ペスケーラのオーナーアレハンドロ・フェルナンデスさんとのバーベキュー大会


200311.03

 皆さん、アーネスト・シンガー氏を知っていらっしゃると思います。インポーター「ミレジム」の代取であり、パーカーさんの有名な「ボルドー」の翻訳者である。シンガーさんの別荘で、大好きなスペインワイン「ペスケーラ」のフェルナンデスさんとご一緒できるかもと聞き、ぜひお会いさせてほしいと頼み込んで、なんとか末席に滑り込ませていただきました。
 フェルナンデス御夫妻は気取りのないまったくほのぼのとした方たちで、人柄のよさがただよってくる。「エンカンタード」とあいさつをさせてもらった。同行していただいた植原先生をまじえ、パーティーの始まる前、少しお話をした後、97のクリアンサが私のセラーに入っていたので、息子のヴィンテージだからとサインしてもらったり、写真も一緒に撮ってもらいました。もちろん、撮るときには「ペスケーラ」の掛け声とともに。

  
   左 植原先生 右 フェルナンデス氏
   真ん中 そこらへんにいた人

 ホストのシンガーさんはアメリカ人らしく(日本語はぺらぺら)ギャグ満載で多方面に気を配る。バーベキューがメインであるが、割烹の御主人2名、中華料理店の御主人が参加でしたので、御寿司やおそば、中華料理も披露された。
 それらのおいしいお料理にあわせて、フェルナンデスさんの作るワインをテイスティングされた。

1 2001 Condado de Haza 今回試飲というか、全部飲み込んでいるのであるが、出されたワインはすべて赤ワイン。炭火で焼いたレアの牛肉はばっちりと合う。まず日本でもよく見かけるアサからスタート。
2 1998 Dehesa La Granja サモラという北の方の州に畑を探して作ったもの。
3 2001 El Vinculo Crianza 甘いタンニンを感じ、女性に人気があり、とても生産量が少ない人気のワインだとか。ラマンチャに畑を探して作ったもの。
 「サモラとかラマンチャにどうして可能性を探してテンプラニージョを作ったのでしょうか」と私が質問をしたところ、「どんどんすたびれる地方の畑をそのままにしていては悪循環で、ダメになるばかりなので、そういうところでもおいしいワインが作れるんだということを証明して、スペインのワイン業界にもっとがんばってもらいたいという気持ちをこめている」というお答えでした。
4 1997 Alenza 除梗をせず、また葡萄の実を足で踏んで作るという伝統的なワインの製造法で作ったワイン。フィニッシュに渋みを感ずるのはそのせいであるということでした。97は収穫がとても難しい年であったということ。この年のアレンザは高い酸を感じ、すでに熟成香が出始めている。
5 1996 Alenza アレンザは、コンダドデアサの畑の最高のキュヴェを使い、ペスケラのハヌスを超えるワインを目指して作ったというワイン。96のほうがやはりヴィンテージがよかったせいかとてもおいしい。
6 1996 Tinto Pesquera Gran Reserva いよいよ、ここからペスケラ。96のグランレゼルヴァは豊満なイメージ。
7 1995 Tinto Pesquera Gran Reserva 96に比べるとエレガントな印象。すばらしいワイン。
8 1996 Tinto Pesquera Gran Reserva Millenium 1.5l そして、最後にミレニアム記念に瓶詰めされたスペシャルキュヴェ。これまでのワインがすべてアメリカンオークを使用しているのに比し、このワインだけはフレンチオークを使用している。ペスケーラの個性が甘くて飲みやすいワインだと思っていたのは、このアメリカンオークのせいであった。植原先生とも話していたのであるが、テンプラニーリョにはアメリカンオークの方が相性がよいかもしれない。フレンチオークを使ったというこのワインはずばぬけてエレガントな印象になり、魅惑的なというようりも、洗練された印象(ちょっと他のワインに比べるといわばとっつきにくさ)を感じたのも正直なところである。

 さて、この日、山梨の有力なワイナリーが4社集まった(メルシャン、中央、丸藤、勝醸)。それぞれ甲州を持ち寄り、フェルナンデス氏にテイスティングしてもらおうということで、各社2〜3本のボトルをテイスティング。こちらは飲まずにまさにテイスティングをさせてもらった。

 

1 メルシャン甲州シュールリー2002 ステンレスタンク 6ヶ月シュールリーCO2が残った段階でロットリング。
2 ルバイヤート甲州シュールリー2002 バナナやメロンの香りがする。6ヶ月シュールリーし、5月にリリースされたもの。6ヶ月間は1ヶ月に1度、バトナージュする。冷凍処理はしない。ベントナイトを使わず、紙を使って濾過する。フェルナンデスさんの質問と丸藤某社員の方の質疑応答は次のとおり。
フ スペインでは自然酵母を使っているが、御社では?
丸 乾燥酵母を使っています。リスクを回避するためです。
フ 当社では薬剤を使うと発酵しにくくなると思って使っていない。
3 グレース甲州2002 菱山 標高が高いところで作られている。やや酸が強い印象。
4 シャトーメルシャン グリドグリ2002 甲州本来の色であるグリ色を忠実に醸した マセラシオン、スキンコンタクトなどの手法を使うことによって。とてもシャープな印象。レベルの高い感じ。
5 ルバイヤート 甲州 2001 フレンチオーク発酵 1あきないし2あき樽を使用。マロラクティック発酵100%。酸味が強い。
6 勝沼醸造 樽発酵2002 トロンセ、ありエールなどのフレンチオークの新樽率25%。果汁を絞ってすぐに凍らせることにより、水分を除去し、糖分量を数度引き上げる(24〜26度)。独特なアロマをもたらすことができ、他社の甲州とはやはり全然別物という印象を受ける。おいしく感ずることは事実。フェルナンデス氏も興味を持ったようだ。
7 グレース ヴィンテージ甲州 リンゴの香り、酸味を感ずる。
8 勝沼醸造 2003新酒 ヌーヴォードライ 
9 ルバイヤート 新酒サンプル2003 2番のワインになるべく現在発酵中。
10 グレース新酒 鳥居平の畑でできる。まだ発酵中。グレースワインの特徴か、他社に比べ、酸がやや強いという印象をすべてのワインで感ずることができた。
 
 10本の甲州をテイスティングし、フェルナンデス氏も山梨の甲州種のレベルの高さを感得してもらえたようであった。
 
 とてもほのぼのとしてフェルナンデスさんのお人柄で素晴らしいワイン会となり、そのような会に参加させていただいたことに感謝。