●自然編●

都会暮しに侵入してくる生物は、せいぜいゴキブリだけ。
いやはや、島にはいるんですね、毒あるヤツらが…。
ムカデ、チャドクガ、そしてヘビ。ヤツらが怖くちゃ、島では暮せない


不気味な多長足虫がソバージュの髪に絡み付き、
ムカデに刺されて七転八倒。
島の友がマムシ酒を片手に嬉しそうにやって来た…

 虫の主役は正体不明の多長足虫とムカデだ。
 
多長足虫との最初の出会いは建築完成直後だった。星空を楽しもうと皆でベランダに毛布を敷いて寝転び、ロマンティックな気分に浸っていたら突如、闇夜切り裂く女子の悲鳴。ベランダに枝を伸ばした大島桜からポトリッとソバージュの髪に落下したのがソレだった。害はないのでほっとくが、初めて見た者は、その異形に一瞬硬直する。いつか正体を図書館で調べてやろうと思っているが、いつしか十年…。いまだに壁をツツーッと元気よく走っている。
※多長足虫は脱皮する
 2002年9月、11年目にコヤツ、脱皮するを知った。トイレの棚に読書やめて置いた月刊「文春」、その夜中のトイレで「文春」上に写真のように大きなヤツの抜け殻を発見。そぉ〜と顔を見上げれば脱皮したばかりのソヤツが壁にへばりついていたんですぅ。これは生物学上の大発見?
※名前判明。「オオゲジ」也。
 2004年11月28日、上野の国立博物館にフラリッと入った展示物を見てまわっていたら、なんとコレの標本があるではないか。もうビックリしてしまった。デジ目ゲジ科「オオゲジ」とあった。約13年ぶりに正体がわかった。


 ムカデにやられたのは初夏の昼下がり。いざダイビングへと玄関でウエットシューズに足を入れた途端、ブスブスッと針が食い込む激痛にワッと悲鳴を上げた。のたうちながら友に言った。
「針が入っているかもしれない、ちょっとみてくれ」
 今度はシューズを覗き込んでいた友が絶叫と同時にシューズを投げ捨てた。12cmもあろうか、赤黒いムカデがノッソリと這い出したではないか。足の指にズッキンズッキンと激痛が続いての悶絶。
「救急車呼ぼうか」
「イ・イヤ、まずは島のHに電話してみてくれ。それと酒だ、酒だぁ〜」
 痛さに耐えるには酔うしかない。しばらくしてHがマムシ入りのオドオドロしい1升瓶を片手に笑いながらやって来た。
「やられたんじゃあ、しゃあないな。ま、これが一番効くから…」
 と、もったいなさそうに小皿にマムシ焼酎を注いで、ここに足の指をつけておけという。
「30分もしたら痛みが引くと思うが、それまで頑張ンなよ」
 嬉しそうに笑いこけながら帰る友を見送って、また激痛と痺れに七転八倒。また怒鳴ったね。酒だ酒だ〜。唸り声を発しつつ、のたうち回ること約3時間、酔いつぶれると共に痛みは徐々に引いて行った。聞けば、建築直後は木の香に引き寄せられてムカデがよく出るという。が、どうしたものが十年経っても出る。やっつけるには熱湯をジュッとかけるのが1番いい。のたうち回る不気味な姿を見せる間もなくクルッと丸く茹で上がって成仏してくれる…。


※平成15年9月29日、ムカデに刺されること二度目の体験をした。
 庭仕事が済んで昨夕洗ってベランダ手摺りに干してあった軍手を取って、手を突っ込んだ瞬間に、ガリガリと指先を噛まれれる痛さ。「ギャァ〜!」とばかりに軍手を振り落とせば、人差し指先端に左右の歯(牙)で噛まれた二ヶ所から血がにじみ出ているじゃ〜ありませんか。「あぁ、やられたぁ。これから数時間は襲って来る激痛と闘わなければならぬか」と覚悟しつつ血を絞り出した。悲鳴をあげつつも、刺したヤツの正体を見届ける必要あり…と、恐る恐る軍手を裏返せば、中指ほどの長さの赤黒いムカデで蠢いていた。手袋の上から石で叩き潰す。さて、刺された手当ては前記の時に少量いただいた「マムシ焼酎」小瓶がしっかり保存されてい、瓶の蓋にコレを充たして指先を漬け、しばらく後、ガーゼにコレを染み込ませてバンドエイドで止めた。さぁ、ここから襲って来る激痛と格闘だ、と覚悟を決めていたが、激痛は襲って来なかった。噛まれただけで、毒の量が足りなかったのか、「マムシ焼酎」が効いたのか。だだし、10年モノだかになる「マムシ焼酎」の臭いこと・臭いこと。激痛はないものの二日間は指先がパンパンに張れ上がったまま。最初はジワジワと痛みがあったが、二日後の夜には痛痒い感じに変わって来て、三日目ころから徐々に脹れも引いて来た。
※咬まれたら、水道の流水下で、血を(毒を)搾り出すと良い…は「N」さん。
※咬まれたら、梅干もいい…と「I」さん。
★皆さん、ムカデにやられた後の効果的処置法が他にありましたら、メールでお教え下さい。


●平成19年2月26日、ムカデ避け蚊帳8畳用をついにネットで購入。
 これは下方(底)までつながった完全密閉6面型。これならどんな虫のどこからの侵入も許さぬ…チョー優れもの。テレビで海辺暮しを見ているってぇとハワイにも出る。湘南にも出る。房総にも出る。どこも大島と同じく10pほどの赤黒いヤツだ。あたしは2度刺されて、こんな顔(ツラ)になったが、この蚊帳でやっと安眠です。
 
5月連休の大島暮らしで2階ロフトに吊るしてみた。ははっ、これなら真っ裸でも安眠でございますよぅ。島の夜がこんなに安らかだったとは…。早く買っとけば良かったと思ったが、ここまで我慢したのは、緊張しつつ寝れば済むことで、まぁ贅沢品なんでしょうねぇ。でもつくづく思います。無理をしてでも早く買えば良かったと。52,500円也。
 でね、2階右側ロフトに吊るすてぇと余りにピッタリで、壁との隙間がない。一か所の出入り口が部屋奥隅になって不便このうえもない。向きを逆に吊るせば、今度は吹き抜け側でこの位置の出入りは危険。そう、どんな具合の部屋で使われるかもわからぬゆえ、出入り口を2か所にしてくれたら、人の出入りも楽だし布団の出し入れも容易なのにと思っている。メーカーにアドバイスしてやろうかしら。買ったのは「蚊帳の菊屋」の「ムカデ避け蚊帳」。静岡県磐田市の会社で、サイト・アドレスは http://www.anmin.com/kaya/  ブログは… http://kayanohakubutukan.hamazo.tv/



雑草かぶれと思っていたら、それはチャドクガの仕業。
巨大蜘蛛がウマオイを襲った瞬間に…

 島での主な仕事が庭の手入れになってからのこと、数日は何でもないのだが帰る頃には決まって両手内側にブツブツのカブレが出た。以来、庭仕事は長袖と手袋を欠かせないのだが、数日無事に過ごせば気が緩む。汗を拭いつつきれいに仕上がった庭を満足げに眺めていると、あぁ、ここをもっと手入して…という個所が必ず出て来て、無防備のままの手入れ追加作業。結果的に帰る時にはまたもブツブツかぶれ。
 ある時、あまり酷くなったので元町の薬屋に症状をみせて薬をもらったが、「雑草かぶれですね」の診断でそれをずっと信じて来た。つい最近のこと、島の友人の庭仕事を手伝っていて、友の鋭い一言が発せられた。
 
「触るな、ハドクガだ」(正確にはチャドクガ)
 見れば、葉の裏側に数ミリの薄茶色の羽毛につつまれた卵風なものがポツポツと着いている。
「これに触ったらカブレが酷くなる」
 正体見たり〜である。
 もうひとつ初秋の一話。 大島に着き、我が玄関を開けると巨大蜘蛛に遭遇。追い払おうとしたらツーッと姿をくらました。数日後の夜、風情豊かな虫の鳴き声。こりゃ、家の中だね。辺りを見渡すと杉壁に張りついていた。あれはキリギリス科ウマオイか。泣き声がピタリと止んで、よく見れば30cm斜め上にあの巨大蜘蛛が息をひそめていた。妻が掃除機を構えた瞬間、蜘蛛がウマオイを襲った。そこにジャストタイミングで掃除機の吸い取り口、ものの見事に両虫が吸い込まれた。思わぬドラマの興奮が覚め、ややあって二人ともアッと息を呑んだ。
「あんなに大きな虫を捕獲するって事は…」
 そう、今回は一度もムカデを目にせず不思議に思っていたのだ。だとすると巨大蜘蛛はイイ奴だったのか?虫の世界は未知と不思議がいっぱい…。

※チャドクガについて
 インターネットでチャドクガを検索したら309件もあった。概要は以下の通り…
 主に椿、山茶花、ヒメシャラなどに着き成虫・幼虫ともに毒毛針を持っている。刺すのは目立って長い毛ではなく、からだ中に50万本もある微細な毒毛針で、幼虫が脱いだ皮(脱皮殻)にも長い間残り、周囲には無数の毒毛針が漂っている場合もあり、近寄るだけでもかぶれることがある。椿や山茶花の葉に毛虫が群がっていたら、まずこの毛虫と考えて間違いない。効果的な防除法は、冬のうちに丹念に卵塊を除去し焼却。家庭用殺虫剤も効果あり。6〜10月に翅の先に2個の小さな黒点のある黄色っぽい蛾が家の中に飛んで来たら要注意。絶対に触らぬこと。やられたなと思ったら、掻かずにセロハンテープを患部に貼って毒毛針を取り、そのあと長く流水で洗い流すのがいい。抗ヒスタミン含有のステロイド軟膏を塗り、症状がひどければ抗ヒスタミン剤を内服する。何度も刺されるとアレルギー症状をおこし、全身に症状が見られることもある。最近は都市部でも被害が多く、東京各区でも警報情報を出しているケースもある。ガーデニングをする方にとっては大敵と言えましょう。



10年間に2度の、蛇との遭遇。
灰色の巨大蛇と、風呂場にいた小さな赤と黒の縞模様蛇。

 その姿を想像しただけで戦慄が走り、後頭部の頭皮がわなわなとざわめき、さっと血が引いて行く。
 蛇、である。
 島民はヤワな我等を怯え怖がる様を見るが無上の歓び、趣味化している。我がロッジ周辺はヘビの巣窟でマムシ要注意。車から降りる時にうかつに足を出すな、夜道は歩くな、林を抜ける時は頭上も要注意でカラスヘビが 10m先から飛んで来るゾと。訪ね来る度にヘビの話しかしない某とはキッパリ絶縁した。
 が10年間でヘビとの遭遇は2回きり。でもその出会いは強烈だったなぁ。その1は、庭の隅に松食い虫に倒れた松の根を抜いた穴があって、かかんで庭仕事中のこと、穴に近寄った途端にムッと不気味な臭気を感じて飛びのくと同時にでかい灰色のヘビがそそくさと穴から這い出し消えた。一瞬の悪夢。その後、穴はすべからく危険とばかり、石垣の隙間も入念にコンクリで固めたりした。
 その2は、初秋の夕暮れのこと。庭道具を片付けていた時に家の中から三原山も震える大悲鳴が響き渡った。玄関に飛び出して来た女房の手がワナワナと震え
「フ・フ・フ…」
 と指差す。
「フ・フ・風呂・風呂場?」
 声にならずに今度は
「へ・ヘ・ヘ…」
「ヘビか?」
 に頷く。逃げ出したいがここは男、玄関にあった棒を鷲づかみに風呂場に走った。恐る恐る扉を開けるとタイルの床に親指ほどの太さ、長さ40cmほどの赤と黒の縞模様の派手な可愛いヤツがいた。こちとら手で掴む勇気はないから棒で頭を叩き割って、かかぁに見るんじゃないぞと言いつつ、近所の藪に投げ捨てた。一体どこから入ったのだろうか…。
 インターネットで調べたら、灰色の大きな蛇はジムグリで、生息地に伊豆大島の名があった。で、その幼蛇は赤と黒の縞模様とあったから、親子蛇だったのだろうか…。本で調べたら、何年度かの島の生物調査でジムグリの生息が確認出来なかったと記されていて、あれは貴重な蛇だったのかもしれない。
 恐怖の大島ヘビ体験だが、あたしが住むコスモポリス・新宿の新大久保で犬の散歩中に、団地の自転車置き場に2m余はあろう大蛇がウネウネうごめいていたのを目撃した。アオダイショウだろう。その団地の5偕ベランダに蛇の抜け殻もあったとか。大都市・新宿にヘビである。大自然・大島で10年に2度のヘビはどうってことない・ない・ないって。あっ、そう言えば島でカエル見てないよなぁ、やっぱりいるんだよね。


※カラスヘビ:4本の黒褐色の縦条があるシマヘビの黒化型。山麓の某ペンションで目撃したヤツは大きかったなぁ。ニシキヘビみてぇ〜にデカかった。黒色化型はシマヘビに限らないと言うから、あれは別の種だったのだろうか…。ロッジ近所で小さなカラスヘビも見た。人の指ほどの太さで45aほどの長さ。ピクン・ピクンと跳ねるように動いていた。「カラスヘビは飛んで来る」と聞いたことがあるが、あぁ、そういうこと(動きが機敏)かと思った。
※ジムグリ:シマヘビと同じくナミヘビ科。伊豆大島も分布域で成蛇は淡黄褐色でシックな感じのするきれいな蛇(ウソーだろ)。しかし幼蛇は赤地に黒の模様があって蛇のなかでもかなり派手なヤツ。
※東京・目白のカメラマンT氏宅で島の夫妻を交えて飲んだ時のこと。大島と新宿の蛇談義に、T氏「この辺には、白蛇がウジャウジャいるゼ」に全員椅子から思わずのけぞった。 へい、今年は蛇年でごぜぇ〜ます。
※大島に両生類はいない:「旧六ヶ村誌」を見ていたら「野増村誌」(大正14年編集)にこんな記述を発見した。…両棲類に至りては、淡水の湧出する所が少なく、池沼もないから棲息するものがない。「岡田村誌」(同じく大正14年編集)には…本島には、蛙、蛍を除く外の動物は多し。ネッ、やっぱり大島にはカエルはいねぇ〜んだ。ははぁ〜ん、こりゃ、すげぇ〜え発見だ。と思っていたら、友人が大島には「カエルはたくさんいるゼ」と言う。春の宵は「カッパの池」あたりから「千波」までカエルの大合唱。5月頃になるとモリアオガエルがそこらじゅう泡だらけにするとか。その結果、道路は大発生したカエルが道路で轢死体だらけで、それをカラスが食べて掃除するという。
※モリアオガエルは福井県生まれ:大正14年(1925)までいなかったカエルが何故ここまで増えたか?「町史・自然編」を読んだら、こんな記述があった。「大島のモリアオガエルは昭和48年ごろ、泉津のSさんが故郷の福井県南條郡今庄町板取から泉津に持ち込んだ2つの卵塊がルーツと思われます。というのは、Sさんが自宅で育てたモリアオガエルのオタマジャクシは、カエルに変態すると池からいなくなり、1〜2年してから泉津のあちこちでモリアオガエルの姿を見るようになったということです。そして今では、泉津の他、北の山、岡田、三原山の温泉ホテルまでも分布を広げています」。それが今では全島分布です。またヒキガエル、ツチガエル、ウシガエルなども昭和になってから大島に移入、繁殖しているようです。



                        愛犬バーキーも、五日もいれば、老体に鞭打って…
猟犬だった血を甦らせて、藪に入っていく。


 8歳で米国を後にし、日本で8年…。わが愛犬バーキーは、今やすっかり老犬である。当初は磯の巨岩をヒョイヒョイと飛び移っての散歩を楽しんでいたが、平らな道を歩くのもヒーハー、フ―ハーと老いぼれた。それでも都会のマンション暮しでは分らなかった犬の野生を島で何度か垣間見せてくれる。
 もう何年も前のことだが、夏の海辺をのんびり散歩していたら、若者がバーンと打ち上げ花火を上げ、気が付いたらバーキーは弾丸と化して疾走していた。かつての鳥撃ち猟犬だった遺伝子が甦ってのことだろう。元町の夏の花火を港前のビルの屋上で鑑賞するチャンスがあったときのこと、一ヶ月に一度、吠える声を聞くか聞かぬかの寡黙なヤツだが、半狂乱に鳴き出した。バーン、ドカーンという音に異常に反応することを知った。
 アッシは薪ストーブの燃える木を見続けることで、島のゆったりした時の流れを身に付けると前述したが、バーキーも島に着いて二日目からベランダに塑像のようになって、何時間も景色を見続け出す。ガッツキなヤツで、人が食するのを見逃がさぬよう絶えず飼い主を張っているのが常だが、島では飼い主を忘れてしばし塑像となる。
 五日も島に滞在すれば、これも決まって行方不明になる。都会では綱なしでもかたときも離れぬヤツだが、ひとりで探検に出かける。大騒ぎして連呼すると、これも決まって藪からこっそり出て来るのだ。何時だったか、握り拳大の亀の頭蓋骨を咥えて出て来たのには驚いた。あんなモンが藪にはあるんですネェ。
 バーキーも島の週末暮し、かれこれ8年…。身罷ったら、大好きな島の庭に、磯の石で墓を作ってやると約束している。

 ※2001年3月7日、永眠。享年15歳(人間で言えば80歳位か)。5月に約束通り、よく散歩した磯の、それはバーキーに似た大きな岩を庭に運んで墓石とし、遺骨を埋葬した。とても多くの方々がバーキーの死に涙を流され、幸せな別れだった。


ロッジの裏の藪はワンダーランド。
思わぬヤツが藪からぼうに現われ、目が点となる。
島は野生化及び帰化動物のパラダイス!

 ロッジ裏の藪は神秘の世界だ。ここから思わぬ動物がヌッと現われる。猫、犬は別に珍しくもないが、時にのツガイが現われ、アッという間にツツーッと走り去る。気持ち良く朝寝をむさぼっていれば、雄鶏の野太くけたたましい鳴き声にビクッと起こされる。見れば、神々しいほどに筋骨隆々の逞しい純白の雄鶏で、野良猫も近づけないほどの偉丈“鶏”だ。
 また
なぜか孔雀出現する。ベランダで転寝でもしている時に眼前に現われようものなら、はや涅槃の境地かと寝とぼけることになる。時にツガイで、時に雄だけで現われて、悠然と庭を闊歩して斜め前のロッジの玄関先でしばし遊んでから、バタバタッと屋根より高い桜の枝に飛び移ったりするのであります。目が点状態で呆然と眺めるばかリ…。
 リスは、藪の中の大きな木々が風もないのに揺れていたりすればリスがいる証拠で、注意深く見続けていれば必ず発見できる。大島のリスは
タイワンリスで、かつての観光動物公園から1935年の台風で飼育施設が壊されて集団脱走してから、島中に繁殖したと言われているが、いや集団脱走は1919年、1937年、さらには終戦直後の放たれてからと諸説があり、つまり幾度もの集団脱走を経て今日の大繁殖となったらしい。椿の実や電線のリス被害が甚大だが、見ている分には可愛く見飽きることはない…。
 またわがロッジ周辺にはいないが泉津、三原山裏側へ行けば
タイワンザルをよく見かける。これも動物園から脱走して繁殖したとか。さらに1960年代まではタイワンジカも多くいて、今は野犬に襲われるなどして絶滅したと聞く。信じ難いのは、同じく動物園から脱走したツキノワグマがいて、1970年代に射殺されるまで生息していたとか。そう言えば、明治時代まで伊豆地方から移された野牛、野馬も山にたくさんいて、山羊もその昔に上より二匹わたされしものが繁殖して、百匹、二百匹打ち群れていたとか…。
 大島はかくも野生化及び帰化動物たちのパラダイスなのであります。
 さて、明日は藪から何が飛び出して来るか…。


※最近、鎌倉で被害が出ているリスも大島のタイワンリス:これは昭和26年に大島から江ノ島植物園へ移された54匹のタイワンリスが、台風で小屋が壊れたときに、弁天橋を渡って鎌倉市内で繁殖したもの。「大島歴史探偵団」のタイワンザルの項で詳しく記しているが、伊豆大島のタイワンザルは、平成4年3月の大島町産業課発表で推定500匹だったが、平成14年(2002)の上智大生命科学研究所・乗越助教授らの調査では推定2000匹。原産地の台湾以外おそらく最大の生息地の大繁殖中、と発表された。
※純白の雄鶏は、平成13年夏(演歌日記の8月17日に記述)に「ハマユウの丘」で一大ファミリーを形成した模様。メスはチャボらしくチャボ4羽群と合流で近づく人間を威嚇。よく見れば群れ奥に、純白の産毛の雛4羽育んでおり、計9羽の大集団になっていた。後でわかったのだが、彼らはウコッケイでどこぞの家から逃げ出したヤツラらしい。近所に農産物即売場「ブラットハウス」が出来、ここでウコッケイの卵を売っている。で、驚くなかれ、ダチョウの卵も売っていて、これは野田浜近くの農園で飼育していると聞いた。で、当然いつかはダチョウの肉を食す機会が訪れるはずと思っていたら、2002年のGWに某氏主宰のバーベキューにこれが出て来た。ぱさぱさ淡白な舌触りで女性好みの肉とみた。
※キョンも棲息:最近(2002年)のこと、島民に聞いた話だが「キョン」も野生繁殖しているとか。キョンは蹄目シカ科で、中国南部や台湾の森林地帯に棲息する体長80〜87センチの小型シカ。彼らも島の動物園から脱柵して繁殖したものだろうが、房総半島南部にも勝浦市の動物園から脱走したキョンが繁殖しているそうな。可愛いから是非、出会ってみたいもんです。



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