2003年7月受験日誌


その28 2003.7.3

 事前講習会に行ってきました。東京の初回である。

 甲府を始発で出て、ちょうどラッシュのピークを経て、品川駅に到着。この段階ですでによれよれである。高輪口から徒歩7〜8分で会場の高輪プリンスホテルに到着。

 講習は午前9時から午後6時まで二日間びっしりとある。

 会場はホテルの地下の大きい部屋を丸ごと使う。500人の定員がほぼ埋まっていると思われる。席順は申し込み順ということで45番という早い番号でちょうど2列目でしかも講師のごく近くというアリーナ席。席としては最高の部類であろうと思われる。さっそく隣の人と話をする。何か聞き漏らしもあるかもしれないので、最初から仲良くなっていこうということで・・。そしたら左隣の女性はTWSのご同輩ということで話も合って助かりました。TWSの知佐先生も今年の傾向を探るべく初回に参加。

  さて、講義開始。初回は協会の偉い方がたくさん講義される。テキストを実際に執筆され、また試験問題も作っている方が多いといううわさ。むろん、各回、話すべき共通の事項が定められているということなので、不公平はないということですが。
 
 まずは高橋時丸講師。ワインと食事の相性というところから始まる(順番変更)。体も大きく、みけんにしわがよってパンチパーマなのでちょっと怖わそうであるが、少しだけにこっと笑われるとギャップでとても優しそうになるから不思議である。ワインの喜びを如何に増すかという主題で話されていた。

 次は浅田勝美講師のワイン概論。テキストを忠実に読んでいくタイプ。最後のほうの大事なところが時間がおせおせで十分聞けなかったけれど、実直で温厚な感じの先生。

 次がフランスを3時間。小飼一至講師。まったく勉強していない人にも試験のポイントがわかるような講義。会場の高輪プリンスが小飼さんの本拠地であり、会場の1階レストランにはK.KOGAIとネームが入った立派なカーブもある。それぞれ今年合格してほしいという先輩たちの優しさに満ち溢れた講義である。

 初日の最後は公衆衛生を厚生労働省の技官の方が講義。夕方の食事前なのに、細菌や虫の話が出てきてちょっと困ったが、初めて勉強するところなので、「へ〜」という話も多かった。 
 
 ちょっとよくある質問コーナー。
 トイレであるが、女性比率が8対2と多いので、会場の地下トイレはすべて女性に開放される。男性は1階のほうへ行くことになるが、結構1階にもトイレの場所が多いので、男女問わず会場に早めについて、どことどこにトイレがあるかを確認しておくべきである。10分間の休憩が時々はさまれるのであるが、行列ができたりして結構時間が足りないのである。 

 昼食であるが、たしかに併設の昼食会場で、事前に申し込んでおけば食事が用意されるが、ほんとに簡単な食事である。値段を気にしなければホテルに他のレストランもあるし、新高輪プリンスのほうからちょっと出ればロイヤルホストもある。また品川駅まで戻る人も多く、たくさん食事をするところはあるので、事前の申込は必要ないかもしれない。会場内でお弁当やおにぎりを食べている人も結構いた。私は朝食べて昼食は食べなかった(ダイエット中なのでいつものことなのですが・・。おかげで眠くならずに済んだ)。

 会場の冷房がきつい場合があるので、あんまり、うすい格好でいかないほうがいいかもしれない。ブランケットが50組貸し出されていた。

 事前講習会に出る前の勉強の準備であるが、学校に通っている人は、ラインマーカーを引くよう指示されているところを新しいテキストに転記し、また、書き込みも転記しておくことが望ましい。とても当日講師が指示される場所を探しだし、しかも付加情報を記載している時間的余裕はない。ものすごいスピードで進むからである。その意味ではインデックスをフランスは地方別、その他の国は国別に張っておくとよい。イタリアの講義が終わると1カ国10分ペースで、しかも順番どおりに講義するとは限らないからインデックスは貼っておいてとても重宝した。学校に通っていない人は少なくとも過去10年分の過去問集を購入し、全部解いて(内容がわからなくてもいい。先に答えを見てしまう。たぶん1日3時間を1週間あれば余裕でできると思う)テキストの該当箇所をラインマーカーで引き、年度番号を書きこんでおくと良い。これは学校に通っている人もおすすめの勉強である。その作業をすることで、講師の講義内容によりその年のポイントがわかるので、対応しやすいと思う。

 事前講習会の持ち物であるが、ラインマーカー1本とシャープペンシル、消しゴムで十分であり、他には使わない。学校での指示のラインマーカーは薄い色にして、事前講習会ではより濃い色で重ね塗りをして色をにじまないようにするとよいかもしれない(老爺心)。

 なお、テープレコーダーは2〜3年前から持ち込み禁止になったようである。まったく勉強していない人にはつらいが、学校で勉強している人はむしろ講義に集中できてよいかもしれない。テープ録音しているとその行為自体、気になってしまうしね。

 初日の夜,、TWSの人は知佐先生が声をかけ、ひまな人は居酒屋で「軽く」飲みましょうということで誘われ20人ほどが集まった模様。結局、ビールやワインなんかで夜の11時ころまで飲んでいて、隣の女性は「どうやって家に帰ったかわからない」とおしゃっていました。

 私はキューバ大使館で大使自らシガーアドヴァイザーの認定証を渡され、ツーショットで撮影していただいた後、お祝いの意味も込めて、一緒に合格した仲間とル・ブルギニョンでディナー。その日は高輪プリンスに泊まる(通常朝食つき1万7000円が講習会や本試験関係の宿泊は1万4000円になる)。チェックイン、チェックアウト12時なので、初日は昼寝までできた。また、本番前日に泊まれば、午前中一杯、部屋で勉強ができるので最後の追い込みにはいいかもしれない。 
 
 二日目。
 まずはテイスティングの理論と実技。剣持春夫講師。香りのところなんかはいろいろと勉強となることが多い。受講生もグラスが2客用意され、白、赤1杯ずつテイスティングさせられる。前日ちょっと多めに飲んだので、テイスティングがきつい。

 次はドイツ。越田善夫講師。今回の講義の中ではもっともポイントを絞りやすい講義。ドイツの勉強の範囲はきっちりと定まったはずである。

 次はお待ちかねイタリアの荒井基之講師。どんなギャグが炸裂するかと楽しみに待っていた。イタリア国旗の携帯バンドを胸にかけて、相変わらずの伊達男ぶり。冒頭「イタリアは足の形しているんです」。と、やおら、前に体を乗り出して、「ほら」っと片足をあげ、「ちょっと短いんですが・・・」と先生、会場のほうをちらっと見ると、(私を除いて)誰も笑わない。これで調子をくずしてしまったのか、以下ややお勉強モードの説明が続く。キャンティのところでも、何かギャグを言ったらしいがこのときはあいにく気づかず、先生「やっぱだめか」と小さく独り言を・・・。そして、次はグラッパの説明で、絞りかすで作るのはフランスではマールと言いますね。ということで「私、昨日、営業中にグラッパ3杯も飲んじゃいまして、それで・・・目がマール・・・(少し笑い)・・・最後はグラグラパーになっちゃいました〜(少し笑い)・・・」。・・。講義終了後、最後の最後に何か言いたかったようなんですが、司会の方が引き取ってしまって、不発。でも事前講習会ですので仕方ないですね。とにかくドイツイタリアはものすごいスピードなのである。大笑いしたい方は渋谷のお店に行きましょう。なおDOCGは24を覚えればいいようです。2個増えたものは参考までにという感じの説明でしたので(責任はとりません。あしからず)。

 次がスペイン、ポルトガル、オーストリア、ハンガリー、スイス、ギリシャを小笠原信之講師。みなさん、協会の副会長とかマスターソムリエというよう方ばかりなので、講義にも威厳がある。この先生もポイントを押さえてくれるが、80分で6カ国全部の講義を受けるというのはかなりつらい。みっちりと詰め込まれ、息をつく暇がない。

 次は新世界のワイン。疲労はピークに。アメリカ、カナダ、アルゼンチン、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ。ここからはまだTWSでもやっていないので、未知の領域である。新世界ワインの共通項というところから講義が始まる。講師は林暁男講師。にこやかな講義で言葉も明瞭で聞き取りやすい。

 次は、ワインの購入管理。ワインアドバイザー選手権第1位という酒屋さんにお勤めの大橋健一さんが講師。ここも普段勉強しないところなので、興味深い。インポーターの存在も大切だなと思わせる内容である。

 いよいよ最後になった。石田博ソムリエによる、ワインのサービスについての講義と実演。講義のほうではコルクに異常がなさそうでもブショネということもあるということを聞いたのが少し収穫。実技のほうに移る。まったくのアリーナ席なので気分だけはトゥールダルジャンでサービスを受けているような感じでした。きちんと、シャンパーニュのサービスの手順、パニエの使いかた、デキャンタージュの手順やなんかもメモしてきました。エキスパートの人でも自宅でワイン会を主宰したりするときには必要な知識です。デキャンターやボトルを上げるときに、そのまま真上にあげて少し置けば1滴グラスの中に落ちて、しずくを拭く必要がなくなるというのも役立つ実践知識であった。

 最後に受講終了証みたいなものをもらって解散。

 過密な二日間を乗り切り、とにかく疲れ果てました。
 でも、また一つ、ステップをクリアした感じがします。



その29 2003.7.14

 おとといはTWS第20回 アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドである。各地区の名称、位置、特徴を覚えるのがポイントかなと思う。事前講習会での成果がすでに講義になって現われる。スピードは速い。
 TWSでの講義もあと3回ということでなにやらさびしいものがある。もっと教えていてもらいたいし、スクール仲間にも会いたいし・・。まあ、でもきっとずーとお付き合いしていくことになると思うのでそこらへんは大丈夫。
 最近、他の学校(T辺Y美さんのところ)に通うご夫婦と知り合いになれたが、ご夫婦は私のHPをワインエキスパートで検索したら出てきたとかで、知り合いになる前からこの受験日誌楽しみにしてくれていたみたい。TWSはじっくり教えてくれてうらやましいとも言ってました。あちらは1週間に8カ国一気にやるそう。
 毎日1時間30分勉強すると言いながら、すぐに時間がたってしまい、勉強して勉強しても時間が足りない感じがする。毎日毎日の積み重ねが人生という先生のお言葉(ちょっと照れてました?)身に染みます。
 ちなみに先のご夫婦は察するに夜お酒を飲まずに勉強しているようで、8カ国1週間はきつすぎるとぼやいていたので、それにくらべれば4カ国1週間というのはまだいいほうかもしれない。
 いくつか情報交換をしたのですが、あちらの学校ではイタリアは州ごとに切り離し、パズルにするというのがはやっているそうだ。そうすると州の名前と順序を覚えるし、裏にDOCGとかDOCを書いておけばさらにすばらしいとか。いろいろな勉強法があるものです。



その30 2003.7.22

 TWS第21回 いよいよ各地巡業シリーズが終わった。軽い世界旅行をした気分。
 それまで、ヨーロッパなんてどこにどんな国があるかわからなかったし(ちょっと誇張)、義理の兄が住んでいるアメリカも彼の勤務先や故郷であるワシントンやアイダホがカリフォルニアの近くでどこら辺にあるのかなんてわからなかったので、とてもいい勉強になった。
 今回勉強した国はチリ、アルゼンチン、南アフリカ、日本。講義のほうも講習会の情報に基づいて行われるので、実践的。

 さて、三連休だったが、土曜日はTWSとケーキの会。昨日おとといこそ2時間ずつくらいやりましたが、いろいろ雑事もあってなかなか勉強に集中できない(というか疲れもあって、意欲がわかない)。最後に帳尻あわせをするのだろうという予感がひしひし。しかし、ダルマジで献杯だけは避けたい今日この頃。

 シモン・ビーズに嫁いだ千砂さんの本を読了。世界でいちばん贅沢な生活というタイトルだったけど、ブルゴーニュのドメーヌの1年が描かれていてとても興味深く読んだ。サヴィニーの村って結構こじんまりしてるんだと思ったり、天気が勝負の世界であるなとか、面識のある人の名前もちらほらと出てきてさらにおもしろい。うちの娘をブルゴーニュの著名ドメーヌに嫁にやる(なんと時代錯誤な発言)計画をたてているが、千砂さんはお父様がプロ野球の投手で、奥書を読むとミス・ソフィアだったそうな、ちょっとくじけてしまいました。ちさという名前は美人が多いなんて(ちょっとよいしょ)、ね知佐先生。というわけで、あと1ヶ月です。



その31 2003.7.28

 おとといはTWS第22回 本日はワインと料理の相性。これまでに出てきたテイスティング時の相性料理や講義中の各地の地元料理やチーズとワインの相性の話は自分でも勉強したし、まとめてあったのでちょっと楽でした。 試験となると別ですが。

 その後のテイスティング。苦手のボジョレーはキャンディ香が強かったので間違えなかった。ピノも前日にACブルゴーニュをたまたま飲んだせいかもしれないが正解。白ではミュスカデをアリゴテと間違えた。シャブリも含め弱点項目なので、急遽ネットで何種類か購入して修行せねばなるまい。体にしみこませるほかない。
 
 テイスティングコメントではスパイス系が気になっている。よくわからないのもあるからだ。そこで、夜のお誕生パーティーまでの時間をつぶして紀伊国屋でスパイス探し。
 結局、シナモン、レモングラス、八角、丁子、甘草、エストラゴンの各スパイスとブラックベリージャム、カシス(黒すぐり)ジャムを購入(4000円強)。一人では使い切れないのでスパイスは小分けして(なんか○ャブの密売人みたい)受験仲間に売りさばこうかな。末端価格はいくらになるのだろう。 

 香りの本が出ている。きいろの香り。富永敬俊さんというボルドー大学で白ワインの香りの研究をしている方の本である。寝る前にちょっと読み出したのであるが、すべての香りは化学分析の結果元になる化学物質があってそれに由来するということで、これまで主観的に〜の香りなどとコメントしていたのであるが、機械がコメントできる客観的な世界なのだなとちょっとびっくり。あんまり固い本ではないのでよいこの皆さんも十分読めると思う。ただ、まだ読み始めたばかりなのでこの話はまた。ただヴィノテークでは☆☆☆がついて最高得点だった(めったにない)。

 いよいよ1ヶ月を切り、受験仲間にもあせりの色が見え隠れ。また試験前の模試とかテイスティング講座なんかも特設でなされるそう。



その32 2003.7.30
 前回のワインとお料理の相性。勉強をしてみたところ、原語の意味がわかっていないものが多いことを発見。仏和辞典、伊和辞典、ラルース・フランス料理小事典なんかで調べてみるとおもしろい。たとえばフォア・グラ(Foie Gras)。フォアが肝臓、グラが肥満したという意味。バターはブルー(beurre)。コンフィってなんだっけ?リエットってどうやってつくる?このソースはどうやって作る??などなど、簡単な料理や言葉でも知らなかったものもワインの勉強をしていると自然と身に付いてくる。フランス料理、フランス語など深く学びたいなあと思う今日この頃である。



その33 2003.7.31
 最近ちょっとだけ悩んでいることがある。というのもこれまで作った試験用のノートの存在なのである。ご存知のように事前講習会に出るとかなり試験の範囲が明確となり、講師が言及したこと以外はほぼ出ないと考えていいようだ(注:責任は持ちません)。
 そうするとテキストに講習会のとき引いたアンダーライン部分を中心にテキスト主体で勉強していいか、それとも慣れ親しんだノートを主体にするかという悩みなのである。
 前者の欠点は、7月まで勉強していた前年のテキストとちょっとだけ内容が違う分ページ全体のイメージも変わってしまい、なんとなくしっくり来ないのである。
 後者の欠点は、情報的に講習会の講師言及箇所と違う(情報過多だったり、逆に情報が足りなかったりする)のである。
 去年のテキストに講習会言及箇所を移記すればいいとか、ノートに講習会言及箇所を移記するかとか、欠点の克服方法があると思うがいずれにせよ、ちょっと時間もないしやってられない。
 小さなことかもしれないが、ここ1ヶ月に来て意外と悩ましかったりする。

 ぽちぽちと他のスクールなんかの情報も入ってくる。ADVでは、直前のまとめ集を有料で頒布しているそうだ。試験間近という感じであるが、今週末は恒例の山登り。今年はパスにしてと言ったが、友人は許してくれなった(笑)。というわけで、気分転換をしてきます。山に登ってまでピロピロバロンコンテストなんて呪文を唱えていたら不気味だろうなあ。

 書き忘れたが、1ヶ月前くらいから、ようやっとボルドー、ブルゴーニュ、イタリアの地図をトイレに張り出した。イタリアは州名のほかDOCG、DOC、品種、カラーが記載されている。ブルゴーニュは一見して、村名が答えられるようにするのが目標。