2003 シャンパーニュ


シャンパーニュワイン委員会
 ダニエル・ロルソン広報部長
 今年は8月の例外的な猛暑と同時に4月の霜害で大幅な減収を強いられた。シャンパーニュでは開花が非常に早い時期に始まったので、この時点で収穫も例年より早く9月1日頃に始まるとと予想された。しかし、8月の前半の猛暑で葡萄の成熟がさらに急激にすすみ、収穫開始は記録的に早いものになった。
 今年はコート・デ・バールのブリニー村(オーブ県)で8月18日に収穫を始めた。これは8月20日に収穫を開始した1822年の記録を塗り替えるもの。公式な収穫開始許可はオーブ県、オート・マルヌ県が8月21日、マルヌ県、エーヌ県、セーヌ・エ・マルヌ県が8月25日だが、畑によっては例外的に前倒しで収穫を開始できる特例措置が認められた。マルヌ県(エペルネ、ランスを含むシャンパーニュの中心部)でも一部8月18日の週から収穫が始まっている。しかし、コート・デ・ブランの大部分は8月25日から、そして、全てのシャンパーニュで収穫が始まるのは9月1日から。
 2003年産のシャンパーニュの収穫量は比較的少ないので9月8日までには少なくとも全体の80%が終わるのではないかと思う。
 地域により、畑によって収穫量はかなりバラツキがある。ある畑はPLCを含めて上限ぎりぎりの1万1400kgを収穫できるが、別の畑は基本収穫量1万80kgはおろか5000kgも収穫できないところも出てくるだろう。特にシャルドネの収穫量が低い。ピノ・ノワールとピノ・ムニエは霜害の影響が少なかったが、シャルドネは深刻な霜の被害を受けたからだ。
 霜害で枯死した最初の芽の横から出た副芽についた房がかなりある。第二世代だけでなく、時間的にずれて数世代の芽が出たため房の熟し具合には大きな差がある。第一世代の房の収穫を9月10日頃までに終え、こうした房を9月の末、あるいは10月始めにもう一度収穫したいという要望が強い。畑によっては2回、3回と同じ畑を収穫しなくてはならない。だから収穫はかなり長引く。
 猛暑で糖度があがった一方で、特にピノ・ノワール、ピノ・ムニエの酸度が低い。このため、葡萄の収穫を長引かせず、出来るだけ速やかに収穫し終えるよう指導している。総酸度がだんだん下がり、糖度が上がっており、搾汁の質が不均衡になる危険性がある。幸い、今年はまったく黴がついていない。房の健康状態は大変よい。いつもより収穫が約2週間早かったが、例年学校が始まって参加できない高校生や大学生を収穫人として集めることが出来た。だから収穫人確保はそれほど問題は出ていない。