マリネラ ・Marinera (上記の絵はマリネラノルテーニャを踊っている図です。)
サマクエカから発展した音楽。当初はチリやボリビア同様クエカと呼ばれ、さらにチリで大流行していたため、一時期チレナChilena(チリ風)と呼ばれていたが、チリとの戦争に負けたあと、屈辱的な名前を国民的な音楽にはつけておれぬと、戦争で活躍した水兵にちなんでマリネラと改名された。ペルー国内でマリネラと呼ばれる音楽にもさまざまなバリエーションがあり、黒人色が強く優雅なリメーニャ(リマ風)、スピード感があり踊りの洗練されたノルテーニャ(北部風)、ゆったりとしたアレキペーニャ(アレキーパ風)や山岳部の先住民の色濃いセラーナ(山岳部風)などがある。特にマリネラ・リメーニャ、マリネラ・ノルテーニャ、マリネラ・プネーニャ(プーノ風)が有名である。ちなみにマリネラ・ノルテーニャでは、女性は裸足で踊ります.
サマクエカ・ Zamacueca
両手に白と赤の大きなハンカチを持ち、明るい8分の6系のリズムに合わせて踊られる踊り。18世紀末に誕生したサマクエカは、チリをへてボリビア、アルゼンチンでも大流行し、チリ、ボリビアではクエカcueca、アルゼンチンではサンバzambaと名前を変え、リズムも演奏の主体である白人的なテイストを加味されて各地で土着化して行った。クエカやサンバになると、手に持つハンカチは普通の大きさの白い一枚だけになる。ペルーでもサマクエカからマリネラが誕生するが、サマクエカはやはりずば抜けて黒くて、かわいらしい音楽である。要所要所で「サマ!!
サマ!! サマクエッカ!!」と叫ばれる。
トンデーロ・ Tondero
一見マリネラに非常によく似ているが、もっとなめらかな独特の味わいがある。ランドーから生まれたという説もあるペルー北部、ランバイェケ県のサーニャ村で生まれたが、現在はペルー北部のピウラ県などが代表的なトンデーロの踊られる地域となっている。
トンデーロがマリネラと決定的にちがうのは、手にハンカチを持つだけでなく、もともと頭にチチャの入った壺や瓢箪をのせて踊ったということである。そのこ
とは、この音楽が庶民の音楽が起源であったことをも思い起こさせてくれる。トンデーロの低音部がなり始めると、それだけで心が躍る音楽である。踊りは、同様に男女のペアで裸足で踊られる。トップページのハンカチをもって踊っている女性は、トンデーロを踊っています。
プレゴン・ Pregon
ここから徐々にマニアックな音楽の説明になってきます(苦笑)。プレゴンというのは、物売りの人たちの呼び声から発達した音楽で、リマの下層階級で発達した音楽です。その担い手のほとんどは黒人だったと言われています。果物屋、水屋、チチャ屋、タマル(蒸かしトウモロコシ)屋、ドーナツ屋など、さまざまな物売りたちの呼び声が、歌に発展していったことを考えると微笑ましいです。日本にある「焼き芋〜♪」や「竿〜竹〜♪」もペルー人からみれば、立派なプレゴンかもしれませんねぇ。
クマナナ ・Cumanana/ デシマ・ Decima
ペルーには、ヨーロッパの古い詩を即興で歌う吟遊詩人の伝統が深く残っています。その詩の形式がデシマと呼ばれる10行詩の形式で、複雑な韻を踏みながら即興で歌われるものです。現在、ほとんど歌われることのなくなったデシマですが、黒人の間ではまだデシミスタが残っており、若者たちも有名なデシマを覚えりしてことあるごとに語ったりしています。このデシマにギターの伴奏をつけて歌ったものが、クマナナやソカボンと呼ばれています。
その他にも、パナリビオ、ダンサ(ハバネラ)なども演奏されています。