飲酒運転のページ

山梨県人は飲酒運転が多いような気がします。東京都など大都市と違い、
交通網として自動車に頼らざるを得ないからだと思います。しかし、このところ
飲酒運転に対する規制が非常に強くなっています。
そこで、ちょっとまとめておきます。


まず、改正道交法が2002.6.1より施行されました。飲酒運転の重罰化が盛られています。
まず、

酒気帯び運転(道路交通法65条)

これまで呼気1リットルにつき、0.25ミリグラムのアルコールが検出されると酒気帯び運転でした。
昔はビール大瓶1本では絶対出ないなんて言われてました。2本飲んで出るかもという程度でした。
しかし、改正法により、現在は0.15ミリグラム以上であれば酒気帯びとなります。
大体0・15ミリグラムというのはビール大瓶1本体重70キログラムの人で15分経過後に出る数値です。
ワイン日本酒ですと体重70キログラムで1合(=180ミリリットル)、ワインですと8杯取りでグラス2杯分で
15分経過後に出る数値です。たとえばワインボトルで半分飲むと3時間経過してようやく0.15を下回るか
どうかという程度です。今後は酒を飲んだら大体は酒気帯びになると覚悟したほうがいいと思います。
これまで刑事罰としては3月以下の懲役又は5万円以下の罰金でしたが
1年以下の懲役又は30万円以下の罰金となりました。行政罰上も、6点から呼気1リットルにつき、0.15ミリグラム
以上0.25ミリグラム以下は6点、0.25ミリグラム以上は13点まではねあがりました。13点という数字は一発で
免許停止です。過去3年以内に免停を1度でもくらったことのある人は免許取消、欠格1年という重い処分となります。
刑事罰上は最初からいきなり公判請求(執行猶予)ということはなく、2〜3回くらいまでは罰金でしょう。
4回目(ひょっとすると3回目)からは公判請求で最初は執行猶予。さらに執行猶予期間中であれば
実刑数ヶ月、執行猶予期間経過後であれば、さらにもう一度くらいは執行猶予にしてもらえるかもしれません。
元検事さんの感想によると、最初は罰金10万円、次が20万円、3回目で公判請求になるかもねという感じです。
 
 なお、公務員の処分関係ですが、
本年5月19日の事故であるが酒気帯び、ひき逃げ、業過傷害(2週間のけが)で懲戒免職となりました。
酒気帯びだけの場合、旧法の時代(昨年8月)には減給処分。
酒気帯び+物損事故を起こした場合に、旧法時代(昨年12月)停職1ヶ月となっている。
山梨県も今回の改正を受けて処分基準を改めた旨の新聞報道がなされているので、重罰化
の方向性と思われる。
2002年11月段階では、郡山市が酒気帯びだけで停職3ヶ月、酒気帯びあるいは無免許プラス人身で免職という基準を
公表しました。他の市町村でも酒気帯びだけで停職15日という例があるので、酒気帯びは停職処分というのが
現在の傾向です。


酒酔い運転(道路交通法66条)

 これはアルコール濃度とは厳密な関係はなく、アルコール等の影響により正常な運転ができないおそれがある
状態」で車両を運転することをさします。例えば、直立不動が可能か、歩行困難な状態ではないか、
言語能力は正常化などを調べた上で判断するものです。これは飲酒検問の際風船を吹かされるのと
同時にチェックされます。はい、まっすぐ歩いてみてとか片足で立ってみて〜とかやられるそうです。
 さて、その刑事罰ですが、これまでは2年以下の懲役または10万円以下の罰金でしたが、
3年以下の懲役または50万円以下の罰金となりました。
 行政罰上は15点から25点にアップしました。この点数ですと前歴がなくても欠格2年の免許取消です。
飲みすぎで、ろれつが回らずまっすぐ歩けないほどだと罰金が数十万の上、免許取消です。
 警察の検問の直前に停止して飲めば大丈夫というようなノウハウも本に書いてありましたが、この前新聞で、
鑑定の結果、直前の飲酒ではアルコールは検出されないという鑑定結果に基づき立件されたケースがありました
から、無駄な抵抗となってしまいました。



危険運転致死傷罪(改正刑法208条の2)

 また、2001年11月刑法が改正され、危険運転致死傷罪いうものができました。これは2001.12.25から施行されています。

 アルコール又は薬物の影響により「正常な運転が困難な状態」で四輪以上の自動車を走行させ、
人を怪我または死に至らしめた場合本罪の適用があることになります。「正常な運転が困難な状態」
というのは酒酔い運転の構成要件である「正常な運転ができないおそれがある状態」よりも重い概念
と思われますので酒気帯びや飲酒運転よりも程度のひどい場合をさすものと思われますが、実際にどの
ような程度なのかは今後の立件の積み重ねによって定まっていくというほかありません。
大体刑罰とかの程度からするとなんと傷害致死傷罪とほとんどかわりません(致死罪の刑罰の下限がほん
の少し軽い程度)。
 飲酒運転によって交通事故を起こし被害者に怪我をさせた場合、従来は業務上過失致傷罪として
過失犯と扱われ刑罰上も5年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金でしたが
10年以下の懲役となりました。示談とかができないと1回でも公判請求となる可能性があると思います。
まだこの種の事件は扱ったことがないのでどのような処断となるのか勘所がわかりませんが、
かない厳しいとみておいた方がいいでしょう。重傷の場合示談ができないと実刑の可能性もあると思います。
従来は任意保険に入っているから賠償面は大丈夫だとされていました。今後これまでと同じような示談方針で
よいのか、保険金とは別枠のお見舞金の支払いなど違った方針が必要になるかもしれません。
 では飲酒運転によって交通事故を起こし被害者を死亡に至らしめた場合はどうでしょう。
 従来は業務上過失致死罪でしたが、今後は危険運転致死罪として故意犯の取り扱いを受け
1年以上15年以下の懲役
となります。まずこの場合は実刑でしょう。
仮に示談ができたとしても実刑となる可能性すらあります。
 危険運転致死傷罪の行政罰ですが、45点という点数で、免許取消欠格5年です。
したがって5年間は免許を取ることすらできないことになります。

 代行業者が儲かり、お酒を提供するお店には厳しくなったといえますが、加害者も被害者も過酷な案件なので
これくらい厳しくしないとだめなのかもしれませんね。