2003 ドイツ



ドイツワイン基金(8月18日発表)
 記録的な早期収穫とともに、歴史に残る赤ワインの誕生が期待できそうだ。ドイツワイン基金総裁アーミン・ゲーリング氏は、「現時点では、赤ワインの最良の年となる見込みだ。葡萄は健康で、シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)は、エクスレ度が60を超えているものもある。内外の赤ワイン需要増加に伴い、ドイツでは生産地域の約3分の1を赤ワイン用葡萄栽培地域にしている」と語る。
 白葡萄の収穫は、4週間から8週間後と予定されている。品質は大変優れたものである。秋口の天候にもよるが、セレクションをはじめ、BA、TBA等の割合が大幅に増える見込みだ。
 ドイツワイン生産者協会会長、ノルベルト・ウェーバー氏は今年の収穫状況を次のように語る。「今年の夏季剪定は大変有益で、ワインの品質向上が大いに期待できる。今夏の乾燥した天候による水不足の可能性が緩和され、今年は特に若い樹が栽培されている畑で、より多くの生産者が安定性と品質の高い栽培に向け、灌漑を用いた。干ばつで枯れる畑は莫大な損害をもたらす。再生には1haにつき2万5000ユーロかかる」。
 ウェーバー氏によると、収穫は常にバフース、オルテガ、ズィーガーレーべなど早生品種から始まる。これらはフェーダーワイザーの生産に適している。ラインヘッセン、ファルツ、バーデン、ヴュルテンベルク地方では、ミュラー・トゥルガウ、シルヴァーナー、ドルンフェルダーの収穫が続く。アール、ザクセン、ザーレ・ウンストルート、フランケン地方では9月上旬に収穫が開始される。その約2週間後に、ラインガウ、モーゼル・ザール・ルーヴァー、ミッテルラインでリースリング収穫が始まる。
 今年は全栽培地域で平年より約3週間程早く、葡萄の熟成が始まっている。シーズン通しての降水量の低下から約900万hlの収穫が見込まれている。
喜びと共に今秋収穫されたぶどうは、現在期待と共にケラーで熟成されている。自然の恵みを最大限に生かした歴史的なワインの誕生は、生産者の腕にかかっている。

良い状態で収穫を終えたぶどうは、発酵を無事に終了し、フルーティーなアロマをよりいっそう引き立てる酵母(feinhefe)の段階に入っている。2003年ビンテージは、他のビンテージにはない多様なアロマとテイストを兼ね備えるワインになるだろう。

ドイツワイン基金マインツ本部は、「テーブルワイン(Literwein)さえモスト重量が90エクスレ度を上回る2003年ビンテージは、シュペートレーゼレベルの(非等級)ワインが多く市場に出回るだろう」と予測している。

(2004年)1月1日から販売が始まるカビネットクラスのワインは例年に比べ数量が少なく、同年3月1日に市場に出るシュペートレーゼ、アウスレーゼ、ベーレンアウスレーゼ、トロッケンベーレンアウスレーゼレベルのワイン数量は例年より遥かに上回ることが予測される。

2003年ビンテージ赤ワインも、国際的なトップレベルのワインに引けを取らない出来栄えが期待されている。赤ワインに使用されるぶどうは、白ワイン用ぶどうよりも日照時間が反映されため、例年にみない夏を迎えたドイツでは、歴史的な赤ワインの誕生に期待が高まっている。シュペートブルグンダーは今年100エクスレ度を記録した。9ヶ月から15ヶ月オーク樽で熟成され、ワインはパーフェクトなバランスを誇り、力強いアルコールと樽の香りを伴った素晴らしい出来栄えになるだろう。ブルグンダー種や、シャルドネも高度のアルコール度数を持ち、バリック樽で熟成されている。

2003年ビンテージは品質の向上に伴い、収穫量が例年の20%、地域によっては30%減少している。