではすぐには収穫が出来ないなど、普遍的ないろいろなことの教育もできると思う。
 子供の頃から甲州葡萄や甲州ワインに対する漠然とした興味を持っていてもらうことがこれからの屋台骨を背負う次世代に期待すべきことかもしれない。


2005.2.1
 本日のお題は外国人旅行者に対する対応である。我々が外国に行ったとき一番困るのは、やはり言葉の問題ではなかろうか。モンダヴィのワイナリーで英語で長時間説明されたが、やはりネイティブ相手の英語なのでゆっくりわかりやすくしゃべってくれるわけでもなくわからないし、フランスやイタリアなどでは、雰囲気すらわからないことが多い。外国のお客さんが一番におとづれるのはやはり東京、京都といったところだと思う。勝沼は東京から1時間の距離にあるし、考えようによっては、観光の足の伸ばしついでという範囲と思う。ワインに興味のある外国人旅行者が勝沼を訪問したいというときにやはり通訳がいてくれればと思うのではなかろうか。昨今地域限定の通訳ガイドの登録がなされているという。国土交通証は2010年に来日外国人旅行者を現在のほぼ2倍の1000万人にする「ビジットジャパンキャンペーン」を後押しするということで、外客誘致法改正案が31日明らかとなった。そこでは都道府県知事が認定する地域限定の通訳ガイド創設、公共交通事業者に外国語の案内表示の整備計画策定と実施を義務付けたという。
 ただ、問題はガイドに応募する人があっても、ほとんどお呼びがかからないという状況であろう。需要と供給の問題もあるが、最初のうちは都道府県でお金を出してでも、ガイドに活躍の場を与えなければと思う。山梨ではワインに堪能なガイドは持ってこいだと思うので、他にそういう方がいれば都道府県の枠を超えて、相互にガイドを融通できるようにもしたらいかがだろうか。


2005.1.22
 平成16年度第26回勝沼ワインゼミナールが本日開催された。午前は有坂芙美子さんが「勝沼がワイン産地でありつづけるには」というテーマで講演された。さすが有坂さん、わかりやすく、またジャーナリストらしく分析を十分にされ、示唆に富んだ素晴らしい講演であったと思う。いくつか印象に残ったことを列記したい。

・1000円前後のワインは国別というよりもタイプごとにフランスや他国と同じ土俵で勝負して欲しい。
・これからは団塊の世代に注目ということ。団塊の世代というと1947-1959生まれということで前後1年を加えると1000万人の人口がいるのだが、美食を知り、健康志向で、時間ができ、また夫婦の二人暮しを取り戻し、旅にも興味がある、女性はカルチャースクールに熱心という条件が揃っている。団塊の世代に向けたプロモーション例として、酒屋主催で知識を教えるのではなく,、3種類くらいのワインを純粋に好きか嫌いかでテイスティングさせる(有料で)。また町内では、パン屋、惣菜屋、チーズ店が手を組んで提案型試飲会をする。必ず食事をともなわせるといいと思う。デパ地下は現在どこもすごい混雑しているが、そこにワインを置くというようなことをすると会話が進む。
・行政が行なうべきこと(行政は地元のワインメーカーの要求を応援するというくらいのスタンスが一番いいと思うのだがという前置き後)地場産業の拡大、いいワインの飲み手がいないといいワインはできない。地元で飲まれないと外では到底売れない。日本の現在平均消費量は一人年間2・5リットル。山梨での消費量が日本1で年間7・58リットル(国内1位)。これを10リットルまで引き上げられればすごい力になる。また、観光資源として葡萄畑の景観とワインに関係する遺跡、ワイナリー、カフェ、ピクニックコースなど(現在の空前のウォーキングブームに着目!)でコースに編成する。その際、距離と時間を記載するようにすると、チャレンジしやすいのではないか。また、民宿旅館では飲み物の第一にまずワインを上げたらどうか。からなずビールが筆頭にあって、ワインはあっても1種類、しかもボトル売りということなので、バイザグラスを必ず用意するということにしたらどうか。
・ワインメーカーの行なうこと。まずは自分の飲みたいスタイルに固執すること(個人主義に徹する。特定のファン作り)、メルマガの活用ー消費者にとって優先意識をくすぐる(入手困難なワインを優先的に入手できることなど)。プロモーションを十分にすべき。エノロゴがホストをつとめるコンヴィヴィアリティな夕食試飲会の開催、地方都市にでかけその都市の酒屋有志を集めて試飲会をする。ブドウ栽培家との交流(いいワインはいい葡萄から。また栽培家に美味しいワインを飲んでもらい自分たちの葡萄がこんなになるんだということで来年もがんばってもらえる。)
・甲州市になったら、甲州は勝沼に起源があると自負する
・原料葡萄の糖度制価格の導入
・葡萄の活用、バルサミコ(ワインヴィネガーよりももっと数年寝かすことでおいしくなる)、グラッパ。
これらは共同作業が必要、量が少ないと難しいので。
・定期的に人気シェフ(フランス、中華、エスニック、純粋なそば)を呼び、勝沼で試飲試食会
・オーストラリアのリースリングはねじ栓を使っている。年を取ると段々コルクを抜くのが大変になるので、甲州も白ワインなので率先してねじ栓を使用するようにしたらどうか。などでした。

2005.1.6
 定年後の仕事として、山梨でワイン関係の仕事につきたいということ、甲州種の消費拡大に向けて、「葡蘭酎」の製造を試みている方がいる旨の記事を山日新聞で読んだ。退職金のすべてをつぎこみ、友人知人から出資金を提供してもらい、起業したという。
 マールタイプではなく、フィーヌタイプで蒸留し、それをアルコール度25度までに落として、焼酎と同様飲みやすくするという試みだという。
→名前の蘭がポルトガルを意味させるのと(ポルトかなと思ったりしてしまいます。最初ブランデーのブランにかけてあるというのがわからかった)、焼酎ブームにあやかっていそうなのがちょっとと思いました(新鮮なコンセプトがないと起業には向かないのでしょうが・・・)。マールにしないと原価があがりそうなのと(なお、甲州種をなるべく高く買い上げたいともあった)、コアなワインファンは25度まで落とすというのが潔くないと思うのではないかとの感想をもった。私個人的にはマールは独特なくせがあるからなるべくならフィーヌタイプのほうが好きなんですけどね。甲州種で造った焼酎タイプのブランデー、根付きますでしょうか。
 
 なお、山梨県内で葡萄原料の蒸留酒を製造しているメーカーとしては次のとおり(ほかにもあるかもしれません。ご容赦ください)。
 麻屋葡萄酒(エスポワールブランデェー 720ml)、岩ア醸造(ブランデー)、機山洋酒工業さん(ブランデー、マール)、白百合醸造さん(グラッパ「メフィスト」)、マルスブランデー、それから大手のサントリー、サッポロ、マンズワインさん。


2004.12.24

ワインと家具その2(指揮棒)

 

 ワインのコルクで作った指揮棒です。
 息子のヴィンテージのブションで(記念のDRCリッシュブル97です)、某サンタ叔父さんからのプレゼントです。 ワインと家具

2004.12.20
 勝沼駅前のブドウづるツリーの様子です。結構見ごたえがありますね。
 
2004.1129
 かつぬまィンターイリュージョンプロジェクト 
「今年の冬は、町中にぶどうづるツリーを飾ろう!」ということで12月10日〜2005年2月末日までの期間、勝沼町内はぶどうづるのイリュージョンがお目見え。

ぶどうづるツリーの作り方をメールでご案内中。
info@katsunuma.netへメールで請求するとpdfファイルをご案内いただけるという。
ただし勝沼町民に限定させていただきます。
お名前と地区名をお書き添えください。
印刷したものは中央公民館等で配布しております。

【ぶどうづるツリー製作教室のご案内】
11/29(月)〜12/5(日)
下岩崎の赤白園さん(レストラン風の南隣り)で、
毎日10時頃〜3時頃まで。
参加申込不要。



2004.11.26
勝沼醸造さんで、テロワールごとにタンクを分けてする仕込みを開始。さらに下記は契約栽培のあり方ばかりでなく、まさに土壌や栽培法による差異がワインにどのように影響するかを確認できる意味で、斬新かつ注目に値する試みですね。
「甲州栽培者10名を選び、各々の試験醸造も行なっています。これはデータ的(ロケーションや栽培法、防除履歴、成分分析など)にもかなり的を絞ることが出来るので、原料ブドウとワインとの関係という点で我々造り手としましては、大変興味深い試みです。」

2004.11.17
@勝沼町の学校給食に甲州生ぶどう100%ジュースとゼリー登場。
 地産池消の試みの一つ。
→甲州種葡萄がだぶついていて、栽培をやめる農業者も出てきている中で貴重な試みの一つとなる。勝沼だけでなくて山梨県全体で行なえば、地元の消費意識の向上につながると思うので、ぜひ全県的に実現してもらいたい。
A甲府の松村酒販さんで、ワインを持ちいた入浴剤についで、赤ワインを用いたスクラブ(洗顔用石鹸)を開発。
→エステや化粧品に葡萄関連を使う試みは高い関心を集めているので、これらの商品にも注目したい。

2004.9.29
 観光客へのトイレの開放について。
 勝沼町の観光施設(ぶどう園、ワイナリー、民宿などの現在44の施設)で、何も買わないでもそこのトイレを借りることができるおもてなしを始めた。勝沼は、ワイナリー、ぶどう園、そしてワイン貯蔵庫などの近代遺産などすばらしい散策地となりうるが、観光客にとって気がかりなのがトイレである。公衆トイレが現状十分整備されているとはいえないので、看板を作って、安心してトイレを利用していただけるようにした。青字バックのおおきめの看板で男女二人の姿と英語日本語でトイレと記載されている。地域を発展させていくためには一人でがんばっていてもだめ。地域全体で取り組むことが必要。自分にないものが隣にあればそれを観光客に教えてあげる、たとえば「うちでは食事が出来ないけれど、あそこに行けばできるよ」とか。そうやって地域が同じ目標を共有して歩み、日本一の葡萄産地である勝沼の個性を出していこうとする試みの一つが実現した。

2004.9.8
 甲州種のDNA鑑定について  これまでも少しづつお伝えしてきた甲州種の出自であるが、ヴィノテーク9月号58pにまとまった報告があったので抜粋させていただきました。
 「プロジェクトの一環として甲州種葡萄のDNA鑑定をカリフォルニア大学ディヴィス校のファンデーション・プラント・サーヴィス(以下、FPS)に依頼、その結果、「甲州種は純粋なヴィニフェラ品種でないことが判明」した。鑑定には山梨県内10箇所の異なる葡萄畑から採取した甲州種の葉10サンプルを送り、世界の主要なブドウ栽培地域から収集した700以上の葡萄樹照合プロフィールと照合。結果、甲州種はFPSのデータベースにも類を見ないまれな品種で、日本以外では存在が明らかではないとの見解が示され、今後の研究課題となる。これまでヴィニフェラ品種と信じられていた甲州は、ヨーロッパからシルクロード→中国を経て日本に伝来するどこかの時点で東洋系品種と交雑した可能性が高いハイブリッドである。DNA鑑定で得た情報は、醸造用甲州種栽培のクローンの改良に役立つと考えられる。日本のワインの品質向上のためのクローン改良は10年20年を要する長期プロジェクトである。

2004.8.30
国産ワインコンクールをきっかけにいろいろな方とお話しすることができ、その中で、なるほどと思ったことを2点紹介したい。
@甲州種の長熟可能性について。先日マルキワイナリーで甲州の超古酒を試飲させていただき、また甲州の古酒については他のワイナリーでもよく話を聞き、なぜ、甲州がこんなにもつのだろうかと不思議であったが、銀賞で甲州を出されていた、たしかルミエールさんの担当の方とお話していて、甲州はたしかに酸度は低いけど、PH値は低いんですよ。という話でした。長熟可能性との関連まではわかりませんでしたが、そこらへんに秘密があるのかもしれませんね。しかし、最初は耳を疑いました。通常は御存知のように酸度が低い=PHは高いというのが一般ですから。
A甲州の出自。ヴィニフェラ100%かどうかという話題になったときに、ラブルスカとの交配ということもあるんでしょうかねと話していたらそれは絶対ないという話になりました。アメリカ新大陸発見以前に甲州はあって、ラブルスカはアメリカの品種だからという理由でした。非常に説得力のある話でそりゃあそうだよなと納得してしまいました。

 

 甲州三尺 本文とは関係ありませんが、まさに身の丈3尺(約90センチ)ある@@葡萄。

B葡萄エステの話はかなり盛り上がっていました。化粧品を愛用しているという方もいっらっしゃいまして。


2004.8.12
 甲州ぶどうを中心とした、勝沼町の果樹振興策を考える を読んで。
平成16年3月5日勝沼町町民会館で行なわれたシンポジウムの様子が記録されている。コーディネーターは勝沼の栽培農家で町会議員でもある小川真澄さん、パネリストに、玉村豊男さん、松本信彦さん(マンズワイン)、阿部育子さん(テレビ山梨アナウンサー)
 勝沼ワインの現状や原産地統制呼称の話、勝沼活性化のアイデア、その他新しい視点が多々あり、読み応えがある。個人的にチェックを入れたところだけ、アトランダムにピックアップしてみます。

・玉村 長野の認証制度の発端 まずはメーカーの協力がないとだめだということで、メーカーの皆さんに集まってもらった。県内産というだけではだめで、一定のレベルが必要ということで原産地呼称管理委員会と別に官能委員会とを分けた。官能委員会には業界と関係ない人を入れたらメーカーはいやがっていた。テイスティング能力の問題。田崎さんもこんなワインが通るんだったらと憤慨した。グローバルスタンダードの品質に少しでも引っかかるもの出なければ認めてはいけないということにした。

・松本 いろいろなブドウ品種があり、それはなにも山梨でなくてもよい。マンズでは現実にワインの品質を追求する目的の向上は長野に移してきている。しかし、甲州だけは勝沼でなくてはならない。勝沼で甲州が育ってきたのであり、他のところで、甲州を作ってもというところがある。

・玉村 まずメルロ、シャルドネ、カベルネソーヴィニョンをそこそこ作れる技術というのが栽培醸造場であってというのが第1次試験であって、1次をパスしたら2次試験で奥の手を出すという意味の甲州でなければ存在価値がないし、それしか生きる道はないだろうという風に感ずる。

・松本 今後、生食用と醸造用と別々に考えながら、甲州を考えていく。生食用では種のない甲州が必要かもしれない、ワイン用には粒の小さい甲州が必要になってくるのではないか。

・松本 フランスではブドウをそのまま食べません。
 シルクロードでは(甲州がシルクロードを経由して伝来という話の後に)ブドウのまま日干し煉瓦で隙間を作った室においておく吊り下げるときに切ったつるの元にブドウを一粒刺しておくと水分が循環して長持ちする。
 イギリスではビンの中に水をいれてその中にブドウを入れておいて食べる。

・松本 甲州というのは高級なワインだけ作っていたのでは売れない。甲州には魅力がいろいろとある。将来的に甲州を残していって、日本でワインを飲む文化が育った段階で又日本の専用の日本にしかないブドウの甲州と言うのが見直される時期が必ず来る(今は著名なソムリエでさえ甲州を飲んだことがないという人が結構いる)。そして、現在の需要からすれば、甲州を今後につなげていくためには1000円や1500円ぐらいのワインで、みんなに認められるようなワインを作っていかなれければならない。

・玉村 ここでしか売れない、ここに来なければ飲めない。ここでしか作られていないということが物語りになるような売り方をしない限りは絶対競争できない。

・玉村 飲酒運転禁止のおり、勝沼に馬車を通して、ワイナリー巡りでもするのがいいのでないか。

・玉村 日本には酒税法しかない。どんな造り方をしても税金を取るよと言う形しかない。それよりもこう作らねばならないと言う酒造法を作るべきで農水省の管轄となるべき。、そこから原産地呼称の管理をできるようになる。

・松本 マンズは現在勝沼の原産地呼称に入っていない。審査がおいしさということを基準に出来るようなレベルになるなら加入してもよいと思っている。

・玉村 長野の原産地呼称は2回目から全国区でこの人がお墨付きを与えればしょうがないだろう見たいな人を集めてお願いする。

・玉村 葡萄の丘にグラッパ工場を作ったらどうか。イタリアのバルバレスコでは共同で出資して、山の上にグラッパ工場を作った。葡萄の搾りかすもそのままでは産廃。グラッパを作った後の搾りかすは、色は染料工場に売り種もグレープシードオイルにしたらどうか。1軒では少ないけど共同で集めれば相当量集まるはず。

・阿部 勝沼の旅ではワイン飲んで食事して温泉に入るというだけでは今の女性は満足しない。ヨーロッパのほうでは葡萄をそのまま肌に塗ったりするそうなので、葡萄を使ったエステティックなどあると泊まる人も増えると思う。甲州は和食に合うといいながらそれを体験させてくれるところがない。、懐石料理でなくてもたとえば肉じゃがとか煮貝とかとか気軽に合わせられるお店が欲しい。同僚の若い男性社員に聞いたところ、観覧車がいいという。31のワイナリーと135もの観光葡萄園があるのだからそれを一望にできるような観覧車とか。

・小川 炭を使って木酢で安全性を高める。委託でマイワインを醸造しているオリジナルワインを作ると言う方法もある、デザインに凝ってオリジナルワインを作ることで売れ行き好調なお寿司屋さんもある。ワイナリー全般に甲州を皆で宣伝する努力をしたらどうか。足の引っ張り合いでなくここのはうまいよとか他人のワイナリーをほめる言葉が一つでもあるワイナリーは伸びると思う。勝沼を生き残らせて欲しい。

・松本 これまでの原産地呼称は農家のための原産地呼称であって消費者のための原産地呼称ではなかった。現在勝沼町の産業課を中心に原産地呼称の基本作りをおこなっている。長野に負けない勝沼町の原産地呼称を作っていただきたい。

→お盆で時間ができたため、普段なかなか読めなかったものを読んでレポートしてみました。なかなか読み応えがありました。


2004.8.11
ワイナリーによるぶどうづくりー山梨県「ワイン産業振興特区」取材レポート を読んで。

 経団連の関連団体である21世紀政策研究所が山梨県や勝沼醸造さんをレポートしたものが7月21日に発表されています。

 ワイン産業振興特区の詳しい説明のほか、いくつか目新しい視点などが述べられていますので、気がついたことを列記します。

・特区認定以前から、ワイナリーが直接または間接にぶどう農園を確保する方法
 (1) サントリー登美の丘ワイナリーの場合、1952年の農地法施行前の1936年に自ら山林原野を取得し、開墾して農地を造成することは農地法の適用外であるが、多額の投資が必要となる。
 (2) 中央葡萄酒の場合、2002年4月農業生産法人を設立し、明野村に8へクタールの農園を拓いた。農業生産法人とは、農業経営を行なうために農地等を取得できる法人のことで、規定の事業要件、構成要件、役員要件を満たす必要がある。たとえば役員要件は、農業の常時従事者たる構成員が取締役の過半数を占め、かつその過半数が農作業に原則として60日以上従事することであり、一般に新たな体制整備が必要となる。
 3、法人自らでなく経営者個人が農地を賃借・購入する方法もある。勝沼醸造をはじめ数社のワイナリーの社長は個人農家となって農地の賃借・購入を行なってきた。個人であれば、農業者・非農業者を問わず、農地を適正かつ効率的に移用するという要件を満たせばいいのである。

・ブドウ農家の高齢化と遊休農地の拡大 後述に関連

・特区利用の流れ
 特区では農業生産法人以外の法人であるワイナリーも農業に参入できるようになった。特定法人として認められる条件は、営農計画の作成、各種渉外業務などの企画管理業務等農業関連業務に常時従事する農業担当役員が1名以上いることである。
 ワイナリーは、自らの情報網、あるいは市町村の農地委員会の農地銀行活動(農業経営基盤強化法に基づき、農地を貸付または売渡したい者から1区画ごとの面積や地目などの情報を集め、その情報を農業の担い手に提供し、農地を集積する活動のこと。)を利用して、使用したい農地候補をピックアップする。その上で市町村に対してその土地の使用希望の意向を伝え、農地保有者が内諾すれば、その法人への貸付事業の実施主体(市町村ないし農地保有合理化法人)がその土地を農地所有者から借りるか買うかして手配する。

・特区利用の場合の賃借料。勝沼醸造の実績では、標準小作料(農業委員会が定めた小作料の標準額)と同額であり、個人農家として借りるよりもずっと安く済んだ(個人農家として農地を借りる場合貸し手の希望に近い小作料になることが多く、標準小作料の10倍の賃借料がかかることもある)。

・特区に残された課題 
 (1)支援措置の充実 ブドウ栽培の経験がないワイナリーにとって、新規参入のリスクは大きいので農業制度資金(低利の融資)を利用できるようにする
 (2)農業委員会の農地銀行機能の充実と契約プロセスの短縮 
 (3)農地単位の拡大における行政のイニシアチブ 山梨では農地単位が小さく作業効率が悪い(例えば、勝沼町の平均経営耕地面積は約0.6ヘクタールでそれが数箇所に分散しているがことが少なくない)。行政が率先して、遊休農地となりそうな農地及びその周辺の農地を統合すれば、大型の機械を効率的に利用できるようになり、作業能率が増大するため、借り手も増えると思われる。

→南向きの日当たりのよい水はけのよい斜面にあるブドウ畑などを積極的に農地銀行機能によりピックアップし、低廉な賃借料によって、自園栽培ができるようになれば、コストダウンをはかることもでき、山梨のワインの向上につながると思われる。その際、すでに引退している農業経験者に栽培技術の指導や栽培の手伝いをお願いすることで地域の活性化につながるとすれば、よりよいことである。


2004.7.8 ボトルサイズその3
 ハーフサイズがないのは何故かという話を某ワイナリーの方に昨晩聞くことができた。一言「コストがかかるから」だそうです。フルボトルの半分の値段にちょっと乗っけるくらいでは無理みたいです。だからといって、もっと乗っけると買ってくれないとか。なるほどと思いつつ納得しましたが、値段が少しくらい高くてもより新鮮なワインを飲みたいという人は多いので、現在の高度消費社会なら買ってくれるのではないかと思います。そうでないとこの前の奥野田さんのところの試みは成功していないはずだから。他にも酔ってたくさんの面白い話が出たのですが、恐ろしいかな覚えてないのです。でもきっと潜在意識には残っているのでその点の話題が出てきたらきっと思い出すでしょう。


2004.7.7 ボトルサイズの話その2

 山本博先生の著作が連発され、甲州種ワインプロジェクトの発動など、また日本のワイナリーを自転車で巡るという野望を秘めた人や甲州ワインが最近のメインコンテンツとなっている人(誰?)も出現し、にわかに活気付いている日本ワイン界であるが、消費者の声の一部としてわが父母のニーズをお伝えしたい(といっても別にこのHPに載せてくれというのでも何でもないのだけど)。
 私の父母の酒量であるが、父はもともとは結構いける口(最近は70を超え酒量ががくっと減った)、母親は酵素1個タイプである(修行もしていないのでまあちょっと飲んでも具合が悪くなるわけではないといった程度)。
 戦前に産まれた二人であるから、もともと渡来のものになじみがあるわけでもない。私がワインにはまってから「おいしいワインを飲もうよ」と、宅配取り寄せでフランスワインやイタリアのおいしいものを飲んでもらった(もっとも1000円〜2000円くらいのもの)。
 しかし、どうも外国のワインはあまり受け付けないという感じであった。やはり甲州種のワインがいいというのだ
 そして、ここからが本題であるが、二人でフルボトル1本開くという状況ではなく、毎日飲んでも1週間くらい平気で1本のボトルが飲みきれないでいたりする。
 今回そのような現状であるから、「(在庫切れにつき)ハーフボトルでおいしい甲州種をたくさんキープしておきたい」という要望が母からあり、ネットで探してみたが、ハーフボトルを用意しているところはおどろくほど少ないという現状を認識しました。しかもフルボトルで3000円前後する甲州種のトップキュヴェではハーフボトルが皆無といってもいい状態である。
 欧米人に比して、酒量の少ない日本人向けにしかも欧米のぴちぴちしたワインを飲む体力のないお年寄りにはいわば繊細な甲州種はありがたい存在であるが、彼らは同時においしいものを少しだけという世代でもあるからボトルサイズの選択がほとんどない点で買い控えてしまうという状況にあると考える。
 飲酒量が少ない日本の場合、もっとハーフボトルが(場合によりフルボトルよりも)多くてもいいのではないか。と思いました。
 

2004.5.20
 いつもなら瓦VINに載せている情報なのであるが、これは久しぶりに国産ワインの流れを変えるかもしれないなとピンと来たのでこちらに載せる。

 奥野田葡萄酒さんが飲みきりミニワインをセブンイレブンジャパンと共同開発して県内のセブンイレブンで販売。ターゲットは20代女性。仕事帰りにお惣菜や弁当とあわせて購入できる親しみやすい本格ワイン。サイズは180ミリと300ミリ。スクリューキャップ。樽熟甲州辛口、メルロ赤、ミルズ種の甘口。すべて奥野田さんの自家農園ないし契約栽培農家で栽培したブドウ。コンテナのまま出荷することで発送用資材の費用を省き、コストを削減した。

→この記事からは学ぶことがとても多い。
@まず、サイズに着目されたい。フルボトル1本を買って帰るのは勇気がいることである。うら若き女性には大酒飲みみたいで恥ずかしいという印象もあるのではないか。大体日本人の年間ワイン摂取量が3リットル平均だから、普通の人はフルボトルだと2週間は冷蔵庫にバッセンしてちびちびということになる。これはワインの劣化を促すものでとてもじゃないけどおいしい状態では飲めない。
 180ならなんとか1日で飲みきれるだろう。美味しい状態でのめるからまた買ってみようかなあと思う。300でもいい。ハーフボトルだと飲みきれない印象だけど、300なら私もなんとか飲めるわよっていう女性は多いはずだ。
 長期熟成タイプの素晴らしいワインならボトルサイズを大きくしたほうがいいけど、大抵フレッシュアンドフルーティー路線の日本ワインならそんなことは考えないでも済む(むろん、日本のトップシャトーの最上級キュベはむしろ若飲みがされすぎているのは反省すべきである。現金化しなければいけないシャトーの事情もわかるけど、3年後が飲み頃とみなさんおっしゃるのだから、せめて半分のボトルは3年後くらいに発売する英断もあってもいいかなあとは思う。)。
A国内産100%というのがいい。きちんと調べたわけではないけど、メルシャンサントリーマンズサッポロなんかの大手ワイナリーではとっくにこういうサイズのボトルをコンビニにおろしている可能性があるけど、みんな輸入ワイン使用なんじゃなかろうか。
Bつぎがスクリューキャップ。当然扱いやすい。コルクを抜く作業というのは結構面倒なものだ。我々はあえてソムリエナイフで抜栓するのを楽しみにしているところがあるけれど、特に女性なんかは苦労しているんではなかろうか。T字型のコルク抜きでワインを開けている比率はたぶん98%の家庭と読んでいる(自分調べ)。そうするとあの股間にはさんで(失礼)抜くという美しくない作業はどうも抵抗があるのではないか(笑)。専門的にもブショネがなくなっていいし、コスト削減にもつながるし・・・。
Cコンビニと提携したこと。これはすごく重要であると思った。失礼だけど奥野田さんの店頭販売や通常の酒屋さんに置いといても、売れないと思う。「ついでに」ワインでも買ってみるかという感覚なのである。わざわざ酒屋さんに買いに行くOLはヘビーユーザーなのでもともと対象外なのである。
D まだ、外国からの輸入ワインはフルボトル中心でハーフボトルでさえ少ない状態で、国際競争力も非常に高い。

Dまとめると
 (a)これまでのワインの購入者像から離れたターゲットにも
 (b)フレッシュでおいしい国産100%ワインを、おいしいまま(飲みきりサイズ、しかも本格派)
 (C)手軽に(スクリューキャップ、コンビニで買える)認知させることができ
 (d)外国産ワインに勝てる要素がある(サイズ的に)
ということである。

 これがうまく他のワイナリーでも採用されて山梨県内だけでなく全国展開できれば、日本ワインの起死回生策となるかもしれない。ちなみにお値段であるが、甲州の180ミリが305円、メルロの180ミリが357円。ミルズの甘口が300ミリで525円である。お弁当お惣菜と180を1本買って1000円でおつりが来る値段である!


2004.5.18
人件費は本当に日本が高いのか
 日本の場合最低賃金は最低賃金法で定められており、各都道府県によって異なる。山梨県では現在647円(大体全国同じくらい)。
厚生労働省のHPから。
フランスの場合は労働協約法に基づきSMIC(発展的最低賃金と訳される)が定められる。全国一律で毎年7月1日に改定されるのであるが、最新の03年7月1日の最低賃金は7.19ユーロ(約1000円)である。これだけを比較するとフランスの最低賃金のほうがはるかに高いということになってしまう。もっとも、フランスの場合、見習訓練生の場合25%から85%までの減額が許されるようである。この見習訓練生としての扱いを受けると日本よりはるかに安くなってしまう。日本にはこのような減額措置はないとされる。
厚生労働省審議会のHPから。

収穫時の時給賃金について(しらいさん情報)。
もちろんドメーヌによると思うのですが、2年前に大手メゾンで収穫を
した際はブドウを摘む係で7,50ユーロくらい、ブドウを運ぶ係で8,50
ユーロくらいだったような気がします。
1ユーロ140円として1000円ちょっと。こちらは最低賃金はクリアーされていますね。


2004.5.17
@ワインビネガーとオリーブオイル。
 イタリアに旅行に行くとトスカーナの大体のワイナリーがどこでもオリオ(olio)を販売している。オリーブの畑がブドウ畑と混在しているのだ。ブドウの栽培に条件の悪いところには、オリーブを植えるとアマで話していたような記憶がする。どちらにせよ、暑くないといけないみたいであるが、現在の山梨が暑いのであればオリーブの生産にも向いていると思う。どこかオリーブオイルの生産をするところが出てくると面白い。あの樹があるだけで、一気にトスカーナといった感じになるから不思議だ。見ていて美しい。そういえば勝沼は丘陵の多いところでもあるから、イメージ的には似ているかもしれない。勝沼の景観という意味でも垢抜けてくるのではなかろうか。棚式葡萄園とマッチするかはちょっとわからないけど。
 それからワインビネガー。これは言うまでもなくブドウからできるわけであるから、造りやすいのではなかろうか。ダイヤモンド酒造さんでは作っているみたいであるが、他でもチャレンジしたらどうだろうか。
Aナパではワイントレインが走っている。街道わきにある各ワイナリーの前が停車駅である。このような電車とまでいわないまでもバスとかについて各ワイナリーを縦横無尽に走る交通機関が日に何本も欲しい。大体テイスティングでほろよいになるわけだから。車の運転は危ないし。
Bブルゴーニュの仕事でのバイト料。某サイトを見ていたらビーズで芽かき隊を募集していた。5月中旬から6月上旬くらいまで、最低3日間参加という条件で、時給600円ということだった。昼ご飯労働後のアペリティフ付とあったけど。日本人なら600円なのか、フランス人でも600円(4ユーロちょっと)なのかはわからないけど。そのとおりだとするとやはり高校生のバイト料程度ですね。重労働だし。


2004.5.16
ミルク特区。
 今朝の新聞を読んでいたら清里の著名人が出ていた。フィールドバレエなども開催したり総合的観光設備を開催している人である。
 どうも山梨にはチーズのアトリエが少ないなあと思っていたら、牧場で搾りたての牛乳を飲ませたり、チーズやバターを作って供することが禁じられているそうだ。どうりで!たぶん衛生的な法規制によるものと思うが、酪農文化の進展を阻害する規制である。そこで先に述べた筆者はミルク特区ないし酪農特区を八ヶ岳、清里に導入して欲しいと結んでいる。
 この規制については重要と思うのでどなたか御存知の方は情報をお寄せください。厚労省に問い合わせてみようかな。

2004.5.14
普及価格ワインの充実を
 日本ワイン全体のことを考えると普及価格ワイン(1000〜1500円)のランクのものの充実こそが底辺拡大につながるような気がする。マストやバルクを使うかどうかはおいといてである。結構そのランクのワインというのはないがしろにされているのではないかと思う。失礼かもしれないがおいしくないワインがほとんどというのが現状ではなかろうか。
 しかし、一般大衆が口にするのはこのランクのワインである。おみやげでもらい、あるいは地場の酒屋で購入し、デパートで購入する。そして飲んでみる。ここでああおいしいもんだなあと印象がよくなれば次につながるだろうと思う。
 国内のワイナリーにはこうした視点からかどうかはわからないが、普及価格ワインの充実こそをモットーにあげているところがいくつかあるようだ(山本先生の「日本のワイン」)。
 この普及価格ワインを昔飲み、ワインの飲まず嫌いになった私の経験からもぜひこの点を十分に考えていただきたいと思った。

2004.5.13
地球温暖化とワイン品種
 現在の地球温暖化は世界的規模で起こっている。甲府気象台の観測では過去30年間(1971〜2000)の平均気温は摂氏14・3度であるが、最近五年間の平均では摂氏15度と上昇しているとのこと、塩尻に近い松本でも11.5度から12.1度へと上昇している。平均気温が0・6〜0.7度と上昇すれば大きな影響が出る。赤品種では着色不良が懸念されるし、しろ品種では日本ワインの特徴である酸味のきりりとしたワインが出来なくなくおそれがある(以上、元サントリー東條一元氏執筆部分)
 周知のようにウインクラー博士の積算温度区分では甲府はイタリア南部やスペインのヘレスなんかと並んで区分4にランクされているのである。区分4の栽培好適品種としては、バルベーラ、プティシラー、カリニャン、グルナッシュ、テンプラニーリョなんかでフランスでいえば南仏品種という感じである。そもそも生食産地であることが勝沼のネックになっており、コスト的になかなか葡萄専用品種に植え替えられないということを考え、また、植え替えてもすぐには収穫できるような代物にはならないということも考えると、今後の温暖化を前提に好適品種として温暖にマッチする品種の開発を考えていくことも一案であると思う。
 長野ががシャルドネで成功しているが、山梨では区分1の好適品種であるシャルドネは厳しいのではなかろうか。それか思い切ってかなり標高の高いところにシャルドネ、カベルネ、メルロを植えていくか(温暖化が追いつくのを待つか)ということも考えなければいけないのかもしれない。


2004.5.11
 ワインと家具 
 ワインを中心とした食環境のコーディネイトという意味では家具は重要な要素をしめている。このような家具について勝沼にこんな家具が飾ってあるギャラリーが人知れずある。ギャラリーというか、とある葡萄園の民家のスペースを借りて、家具とワイナリーの古い看板なんかが飾ってあるのあるだが、こちらのスペースの紹介はまたいずれ画像が入手できたとき。この葡萄園から毎年鳥居焼きを見るのが恒例となっています。

2004.5.10
視点 @ 観光的魅力 勝沼に葡萄園とワイナリー以外の観光的魅力に乏しいという話はこれまでもしてきた。食や宿泊設備もなかなかない。この前野沢さんが話されていた山梨のワインにフランスのチーズは合わないという話。山梨のチーズなら合うんじゃないかと思い、いろいろと調べてみたが山梨にチーズを作る農場(農家製)は今のところ見えない。昔の雪印あたりで作っていたかなあとも思うけど。やはり日本のチーズは北海道に多い。答えは簡単牛が多いから。山梨でも八ヶ岳や富士山のふもとあたりにありそうだが・・・。そこで勝沼にチーズ工房アトリエを作ったらどうだろう。ワイン好きは大抵チーズにも興味がある人だし、作れば必ず寄ってくれると思う。体験でチーズ造りを一部できれば言うことない。1時間もあればレンネット凝固ないし酸や熱凝固でフロマージュブランあたりはできるだろう。そこに地域の蜂蜜や果実王国のジャムあたりでたべさせてもらえれば言うことはない。おともは冷えた甲州ワイン。そして地元のワインとパンとチーズでランチとかいうのもいけそうだ。ワイン豚で作ったシチューなんかも添えて。これは山梨のチーズだからフランスのワインではなくて、甲州ワインのほうがいいし、きっと合うに決まっている。
A 前回の人件費の話。やはりよくよく考えてみると慣れてないと収穫は無理なんで高校生では難しいだろうなあと。
B ワイナリーの醸造家の味覚。日本人というのはやはり「遺伝的に」味覚としてはエレガントなんではなかろうか。グラ好きなアメリカ人と比較するとわかりやすいかもしれない。これは最近ルー・デュモン(例の天地人のエチケット)のブルゴーニュルージュを飲む機会があったのであるが、そこの醸造家である仲田さんという方の作るワイン。どことなく日本のワインと通ずる味わいがあったからだ。
繊細な感じで雑味は抑えてクリーンでどことなく清楚な(だけどちょっと地味目な)お嬢さんという感じの造り。無意識的にそういう味わいを求める結果、超濃厚超凝縮といった世界のワインの嗜好とはずれてくる可能性もあるなあとこのワインを飲んで思ったところである。

2004.5.7
視点 ワインの値段
 地価と人件費がフランスとは本当に比べ物にならないのか。
 実際に検証したわけでもないが(今後検証予定。でも頭の整理と問題意識を忘れないうちに書いておこうと思ってです)、当たり前のように日本ワインがコストが高くつくこの二つの理由が本当なのだろうかと考えることも必要じゃあないかとふと思った。

 グランクリュや1erクリュの畑の値段が日本の畑より安いだろうか、ものすごい値段で取引されるグランクリュの畑・・・。超一流のドメーヌですら高くて買えないというぼやきを聞くではないか。たぶん日本のどんな畑よりもグランクリュの畑の地価は高いはずである。
 そもそも日本には各畑間にあまり値段の格差が存在しないのではなかろうか。AOC制度や畑ごとのランク付けが公式にはなされていないからということが大きいと思う。まあフランスとちがって、相続争いをあまり聞かないので、遺産分割〜畑の売買という実例がないから、畑ごとの値段の格差をしりようもないということもあると思うが・・。また会社で持っているのでそもそも会社が健全に経営されている限り売却の必要はないということであろう。
 ただAOCブルゴーニュルージュや単なるAOCメドックに用いられる畑は日本の一般的な畑の地価よりは安いかもしれない。これは国土の広さによるのだろう。だから地価の面で見る限り、並級のワインについて日本ワインが高いのはいたしかたないとの比較はできるかもしれない(逆にグランクリュのワインの値段が日本の一番高いワインより高いこともまた事実・・そうすると素直に地価とワインの値段は連動しているということ)。
 では日本で一般に畑の地価を抑えるためにはどうしたらいいのだろう。耕作放棄地を安く賃借するとかは考えられそうだ。他にもいいアイデアがあるだろうか。

 では、人件費はどうだろう。そもそも物価が変わらない以上はあまり人件費が変わるというのも理解できない話である。実際に収穫時にフランス中を移動して働くワイン関係の大学生のバイト料とシルバー人材センターのおじいさんたちの料金は違うかというとやはりおじいさんたちのほうが高いかもしれない。
 しかし季節限定のアルバイトを若い人たちに求めるというのはいいアイデアかもしれない。年賀状配達をする高校生を採用するように。時給500円くらいでやってくれるかもしれない。
 また、先に書いた須玉のヴォーペイサージュの例を参考にボランティアを雇うことも検討するかもしれない。ワイナリーのファンになってくれるかもしれない。
 いずれにせよ人件費を安くしてワインの価格を抑える工夫をすべき時代が来ているかもしれない。

 翔べ日本ワインの「はじめに」で山本博先生が「ワインを作る人びとの努力を愛情を持って見守り、激励すること、そして少しくらい値が張っても買って飲むことが消費者側がやらなければならない義務である。と同時に造るほうも、消費者に関心と愛情を持ってもらうために苦労を含めた偽りのない正しい情報を送る義務がある。いずれも楽しい義務である」と述べられている。
 これはまさしく存在すると思われる「同じ味わいならより安いものを、値段が同じならよりおいしいものを」という消費者のニーズを反省すべき提言であり、我々も耳を傾ける必要があるのではないかと思う反面、義務履行を少しでも軽減させてもらう、ないしより楽しい義務にしてもらう努力を供給側(行政も含めて)でも考えていただければなあと思う。

 というわけで一人ではたくさん飲めないので近く、日本ワインを飲む会(仮称 第1回・・続くのか)を開いてみようかなと思っております(現在企画中。賛同される方は一声かけていただければと思います。山梨のチーズも探してみようかと思ったり)

2004.5.6
 先日、瓦VINの方で紹介した財団法人広域関東圏産業活性化センター(GIAC)から産業観光・産業ツーリズムによる地域活性化方策に関する調査研究・調査報告書を送ってもらった(無料)。
 この中で本コンテンツに関係するいくつかの点があったので列記しておく。
・勝沼ぶどう郷周辺には年間200万人余りの観光客が来訪しており、山梨県全体の観光客数の約3.6%を占めている。観光の本シーズンは8月から10月の葡萄の収穫期であり、葡萄狩り、ワイナリー見学などを求めて年間観光客の半数以上がこの3ヶ月間に来訪する、
・宿泊客は年間延べ3万3000人であり、年間観光客数の2%に満たない。日帰り観光がメインの観光形態である。
・観光客の交通手段の約80%がマイカーである。
・勝沼町では、勝沼のワインの素晴らしさを都会でアピールするために昭和62年にレストラン「カーブ・ドゥ・カツヌマ」を新宿に開設しており、勝沼のワインと料理が楽しめる。
・農業が低迷していることから、ぶどう畑の耕作放棄地は増加傾向となっている。日本一のぶどう畑の景観を保全するためには、耕作放棄地の解消や無秩序な開発防止等の対策が必要とされている。
・勝沼町内では、観光客等の来訪者を迎える飲食施設が貧弱である。ぶどう、ワインという大きな「食」に関わる資源を持ちながら、それらを活かした食文化が不足している。このため勝沼町内で飲食を希望する観光客がやむをえず町外で飲食をするケースもみられる。
・勝沼町では、これまで宿泊需要についてはほとんど対応しておらず、観光客数に対して宿泊者数はわずかである。宿泊者は、石和温泉や甲府周辺、さらには河口湖などの周辺地域に流れていると考えられる。しかし、町営ぶどうの丘の宿泊施設は、景観の良さや温泉施設などの充実により人気が高く、滞在型慣行の可能性がうかがえる、グリーンツーリズム、ファームホリディ(農家民宿)などの周辺の観光地にはない宿泊施設形態や、葡萄畑と甲府盆地を見渡せるビューポイントを活かした宿泊施設などにより、他地域に流れている観光客や新しい需要を開拓できる可能性も秘めている。
・町内に公営の駐車場を設けたい。マイカーで観光葡萄園やワイナリーを訪れて、そのまま次の観光地へと向かってしまうのではなく、町を歩いてもらうことができる。
・勝沼ワイン学校の創設 他のワインスクール、ソムリエスクールにはない、日本ワインの歴史とブドウ栽培の現場を見ることが出来る地として、他のワインスクールと提携するなどにより「勝沼ワイン学校」を創設する。
・ワインの香りのまちなみづくり 遊休地を活用して、都市住民との交流と共にワインに関わる香りの植物を育てる。育てた植物を収穫して、調理学習の機会をつくり、ワインに合う「勝沼オリジナルメユウー」を創作していく、
・地産・地食運動をキーコンセプトにしたメニューづくりを行なう。野菜、ハーブ、山菜、また肉類乳製品なども県内各地から集める。またワインビネガーやオイルシードなどぶどうで作る新商品の開発も進める。
・間(ま)の演出を工夫して「食文化」を醸成する。〜勝沼流おもてなし
 たとえば
 江戸時代色
 ぶどうの紅葉期の宵に 甲州街道・仲松屋で 落語・噺家と 食にちなむ落語などを聴いて  
 落語家の食材とワインの相性を学ぶ 甲州街道にちなむワイン談義に興じる
 明治初頭色
 芽吹き・新緑の昼に 観光葡萄園、ワイナリーで 音楽家と ワインパーティーを開いて
 観光客と楽しむ
・食卓周りコーディネイトと食作法を楽しむ〜ワインを中核にした、グラスや皿などの食器、食卓、家具、インテリアなどの食環境のコーディネイトにより食文化の味わいを充実させる。関係団体の育成や連携を深めていく。
・景観保全条例などの制定 耕作放棄地の増加防止策として町やNPOなどが借り受けられるような仕組みづくりを健闘する、規制がある場合には必要に応じて構造改革特区の申請など国の制度を利用する。
・グリーンツーリズムの推進 これは欧米で普及している農家が主体となった休暇システムで、農村の生活や農家のくらしに惹かれる観光客に快適なバカンスを提供するものである。日帰り型、滞在型などの検討
・農家の担い手の確保や援農システムの整備による農地の保全 葡萄畑の耕作が維持できなくなったり、その恐れのある農地が遊休化しないように、意欲ある耕作者に農地を仲介・斡旋したり、繁忙期における農業労働力を地域内外から調達しやすくする体勢を整える必要がある。
 勝沼でブドウ栽培をしてみたいという都市在住の若者や定年を控えたサラリーマンなどの潜在的需要が少なからず存在する。このため、農地保有合理化法人としての性格と地域援農システムのコーディネーターとしての性格を併せ持つ「かつぬまアグリビューロー」を設置し、農地の売買や賃借の仲介・斡旋のための中間保有・再配分を行ないつつ、町内外の潜在的な農業労働力と労働力需要をマッチングさせる事業を行なうほか、ビューローによる農業経営の規模拡大や農地の集団化の取り組みと合わせ、ぶどう専業農家の法人化(農業法人化)を促進し、個々の農家ではできない先進的な栽培技術の試験的導入や都市農村交流事業などによる付加価値向上などを目指す。
・旅行会社との連携 スペシャルインタレストツアーの企画 ワインテイスティングとワインの歴史めぐりツアー ぶどうづくりとぶどうの味・歴史をめぐるツアーなど
・観光客にワインの熟成を体験してもらう ワインをたとえば3年間蔵で預かり、3年後に発送するシステム(ここはそのままではなくて、本文をヒントに自分の頭で考えてます)

という感じでした。



2004.4.26
視点追加@ オーベルジュや料理学校、レストランについて
 フランスのワイン産地には各シャトー、ドメーヌのなかには来訪するお客様の歓待用にオーベルジュをそなえているところもあると聞く。中級で阿部先生から伺った話ではスミスオーラフィットにはアロマテラピーなんかも一緒にできるようなすごい施設があるというお話も聞いた。
 また、以前ムッシュ村上と熱田会長のお話を勝沼ぶどうの丘に聞きに言った際には、ナパヴァレーには宿泊設備がそろった料理学校があって、そこでカリフォルニアワインと料理の総合的な勉強ができる施設が充実している。いずれ勝沼にも・・・というような話もあった。
 まずは個別のシャトーに興味を持ってもらうこと、そして町全体が盛り上がっていくこと、これが日本ワインの将来につながるという気がする。
 シャトーに興味を持ってもらうために、オーベルジュを作る。そうするとたとえば昼過ぎにワイナリーに到着その日はそのワイナリーを十分に楽しんで、宿泊。夜はおいしい食事とワインを堪能して、翌日は別のワイナリーも早朝から訪問できる。すると勝沼全体にお客さんが溢れる、そうすると日本ワインも徐々においしいものだと認識される。といった具合だ。
 オーベルジュを造れるほどの設備投資費用があったら、畑や醸造設備に回したいというのが現状と思うが・・・。
 たとえば、須玉・津金のヴォー・ペイサージュ岡本さんのお話を仲田道弘さん(県の観光物産連盟の有名な方〜漫画「おいしんぼ」で山梨の案内役をされている)から頂いた「おもてなしの達人」で読ませていただいた(ありがとうございました。お礼をまだ言ってなかったのでここでお礼申し上げます(^^;)。
 岡本さんはフランスでは収穫時にアルバイトを雇うという話を参考に、忙しいときに人手が足りないから、全国から葡萄倶楽部のメンバーを募集し、ボランティアで仕事をしてもらう。そしてその後倶楽部の方々と懇親をして、宿泊等は懇意にしているオーベルジュ・アンサンブル(ワインで有名な清里のペンション〜一度だけ泊まったことがあり、お料理がおいしく、ワインの品揃えもなかなかです。そうのときは、たまたまスミスオーラフィットルージュを注文しました)に引き受けていただくという感じで、自社とは別にオーベルジュと提携するなどの方法もあると思う。勝沼のメルシャン系列の鈴木園さんもこれに近いと思う。ワインをメインにしている宿とくにワイナリーと提携している宿はかなり少ないのではないだろうか。
 あとは提携のレストラン。ワイナリーめぐりも旅なので、どうせならおいしい食事をしたいものであるが、意外と少ないという現実は否定できない。勝沼でおいしいところを紹介してとたまに言われることもあるが、どこがあるのか悩むことが多い。たとえばボルドーやブルゴーニュなんかでは、素晴らしい星つきレストランのほか、多数の優れたビストロはたくさんある。でも勝沼はどうか、勝沼醸造さん系列のレストラン風(有賀社長さんが食事に付き合ってくださるツアーあり)やうどん屋さんの皆喜さんくらいしか思い浮かばない(知り尽くしているわけではありませんのでもっと他にいいお店があるとは思いますが・・)。料理学校が勝沼にできるほどになれば、勝沼に残ってレストランをやろうという若者が出てくるかもしれない。
 ぶどうの丘はそういう意味では行政が主体になっており、温泉つき、レストランつき、宿泊設備付きなのであるが、今ひとつぱっとしない(関係者の方ごめんなさい。でもなぜなんだろう)。専属のソムリエもいらっしゃるレストランは勝沼では数少ないと思われるので、ぜひ盛り上げていただければと思う・・。定期的に各ワイナリーを紹介するキャンペーンとか打ち出したらどうだろう。

視点追加A 勝沼ぶどう郷駅をどうにかしよう。
 新宿から甲府の間にあるのだが、特急電車が止まらないというのが非常に不便だ。東京からの来客のかなりがこれで勝沼来訪をあきらめているという話もある(自分調べ)。ひょっとして無人駅と思わせるようなさびれ方は哀愁すら漂うほどだ。夜は暗くてこわいし・・。
 たとえば週末は、1日に行き1本、帰り1本、特急が止まれる路線を作ってもらえるように行政やワイナリーなど企業体は至急JRに陳情したほうがいい。冬場に臨時で止まる特急もあるようであるが通年でお願いしたい。
 他にも駅についてからのレンタカーやバスはどうなっているのだろう。そこで勝沼ぶどう郷駅に電話してみた(ワインのことになると積極的になれる)。 以下はそのやりとりである。
私 ワイナリー巡りをしたいのですが、レンタカーとかありますか。
駅員さん(以下、駅) ないです。タクシーか歩きになります。
私 バスはありますか。
駅 ないです。町民バスとかありますが、1日に何本もありません。
私 レンタサイクルはありますか。
駅 なにもないです。
私 そうですか、ありがとうございました。
 という具合である(笑)。
 
 レンタカー会社はあったほうがいい。車で複数ワイナリーを回れるのは非常に魅力的である。営業所を置いて週末は営業するスタンスを考えて欲しい。バスも定期巡回観光バスみたいなものがあったほうがいい。町で何度乗っても降りてもOKみたいな、町を回るバスを考えて欲しい。
 なおレンタサイクルは某氏のような強靭な体力の持ち主でないと厳しいのであまり注文をしないでおく(微笑)。

視点追加B ワイナリーの受入れ態勢
 各ワイナリーが自らの蔵に受け入れる体制は十分だろうか。普通の素人さんからすると、どのように尋ねていったらいいのかわからないという人が多いのではないだろうか。私もワインに興味を持つ前は、登美の丘(サントリー)くらいしか行かなかった(行けなかった)。
 ワインに興味を持ち勇気を奮って訪ねていこうと思っても、どのようにアプローチしていったらいいかわからないというのが本当のところじゃなかろうか。ウイークエンド蔵めぐりはそういう意味では、システムができており、これも画期的な試みであろう。
 責任者がいつでも時間があいている限り、栽培から醸造まで説明する。そして試飲に応ずる。それが各ワイナリーが誇る美味しいワインを世間にひろげるいいチャンスであるし、日本ワインの素晴らしさを知ってもらえるいい機会になると思う。そして、社長さんには出来る限り、時間があったら、自ら説明することをお願いしたい。そういう意味では、社長さんご自身がお客さんに説明するシステムができあがっている先の勝沼醸造は素晴らしいと思う。著名蔵の社長さんはワインファンにとってはカリスマのような存在である。だから社長さんが説明してくれないとちょっと残念だったりする。また写真の1枚も一緒に取ってもらえば、その人はたぶんそのワイナリーの長期にわたる購入層となるに違いない。HPによる広報、情報公開とともに受入れ態勢の充実は結構視点として重要と思う。
 
 さて、観光バスでどっと大勢のお客さんが来るワイナリーもあると思うが、長い目で見ると、それらの人が買うのはお土産ワインでしかない。試飲もおいしいものはさせていないのが現状と思う。蔵を丹念に回るコアなワインファンが望ましいがそのような人は少ないという現実もある。山梨のワイナリーという本があるが、偶然にもボルドーグランクリュ61シャトーと同じ数だけ紹介されている。観光客が押し寄せるワイナリーはともかく、小さなワイナリーはお客さんが来たときどのように対応しているのだろうか・・。
 あとプレミアムワインの試飲はぜひ行なって欲しい。心あるワインファンはきっと無料で飲める普及品よりもワイナリーが力を込めたプレミアムワインを飲みたいと思うであろうから。そんなワインを飲みたいと来訪者が言ったなら、可能な限り対応してもらいたい。お金をとってもかまわないと思う。そのようなプレミアムワインこそ日本ワインのおいしさを知ってもらういい機会なのである。 
 そしてガイドをするのがバイトのおばさんということもある。おみやげを買ってもらおうということに一生懸命で、テクニカルな質問には答えられず、わかりませんと正直に告白し、わかっている人につなげてくれるならいいが、適当にごまかそうとしたり、逆に怒った感じになってしまうのはいかがなものかと思う。ガイドとして採用するなら最低限の栽培ないし醸造の知識を身につけさせた上で仕事をさせてほしい。ワインをかじりはじめたときはそんな質問をしたりしたが、今はわかってないと思うと質問したりはしない。恥をかかせてもしょうがいないから。
 

2004.4.14
視点追加 行政(ヴィラデストワイナリー執筆部分を展開)
果実酒製造免許について。
 「既存の施設もない設備もないゼロの状態から果実酒製造免許を取得するためには、まず所轄の税務署に事業計画と施設設備の詳細、資金調達の方法等をまとめた一件書類を提出して内免許を申請し、内免許交付後一定期間内に申請どおりの施設設備を完成させて検査を受け、所定の製造量と製造条件を満たすことが認められれば製造免許が下りる。ただし免許取得後3年間は期限付き免許として毎年品質と製造量の検査を受ける義務があり、問題なく3年を経過した場合にのみ永久免許を付与される。通常、内免許の申請から取得まで約4ヶ月、内免許交付から施設設備完成までの猶予期間が6ヶ月とされている。」製造量の検査であるが、日本では酒税の安定徴収のため6000g(ブティーユ8000本)という最低製造量が義務付けられているが、諸外国と比較して桁はずれに多いこの数量規制が必然的に巨大な初期投資を要求して小規模な新規参入の阻害要因となっている。小規模な農業生産者でも参入できるのが特徴であるはずのワイン製造業が、この規制によって逆に農業生産と乖離した装置産業となってしまうおそれもある。
ワインの製造単価について
ブドウは自家農園で栽培する方向に移行しつつあるが、土地代が高くつくし、株式会社が農業に参入できないという規制の壁も立ちはだかる(ワイン特区適用事例を除く)。おおまかに日本のワインの単価はフランスの2倍である。フランスと同じレベルのワインを作ろうとするとできたワインはフランスの2倍の価格になるということである。大体商売になるか否かの損益分岐点は3万本だそうで、これを作る設備一式というと軽く1億円を越す設備投資が必要になるという。


2004.4.13
視点追加 ワイナリー
情報公開について(ドメーヌソガ、機山洋酒執筆部分を展開)。
 ネット世界においてホームページを持つワイナリーが増えているが、商品の紹介も必要かもしれないけれどもう少し栽培醸造ともに情報公開したらどうだろうか。自分たちの出したミスはできるだけ他の者が出さないですむような試みが必要と思う。あるいはメーリングリストをワイナリー間で組むということでもよいと思う。専門的なことを公開しても仕方ないという考えもあるが、ネットを見て、他のワイナリーからもレスポンスがあればそれはそれで意味があると思う。日本ワインはまだまだ黎明期にあるのは間違いないとすれば、クローン選択を含め各ワイナリーの到達点を共有することで相互に発展していけるのではないか。真似をされて困るというような気持ちでは今後の日本ワイン業界の発展は望めないのではないか。特にAOCまでに高めるためには各地域全体の力の向上は不可欠だと思う。
 あと、外国に向けて日本ワインをアピールするなら、言語選択を用意するくらいの必要はあろう。この点機山洋酒さんが英語バージョンを用意していることは参考になる。
 これまで述べたことは大手ワイナリーには特に望みたい。国や県、大学などの教育機関を含めたネット構築が今後検討されるべき時代に来ていると考える。


2004.4.9
「翔べ日本ワイン」を買ってみました。この本は2部構成になっており、前半は「日本ワインの課題」このHPのコンテンツにもろにかぶるところです。ここでは編者の大塚謙一さん、村木先生、小坂田さん(元メルシャン工場長)、東條さん(元サントリーワイン生産部部長ちなみに残念ながら親戚ではありません)、植原先生、戸塚昭さん、後藤奈美さんが日本ワインの課題を各視点からまとめておられます。後半は各ワイナリーの責任者が各ワイナリーの紹介や問題意識、実践について説明するものです。

 さらに、ソムリエ協会の協会誌「ソムリエ」73号(特集 日本のワイン)を某氏より頂きました(ありがとうございました)。この本では戸塚昭さん、メルシャンと中央葡萄酒、勝沼醸造、丸藤葡萄酒の3オーナーが甲州種に対する思いを書かれています。また田崎さんが長野AOCの説明をなし、元ソムリエのかたが栽培家に転進した苦労話も記載されています。

 この2冊からとりあえず触りだけ紹介します(自分なりに消化して書いてるので、表現が変わっている部分もあります。筆者の方々の真意と違ってたらごめんなさい。)。
 甲州種プロパーの問題と日本での欧州系ワイン専用品種(カベルネやシャルドネ)の問題とが混交していますが、とりあえずです。いずれマスカットベリA(欧米の混合ハイブリッド品種)も加え、3分野に分析できればいいのですが・・・。

 そして、これに「ワイン作りの思想」(麻井宇介著)をもう一度読み返し、論点整理(縦軸)を試みる予定です。この本はボルドーやブルゴーニュといったワイン産地は不変ではないといった宿命的風土論からの脱却を意図する本です。ボルドーが水浸しだったところからワインの銘醸地と言われるまでに要した300年を考えれば日本のワイン産地はせいぜい30年だということであり、天候や土壌がよくなくても人の努力で銘醸地へと転換できるのではないかというのが本のテーマだったと思います。

 それができたら、今度は各業界からの視点(横軸)も加味して、検討してみます。
 
 最終的には私の場合は消費者としての立場からどうあるべきか、何ができるかなどの検討をしたいと思っています。

 天候の話 これについては高温多湿である日本の夏についての説明がなされます。多湿については、ブドウ産地の甲府でも生育期(4月〜10月)の雨量が868ミリと、銘醸地としては比較的雨量の多いボルドー(508ミリ)に比べても格段と多い。ヨーロッパは降雨が少なく年間600ミリ以上の降雨の地域はブドウ栽培に適さない、日本は年間1000〜2000ミリの降雨が普通である。梅雨だけではなくて、台風、秋雨前線が多湿についての説明です。葡萄の収穫期にあたる9月下旬から10月初旬にかけては、秋雨前線が停滞し、梅雨時期よりも多い降雨量に見舞われるとともに台風の襲来を受け、雨と風の被害に遭遇することが多い。→ぶどうが水分を含み凝縮感がまったくなくなる。病害や虫が発生しやすい。また、すずしいところでないといいワインはできない。たとえば、気候風土がよいという地域ならヴィティスヴィニフェラの原産地のトルコやレバノン、イスラエル、エジプトのほうが葡萄の適地である。しかし、食べる葡萄はおいしいが、ここのワインの質は高くない。気温が高すぎてワインに大切な酸や香りが飛んでしまう。

雨、湿度対策として何があるか。マンズレインカット、畑の表面にビニールシートをしく(ヴァランドローがAOCを取得しそこなったあれ)レインカットは地面までの雨はよけれないとか、葡萄への通風に若干問題が生ずるとのこと。またブドウの房が密着するぶどうよりも小粒でダラ房(疎着型)が雨の多い日本では適している。

土壌の話 日本は火山灰土壌で酸性土壌であり、石灰分が少なく、肥沃すぎる。メルシャンの浅井宇介氏はそれを改良するために大量の牡蠣がらを畑に蒔くことで土壌をアルカリ性に変えていったという。たとえばメドックは岩石が堆積し、河原に近い土壌で栽培するのでブドウの根は水を求めて地中深く入っていく。ポムロールは粘土質土壌で粒子が細かいので空気がなくそれゆえ地中深く根を張ることができず、根の深さはせいぜい80センチという。
 なお、勝沼は甲府盆地の東部に属し、内陸で盆地特有の気候に恵まれ、日照時間が長く、降水量が少なく、昼と夜の気温の較差が大きい。また大菩薩山地、御坂山地から流れ出る河川の扇状地に広がる地帯はみずはけがよく、深い根を張るための通気性がよいという。

粘土質土壌について 粘土質土壌が甲州種には適するとの考えもある。もっとも粘土質土壌は排水性が悪く根が深く伸びないので、一旦土壌を崩す必要がある。

垣根作り、棚作りの差異 歴史的には多湿を避けるために棚作りにした。明治初期の欧州系葡萄の導入に際して垣根式栽培法が採用されたが、葡萄果実の腐敗を止めることが不可能であった。その結果、江戸時代、武田信玄公の侍医、甲斐徳本の考案と伝えられる棚式栽培方法がワイン原料用葡萄の栽培にも最善の方法として日本に定着した。現在でも垣根作りの甲州種はほとんどみない。徒長するので垣根仕立てで大量に栽培することが困難。棚栽培で密植させる試みもあるが(一文字短梢栽培)、果粒が著しく小さくなり、収穫量が望めないなどの難点もあるようだ。

密植の話 棚式では粗植大木主義になるが、垣根で密植させることで、1本あたりの葡萄の房数を少なく出来、凝縮した葡萄が得られる。

適地検索の努力 少しでも条件のいい土地を求めていくべきではないか

収量制限の話 収量制限によって果実実が豊かで濃縮度の高いブドウが出来るのであるが、ただ収量を制限すればいいというものではない。制限の実施時期、樹勢と収穫量とのバランスを見極める技量が必要。



自家栽培の重要性、廃棄物処理業の排斥 わが国では農地法の規制でなかなかワイナリーが農地を所有したり、借りたりができず、栽培と醸造とは分業体制であった。また甲州種は生食兼用のため、一般には農家が栽培してそれとワイナリーが契約栽培するか、農協系由で購入するかしかなかった。しかし、病害に弱く手間のかかるヨーロッパ品種の栽培には造り手の意思が十分に生かせる体制が必要である。そのためには一貫した栽培から醸造のトータルでのワイン作りの必要性がある。高級欧州系ブドウ品種は病気に弱く手間がかかり、一般の農家は作りたがらないので、自社栽培か契約栽培によらざるを得ない。これまでの廃棄物処理産業としてのワイン作り〜一部の栽培家がダメなブドウをワイナリーにまわすようだと日本農業、日本ワインへの壊滅的影響をもたらす。

栽培面積の話 北海道のような土地の広いところなら別だが、山梨は伝統的に生食用ブドウ畑が多く、ワイン用ブドウ畑は狭い。

テロワール、AOC制度の話 日本ではまだ栽培地としてのテロワールの差異がそれぞれの細かい地域にわたっているわけではない。したがって、産地や畑としてのAOCというのは考えずらい。だから現状長野県全体を原産地と捕らえ各ワインを認定した長野のやり方は理解できる。今後ワイン用葡萄の栽培面積を増やしたり、産地ごとの差異が生じてきたらフランス並みのAOCの管理体制も夢ではないが、そのためにはINAOのような公的機関も必要になろう。
 また、今後は収穫地別の仕込みを行なうことでテロワールの特性を確認していくべきと考える。

ワイン法の制定 AOCにもつながるのであるが、消費者が安心してどのようなワインを飲めばいいのかわかるようワイン法の制定を行なうべきである。エチケットにはきちんとワインの産地名やヴィンテージ、原料ブドウ、ブレンド割合や添加物の情報などを記載すべきであろう。

景観の話 現在点としての葡萄産地も栽培面積の増加により、ブルゴーニュやアルザスのように面としてのブドウ畑という意味で素晴らしい景観が作られ、ワインツーリストが訪問するようになり、日本のワインの振興が図られる。

ワイン特区の話 農地法の制限があったが、今後自家栽培が可能になり、栽培〜醸造の一貫したワイン作りができる。農地生産法人では低利な農業対策資金の融資を受けられるのに対し、構造改革特区では融資が受けられず、また最低50アールのまとまった面積がないと認可されないという問題が依然残るので、行政においてここの改善が望めるのだろうか。

地価、人件費がヨーロッパに比べて高い。

醸造・栽培の本がないこと 
醸造に関しては横塚教授の「ワインの製造技術」(全部で250p)があるが、カリフォルニア大学の604ページ、ボルドー大学の2冊合計1136ページには及ばない。
ブドウ栽培には、気候風土論、品種による栽培の差異、日本の気候風土に適した優良系統(クローン)の選抜、土壌の差と土壌改良、施肥とその種類、施肥時期、潅水の方法、台木品種の選び方、整枝剪定法、夏季管理法、防除法、房の管理、摘葉法、収量制限や収穫日の決定法など、様々な課題があるが、世界の主要生産ワイン国には立派な専門書があるのに、日本人のためのワイン用葡萄栽培の専門書はいまだに一冊も発行されていない。

醸造士(エノログ)や栽培士という資格を造ろうとの話 ソムリエの資格はあっても、優れた醸造家や栽培家に与える資格がなく、業界の発展が妨げられている。
 
日本ワイナリー協会の話  ワイナリー同士の横のつながりがない日本の140ワイナリーのうち39ワイナリーしか参加していない。

O・I・V(国際ブドウ・ワイン機構)への不加入 OIVから日本への加盟要請があってからすでに40年を経過しようとしてる、日本ワイナリー協会などワイン業界から加盟要請にもかかわらず、棚上げが続いている。国税庁のやる気の問題であるが、日本ワインを国際的にも認知させるためにも早期実現を期待する声。


クローン選抜の話 ブドウの場合のクローンとは、唯一の母木から挿し木などの方法で増やされた子孫の集団を意味している、同じブドウ品種の中でもクローンにより性質がかなり異なる。 輸入した苗木を日本の畑でクローン性格の確認を行なっていると、樹が若いうちはそれぞれ個性がはっきりして、風味もよいのだが、年とともに樹が日本の気候に慣れ、個性が出にくくなることがある。そのためくろーんの持つ性格を見極める必要があり、長い年月をかけて慎重にやる必要がる、そのクローンの持つ性質が自分の畑でうまく発揮され、かつ目的にかなったワインになるか否かで選ぶべきものである。時間がかかり、しかも実験できる数は知れているので、ワイナリー同士の情報交換、公的研究機関の協力が不可欠であろう。またこれまでも果樹試験場では生食に適した甲州種のクローン選択に重点をおいて研究を行なってきたようであるが、ワイン醸造用ブドウとしての甲州種のクローンの選抜こそが最重要である。現状の甲州種は大粒大房であり、甲州種に適した小粒小房のクローン選抜をぜひワイン用ブドウとして行なって欲しい。

クローン番号の話 圃場に植栽されているブドウ樹の穂木の品種名はわかったとしても、クローン番号が明確なものはほとんど存在しない。

台木の話 圃場の土壌・気候に適合した台木の選択がなされていないこと。病害虫の防止、土壌への適合、樹勢管理などの面からどのような台木がそのブドウの生産にとってよいのか適合しているかを確認する作業が必要であるが、これも時間がかかる仕事である。

実生の話 たとえば甲州種を苗木からではなく、種から育てるとまったく性質の違う新しい甲州種が生まれる可能性がある。

日本で素晴らしいワインを作ってもそれを評価される場は海外ないし外国人でしかないかどうか。

ボトルサイズ 日本伝統の720から750へ(国際規格)の変更

発酵途中の炭酸を少し含めボトリングすることでさわやかさのアップにつながる

甲州種ワインの歴史 まずフリーランやプレスラン果汁の分離仕込み、デブルバージュによりクリーンさを求め、シュールリー開発で味に厚みが出る、樽貯蔵、樽発酵により味わいをさらに複雑にすることができた、醸造的にも他の凝縮による方法の採否(採用により素晴らしい製品を生み出したワイナリーもあるが、えぐみや渋みといった欠点も凝縮してしまう危険や揮発酸の発生レベルが高くなってしまうおそれなどのデメリットもないではないという)、栽培的にも垣根、棚などのほか収量制限、土壌改良、農薬の選択など。

ブドウの皮の厚さ 欧州系ワイン専用品種は皮が薄いがゆえに病気に弱い。甲州などは皮が厚いがその分プレスすると渋苦味が特徴として出てしまう(それがゆえに樽発酵とは相性は悪くないとも言われるが)

樽使い 繊細な甲州種のイメージからは樽使いは制限したほうがいいか、渋みがある甲州種(白には珍しくポリフェノールを含む)には樽との相性はむしろよいか

ハイブリッド品種 aあたりの収量多く、かつ病害虫に強く栽培にも手間がかからないしかし、せーベル品種に見られるようにポリフェノール化合物が多く、しかもそれらを酸化するポリフェノールオキシターゼの含有量が多いため、生成ワインの酒質劣化スピードがきわめて早い。べりAにこのような傾向があるのか。

バブルの崩壊、米の消費数量の減少、外国製品の輸入増加など日本農業を取り囲む苦しい環境が農業従事者の高齢化と後継者の減少を招いた。それが農地法を規制緩和する方向に誘導している。

ワイン酵母について 日本に輸入されている酵母が限られていることから甲州種に向く酵母やたとえばしっかりしたベリーAを造るための酵母など選択の余地がない。サッカロミセスセレビシエが現在の主要酵母であるが、サッカロミセス・バイアヌスという香気成分やリンゴ酸を多く生成する酵母もあり、甲州種には向くのではないかと推測されているが、残念ながら日本では販売されていない。


2004.4.6
視点追加
ワイン醸造家について
醸造免許による制限があり、新規に素晴らしいワインを作りたいという意欲のある若手の登場や育成をはばんでいるのではないか。たとえばワイナリーの社員が独立して自分なりのワインを作りたいという場合にはこれまで開いた醸造免許を譲り受けるほかなかった。相撲の年寄株みたいなものである。
 東北のどぶろくなんかの醸造特区みたいに規制緩和方策をもっと広げる必要があるのではないか。


ボルドーやブルゴーニュではほとんど自家栽培がなされていると思うが、わが国でワイナリー自家栽培があまりなされてこなかったのはどのような理由か?(これはきっと簡単な理由があるのだと思いつつ。社員規模によるのかなとか、ブルゴーニュでも家族経営ドメーヌなんてたくさんありそうだし・・・そういうところは委託栽培をしてもらっているのかな?わからないことだらけ)
ついでに恥ずかしい疑問。甲州種はヴィニフェラ品種なのか?・・・ネットで調べたらたくさん出ていました。答えはYES。日本の在来品種「甲州」は奈良時代に仏教の伝来とともに、中国から伝来した品種と言われ、6〜7世紀頃にシルクロードを通って中央アジアから中国にもたらされたヨーロッパ系品種(ヴィティス・ヴィニフェラー東洋系品種群)であるとのことです。


2004.4.5  研究その1「ワイン原料価格とワインの表示」(山川先生のブドウ・ワイン学入門要約)
1、ワイン原料価格について
 生食用ブドウの平均卸売価格 1キログラム700円前後
 ワイン用ブドウの価格 甲州種200円以下、栽培が難しいヴィニフェラ系が300円
 輸入バルクワイン(大型容器、ドラム缶などで輸入)1リットル120円程度(CIF価格〜運賃・保険料込み値段))
 濃縮果汁(濃縮マスト)1リットル220円程度〜おおよそ4倍に薄めて発酵させるので、果汁1リットルは55円で輸入できる
 ブドウの場合は搾汁率が60%。したがって甲州ぶどうの場合1リットルの果汁の値段は330円にもなってしまう。
 →したがって、ワインの消費量が急増したとしても、ワインの原料となるワイン用ブドウの生産量の急増は期待できない(販売価格が安いから)。どんなに努力しても日本の農業の現状ではワイン用品種に植え替える「改植」は進まず、価格の面から見てもワインに回るブドウの量は限定される。
 また、日本のワイン専用品種ブドウはプレミアムワイン、あるいはワイナリーの技術力のシンボルとしてのワインで、高い価格帯の物にしか使えない。
 結局外国産のワインやブドウ液を使ったワインよりも国産ワインのほうが高いことは現実である以上、よりおいしいものを提供できないのであれば、国産ワインの消費は伸びないという結論になりそうである。疑問としては生食用ブドウのほうがワイン用ブドウよりもはるかに販売価格が高いということである。なぜなのだろうか?また改植を進める方策、ワイン用ブドウの販売価格を飛躍的に伸ばすためにはどうするべきなのだろうか?といったところに論点は落ち着きそうである。
       
2、ワインの表示
 日本のワインの表示には自主基準である「国産果実酒の表示に関する基準」がある(ワイナリーの任意団体である日本ワイナリー協会の「ワイン表示問題検討協議会」編)。
@山梨県産ぶどう100%使用 山梨県産ぶどうを原料としたワインを100%使用
A山梨県産ぶどう使用 山梨県産ぶどうを原料としたワインを50%以上使用
B国産ぶどう100%使用 国産ぶどうを原料としたワインを100%使用したもの
C国産ぶどう使用 国産ぶどうを原料としたワインを50%以上使用したもの
D国内産ワイン・輸入ワイン使用 国内で醸造されたワインの使用割合が50%を超えたもの。国内産ワインとはつまり先の輸入された濃縮果汁をうすめてワインとして日本国内で醸造したもの。外国産うなぎを浜名湖で一定期間養殖し、浜名湖産うなぎと称するのと同じ。
E輸入ワイン・国内産ワイン使用 輸入ワインの使用割合が50%を超えたもの
F輸入ワイン使用 外国で醸造されたワインの使用割合が50%を超えたもの



2004.4.4
視点追加
ワイン醸造家について ヴィニフェラ品種に優位性を認めているのか、国内産葡萄についての認識をどのように位置づけているのか。お金があれば各種機械を導入したいか。たとえば濃縮技術についてどう思うか。
ブドウ栽培家について ワイン好適品種への改植の困難性について、どの程度困難なのか、経済的な問題が回避できないのか。
消費者 国内産ワインについてトラウマを持っていないか。飲まずぎらいになっていないか。


2004.4.2
高齢化、後継者難、農産物の価格低下、農業戸数減少というのはやはり今日否定のしようがないことのようである。重労働でしかも低収入ということであれば最近の若い人たちが農家の親の後を継ぐというのはやはり考えずらい。

さらにもともと国産ワインというのは生食用葡萄の出来が悪いものをワインにしていたということである(「廃棄農産物処理業」!だそうです)。さらに果皮のうすさからすれば、農薬依存型の農業にならざるをえない(べト病にでもなったら年によってはほぼ収穫皆無だそう)。ワイン業界ではビオがもてはやされているが、日本で高温多湿が特徴の夏に農薬を控えるというのは至難の技なんだろうなと思った。

先日定年退職された山川教授のブドウ・ワイン学入門には、例のヤマソーヴィニョン、ヤマブランの開発経過(13年、23年という途方もない長い年月淘汰と選抜ということを繰り返しようやく種苗登録が認可された歴史が記載されている。いかにクローン選抜という技術、日本の土壌に適する品種の開発に長い時間を要するかなどと考えていた。

さて、そのように引き続きつらつらと考えていたら、このHPで懇意でさせていただいている「親爺さん」(笠原商店さん。ワイン専門ショップ)から直メールをいただきました。私の覚書に対応する形で次の感想をいただきました。ワイン専門店の立場についてのみコメントすべきとも思いながら、それだけではつまらないからということで全般に言及していただき、ありがとうございます。まずはそのまま掲載させていただきます。行政と結婚式場はちょっと無能力という感じですね。地元ですので、悲観的にはなりたくないのですが・・。

 他にも感想御意見質問をいただける方はぜひビシバシとお願いします。自分でも少しづつ資料のあるところから整理していきたいと思います。


ワイン生産者の立場

「私は国産ワイン醸造所は本当の意味で黎明期にある、と考えます。ワインの消費拡
大に合わせ、本来のワインの醸造スタイルとは何か、を追及すれば品種の改植、醸造
法、テロワールの追求、コストダウンの手法に至るまで自ずから答えは出るもので
しょう。そうなるはずです。」


ブドウ栽培農家の立場

「この問題は根深いと思います。ワイン用葡萄栽培を魅力的な仕事にする為には買い
上げ価格を引き上げる事が第一ですね、その為にはワイン自体のポテンシャルに於け
る市場の認知度が高くならなければおぼつかない。その役目は一見醸造側にあるよう
に見えますが、実は違う。ひとえに消費者側の国産ワインに対する認識の程度が深く
作用するのです。それは流通の実態に深く関ります。」

ワイン販売店の立場

「私自身の体験で言えば国産ワインの実態を知る作業は意外に難しい。それは販売現
場でどれくらい国産ワインに対する興味があるか、という事なのですが、これははな
はだお寒い実態と極論できるでしょう。一般的な酒販店でワインに多少興味がある方
が勝沼やその他の国産ワイナリーからリリースされるワインのポテンシャルに興味を
持たれた場合、どういったポリシーの元に販売を展開するか?気に入ったワインを他
の酒販店より優遇された形で入手する事のみ強調して販売されるケースが殆どです。
これは(異論も多々あるでしょうが、)国内の流通実態を反映するステレオタイプと
も言えます。
焼酎は昨今ブームをきたしておりますが、元より生産量の少ない人気銘柄を独占、或
いは商材として様々なプレミアムを付して販売する実態をご覧下さい。これが酒類販
売の偽らざる現況なのです!こんな悲惨な状況に黎明期のワイナリーを放逐するのは
本当に危険です。一言で言えば生産現場と販売現場はミスマッチ状態が続いておりま
す」

行政
 
「行政に対してなにかを期待するのは止める方が得策です。むしろ彼らの事務執行能
力を逆手に執ってワインに関する立法を提案したほうが良い。フランスのINAOの
如きものです」

ソムリエ、山梨のレストランオーナー

「レストラン(消費側)に国産ワインを薦める作業はさほど難しくは無い。ソムリエ
と雖も新しいアペラシオンのワインに対しては極めて保守的なはずですから(だって
経験の世界です)クオリティの高いワインを生産して飲ませれば良いのです」

結婚式場・ホテル

「一般に大口需要と考えられている納入先ですが、これはあまり重視する必要はない
でしょう。それはワインのクオリティを考える場所とは程遠いからです。彼ら(式場
などの担当者)に期待するのは無理でしょうね。マージンしか頭にないはずです。」

学識経験者

「以前、グレイスの方から甲州種は食用種のみ存続した為、ワイナリーは苦労してい
る、と聞いた事があります。その為、ワインに最適なクローンを栽培する作業を連綿
となさっているそうです。正にワイン醸造の黎明期ではありませんか!でも可能性は
あるはずです。」

ワインジャーナリスト

「ジャーナリストは現象面でしか取材しません。国産ワインの可能性に対しては話題
でしかとりあげない側面もありますね。私は甲州種のワインに対して熟成の可能性を
強調しましたが、そんな事を言うのはお前だけ、との風潮もあります。実証しなけれ
ば納得できないのならば私自身で行動する他ない。以来、先般の渡仏に際しても在仏
の知り合い(ジャーナリストを含む)に持ち込むワインは甲州です。シャルドネの古
いVTやロワール、ヴィオニエと比較してもらいます。甲州ワインの近況を知らない
当事者は異口同音に甲州ワインを試して驚くね。こんなポテンシャルを秘めた国産ワ
インがあるの?と。まだまだそんな現況なんですよ。」

種苗業者

「これも深い問題。総括すれば赤ワインの国産品種の存在さえも危うい、と思いま
す。話すと非常に深いテーマでしょう。よってこれは一休み」

消費者

「酒屋側の反省としては一部大メーカーの営業戦略に乗って過去甘口甲州を多年にわ
たり販売した過去を釈明すべきだね。メーカーはこのトラウマから逃れられないから
バルクワイン主体の販売でお茶を濁しています。この現状はしばらく続きます。」

個人的な意見を申し上げれば国産ワインの未来は魅力的だが先行きが暗くて困る、で
す。


2004.3.31
 昨日の新コーナー新設より1日が経ったが、特に誰からも反応はない。昨日の視点天候土壌品種特性等(縦の軸)にそれぞれの業界からの視点(横の軸)をからめて考えることで一応の論点整理ができるはずだなと夜考えていた。そしてはっと気付いたのは「おまえはあまり国産ワインを飲んでないじゃないか」ということでした。まったくそのとおりでたぶん平均すると2ヶ月に1本というところだと思う。そんな人に国産ワインの将来なんて語って欲しくないって普通思わないかと自問自答しつつ・・。というわけで意識的に飲みつつ、できそうな解析から自分なりに始めてみようと思います。
 開店休業もありうるのですが・・。蔵めぐりも子育てに忙しくてままならずで非常に残念なのですが時間を縫って伺った蔵で貴重なお話を聞き、そこのワインを購入させていただき、飲んでみることでいろいろな収穫がありそうです(というかそうありたい)。

2004.3.30 

 ある新聞の投書からこのままでは甲州ワインや国産ワインが存亡の危機に瀕しているのではないかとの危惧感を持つに至った。特にベリAや甲州種という日本固有の大切な品種をこのままにしてはおけないと思うようになりました。
 そこで非常に難しいテーマであるけれどあまり考えてこなかったこのテーマ、真剣に考えていかないといけないと思い、コーナーを新設することとしました。
 これまで、この類のテーマに触れられるたびに、欲求不満というか「いじいじした」気持ちになっていました。問題点・原因がどこにあるのか、対策として何があるのか明確に分析・回答できない気持ち悪さです。ひょっとしてすでにかなりの研究がなされているかもしれないし、業界ごとには一定の意見考えが固まっているとは思いつつ、自分で考えることをしなければ、この重要な問題について、触れることすらできないと思ってです。
 私の場合趣味がワインで甲州ワインの現場といってもよい山梨に住んでいるため、いろいろな業界の方々ともお付き合いがある中で、消費者側の立場として一般大衆がどのように考えるかという感覚に近いとの思いもあるので、ちょっと考えてみました。

 さて、この問題を分析するのにはいくつかの視点が要求されると思います。日本特有の天候そして土壌、国産葡萄品種の品種特性、味わい、販売コスト、小売価格などなど。
 基本的にはワイン生産者、ぶどう栽培農家、ワイン販売店、ソムリエ、ワインジャーナリスト、レストラン業界、結婚式場、学識経験者、行政、種苗業者、消費者などが一同に会してこの問題に関するシンポジウムを行なって、少しづつ問題点がそもそもどこにあるのかを追求していって欲しい。これまでそのような総合的で横断的なシンポジウムは行なわれたことはなかったのではと思われる。業界ごとには行なっているかもしれないが、総合的考察がなければ先には進まないような気がする。ジャパンワインチャレンジを一応の成功裡に収めた今日、この問題に関してもぜひ大掛かりに連続開催のシンポジウムを企画して欲しいと思っています。

 まずは、自分の考察の第1歩とするためにも各業界への質問というか覚書を書いてみました。熟慮もせずのまったくの思いつきなのでピントがずれているかもしれません。

 本HPをごらんのかたで感想をいただける方はメールで御意見をください。順次取り上げさせていただき盛り上げていきたいと思っています。たぶん長期的に追求していかなければならないテーマと思うので気長にこの問題を考えていきたいと思います。