2003 ボルドー


  夏の酷暑により収穫量は激減し、一部葡萄が焼けるほどであった。糖度は凝縮し酸に乏しいワインが多い。


以下、ボルドーワイン委員会
 ボルドーで収穫が公式に許可されたのは8月21日だが、辛口白とクレマン・ド・ボルドーの成熟の早い畑では、特例措置が認められソーヴィニョンの収穫が8月13日に始まった。葡萄は急速に成熟し、アルコール度数は高く、酸度が低い。アロマを保つことが不可欠となっている。最近の白葡萄の収穫が早かった年を振り返ると1997年=8月18日〜25日、1995年=8月31日、1990年と1989年が9月3日など。2002年は9月10日だった。白の収穫開始は通常9月前半。
 メルロは非常に素晴らしい成熟で、潜在性は申し分ない。最も早い場所では8月19日に収穫が始まっている。最近のメルローの収穫開始日を振り返ると1989年=9月1日、1995日=9月4日、1997年=9月3日〜8日、1990年=9月10日。昨年は9月19日に始まった。メルロの収穫開始はおおむね9月半ばだ。晩熟品種のカベルネは8月下旬の段階でまだ完全には熟していない。開花が長引いたため、生育は不均質で、これを考慮して最適な収穫時期を見定めている。
 今年はボルドーでも気候的な不運に見舞われた。雷雨と強い雹を伴った嵐がボルドー各地を襲い、幾つかの畑は雹と風で完全になぎ倒された。サンテミリオンを襲った4月28日の雹の被害は部分的だったが、6月24日の雹はグラーヴからアントル・ドゥー・メール、さらにサンテミリオンまで計6000haの畑に何らかの被害をもたらした。さらに、7月15日にはブライユ、メドックを雹が襲い、3000haで被害が出た。
 発芽が始まった3月は好天に恵まれ、平均気温は過去30年に比べて4度も高く、日照時間も過去30年に比べて60時間も多かった。一方、雨量は平均より46・少なかった。開花は早く始まったが長引いた。最初の開花はメルロの早い畑で5月20日、そして最初の開花のピークが5月21日〜26日、第2のピークが6月初めにきた。開花はもたついたため6月半ばまで続いた。この時点で予想された収穫開始は9月5日。
 6月初めの段階でメルロ、カベルネ・フランの受精、結実はかなり進んでいた。そして、7月に入り、メルロの色づきが例年より2〜3週間も早く始まり、今年の収穫が早まることが確認された。8月1日〜19日までの平均気温は32度と異常なものだった。この間一滴の雨も降らなかったが、20日未明に20〜50・の雨があった。
 各種の指標を長年に亘って保存しているボルドーのクルチエ、タスト・ロートン家によると、2003年の収穫開始は、これまでで一番早かった1893年の8月15日の記録を塗り替えるものだという。
 シャトー・オー・ブリオンでは8月13日から2.5haの白品種を収穫したが、生産部門の責任者ジャン・フィリップ・デルマス氏は「潜在アルコール度は14度に達しており、収穫葡萄の状態はパーフェクト。こんな年は経験したことがない」とルモンド紙に語っている。
 フランスワイン連盟(ONIVIN)の収穫予想はフランス全体で平年の5500万hl〜6200万hlより少ない5000万hl程度。ボージョレ、ブルゴーニュなどで収穫量が前年を下回る見込みなのに対して、フランス南部地域では不作だった昨年を上回る収穫が見込まれている。しかし、旱魃の影響が全体でどの程度になるのか不透明な面がある。
 また、ラングドックワイン委員会によると、ラングドック地方は、6月から乾いた天候が続き、その結果実は皮が厚く小粒なものになった。また、猛暑に襲われたが7月、8月にしばしば雷雨があったため、それほど旱魃に苦しめられなかった。さらに、極めて高温で乾いた天候が続いたためベト病をはじめとする病気の繁殖が完全に食い止められ、薬剤散布は最低限に抑えられた。2003年産の収穫葡萄は極めて健康で、旱魃で例外的な出来となった1976年のようになるだろう。