『シン・ウルトラマン』(2022)

(2022/05/20記) (2022/05/20 at TOHOシネマズ上野 スクリーン2) モーションアクターがホンモノ筆頭だった。 あそこでキュウべぇ。まあ、話がああなったから。 シン・ゴジラに引き続き、見事に庵野秀明なウルトラマンだったな。 Qからモンタージュで引っ張ってからのネロンガ戦からの一連のアクションパートの 当時ぽい映像のルックといい、話に引き込まれるには十分だった。 もう少し新寄りになるかとも思ったが初代オンリーだったのも良かった。 セブンさえも入れず。 まあそれだけでも十分みっちりだった。 何故ネロンガからなのかとかいった一連も、今らしくあっさりと正体が拡散される ウルトラマン、まあウルトラマンやるなら絶対やりたいとおもうあの巨大化から、 まさかすべての話の軸がそこにあったことにしてしまうあたりも見事。 あのビジュアルさえも繋げてしまったしね。 映画的に広げられそうなネタをいくつもあっさり放棄してしまうあたりもとてもらしい。 シン・エヴァと同時期に構想してたのだろうなというかお互いが影響を 与えたであろう所も色々と。しつこいくらいのモノ滑めとか太陽を盗んだ男由来?のあんな描写とか。 長澤まさみに関してはうーんちょっと判断に迷う。 巷で既に言われてるシーンに関しては昭和のアイコンとして入れたかったのかなとも 思うけれど時代が更新されてしまった今に何故残したのかは不明。 そもそもキャラ付けにさえなってないからな。興味のない所がいい加減なまま 放置された感じ。そこ以外も彼女である必然性が感じられないのがもったいない。 やりたいことやりきった感、楽しませてもらいました。 <以下2022/11/23追記> (2022/11/23 at Amazon prime video) テレビで見る方がしっくりくる部分もあるかなとも思ったが、ルックとしては スクリーン同等か。 ブラウン管で見ると逆にやり過ぎに見えるのかなあ。今となってはその手段は ないのだけれど。 その特撮パートのルックに限らず記憶の中の昭和をいかに再現するかに特化した 作品だと改めて思った。 もっと厳密にいえばそれを見ていた当時の自分たちを再現してるという方が近いのか。 そして記憶との対決である分ウルトラマン自身が格好良いんだよなあ。 カラータイマーの無いデザインがそれを後押しする。モノクロもしっくりくる。 怪獣戦も星人戦もある上に、マンではなくセブンなキングジョー感溢れる ゼットン戦もありという意味で、この作品一本でやり切った感もあるかな。 セブン感でいえば、病床にある神永は最終話のダン的でもある。 らしさだけ追っていけばメフィラスはよりメフィラスらしくなってるよなあとか そんな事考えているだけでも楽しい作品です。

『ウェスタン』"Once Upon a Time in the West"(1969)

(95/11/05記 at Niftyserve FMOVIE 15番会議室)  同じセルジオレオーネの"ONCE UPON A TIME IN THE AMERICA"などより、こ ちらの方が私は好きです!!  だって、面白いんだもの! オープニングのネックハンギングから、ラストまでのなんとおもしろいこと !!もちろん、あの飄々とした音楽もね. これもゴールデン洋画劇場で観たのが最初でした。                               KANAME(CXE04355) (2017/05/03追記) (2017/05/03 at Movie Plus HD) 私にとって理想の映画はと問われたら黙ってこれを差し出します。 久々の鑑賞となったが、それは今でも変わらなかった。 何もかもが綺麗すぎて涙が出てくる。 (2019/09/28追記) 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』へ (2019/09/29追記) 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』

『ウェディングシンガー』"Wedding Singer"(1998)

(99/03/09記 at Niftyserve FYOUGA 2番会議室)  『ウェディングシンガー』を観ました。(99/03/06 at 新宿シネマカリテ2)  『ブギーナイツ』が、70年代後半から80年代前半の音楽に彩られていた のに対し、この『ウェディングシンガー』は、1985年というひとつの年。  私にとっては、卒業・就職と言う、一種の人生の転換期であった時期で、故 に、音楽や出来事ってかなり記憶に残っているんですよね。  それらの曲の使い方がどうなのか?  そして、それ以上に、 「ドリューバリモアが、ひたすら可愛いポスター」 がとても気になっていて、どちらかと言えば、そちらのほうが本命かな。 果たして、本編ではどうなっているのか? (以降、ネタバレあり) そして、その本編。 「やはりドリューバリモアはひたすら可愛い!」  他の女性陣が、どちらかといえばすらっとした人ぞろいで、余計ドリューバ リモアの可愛さが引き立っていました。  そして、アダムサンドラーも見事にいい奴を、うまく演じていました。もう、 すべての展開が予想できるくらいにいい奴。(^^)  その、予想できるっていうのは、決して悪い意味ではなく、とっても安心で きるんですよね。  なかでも良かったのは、ユダヤ人の子供たちのお祭りのところ。 絵に描いたような展開ながら、そのいい奴さ加減に、すっかりなごんでしまい ました。(特に、その前の結婚式のシーンとのギャップがまた。(笑))  そして、やはり、何はなくともクライマックスですね。 これだけベタなクライマックスって本当に楽しい。ファーストクラスの展開は 最高だし、肘にワゴンがぶつかるお約束もgood。そして、場面の切り替え 方も大好きです。いいなぁ。  一方で、少しだけ残念だったのが、1985年という設定の使い方。 こちらもあまりにもベタな使い方なのだけれど、(確かに私はその年にCDプ レイヤー買ったさ。(笑))ちょっとこちらはベタさがマイナスになったかな。 この年に対して、この映画は、愛情が無かったような気がします。  まぁ、けれどもやはり 「ドリューバリモアはひたすら可愛い。」 これに尽きるのではないでしょうか?(^^) 〜〜〜〜〜〜 99/03/09(火) 〜〜〜〜〜〜 かなめ (CXE04355) mailto: takashi.miyamoto@nifty.ne.jp     kaname@a2.mbn.or.jp URL http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/cinecom/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『ウェルカムトゥサラエボ』"Welcome to Sarajevo"(1997)

(98/08/17記 at Niftyserve FYOUGA 2番会議室)  『ウェルカムトゥサラエボ』を観ました。(98/08/16 at 恵比寿ガーデンシネ マ)  何だろう? 今までこういう映画では、目の前の映像をすごく生々しく、自分 の呼吸している世界と同じように感じることはなかったのに、何故か、この映画 では、そのように感じてしまった。  きっとそれは、この映画の監督、マイケルウィンターボトムの今までの作品、 『日陰のふたり』や『バタフライキス』で感じた、音や映像のリズムの親近感 (と表現したらいいのだろうか?)が、この映画でも感じられていたからなのだ ろうな、と、観た直後には思っていました。  しかし、本当にそれだけなのだろうか? とよくよく考えてみると、もうひと つの思い当たる節がありました。  つい先日、そうとは意図せずに、神戸・広島と足を運んだ時に、思いがけず受 けた感覚と同じものがそこにあった。それを感じたからじゃないかな?  神戸で受けた感覚は、「舗装はされたが、うねったまま残っている歩道」や 「ところどころにまだ残っている空き地」に対する感情。 広島で受けた感覚は、「原爆ドーム周辺を歩き回って、ふと沸き起こった」感情。  それとまったく同じものが、この映画の中に入っていたような気がします。こ の映画の中のジャーナリストたちと、その場に行っても、何をすることもできな い自分。  それが、このなんだか説明のつかない感情を産み出しているのだと思います。  もちろん、ウィンターボトムのあいかわらずの絶妙な選曲センスと、ウッディ ハレルソンのなんとも言えない存在感もあるのだろうけれど。 98/08/17(月) kaname(CXE04355)

『WALL・E(ウォーリー)』"WALL.E"(2008)

(2009/01/11記) 『WALL・E(ウォーリー)』(日本語版)を観ました。 (2009/01/02 at TOHOシネマズ二条 スクリーン10) 実は観ることができるとは思っていなかったものの、ちょっとした事情で観る機会を得 る事ができました。 ただ、それでも前評判に寄る期待値が元々高くなっていたので大丈夫かなと思っていた のですが…。 素晴らしかった。 ここまでやってくれるかという感じで。 (以降ネタバレあり) いや、ホント素晴らしい。 映像から出流る音の洪水。 そこに音声が加わりカラフルな世界を紡ぎだしていく。 もう、ベン・バート最高です。 音使いのセンスはもう文句の付けようが無い。 その音を得て動き出すWALL-Eは、たしかにR2だわ。 昔ちらっと観た、ルーカスが昔作ったショートフィルムの中のR2を思い出してしまった わ。 そして、WALL-EやEVEの造形の素晴らしい事! 特にEVE。 最初宣材などの静止画で見た時には魅力を感じなかったものの、動いている彼女の、な んと魅力的な事! あのシンプルなラインで表現される幾多の動きや感情には、感涙ものです。 顔なんてほとんど顔文字なのにね。 それに対するWALL-E。 ジョニー5なんて言ってすまなかった。 ヒューイ/デューイ/ルーイでもない。 あなたは紛う事なきWALL-Eです。 i-podなビジュアルのEVEに対し、Mac起動音で充電完了するあなたは、『ハロー・ドーリー』 を文字通りテープが擦り切れるまで観ているあなたは、なんと好奇心とシステマティッ クが同居するかわいらしい存在である事か! そして、総じて人間キャラがあまり魅力的ではないのに対し、他のメカたちの、なんと 個性的で生き生きとしていることか。 故に人間たちとの絡みは、全体を動かす存在ではあるけれどリズムが停滞し、それが少 し残念なところではあるのだけれど、こういう部分は作り手たちの人間観にもつながる 部分はあるのかな。 引き立て役としては成り立っていますが。 それでも、二足歩行のシーンは感動的ではありますわな。(笑) で、思い出したが、古き良き時代の映画やアニメーションな動きなんだよなぁ、WALL-E。 その中で最も象徴的なのはやはり「手を繋ぐ」ということへの恥じらい。 それを今風なEVEへと伝えるところが話のクライマックス。 忘れていることは、伝えたい事は、エコな話のフリをして実はこちらだったというブラ フぶりにも完敗です。

『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』"Wallace and Gromit: The Curse of the WERE-RABBIT"(2005)

(2005/10/16記 at Production note of ...) "WALLACE & GROMIT: THE CURSE OF THE WERE-RABBIT"を観ました。(2005.10.16) 日本での公開はまだ先の作品なのであまり細かくは書きませんが、 まず、素晴らしいです。 まさにウォレスとグルミットの世界です。 しかもいろいろな意味で。 そして長編でもここまでやったかという感じでした。 ホント感涙ものでした。 そして、これは語りたくなるよなあ。 (既にネタばれ感想は書いてあるのですが、発表は後日)

『ウォンテッド』"Wanted"(2008)

(2008/11/12 at 機内上映)   (2008/11/12記) バカだわ。(笑) なんて思って観ていると、それもちょっとダレてきて、ううむなんて思って いたらまたバカ一直線。(笑) しかもダレの際に振られていた伏線回収しまくり。 好きだわ。(笑) 何よりも好きなのはアンジーの使い方。 アンジーを演じるアンジーにしか見えないのがステキ。 癖がある映画ではあるけど、私は好きです。 しかしまあよくここまで男の子の妄想爆発ななものを恥ずかしげもなくつく れたな。 しかも妄想の精神年齢の低さはドラゴンキングダム越えてるぞ。(笑) まあ面白いの域まで行ってるのはこちらで、ドラゴン…は感涙ものの妄想 だったけれど。

『動くな!死ね!蘇れ!』"Freeze, Die and Revive"(1990)

(95/06/14記 at Niftyserve FMOVIE 3番会議室)  渋谷のユーロスペースで『動くな、死ね、蘇れ!』『ひとりで生きる』『ぼ くら、20世紀の子供たち』という、カネフスキー特集を観てきました。  まず、3本続けて順番に観ることができて、よかったと思いました。この三 本は、思っていたより結び付きが強く、(『ぼくら・』まで連続しているとは 思わなかった)さらに3本続けて観た事により、いまだにあの世界を引きずっ ていたりします。心の中のどこかに、まだ、あの世界が残っているような、そ んな感じ。 衝動が起こりそうで起こらないというか、そんな感じ。  ただ、嫌いではないのだが、心にひっかかってはいるのだが、「もう、大好 き!!」という映画ではなかった。 なにか、他のロシア映画と比べて、「あ、なんだこれは!」という所がある意 味ではみつからなかったからかもしれない。  最近観たロシア映画『ワイルドイースト』や、タルコフスキーの『ストーカ ー』やそういったものと同じにおいがするので、新鮮に感じなかったのかもし れない。  ただし、カネフスキー監督の感覚というのは、特に『20世紀』にでている のだが、とても面白いとは思った。子供に対する感覚というのかな。 もちろん、『20世紀』は、『動くな・』『ひとりで・』と観て、初めてそう 見えるのかもしれない。(すでにその世界に浸っている状態だから)  「面白い」とか「感動した」とか「すごい」とかいうことはなくても、心の 中に残ってしまった映画でした。 KANAME(CXE04355)

『打ち上げ花火/下から見るか横から見るか』(1993)

(95/08/19記 at Niftyserve FMOVIE 3番会議室) 『打ち上げ花火/下からみるか横からみるか』をテアトル新宿にて観てきまし た。 この作品は本来TV用の作品なのですが、多少手直し、というか編集を加えて 映画館にて上映されたので、ここぞとばかりに、ここに書かせていただきます。  なぜ、ここぞとばかりかと言うと、昔これを観て、『LOVE LETTER』の岩井 俊二監督のファンになったものですから。  そういうわけで、改めての鑑賞なのですが、やはり良かった。この話は 『LOVE LETTER』にいろいろ通じていると言うのが、再確認出来ました。 以降ネタバレになります。  まず、一番近いなあと思ったのが、いろいろ淡い思い出っぽく隠されてはい るのですが、実はこれは救いようのない話だというところ。前半は、もし・・ ・の世界で、実際には、なずなは親に捕まってそれっきり。もし、後半の世界 が成立していたとしても、なずなは「2学期になったらまた会えるね。」と悲 しい嘘をついて、それきり。 もちろん、花火を見ることさえ出来ない。  そして、それがどちらの場合でも、少年(役名忘れた)の心に淡い悲しい思 い出として残ると言うのも。  『LOVE LETTER』のどこに該当するかはあえていいません。  話の構造も似ていますよね。あ、これも説明するまでもないな。(笑)  ただし、やはり映画館での鑑賞は、ちょっときつかったかなあと思った部分 が、前半の細かいカットが多用される部分。  同じことをやっている『LOVE LETTER』が違和感無かったのが、映画館サイ ズで観た『打ち上げ花火』ではちょっと苦しく思えました。TVでは『打ち 上げ花火』もとても心地好いショットだったのに。  というわけで、これはやはりTVフォーマットで観た方がよいなあと感じて しまったけれど、機会があれば観て欲しい作品です。 KANAME(CXE04355) P.S.やはりうまく書けない。 (以降2017/08/19記) (2017/08/19 at 日本映画専門チャンネル) 1993年のテレビ版流してくれるかと思ったら劇場公開版でした。無理だったか。何が 違うのかはもう忘れてしまったが。 それはさておきアニメも観た直後なのでそれも絡めての話。 ネタバレも入るので注意。 アニメの方は同じストーリーラインを途中まで見せながらテーマ変えてるよな。 SF的なものを入れてしまったが故にさらに薄くなってしまった。 まあそもそも同じテーマを追いかけるならその時点でシャフトは無いわ。そんな ことまで私も忘れてた。 テーマを変えてしまった時点でそこは必要なくなってしまったところこそがこの作品に 心奪われた所であったからそれはもう無いものねだりでした。 あの年代の男の子と女の子だからこそ成立する二人の関係性。 そしてかなわない思い出もしくは妄想にすぎないからこそ心に残る刹那のキラキラ。 リグレット。 実は、というか『LOVE LETTER』以降無くなってしまったものもこの 「打上げ花火…」には詰まっているんだよな。 作家性でスポイルされる前の整理されていないゴチャゴチャしたもの。 そういう好きな部分がすべて抜け落ちたものだったな。アニメの方は。 そう、アニメに関しては、アバンが『打上げ花火…』というよりは『ジュブナイル』に 見えてしまったのは気のせいか。 あと、やはり、『打上げ花火…』ではなく『LOVE LETTER』を意識させるもの、もしくは 岩井俊二の書く小説のテイストになっている部分も多く感じた。 そう、『打上げ花火…』は代替品に使われているようにしか見えないんだよな。好きが 足りない。 そこには目をつぶってそのやり方で別のテーマを持つ作品にするとしたらそれも有りかも しれないが、だとしたらもっと圧倒的なものを作って欲しかったな。すべてを 置いてきぼりにするくらいの。 まあそうすると万人受けにはならないのでとおもうけれど、そもそも万人受けする 作品作れる人じゃないんだから。 ああ、ほとんど実写の話が無くなっている。(笑) このへんにしておこう。

『打ち上げ花火/下から見るか横から見るか』(2017)

(2017/08/19記) (2017/08/19 at TOHOシネマズ流山おおたかの森 スクリーン9) どう考えても無謀だよなあと思えるこのアニメ化版、観る気はなかったのだけれど、 それでも機会があれば観てしまうのが悲しいサガ。 あれを観てしまったばかりにハマってしまった岩井俊二をもってしても今となっては 無理だろうなとは思っていたのだが。 最初のうちはストーリーライン追ってるだけだなあ。そしてだからこそ比べてしまう あの作品の息を飲む瞬間をけして味わうことはできないのだろうなあとは思っていた。 ただ、あの世界改編をもう少し上手く出来ていたらば少しは違っていたかもしれない。 ifの文字ですっかり覚めてしまった。 町の名、駅の名はらしいっちゃらしいのでまだ良かったのだけれど。 最後、イメージの洪水に溺れさせるためにはアニメじゃ情報量が少なすぎる。 それこそ息を飲むようなもの、圧倒的な思い入れになるものが欲しかったと言うのは 欲張りすぎだろうか。 この作品の原作に出会った時、それだけの衝撃を受けたのだから。 --2019/08/18追記-- (2019/08/15 at NHK-BSプレミアム録画) 冒頭から「これが実写であったならどんなにしあわせな事だろう」とついつい思ってしまう。 それをなぞっているようにしか見えないんだよね。 一つの物語にしようとしているための仕掛けも上手くいっているようには見えない。 普段アニメ化を先にされた実写作品で持ちがちな不満を丸々抱えた作品に見えてしまう。 あの篠田撮影監督が描いた映像の鮮烈さが恋しい。

『宇宙からのメッセージ』(1978)

(2003/05/17記 at @nifty FMOVIE 2番会議室) 『宇宙からのメッセージ』を観ました。[『宇宙からのメッセージ』(1978)] (2003/05/17 at 三百人劇場) 自分自身でも今となってはよく分からない事のひとつに、「生まれて初めて 買ったレコードが『宇宙からのメッセージ』のシングルレコード」というの があります。 何故か発売初日に、それも近くのデパートに開店と同時に飛び込んで買って るんですよね。もちろん、特に他に同じような人がいたという状況でもなく、 何らかの情報を得て、ひとり、思い立ってしまったみたいです。(^^) たぶん、何かしらの宣伝媒体の情報をえらく気に入ったか何かしたんじゃな いかと思いますが、それが何だったかはもう遠い記憶のかなた。 何せもう25年も前の話になります。(^^) という中途半端な導入は置いといて、長い事観る事のなかった、しかしなが らとても想い出深い作品となってしまった本作を、今回の深作欣二特集で、 久々に観ることとなりました。 (まぁこれだけ古い作品ではありますが、念のため改行) あらためて観直してみたという形になったのですが、今となってもやはりこ の作品、私は好きです。むしろ今まで以上に好きになったかもしれません。 案の定、笑うために来ているお客さんもいて(それが特に私の真後ろにもい たので余計)気分の悪い状況下での鑑賞だったのですが、まぁそれも分かる と思う半面、それでも、観方を少し変えればホントに面白いのになんて思い ながら観ていました。 そりゃぁ成田三樹夫や天本英世のメイクは凄いし、特に天本英世はあからさ まに付け鼻だったりする。さらには、天本さんも三谷昇もお婆さん役だから ねぇ、なかなか凄いなと思ったりもする。室田日出男もこんなところにとい う役だったし。(^^) さらにはツッコミどころも探そうとすれば満載。 ただそれでも、今回は特に深作監督の作品として観ているせいか、監督の アイコンがそこらじゅうに散らばっている作品だったりもするのを観る事 ができたのが、何かとても嬉しかった。 もちろん、ビックモローの声を若山弦蔵を当てていたり、その話している相 手がタイガー田中・・・じゃなくて丹波哲郎というのも嬉しかったりはしたのだ けれど、キャストからしてそうそうたる面々だし、そのキャラクタたちも また一面だけしか持っていないものはいないというのも、とても、らしい。 三谷昇のキャラクタなんて・・・あのシーンで笑うのもわからないではないけ れど、私は泣いてたぞ。ああ、『ソイレントグリーン』だ!って。 そのうえ、石森章太郎も原案に関わっているせいか、ロボットも・・・という のがまた良かったりする。たぶん深作だからこそいるのであろう岡部正純の キャラクタとの対比がまた良かったりもする。 メカデザインも石森さんだから、酒場にはそれらしいアンドロイド(?)が いたり、リアベ号(だったかな?)はしっかり光子帆船だったりもする。 さらには野田昌宏御大も原案に絡んでいるせいか、なぜ帆船なのかの説明 までしてしまう。(^^) また、一番いわれそうなコスチュームやメイク、そして特撮の類だけれど、 逆に舞台劇のような雰囲気がでていて、今となってはかえって良かったよう に思いました。半端な特撮するよりはよっぽどよかったと思う。 そして、また監督に戻るけれど、常に動きがないと気がすまないかのような 絵。これがまた志穂美悦子や真田広之、そして千葉真一にとてもマッチして るんだよね。志穂美悦子は奇麗で強いお姫様しているし、今の真田のオーバ ーアクションは実はあまり好きではないのだけれど、不思議とこの作品では とてもマッチしているようにも思えるし、殺陣は千葉真一で締めているし。 そうやって良い所がまたいっぱい見えてくると、また泣けるんだよね。 元々、想い出深いというのがあって、さらに、そんないろいろな事を発見 してしまったからさらに感慨深くなって・・・。 kaname(CXE04355)

『WOOD JOB〜神去なあなあ日常』(2013)

(2014/09/24記) 『WOOD JOB〜神去なあなあ日常』(2013)を観ました。 (2014/9/22 at 機内上映) 矢口作品観たのは久しぶりだけれど、いや本当に昔から変わらないものを見せられたなあ。 楽しかった。 むりやりぐいぐい入れてくる小ネタのギャグに始まって、クライマックスのしょうもないオチ。 それも作り物感満載のCGに載せて。 始めて出会った中野武蔵野館でのあの作品そのままで、描かれるのは林業。 いやいや最初は長澤まさみ今回はまさかのカメオ出演で終わりかと思っちゃいましたよ。 それがまあ役者として良い使われ方をして。 伊藤英明も良かったなあ。 正しい使われ方してるよな。 言葉に一切出さずに使われる地蔵の件の膨らませ方とか最高に矢口作品らしかった。 まあらしいといえばアバンの使い方とかほうそう来たかだったものなあ。 出したコネタはそのまま終わらせない。 そのしつこさが魅力的でした。 観て良かった。

『海猿』(2004)

(2004/08/14記 at @nifty FMOVIE 2番会議室)  『海猿』を観ました。(2004/07/07 at 池袋HUMAXシネマズ4 シネマ3)  この作品を観たいと思った一番の理由は杏子さん。 おお、杏子さんが出ているといった単純な理由。  主役のふたりは、「ちょっと大丈夫なのか?」といった感じのふたりだし、 これが初監督の羽住監督も、実は過去に一本テレビドラマを観た事があって (「恋人はスナイパー エピソード1」)、その中でちょっと不安な部分も あったのではるのですが、一方で、一番の理由の他に、「この題材をROBOT がやる」というのも、足を運ばせる事になった大きな理由ではありました。 そして、いざ観だしてみると、  導入のスムーズさといい、主役ふたりの見せ方といい、なかかなのもの。 すんなり流れに乗れました。それこそ、本当に予想以上に。  男ばかりの所だと、ロッカールームなんてまさにこんなものだろうという 描写を、遠すぎず近すぎずの視点で捉える導入部といい、それがまた最後ま で終始変わらないところといい、  どうも今ひとつと思っていた主役ふたりを、フォトジェニックの撮る事に 終始撮ることによって、見事に画面に映える存在に変えてしまったところと いい、とても良かった。  伊藤英明は、今までどうも弱気な役ばかりしかみることがなかったのが、 この作品では終始自身溢れるキャラクタとして中心に据える事でこれがまた 見事にはまっていたし、加藤あいもこれまた見事にフォトジェニックな撮り 方がはまっていたし、これはもうしてやられたという感じ。  と、こうやって書き連ねていくと、主役脇役に関わらず、キャラクタとの 距離の取り方がうまいんだろうなぁ。これがこの羽住監督のタッチなのかな と強く思いました。  ただし、ワンシーンだけグズグズになってしまったところがありました。 主役ふたりが自信をなくしてしまうところ。 このふたりの演技力の限界、ともいえなくもないのですが、中心をどこに 据えたらいいのかわからなくなってしまったもどかしさを感じてしまった のは少し残念でした。 で、話そのものに関しては、まぁ王道に近いものではあるものの、気持ち 良いくらいにそれに乗らせてもらうことができました。 これも、感情移入の積み重ねから来ているところが大きいのかな。 特にクライマックスシーン。 上から降ってくる仲間たちという構図は、もう個人的にツボ。 普通は横だったり画面奥だったり後ろだったりというある意味二次元的な 構図だったりするのですが、それが上から。しかも海中ですからゆっくり と降りてくるんですよね。 もうこのシーンだけで満足です。 これを、どうやったパート2に繋げていくのか、とても楽しみです。 あ、そうそう、杏子さんも見せ場ちゃんとあって、良かった。(^^) kaname(CXE04355)

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー 』(1984)

(2007/08/12記)  『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を観ました。 (2007/08/11 at NHK-BS2) これも何度も観てるわな。(というよりは最近そういうものばっ かりだが。(^^;) 最後に劇場で観たときの事は覚えていて、15年以上前に今は亡き 飯田橋佳作座で、たしか『…オンリー・ユー』と『…リメンバー・ マイ・ラブ』の3本だてだったと思う。 (もしかしたら4本だてや5本だてだったかもしれない。) あと、さらにその後『オンリー・ユー』と『ビューティフル・ド リーマー』に関してはどこかに何か書いた記憶があるんだけれど、 それがどこにも残っていない。書いたとすれば、Nifty始めてから だから12、3年前だと思うんだけれど。 それはさておき、今回の感想など。 好みで言えばあきらかに『オンリー・ユー』のほうが好きです。 (それは両方観るたびにそう思っている。) しかしながらやはり最後のタイトルが出てくるところで知っていな がらやられたぁと思うんだよなぁ。(そして頭の中は「愛はブー メラン」) 映画を楽しむというよりは物語の構造を味わうというかそういう 楽しみのある作品という感じでしょうか。 ううむ、表現するのが難しい。 で、続いてついでのようにみえてしまうが『オンリー・ユー』の 感想など。 (2007/08/08 at NHK-BS2) 前述のように、映画としてはこちらのほうが好み。 アニメの延長線上として素直に楽しめるし、スケール感はあるし、 今となっては80年代の匂いもプンプンしているしのも楽しめるし。 各キャラクタも見せ場があるのもまた好きだったりするし。 また、それが『ビューティフル・ドリーマー』があるが故に 引き立って見えるような気がするんだよなぁ。 かといってテレビアニメのほうはあまり好きではなく、やはり原 作のほうが好きだというのは全般的な私の趣向なのでそれはまた 別の話になってしまうのだけれど。 そしてこちらも、終わった後は頭の中に音楽がぐるぐる廻って いたりする作品だったりするのでした。 ううむ、どちらも訳判らん感想になってしまった。 で、さらに訳判らんついでに今回途中から観た『イノセンス』。 狙いは判るのだけれど、どこを取っても中途半端な作品だよな。 情報量が多いのを良い事にだらだら見せているだけのような 気がしてしまうし、そういった部分の今までのうまさがこの作品 にはあまりみえないのもまた駄目。 映像も中途半端。しかも観た後に自作を誇らしげに語っている 押井守を観て反感すら覚えてしまう。 一部の東宝作品に見え隠れする「自分たちは凄いんだぞ」臭が また嫌いだったりするので私にはまったく駄目な作品でした。 まぁ途中から観ているのに偉そうな事は言えないのだけれど。 などといいつつエンディングの曲も、これまた頭に残って しまったりするのだけれどね。 などといいつつも、押井守はこういう遠回しなアプローチを せずに、素直に『ニューロマンサー』や『モナリザオーヴァ ドライブ』を自分流にアレンジした作品作ってほしい気もする のだが。(もちろん実写不可。) (そしてそれは、大友克洋に『ディファレンスエンジン』 作ってもらいたいのと同じ。)