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- 04 / jun / 2005 Tijuana, Mexico - United States.

久しぶりに熟睡出来た。いよいよ米国入国である。果して無事入国できるか?今日はサンディエゴのYHに泊まる予定なので急ぐ必要はない。チェックアウトの12時ギリギリまで洗車をして髭を剃り、怪しまれるリスクをヘッジする。街中にあった税関でペルミソをキャンセルする。結構簡単。国境へ道は大渋滞である。普通に車の後ろに並んで待っていると「ヘイ!アミーゴ!どっから来た?」と隣りの車から英語で声が掛かる。「バイクなんだから真中走って行けよ」と言われるが、「皆待ってるから悪いじゃん、危ないしね」と答えるが「大丈夫だよ、ココで待ってるのは殆どアメリカ人だよ、アメリカ人はちゃんとバイクをリスペクトするよ。問題ないさ。」と言うのでソロソロと車の間を走る。しかし物売りが屋台まで作っているのでスムーズには行かない。

小一時間程待って国境のゲートに着く。ゲートでパスポートチェックを受ける。
「ビザは何処だ?」
「持ってないよ」
「ビザがなければアメリカには入れないぞ」
「俺は日本人だから観光ビザは要らないだろう?」
「おっと、君は日本人か。何処から旅をしてるんだ?カバンの中は何だ?バイクはアメリカで買ったのか?メキシコか?」
「日本からアルゼンチンに送りずっと走ってきている。カバンには服と二本テキーラが入っている」
「ハハハ、そいつはスゲーな。しかしテキーラは、一本までだ。他に申告するものは?」
「税金払ってもダメなの?あと、バイク自体を登録しなきゃいけないと思うんだけど」
「良し、テキーラ2本にバイクだな。I-94も必要だから、この紙を持って、先の建物に行け。」
オレンジ色の紙切れにテキーラ2本、バイク、WITと書いて渡される。まずまずの出だしだ。この調子ですんなり入国できれば良いのだが。
ドキドキしながら次のゲートに向かう。警官に紙切れを見せると、先ずはイミグレーションだ。という。少し並んで順番を待つ。厳しい係官のようで結構時間が掛かっている。
「アメリカに何しに来た?」
「観光だ。アラスカまで行くつもりだ。」
「いつから旅をしてる?」
「今年の1月からだ。」
「随分長いな、何処に住んでいる?何をしている?」
「日本の横浜だ。プロパティマネージャーだ」と見栄をきる。
「IDを見せろ。住所と仕事を証明するものを見せろ。」
「IDはパスポートと国際免許しかない。住所は免許に記載がある」
「仕事を証明出来なければダメだ!」
ヤバイ、ピンチ!見栄をきって大失敗である。『ここで入国拒否されたら旅が終る』と思うと膝が震える。
「インディペンデントだからIDは無い。」
「・・・。」
係員は暫く考え込んでから「財布を見せろ」という。
早口なので良く聞き取れなかったが、金には触れないので全部抜けと言っていたみたいだ。怒鳴られながら財布を何度も投げ返されるので脂汗が出る。
これは誰だ?と色んな人から貰った名刺を聞かれる。清水さんから貰った名刺を見て「お前、学生か?」と聞かれる。お前こそ良く見ろよ、名前が違うだろ!と思うが、シカゴ大学のMBAと書かれた名刺を見て感心している様子だ。清水さん、あなたの名刺は僕を救ってくれそうです!
「彼は俺の親友だ。シカゴに遊びに来いと言われているが、彼は今月末に日本に帰ってしまうので会えるかどうか判らない。俺の旅は長いが、十分なバジェットもある。この旅は俺の夢なんだ。俺はあなたの国にとって不利益になる人間ではない!」
祈る思いで、訴える。
「バジェットがあると言っても長すぎる・・・。」
国際免許の住所は全然信用されなかったが、メキシコから前畑宛に樽を送った送付状の控えを見て、係員は漸く頷いた。「この用紙を記入しろ」とI-94を渡される。壁には「I-94フォームは係官が記入するので記入の必要はありません」と貼っているのに気が付いた時、『さてはこいつもダメ役人だな』と少し気持ちに余裕が出てきた。
住所の欄に「hostelling International」と書いて出したら「住所が必要だ!」と投げ返される。ぶっきらぼうな奴だ。昨日ネット屋で調べたサンディエゴのYHの住所を書き込もうと紙を出したら「何だ、それは?見せろ!」とまた怒鳴られる。プリントを見せると住所を書き込まれ、指紋と顔写真を取られ、隣りの窓口で6ドル払い、終了した。ここまで緊張したのは初めてだ。とにかく入国は出来た。

次は税関だ。テキーラを出すのがメンドクサイ。しかも一本没収とは悔しい。税関の場所に行くと皆興味深々で俺を見ている。
先ほどのオレンジのカードを見せ「バイクを登録したいんだけど」
「何処から来たんだ?何、アルゼンチンから走ってる?アラスカまで行く?オー!スゲーな!」とバイクを眺めている。
「登録か、ここじゃ出来ねーんだよな。どれ位アメリカにいるんだ?」
「多分、4週間くらいでカナダに入ると思う」と答えると
「うーん、4週間か、そうだなぁ、登録しないで良いよ。I-94見せれば大丈夫だ。」
「マジで?ココまで何処の国でも登録が必要だったんだけど・・・。」
「確かに正式には必要だが、4週間だろ、要らねーよ。」
食い下がるべきか、納得してさっさと行くべきか、非常に悩む。せっかく友好的な雰囲気なのにここで食い下がれば、またどっかで面倒な手続きをしなければならないし、当然テキーラも没収だ。何かあったらその時だ。
ありがとう、と握手をしてその場を去ることにする。
ゲートの出口でカードを渡して晴れて入国完了。緊張の後の一服は堪らない。

目の前に広がる片側4車線のインターステートを眺める。こんな道走れんのか?
しかし、走らなければならない。流れが無くなった一瞬を逃さず、一気に加速して右車線による。物凄い速度で飛ばす車にビビリながら80キロの全開走行。緊張で小便ちびりそうだ。いくつかの出口を過ぎる。そう言えば、何処で降りれば良いんだ?ヒップザックにしまってしまった地図を取り出す余裕が無い。サンディエゴセントラルという出口を過ぎ、インフォメーションと書かれたゲートで降りる。

無理だ!こんな道は走ってられない!
呆然としながら出口近くのGSに停まる。地図買って、何か飲んで先ずは落ち着こう。
GSのショップに入り、飲み物の棚を見て呆然とする。これまでの十倍位色々な飲み物がある。「遂にアメリカに来たんだ!」ここで初めて実感する。感動で涙が出そうになった。
何から何まで勝手が判らず、とにかく地図と瓶に入ったスターバックスのコーヒーを買う。

駐車場の端で地図を眺める。隣りに停まっていた車のオヤジにココは何処だ?と聞き、現在地を把握する。迷いながらもYHに着く。しかし、予約がないと泊まれないと言われる。他に安い宿の情報は持ってないし、中心地まで走ったところで町がでか過ぎて安宿を探すのも大変だ。路頭に迷うとはまさにこの事だ。結局暫く走ってインターステート近くのホテルに泊まる。メン玉が飛び出そうになるほど高かったが、今日は良いや。アメリカ入国のお祝いとしよう。

地図を眺めこの先どうするか考える。考えてもいいアイディアが思い浮かばない。インターステートを出来るだけ走らないで済む道を探す。やはり、この国を走るにはハーレーしかねー!ここは予定どおりベガスで一山当てて豪遊だな。ラスベガスまで、なるべく田舎っぽい道を探す。結構、遠回りになりそうだがコルデーロの走れる道は少ない。
やはり思っていたとおり、アメリカは手強い国になりそうだ。


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