学 歴
- 1962-64年 長野県飯田高校
- 1965-70年 東京大学(理学部数学科、理学系修士課程)
- 1976年 理学博士号取得(東京大学)
職 歴
- 1971-74年 東京都立大学理学部(助手)
- 1975-87年 千葉大学教育学部(講師、助教授)
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1980-82年 仏ブザンソン大学理学部に留学
1985-86年 同大学理学部で数学の演習を担当
- 1988年 フランス語通訳として独立 (1988-91年 仏語研鑽のためパリ第III大学に留学)
- 2003-18年、サイマル・アカデミーにて、
- 2018年より、
APEF青山フランス語プロフェショナルコースにて、
フランス語通訳養成コースの講師も務める
以上のデータだけでは、唐突にして不可解... とお感じになるのも当然です。きっとフランス語は素人に毛の生えた程度で、理科系の知識を売り物にしているのだろう、とお考えかも知れません。
今にして思えば、仏語通訳になるなど夢にも思わぬ内から、そちらへそちらへと舵を切って来たようなものです。大学に入って、志望の数学には仏語が良いらしいと第二外国語に選んだのがきっかけで、魅力に取り憑かれ、就職してからも、仏語で推理小説を読んだり、必要も無いのに会話の個人レッスンを受けてみたり... フランスに留学したのも、習い覚えた仏語をどうしても現地で使ってみたかった、というのが偽らざるところです。
そもそも中学・高校の頃に熱中したのは数学ではなく語学、即ち英語。幸か不幸か現代国語が苦手で文科系には進めない。一方で科学者になりたいという憧れもあり、当然の如く数学を専攻して大学教師になりました。しかしフランス滞在中に自由の風に吹かれたせいか、最初の留学から戻って以来、研究三昧には程遠い数学で一生を終えるのが日に日に忍び難く、不惑の年にして、好きな仏語で身を立てようと考えるに至りました。
大学を去って間もなく通訳の仕事も多少入りましたが、喋れると思った仏語の我ながら自由に任せぬのが我慢ならず、最後の修行と思って再び三年間留学。その甲斐あって、今では同時通訳の依頼も頂いております。
通訳と言えばまず語学ですが、同時にまた、日仏双方の発言が内容的に理解できなければ、まともには訳せません (勿論、専門用語の理解には限りがありますが)。そこで仕事の度に色々と当該分野の解説書を漁っていますが、それまで想像もしなかったような世界に触れ、表面的にでも様々な領域を理解するのは実に楽しい経験です (鋼板の連続鋳造、燃料電池、血行再建手術、免疫システム、分子生物学、脳研究などなど)。
転職して数年後には、研究者として一つの分野を極めるよりも物事を広く浅く知る方が性に合っていたのだと悟り、仏語に対する興味と相俟って通訳こそ天職と感じています。