- 04 / Feb / 2005 Puerto San Julian - Comodoro Rivadavia, Argentina.

昨日とは打って変わって快晴。風もない。
体調も良いので、鼻歌を歌いながら走る。鼻歌で次第にノッて来たので、大声で歌を歌いながら走る。パッシングしてくる車にも、かなりオーバーリアクションの挨拶をする。
俺にとっては400キロオーバーのロングランだが、絶好調。調子に乗ってジュピターにチャレンジしたら音が高すぎてむせた。俺には無理!

途中のGSで2台のトランザルプにタンデムしてるライダー4人に出会う。話しは全然通じないが、一緒に記念撮影。俺のバイクを眺め、ウシュアイアのステッカーを発見した時の彼らの驚き方が最高に面白かった。うーん、5ペソのステッカー、期待以上の効果を発揮。一人悦に浸り、小鼻が膨らむ。

走れば走るほど暑くなる。フリースとオーバージャケット、パンツを脱ぐ。コモドーロの手前、80キロにある町に入る。美しい大西洋沿いの海岸線もこれで暫く見納めだ。南に向かっている時にインタビューされた町だ。意味もなく、町を流すが、期待していた町の人々の反応はゼロ。放送してないのか?この町でチヤホヤされるという淡い思いも儚く消えたので、さっさとコモドーロに向かう。

前回泊まったホテルで再びオヤジに手伝ってもらい、お勝手口にバイクを入れる。
狭い通路でオヤジが無理にすり抜けようとしたらポロっとミラーが取れてしまった。
お〜い!何てことするんだよぅ!
こうしてバイクは確実に痛んでいくんだと感じた。



- 05 / Feb / 2005 Comodoro Rivadavia, Argentina.

目が覚めると、体が重く、だるい。風邪だな。
薬を飲んで熊のように眠る。昼飯を食ってまた寝る。

今日、明日はパタゴニア中のガウチョが集って羊の品評会があると聞く。そこで羊の毛皮も安く手に入ると、同じホテルに泊まっていたガウチョが教えてくれた。
ガウチョとは牧童のこと。
街中にいると「北の国から」で東京に出てきた田中邦衛みたいに冴えない風体だが、よくよく見るとグレーの、いかにも「視力4.0以上だ」という目に浅黒く焼けたゴツイ手がカッコいい!

体調も良くないしもう一泊決定。再び眠る。



- 06 / Feb / 2005 Comodoro Rivadavia, Argentina.

相部屋のオッサンのイビキがうるさい。
夜中に本気で首を締めて息の根を止めてやろうかと思った。こんな所ではゆっくり療養することも出来ない。部屋を替わる。今度の部屋も相部屋だが、若いニーちゃんで、遊び人らしく、夜は部屋に居ないとのことなので、ゆっくり出来そうだ。

昼過ぎに品評会会場へ行く。羊の品評は何が基準になるのかとガウチョに聞くと、毛はもちろんの事、爪や、歯まで含めて全てが審査対象になるらしい。と言うことは、ひょっとしてナニのデカさとかも基準になっちゃうのか?まさに「羊の皮をかぶった何とか」で、狼みたいなスゴイやつだったら写真に収めよう!期待に胸を膨らませながら、タクシーで10分程、3ペソだった。いざ、会場に潜入!

パタゴニア中のガウチョが集るという割にショボイ会場だ。高校の体育館程度の広さのホールへ入ると、いきなり今年のチャンピョンになった羊が目の前に。うーむ、これがチャンピョンか、流石にデカイ。毛もミッチリ生えていて厚みも20センチはあるだろうかセーター100枚位出来そうだ。その上からチャンピョンガウンを着せられていて、はっきり言って暑そうだ。

近づいて、よーく観察する。ちょっと臭いぞ、チャンピョン。
晴れの舞台なんだから、風呂くらい入って来い!と軽く突っ込むが、チャンピョン様はバカ犬のように人様に愛嬌を振りまいたりはしない。黙々と草を食っている。風呂に入って毛の油気が取れてしまったら、1トン位余裕で水を吸ってしまいそうなので無理そうだな。さらに観察を続けていると、チャンピョンはフルフルと体を震わせながら、チョロチョロと小便をしている。小便の勢いにも、いやはやチャンピョンの風格ゼロ。ここまでの観察の限り、チャンピョンらしいところは見当たらない。やはり、勝負の決め手はナニのデカさか?チャンピョンのナニのデカさを確 認しようと、地べたに這いつくばって小便の源を確認するも、ナニは厚いベールならぬウールに隠されて確認出来ず。周りのガウチョが俺を見て笑ってる。おい、笑う相手が違うだろ!審査員はわざわざ、オーストラリアからプロの鑑定士が来場しているらしいが、俺にはさっぱり違いが理解できない。まあ、生きている羊に用はないのだが・・・。

暑苦しいチャンピョンの観察も終わり、毛皮を探す。宿のガウチョの話しじゃ、毛皮は山ほど積まれて売られていると言う事だったが、2軒ほどブースを出しているだけだった。やはり、チャンピョン決定戦の昨日が一番盛り上がっていたのだろうか。一軒で手頃な毛皮を発見。30ペソ。悪くない。速攻で購入。話しに聞いていた伝統料理のブースもないので、さっさと退却。目的は達成した。

宿に帰り、ガウチョに買ってきた毛皮を見せる。『冴えない田中邦衛』の目つきがいきなり険しくなり、真剣に毛皮の質を確認している。値段を聞かれたので30ペソというと、ニコリと笑って「いい買い物をした」と誉めてくれた。よしよし。
早速、カブのシートに被せる。いい!スゴク良い!この趣味の悪さがたまらなく良い!今時、田舎の暴走族でもこんな毛皮のシートは使っていないぞ。
『Super Cub Ver.Patagonia改』の完成だ。
この毛皮で尻の痛みも軽減され、尚且つ、キャンプの時はマットの代わりにもなる。全ては計算通り。この「パタゴニア改」はメカ的には何の意味もないどころか、更に重くなって、坂道を登るのがしんどそうだが、フィジカル的にはもちろん、「野宿もOK!」というメンタル的にもきっと良いセッティングが出るに違いない。
『コルデーロ号』と名づけることにする。間違っても『チャンピョン号』ではない・・・。


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