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- 06 / Apr / 2005 Tumbes - Cerica, Peru - Ecuador.
7時に起きて出発準備をする。朝飯を食いながら越境の興奮が高まってきた。上手く行くと良いが。エクアドルはどんな国なんだろう?道はどんなだろうか?飯は旨いのだろうか?人々はどんな生活をしているのだろうか?そして、俺はやっていけるだろうか?
飯を食った後、残りのソルとカードで宿代を支払う。残った小銭は途中で全てガソリンに替える。エクアドルは自国の通貨がダメで米ドルを採用しているので、手持ちで十分だ。 暑い!シャツも絞れそうな程汗をかく。メットの中もぐっしょりだ。
20分程走るとペルーのイミグレがあった。何やら胸にラミネートしたカードを貼り付けた男達が群がってきた。口々に「俺達はオフィシャルだ。問題ない。バイクはここに置いていけ、イミグレはこの中だ。案内してやる。」と言う。そして、「ソルは残ってないか?」と聞いてくる。お前ら何のオフィシャルなんだ?
建物に入ると一応制服着たおっさんが新聞を読んでいるのでパスポートを渡すと、何も確認せずにドンっとハンコを付いてパスポートを投げ返してきた。
「終わりか?」と聞くと新聞に目を通しながら頷くだけ。
2秒で出国手続きを終了する。
次は税関だ。建物を出ると例の男達が俺が案内してやると名乗り出る。
「ノー・プロピーナ(チップはやらんぞ)」と言うと、
「何だよ、コーラ位ご馳走してくれよ」とブツブツ言いながら皆散って行く。
お前ら、子供か!
税関はそこから2キロ程走った国境の川に架かる橋の隣りにあった。日本人だと言うと、ここでもペルーにはフジモリが必要だ。と言われる。ペルミソを渡すと
「ペルーはどうだった?」と聞くので「ムイ・ビエン!」と答え、握手をして5秒で終了。何だかいい奴で橋の向こうにあるエクアドル側の税関まで連れて行ってくれた。
橋の上は沢山の人が、まるで普通に行き来しているので拍子抜けした。この辺りの人にとって国境などあまり意味は無いのか?アドアナと書かれた建物に入りカルネとパスポートを渡す。税関職員はカルネの使い方に慣れている様で、ドンドンとハンコを2個付いてサインして20秒で終了。国境到着わずか数分で手続き終了。
今日ほどカルネの恩恵を感じたことは無い。
人ごみを掻き分ける様に道を進む。町外れまで走り漸く一段落するが、はて、入国のスタンプ貰ってねーな、と思い出す。ただ今、エクアドル密入国中!道端のおっさんに「ドンデスタ・ミグレーション?」と聞くと「この先真っ直ぐだよ」教えてくれる。
しばらく走ると検問があり、イミグレの建物があった。ここでも入国カードを記入しパスポートと共に渡すと「ウェルカム」といって簡単に手続きが終了した。
エクアドル入国完了!
道の前方は濃い緑の山々がある。長い長い砂漠地帯は終わりとなった。クソ暑いが、嬉しさで思わず叫ぶ!ここからは再び山岳地帯を走ることになる。
田舎道を軽快に走る。暑くてたまらないので途中の雑貨屋でコーラを飲む。
更に走ると道は二手に分かれる。今日の目的地は標高2000mのロハだ。農作業をしているオヤジに道を聞き、左の道を進む。道は徐々に狭くなる。良く見ると崖崩れで道が狭くなっているようだ。しかも穴ぼこだらけなので気が抜けない。スピードを落として慎重に走る。山道のアップダウンを繰り返しながら徐々に高度を上げる。時々軍の検問がある。次第に涼しくなってきた。
ひとつ大きな峠を越えると視界が大きく開けた。鬱蒼と茂る山林が美しい。
写真を撮ろうと減速しながらカーブの外側によった途端、後輪がズルっと滑った。
次の瞬間、激しく体を打付ける。やってしまった!初めての激しい転倒。よろよろと起きる。落ち着け、落ち着け、俺。まず体を確認する。右肘が痛む。ジャケットを脱ぐと軽く擦り
剥いている。大丈夫だ。大した傷ではない。他は大丈夫か?右の腿を打ったようだ。少し痛むが軽い打ち身だ。大したことない。良かった。体は大丈夫だ。暑くても我慢して長袖を着ていて良かった。目の前にコルデーロ号が痛々しい姿で横たわっている。右のミラーが割れて外れてしまっている。起こしてエンジンをかけてみる。大丈夫だ。エンジンはかかる。ミラー以外は特にぶっ壊れている所はなさそうだ。スピードが出ていなくて良かった。鏡の無くなったサイドミラーを拾い、タバコを吸う。
「落ち着け、ミラー位、何処でも、なんとでもなる。」滑った場所を見ると一件アスファルトのようで砂利が浮いている。全然判らなかった。悔しくて砂利を蹴飛ばす。
しばらく休んで走り出す。
走ること、前に進むこと以外、俺に出来ることは無い。
S字の上り坂を2速で登る。
かなり標高が上がってきたようだ。パワーが出ない。そのうちに道は雲の中に入っていく。霧の中、視界が10m位しかない。寒くなってきたのでフリースを着る。次第に雨が降ってきた。更に視界が悪くなる。
小さな町に着く。時計を見ると2時半。このまま空腹で走ると更に凹むので町の売店でパンとチョコを買って食う。凹んでいる時には甘いものを食うと良いと誰かに聞いたことがある。雨が強くなったので軒下にコルデーロ号を入れさせてもらい、びっしょりになった毛皮をビニール袋にしまう。「ロハまでどれ位?」と店のおばちゃんに聞くと、「バスで5時間」という。「えっ5時間?」と思わず聞き返す。地図では後100キロ位のはずだが、バスで5時間と言うことはコルデーロ号では8時間位はかかってしまう。この町に宿はあるか?と聞くと「セントロにあるよ」と教えてくれた。雨は強くなるし、視界も悪いのでこの町で一泊することにする。
セントロの小さな宿に着き、コルデーロ号を車庫に入れ部屋に入ると落ち着いたのか、首やら腰やらが痛む。大した痛みでもないのに何故か涙が出てきた。情けないが涙が止まらないので、ボリボリとチョコを食う。
「大丈夫、大丈夫。ゆっくり、ゆっくり。」
自分に言い聞かせる。
一人旅には、泣きたい時に気が済むまで泣ける自由がある。
精一杯の強がりかもしれない・・・。
何も無い町を歩く。ここがセリカという町だと判る。
地図を見ると予定していた幹線道路を大きく外れ、ペルー国境に近い超マイナーなルートを走っていたようだ。道理で軍の検問が多い訳だ。どこで間違えちまったんだ?良く判らんが、まあ良い。転倒は二度としたくないが、ハプニングは楽しむことにする。
屋根を打つ雨音を聞きながら寝る。
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