Bellini  

 「ベリーニ」は、御存知のようにヴェネツィアのサンマルコ広場にあるHarry’s Bar から生まれたカクテル。ハリーズ・バーは、1931年、ジュゼッペ・チプリアーニ氏がオープンしたレストランである。

 この店は、ヘミングウェイの小説「河を渡って木立の中へ」に実名で登場、エリザベス女王や常連だったヘミングウェイ、オーソン・ウェルズ、チャップリン、トルーマン、ロスチャイルドなどの著名人が訪れる一流店となった。また、ベリーニの他にカルパッチョが誕生した所としても有名。

 さて、ベリーニは、ルネサンス時代のイタリア人画家ジョヴァンニ・ベリーニ氏(Giovanni Bellini 1430〜1516)に由来する。ベリーニはイタリアルネッサンス期の初期ヴェネチア派の画家であり、地理的にも経済的にも独立したヴェネチアで、父ヤコポ・ベリーニが、遠近法を学び、息子 のジョバンニがメッシーナより油彩の技術を学び、ヴェネチア絵画が発展した。ジョバンニは抑えた色調と感情表現を特徴とする。背景に自然光を取り入れた画家。

 

 マリアの手(生)とキリストの手(死)の色の対比

 1948年ベリーニ氏の展覧会(回顧展)をヴェネツィアで行なったときに、ベリーニ氏の使う淡い色調に触発されて、オーナー・ジュゼッペ・チプリアーニがカクテル・ベリーニ作ったという。このカクテルは大ヒットし、ハリーズバーには、専門の桃むき職人がいるとか。また、現在では冷凍のピュレを使うため1年中飲めるという。

 ハリーズバーのベリーニは土地のスプマンテ・プロセッコを使うのが特徴。

レシピ
プロセッコ(ヴェネト州の辛口発泡)グラス3/4 よくひやしておく。
白桃のピュレ(1個の半分程度) グラス1/4 皮をむき、種を取り、ミキサーでピュレ状にする
 シノワで漉してもいい。
ガムシロップ 小さじ1杯 グレナデンシロップに代えて色づけも可

ずんぐりとしたグラスに注ぐのがハリーズバー風とのこと。
発泡が飛ばないように底からマドラーでかき混ぜるとよい。
桃を多めに入れてトロッとさせたほうがおいしいという人も多い。