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- 03 / jul / 2005 White Horse, Canada.
朝起きると雲ひとつ無い吸い込まれそうな空だ。時計を見ると5時。昨日は昼から寝てるので目覚めもジジイ並に早い。速攻で荷物を纏めて7時に出発する。
今日目指すは470キロ先のホワイトホース。この町には9年前の真冬に来た事がある。寒
くてやる事がなく、ビジターセンターで「何かやる事無い?」と聞いたら一言「そうだねぇ、春を待つことくらいかな」と言われ、大笑いした思い出がある。町はどれ位変わっているのだろう?殆ど一週間過した図書館はまだそのまま残っているのだろうか?楽しみである。
やや道路だけが盛り上がっている場所で右斜面の下でノッシノッシと歩く中型の茶色い熊を見つける。熊も天気が良くてご機嫌なのか、何だか軽い足取りである。かなり急な斜面が俺と熊の間にあるので安心して観察する。ようやく熊も俺に気がついたのか「ん?」と俺を見上げる。かなり愛嬌のある顔だ。高いところから見下ろしているという精神的優位感もあって今日は写真をとってやろうとフェイスを上げると熊は驚いて森に逃げ込んでしまった。大きな口を開けたと思われたのだろうか?そうだとしたらこのヘルメットを被っている限りかなり俺にアドバンテージがあるって事じゃないか!熊、恐るるに足らず。
かかってこんかーい!
150キロ程走りポリタンからガスを入れようとレストエリアに入ると一台のバイクが止まっていた。フランスから来ているパスカル。聞けば彼もウシュアイアからアラスカを目指しているそうだ。「ココでキャンプしたの?」と聞くとそうだという。ブンブン蚊の飛び交うベンチでスクランブルエッグをご馳走になる。粉チーズを常備しているのがフランス人ぽくて良し。メキシコから殆どキャンプで過しているそうだ。逞しい。ホワイトホースには2つホステルがあるよと教え、先に出る。
やはり天気のいい日は走っていても楽しい。この天気がづっと続けばいいのに。
再び走りつづけGSでガスを入れる。店でコーヒーとドーナツを買って外で食っていると3台のバイクがやってきた。アラスカまで走って帰る途中だそうだ。「アラスカの天気はどうだった?」と聞くと「毎日、雨が降り続けた。2週間走ったが、晴れたのは今日が初めてだ。気を付けてな」と言って走り去って行った。ホワイトホースのホステルに泊まれるなら一週間くらいノンビリして天気の良くなるのを待つことにしよう。ここまで来て毎日雨の中を走ることもあるまい。金は無くなって来たがまだ時間はある。
早く出発したお陰で4時過ぎにホワイトホースに着く。一軒目のホステルは一杯だと言われたが本命のホステルはキャンセルがあってベットが1つだけ空いているそうだ。ラッキー!明日は満杯だけど庭にテント張ってキッチンやシャワーは普通に使って構わないよ。という。「アラスカまで走る予定だけどここんとこ天気が良くないだろ。一週間くらい様子を見たいんだ。」と言うと一週間なら10%割引だ。というので一週間分の金をカードで払う。と言っても140ドルだ。昨日の宿2泊よりも安い。ココで天気を待つことにする。
宿には夏の間カヌーレンタルをやっている日本人が居て久しぶりに話す日本語の会話が楽しい。ノンビリするぞ!
- 04 / jul / 2005 White Horse, Canada.
昨日の夜にユーコンクエストというカヌーのレースに出場していた日本人一家が帰ってきた。レースは700キロ以上の距離を昼夜問わず漕ぎ続けるというハードなものらしい。お父さんが出場し85時間でゴールしたらしい。85時間も頑張ったのか、順位はビリっけつだったらしいが、お父さんの顔は晴れ晴れとしていた。
やはり何かをやり遂げた男の顔はカッコ良い!
今日は郊外の温泉に行くというので便乗させてもらう。30キロ程離れた温泉で結構温度も高くヒジョーに気持ちいい。「あ゛ぁー」と唸り声を上げながら湯に浸かる。連日の長距離走行で軋んでいた体が緩む。もう少しだ、頑張れ俺!
3歳になるちょっと照れ屋のダイ君と車で戯れながら平和な時を過す。
スーパーで肉を買って久しぶりにステーキを食う。安かったが中々旨い。カヌーレンタルをやっているアツシさんに自家製肉ミソを分けてもらうが、これが最高に旨い。作り方を教えてもらう事にする。
腹も一杯。他の宿泊客と話しながら暗くならない夜を過す。
- 05 / jul / 2005 White Horse, Canada.
マフラーの穴を何とかしなきゃとアツシさんに相談すると、自分もスペアタイヤのキャリアを付けたいからとアツシさんの車に付いて、それらしい工場に行ってみる。
ここでは溶接は出来ないと近くの溶接工場を教えてもらうがイマイチ要領を得ていないと、「乗せてってやる」とデカイピックアップトラックに乗せて貰い工場まで行く。直ぐ近くだったので車で送ってもらいコルデーロに跨り溶接工場に行ってみる。
「マフラーに穴空いちゃったんだけど、直せる?」と相談してみると「こんなもん、訳ねーぜ!」とサクサク溶接してくれた。工場のスタッフはみんな若くてアルゼンチンからアラスカまで旅をしていて、もう直ぐゴールなんだ、と言うと「超クールだぜ!」と言ってくれる。みんなで写真を撮った。
ついでに無くしたチェーンカバーのボルトを二本、少し長めなのでたくさんワッシャーを貰って27ドルで済んだ。コルデーロ号は地の果てまで行く準備が出来た。
ボンヤリと過すが今日は天気が良い。こんな日がもう少しだけ続いて欲しいと思う。
スーパーで食材を買い込み冬眠する。
- 06 / jul / 2005 White Horse, Canada.
今日は一転して寒い曇り空だ。こんな日はヌクヌクと宿に篭るに限る。
元々、ゴロゴロしてるのが好きな不精者なので、屋根さえあれば腐りかけるまで寝てられる。ダメ人間コンテストでもあればかなり上位にランクされるように思う。
コーヒー啜って大切なマルボロをふかす至福の時。
- 07 / jul / 2005 White Horse, Canada.
暫く天気予報とにらっめこをしていたが、どうにも天気予報はかなりいい加減のようだ。というかこの辺りの天候が安定するなんて事は少ないらしい。
何時までも天気を待っていても無駄なようなので、キャンプ用品店で防水スプレーを買い、ジャケットに吹き付ける。デットホースまで走るなら最悪雪にも備えなければならない。今の装備で大丈夫か?若干の不安があるものの、何とかなるようにも思う。
アラスカまで走る。当初はフェアバンクスをゴールに考えていたが、道で出会ったライダーの言葉が頭から離れない。
「俺は2年前に北極圏まで行って満足して引き返してきたんだが、この2年間遣り残した事があるような、すっきりしない思いをずっと抱えていたんだ。だから今年はデットホースまで行ってみようと思うんだ。目の前には道がまだある。それでも途中で満足できるなら良い。だが、アルゼンチンから走って来たんだろ、悔いは残さないほうが良いよ。」
最長240マイルの無補給区間がある未舗装のダルトンハイウェイを走るには、もう1つガロンタンクが必要でタイヤも交換する必要がある。一方で正直、疲れきっている自分。何処で自分と折り合いを着けるか。
大事な事は自己の満足。
地平線まで伸びる一本道を目の前にもう一度自分と話し合う事にしよう。
- 08 / jul / 2005 White Horse, Canada.
ケベックからヒッチハイクでここまでやって来た根性あるキャサリンとスイスから来たお調子モンのラモーナと3人でゲームをして過す。この二人ある意味女を捨てている所があり、退屈しない相手だ。
明日二人ともドーソンまで行くという。キャサリンは再びヒッチで、ラモーナはキャンプ場まで行ってドーソンまで行くデカイRVに乗った爺さんを探して乗せていってもらうらしい。天気も好転してきたのでそろそろ出発しようという気になってきた。
明日青空が見えたら出発だ!
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