甲州種のDNA鑑定につい

 プロジェクトの一環として甲州種葡萄のDNA鑑定をカリフォルニア大学ディヴィス校のファンデーション・プラント・サーヴィス(以下、FPS)に依頼、その結果、「甲州種は純粋なヴィニフェラ品種でないことが判明」した。

 鑑定には山梨県内10箇所の異なる葡萄畑から採取した甲州種の葉10サンプルを送り、世界の主要なブドウ栽培地域から収集した700以上の葡萄樹照合プロフィールと照合。

 結果、甲州種はFPSのデータベースにも類を見ないまれな品種で、日本以外では存在が明らかではないとの見解が示され、今後の研究課題となる。

 これまでヴィニフェラ品種と信じられていた甲州は、ヨーロッパからシルクロード→中国を経て日本に伝来するどこかの時点で東洋系品種と交雑した可能性が高いハイブリッドである。

 DNA鑑定で得た情報は、醸造用甲州種栽培のクローンの改良に役立つと考えられる。日本のワインの品質向上のためのクローン改良は10年20年を要する長期プロジェクトである。

以上、ヴィノテーク9月号58p抜粋