2004年ドイツ

2004年のドイツは前年に比べ華々しい暑さはなかったものの、葡萄の成育にとっては十分に暖かく、バランスのとれた良い夏を迎えることが出来た。適度な降水量により土壌も程良く潤い、日照時間が比較的多い秋へとつながった。
 この結果、「2004年ヴィンテージの品質は期待していた以上の出来映えになるだろう。過去3年の偉大なヴィンテージを次ぐに相応しい年だった」と、ドイツワイン生産者協会のノルベルト・ウェーバー氏は語っている。
 葡萄の健康状態が大変良好なため、生産者は収穫の時期が訪れるのを安心して待つことができた。また、秋の温暖な日中の気温と夜の冷たい気温が有効に変化し、ぶどうのアロマをより一層引きたたせる役割を担った。この気象現象は、ドイツの白ワインが特別にフルーティであることを裏付けるものでもあった。ライン川、マイン川、モーゼル川沿いの畑では、11月中旬に高貴な甘口ワインのリースリングを収穫。これによってアイスワインを除くドイツ全体での葡萄収穫がほぼ終了した。
 ぶどうの収穫量に関しても、品質同様満足のいく結果が期待されている。「ドイツ全土でぶどうの収穫量がやや平均を上回り、約1000万h・となる見込みだ。昨年は猛暑によりワインの生産量が低下したが、今年は市場の需要に充分こたえることができるだろう。ワインの価格も安定したものになる」と、ウェーバー氏は語っている。
 2004年ヴィンテージは、白ワインは大変フルーティで、フレッシュな酸味が特徴。2002年ヴィンテージに近い味わいだと予想される。また、赤ワインは長期熟成が可能で、色の濃い、ボディのある味わいが期待されている。
 ぶどうが健康に成長しているため、アイスワインの生産に踏み切る醸造所も多く、ぶどう畑ではアイスワイン用のぶどうが目に付いている。マイナス10℃を待って、収穫されることになるだろう。(ドイツワイン基金のレポートより)
 2004年ヴィンテージの特徴を一言で言えば、“Back to Normal”であり、十分な収量と確かな品質を備えた年となろう。
 2004年の冬は雪がそれほど多くなく、気温はかなり高めに推移した。雪に変わって雨が多い冬だった。ライン川の水がリューデスハイムの道路に溢れ、子供達は雪合戦や雪だるま造りも出来なかった。ぶどうの開花期は通常の気候に戻ったが、6月末に東ドイツ、ザクセン州を竜巻が襲い、南ドイツではその2週間後に雹害でぶどう樹の70〜80%がダメージを被った。ファルツのノイシュタットでは8月の豪雨で、周辺のぶどう樹が被害にあった。
 しかしラインガウは恵まれていた。シュロスフォルラーツでは3月から6月末にかけて温暖で乾燥した気候が続いた。開花の時期は多少湿気を帯び、ファルツを襲った嵐がラインガウにも降雨をもたらしたが、ぶどう樹にとって深刻な害とはならなかった。むしろ乾燥した2003年の気候のおかげで土壌は乾いていたので、ぶどう栽培家にとっては恵みの雨となった。夏はリースリングにとって最適の気候となり、8月末の時点で全て順調に進むと思われたが、秋に再び雨が降り気温が上下動を繰り返した。フォルラーツでは42週目に入って収穫が始まり、寒く湿気た気候の中で収穫の作業を強いられたが、10月24日の日曜は気温27℃を記録。この60年間で初めてという暑さだった。全ての収穫は11月6日に終え、トロッケンベーレンまでは収穫できたものの、アイスワインは断念せざるをえなかった。収量は平均レベルで、果汁重量と酸は平年並みながら満足すべきレベルに達した。
 モーゼル地方は収穫時の忍耐を強いられた。10月に雨が多く収穫のタイミングを待たなければならなかったからだ。しかしぶどうは腐敗もなく、かなり良いヴィンテージが期待できそうだ。(Wineconsaleのレポートより)