アンリ・フレデリック・ロック氏を囲む会  2003.11.11 オストラルにて。


昨日は、銀座オストラルで、ドメーヌ・プリューレ・ロック氏をお招きして、彼の造るワインを飲む会(ワイナリー和泉屋さん主宰)。

ロック氏は、ヴィレーヌ氏と並ぶDRCの共同オーナーであり、DRC復興の祖であるアンリルロワの孫でマダムビーズルロワの甥にあたるというという話。


                       

 ロック氏                           オストラルのお料理
 ジャンレノの似てるといえば似てる。


今回ロック氏が有する二つのモノポールをテイスティングする機会に恵まれた。

ニュイサンジョルジュ・クロデコルヴェ97.98.99.00
ヴォーヌロマネ・クロ・ゴワイヨット00

料理
フランス産ウズラと手長海老のファルス イチジクとオリーブのソース
真ダラのポアレ 白いんげん豆の煮込みと赤ワイン風味ベーコンのキャラメリゼ
豚肉とフォアグラのキャベツ包み マデラ酒風味のソース
8種類のエピスでローストしたラ・フランス 蜂蜜のアイスクリーム

まずはロック氏から飲みだす前の説明

クロデコルヴェのコルヴェは領主に納める租税の意味である。当初分割所有されていたが、あのリジェ・ベレールがぽつぽつと買い集めて、畑の個数が減っていった。そして、20世紀にボアションという人がすべてを買い取り単独所有の畑となった(1級畑、5ha)。この畑は14cから耕されている。レ・クロ=最も優れた区画だった。70年台、80年台は化学薬品を使いすぎてワインの品質を落とした。90〜91年、ボアションと話し合った。当方は全部欲しいという話をしたが、彼は部分的になら売ってもいいという話だった。その後その畑の仕事自体はうちでやったが、95年にようやくモノポールで買い取らせてもらうという契約が成立したので、95年がファーストヴィンテージである。テイスティングの順序について不思議に思うかもしれないが(古い順からサービス)、この畑どんどんよくなっているので、その進化の過程を見てもらいたいからである。2002年のクロデコルヴェは3000本の生産となったが、とても満足のいく出来であった。

1、クロデコルヴェ97 
 ロック氏 この年は葡萄がよく成熟した。非常に豪華なワインである。96の後で過小評価されるが、90の後の91同様、インテリジェントなミレジムでよく力を発揮している。
 私のメモ 色はエッジにオレンジが混ざり、かなり熟成している様子が伺われる。ノンフィルターのせいか、もやがかかったような感じ。
 香りは梅酢、カカオの印象。味わいは酸味をやや感じる。渋みはおだやかで果実味も落ち着いてきている。十分な飲み頃を迎えている。

2、クロデコルヴェ98 
 ロック氏 97に比し、酸が強調されたヴィンテージ。フレッシュで、野性的ながっちりとした力強い料理に合う。1haあたり、17〜18ヘクトリットルと終了はとても少なかった。
 私のメモ 色は赤味がかったルビー。香りはフランボワーズ、ストロベリーのイメージ。ストレートなタンニンが酸味を覆い、後味にもタンニンの印象が残る。

3、クロデコルヴェ99
 ロック氏 あるアングロサクソンの評論家によれば世紀のヴィンテージと言われている(90.95.96.99)。ワインはすごいボリュームを持ち、多産であった年。畑の仕事もうまくいった、。酸と糖のバランスがうまくいった。醸造する前から出来上がっていたヴィンテージと言える。現在でも飲めるが、もう少し置いておきたいワイン。
 私のメモ 色 クリアで赤味がかったルビー。黒い果実、皮、インク、茎、そして素晴らしいワインのとき感ずるチーズの香り(同じ印象を持った女性が同席していて、自分だけの感想ではないことがわかってよかった)。味わいまだ、固いが酸味、甘み、渋みのバランスがとてもよい。今後の素晴らしい熟成を期待させる素晴らしいワイン。

4、クロデコルヴェ00 
 ロック氏 料理のじゃまをしないワイン。豆腐や松茸にあわせてみたがとてもよく合っていた。繊細でデリケートで喜びに満ちたアフターも長いヴィンテージ。
 私のメモ 淵にオレンジがかたルビー 香りは黒糖、メントールのイメージもある。味わいは、すでに熟成を感じさせ、そういう意味ではバランスがよく飲みやすく、料理にもあわせやすい。97と似た感じ。


5、ヴォーヌロマネ クロゴワイヨット00 
 ロック氏 クロデゴワイヨット 知られていていないクロだった。なぜなら、所有者の自家消費用にリザーブされたワインだったから。1863年当時、1.1ha当時は2500〜3000本の収量(現在よりも少なかった)。1850年〜1860年になされたブルゴーニュの格付けでは生産量が少ない畑は格付けの対象とならなかった。1920年にフィロキセラ。当時の所有者がすぐに植え替えなかったのが幸いだった。1929の世界恐慌のためどうせワイン売れなかったので植え替えをしなかったそうである。果物やネギ、実用的な植物が植えられたりしていた。そして、1964年最適な状態で植え替えられたのである。64〜73年。バルクワインとして、ヴォーヌロマネのネゴシアンに売られた。長い間クロデゴワイヨットというクロとして認識されてこなかった。1979年ロック氏、この畑を見て、雷に打たれたような恋に落ちた。、その当時はまだプロの醸造家ではなかったがほれ込んでしまった。1987年、この畑が売りに出ているのを知り、その話に飛びついた。1988年が1stヴィンテージである。96年は中でもフィネスに飛んでいて、このワインの前に出るものはいない。クロドブージョがクラッシックで非常にガッチリとしたワインであるのに対し、非常にバロック風(優雅で豊かなワイン)である。伝説的には、クロデゴワイヨットはロマネコンティの始祖であるコンティ公が最初に買った畑の一つと言われている。この畑は偉大な所有者に買われていたのだ。
 クロデコルヴェとの比較で言うと、コルヴェがマッスルでリッチな印象とすると、ゴワイヨットは知的な印象。チャーミングで、タンニンの肯定力(?)がビロードのようだ。現在も2000〜3000本の生産。
 私のメモ。 00コルヴェよりも若干濃い。ちょっと焦げた香り、梅カツオの香り。キュートなアタックから酸味を背景に静かにフェイドアウトしていく。

質問コーナー(会場から)

1、樽はどこの樽を使っていますか。DRCと同じフランソワクレールを使っている。トロンセ、ありエール、とくにベルトランシュが多い。
2、88年〜 質疑応答聴き取れず。
3、DRCのボトルと同様ボトルが重いけど・・・? ロマコンと同じではない(他には一切使われていない)。光線を遮断してワインの品質を保持。クラッシクな17・18Cのころの瓶を踏襲している。
4、プリューレロックのエチケットのマークの意味はどんな意味なのですか。
 青は植物が生きている生態系を表している。黄色は神を現している。神は象徴的なものではなくて、皆さんを含めての意味である。赤は葡萄の粒を現している。エジプトの競技10万年前の表記である。昔の表記を解読して現在的に表したものである。このエチケットは、人、葡萄、生態系、植物のサイクルなど欠かすことの出来ない存在である。見事にワインのことを現しているのである。
5、ビオディナミについて。これは新興宗教のセクトのようなものがある。特にビオというような考えで造っているわけではなくて、14c当時の薬品なんてない時代〜すなおに伝統的なブルゴーニュのワインを作っていこうという意味で造ってるだけだ。だから、ボトルにもあえてビオとか書いてないのである。ビオとか書く人はなにか逆に薬品を使っている人が入れる意味があるのだろう。


以上が、ロック氏のランチパーティーの概要である。

ワインを提供してくれたインポーターのサントリーさん、和泉屋さん、オストラルさん、そして、席を御一緒していただいた3人の方(ちんさん、朝見さん、福島さん)、どうもありがとうございました。

オストラルさんは初めて伺ったが、銀座のB6出口から1分という交通至便な場所にあり、新宿からも丸の内線で1本なので、今後改めてディナーに挑戦してみてもいいかなと思いました。たしかにデザートが特においしかった印象です。