2000 ドイツ

夏そして10月の多雨で出来はいまひとつ。もっとも果皮の厚く頑丈なリースリングにとってはさほどの影響もなかったとも。もっとも12月中旬には貴腐が成就し、BA、TBAではすばらしいものができた。

2000年ヴィンテージ:稀に見る早熟

今年ほど品質にワイナリーの技術差が出た年は稀であろう。集約的な農作業を行ったワイナリーは、高品質のワインを瓶詰めすることとなろう。多くのワイナリーが収穫間近の数日間に、良質ぶどうの発育を阻害する腐敗ぶどうの削除を行わなければならなかった。多くの産地地域から「今年ほど早く収穫に取り掛かった年はない。」との声が寄せられた。また一方で、多くのワイナリーが高質のぶどうを得るために手摘みによる厳選収穫を行った。昼はどの畑も入念に手を加えられ、また多くのワイナリーが遅延なく樽詰を行うために、夜はワインセラーでの作業に終始する。今年はそんな収穫光景がドイツ各地で見受けられた。

ドイツワインにとって2000年は、これまでの現象的発育記録を覆すような稀に見る早熟の年であった。4月末から5月始めにかけては、ワイナリーの誰もが気候の変化を固唾を飲んで見守っていた。しかし、幸運なことに今年は晩霜は現れず、被害の報告もされなかった。非常に暖かい、時には初夏を思わせるような温暖な5月、6月の天候がぶどうの発育を異常なほど早めた。ぶどうの開花は既に6月に始まっており、これは永年の平均に比べて約3週間も早いものであった。
春時期の土壌への十分な給水と非常に良好な初夏なみの天候が、尋常ではない早熟をもたらした。これに反して、7月は比較的涼しく、また湿度も高かった。

意図的な収穫量の減少が良質なワインへの結実
ぶどう生育年における前半が各年の収穫量、引いてはワインの総生産量を決定する。今年のような早熟は、大収穫を予想されるに十分であった。多くのワイナリーは2000ヴィンテージのポテンシャルを最大化させるべく、ぶどうの着果を減らした。また、ヴィンテージの良し悪しは、発育段階で最も重要な8月中旬からの天候に左右される。早い段階からぶどうの発育が始まることは、長い時間をかけてぶどうが発育するので非常に良い。今年の8月は土壌にも十分な給水がなされ、涼しかった7月の天候を引き継ぐことなく、8月初旬には真夏日の天候に戻った。

9月中旬から10月初旬にかけてが、2000年ヴィンテージのピークとなった。手摘みによる厳選した収穫や、収穫初期段階での機械による収穫が、高品質な上級ワイン(QbA,QmPワイン)が期待できる前提条件となった。
モスト比重(エクスレ度)は夏時期の発育が非常に良かったことを示している。また、それに続く10月、11月の経過は、リースリングのような熟成が比較的遅いぶどうには良好であった。
「これまでに寄せられた収穫状況から判断するに、21世紀最初のヴィンテージは良好であり、非常に高品質な上級ワインが期待できる。」と2000年ヴィンテージの状況について、ドイツワイン基金総裁アルミン・ゲーリングは語った。

ドイツワイン2000年モスト収穫高(第1報)
生産地域 1999(hl) 2000(lh) 差異(lh)
アール 53,517 43,000 -10,517
バーデン 1,572,289 1,200,000 -375,289
フランケン 725,301 475,000 -50,301
ヘシッシェ・ベルクシュトラーセ 45,992 43,000 -2,992
ミッテルライン 55,806 43,000 -12,806
モーゼル・ザール・ルーヴァー 1,536,600 1,150,000 -386,600
ナーエ 467,957 425,000 -42,957
ラインガウ 333,899 275,000 -58,899
ラインヘッセン 3,155,690 2,900,000 -255,690
ファルツ 2,697,913 2,850,000 152,087
ヴュルテンベルク 1,577,539 1,150,000 -427,539
ザクセン 21,378 23,000 1,622
ザーレ・ウンストルート 42,089 43,000 911
合計 12,285,970 10,620,000 -1,665,970