- 23 / Aug / 2005 Bangkok, Thailand.
空港の外で一服してから再び胸にニコチンパッチを張る。
コレさえあれば長時間のフライトも楽勝楽勝。
成田まで約 10時間のフライト。
センターシートで少し疲れたが夕方に成田着。
一瞬というか、かなりの勢いでこのまま帰ってしまおうかという衝動に駆られたが、バンコクで頑張っているヒロの様子が見たいと思っていたのでそのままトランジット。
待合でオニギリとお茶を買う。溜息が出るほどに感動する。やはり俺は日本が好きだ。
日本でも外国でも会う人の殆どが「今までで何処が一番良かったですか?」と聞く。
聞く人はもちろん、純粋な好奇心で聞くのであって他意はないのだろうが、これほど難しい質問はないと思う。
世界は何処に行っても素晴らしい。
きっと世界中の大多数の人は優しい。
俺の体験はほんの数日、数週間だから、あの国が良いとか、あそこはダメな国だとか、そんな無責任な答えは絶対に出来ない。その時、その場で感じた印象は様々だ。
例えば、中米では不孝にも、嫌な奴にばかり出会ってしまった上に、天気が悪かったり、たまたま食った食い物が会わなかったりで、悪い印象が残ってしまったが、違う時期、違う場所で違う人間に出会ったら、当然違う印象が残ったはずだ。
一個人が感じる町の印象なんて天気一つでがらりと変る。
だから、旅行から帰ってきた人にはこう聞く。
「何が楽しかった?」
俺が聞かれれば、機関銃のように、あるいは三日三晩、連続で話しつづける事が出来る。相手が寝ても起こして喋りつづけるかもしれない。そしてきっと、オチは「で、やっぱり日本が好きだ」で終る。時々、そんなに海外廻っていてどこかの国に永住しようとは思わないんですか?とも聞かれる。
世界中には歩ききれない程の数の国があって、そのうちの少しを歩いて感じたのは、其々の国に良さと悪さがあって、何もかもが自分に希望に合致する理想郷はないと気付いた事と、日本人だと言うだけで握手をされたり、お世辞かも知れないが、日本に来た事がある外国人が「日本はとても美しく人々は親切で素晴らしい国だ」とうっとりとした顔で回想しているのを見たりして、慣れてるだけに気が付かない日本の本当の良さを時間をかけて探ってみて、もっと良くなるように身近のほんの小さな事にチャレンジしてみて、こっそり小鼻を膨らましてみたいと思う。
日本には四季があって、春は桜が咲いて、気持ちがフレッシュになって、夏は花火が上がって、開放感があって、秋は物悲しくも旨いもんがあって、冬には年の瀬の緊張感と静けさがある。
これからは一瞬の間だけ外国の表面をさらっと舐めるより、日本の時間を深く楽しみたいと思うし、日本を知らない外国人に「オゥ、グレイト!」とか「ファンタスティック!」とか言わせちゃう、そうした日本の面白さを教えられるようになりたいと思う。少なくとも海外で「日本はダメだ」とか言ってる日本人よりも、お国自慢をする人は何処の国の人でも、俺にはとても魅力的に見えた。
だから祖国よ、もう少しだけ俺の帰国を待て。
成田でターミナル間をバスで移動し、手持ちのチケットをカウンターで通路側席に変えてもらう。飛行機はANAとユナイテッドの共同運航便で、機内に入ると驚くほどガラガラだった。何も座席の移動をお願いするほどではなかった。ANAだし、これなら落ちないように念を入れる事もない。
離陸後にシートベルト着用サインが消えた瞬間に3席使って爆睡する。機内食など、どうでも良い。
「お客様、まもなくバンコクに到着です」と起こされる。
いやー、やっぱ日本語って良いねぇ。
空港に出るとヒロが迎えに来てくれていた。
相変わらずいい面構えしてやがる。
タクシーでヒロのアパートまで行く。
久しぶりだが、不思議と以前来た時から時間の経過を感じなった。
部屋でビールを飲んで寝る。
- 24/ Aug / 2005 Bangkok, Thailand.
やはり北米からいきなり東南アジアというのは少々体に堪える。暑い!暑い!暑い!
ヒロが仕事に出た後、部屋でゴロゴロと過す。
夕方ヒロの友人とルンピニマーケットプレイスで飯を食う。この町は来るたびにドンドンと新しいものが出来てビックリする。いい感じに酔って再び爆睡。
タイに来ても何もしてない。
別に何かしに来た訳じゃないのでどうでもいい。
- 25 / Aug / 2005 Bangkok, Thailand.
ヒロのオフィスにお邪魔する。
一緒に仕事をしているヨコスカさんにお会いする。
こっ、濃い!
ヨコスカさんは殺陣の修行を長年やって来た人で貫禄たっぷりだがとても気さくな人だ。二人のトレーニングにくっ付いて行って、俺はプールでプカプカと浮く。暑い所で水遊びは楽しい。
夕方、しゃぶしゃぶを食いに行くが満席。
近くでおいしいタイ料理を食う。
- 26 / Aug / 2005 Bangkok, Thailand.
久しぶりにお寺を見に行く。
タイのお寺は豪華でとても綺麗だ。ワットポーというお寺で本来お坊さんの修行であるマッサージを受けようと思ったが、異常に混雑しているので、アパートに戻って近くで全身を揉み解される。まあまあの腕だ。今度はフットマッサージを受けてみよう。
夕方、肉が食いたいとヒロに言うとバンコク一旨いというステーキ屋に連れて行ってくれた。しかし残念ながら改装中ということで隣りの日本食レストランでトンカツを注文する。が、クソ不味い!ココナッツオイルなんかで揚げたカツなど食えるか!味噌汁だけ飲んで帰る。こんなに不味い店が日本食などと看板を掲げては恥で、ひいては誤解を生む原因となる。いっそのこと爆破してしまいたい衝動に駆られる。
手元に手榴弾が無いのが悔やまれる・・・。
- 27 / Aug / 2005 Bangkok, Thailand.
町をブラブラしていると、ヒロの助演した映画のDVDが発売されていたので買ってみた。タイでは大評判の映画だっただけに、店頭にも一番良い場所にズラーッと並んでいた。
しかし、ヒロに見せるとそれはDVDではなくVCDだという。
何だよ折角買ったのに〜!DVDは来週出るのだそうだ。紛らわしい!
部屋で映画を見てみる。
友達だし、お世辞を言う間柄でもないから言う。つまらなかった。
まあ、タイ語が判らないという事が大きく影響しているのだろうが、コテコテのB級映画。
ヒロがこの日記を読んだら気を悪くするかも知れない。
だけど、VCDを自分の金で買った俺は一人の観客だし、映画の感想は人それぞれだ。
演技がどうとか、ヒロの立場では色々な苦労があったと思う。当時、頭を丸めて真剣に役作りに挑んでいたヒロはこんな風な撮られ方で満足してるのかな?
この映画にヒロは1年もの時間を費やしたのかと思うとちょっとショックだった。
報酬も含めてヒロはこの映画に出演する事で何を得たのだろう?
夕方、帰ってきたヒロに感想を聞かれた。
映画はこっそり買えば良かったと悔いた。聞かれた以上、感想は正直に伝えた。
何だか、大急ぎで日本に帰りたいと思った。
- 28, 29, 30 / Aug / 2005 Bangkok, Thailand.
ボチボチ日本に帰ろうと思っても、中々踏ん切りのつかない自分がいたりする。
カンボジアでもみてやろうかとか、島でも行ってノンビリするかとか、色々考えてみるが、正直な所今の俺はすっかり好奇心が磨耗してしまったかのようで、何を考えてもドキドキがない。そして何をするのも面倒に思えてしまう。
そろそろ潮時だと頭では判っていても体が反応しない。
友達に会いたい。
日本のご飯を腹一杯食いたい。
日本に帰る事、それはこの夢の終わり。日本で新しい夢を見ることが出来るのか?
不思議な事に、旅に出る前と全く同じ期待と不安が胸に込上げてくる。
自分は今、何をすべきか、何がしたいのか、自分の気持ちの整理を先送りしながら、気だるい日々を過す。
- 31 / Aug / 2005 Bangkok, Thailand.
もう、帰る。
腐臭漂うダメ人間になる前に帰る。
カオサンに走って出来るだけ早い安チケットを買う。
土曜日になった。これでいい。もう、終わりにするんだ。良い旅だった。
旅の余韻に浸るのも終わりだ。
俺には日本でやる事があるはずだ。
ヒロに土曜日帰ることを伝える。
明日の昼、オンちゃんと三人で飯を食うことになった。
忙しいのに時間を作ってもらってあり難い限りだ。
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