2004年ボルドーについて

 田崎さん情報によると2004年ボルドーは8月より前、花咲くころには天候がよかったが、夏の冷夏により、心配されたが、9月、10月の天候がよくカベルネは非常によい出来で、前半の天候のよさゆえに、収穫量も確保されているとのこと。ただ、逆にグリーンハーベストを施さなかったシャトーでは量が多すぎてよくない。剪定を施し実を落としたところはいい出来。8大シャトーその他スーパーセカンドクラスはいい。マルゴーは中でもすばらしく03よりもよい。ほかにペトリュス、オーゾンヌ、レオヴィルラスカス、デュクリュボカイユあたりも03よりよい出来と感じた。10年後は総じて03よりも04のほうがよいのでは。逆に値段は03よりも30%ダウン。量は30〜40%増なので、プリムールはお得である。ほかのヴィンテージの評価も田崎さんがなされたところによると01は右岸の年、メルロがいい。右岸では00よりもよい。02はだんだんと評価がよくなっている。特に左岸、CS。秋口のインディアンサマーがよかった。03は熱く、酸が少なめ、メルロは難しい(オーゾンヌはすごかったが)。

以下、フランス食品振興会発行メールマガジンhttp://www.franceshoku.com/より引用。

04
ボルドー・プリムール
Ventes en primeurs a Bordeaux
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2004年ヴィンテージのボルドーワインのプリムールの試飲が4月4日から7日まで行われ、約4,500人のバイヤー、ネゴシアン、ジャーナリストらがボルドーを訪れ試飲を行った。今年はこれまで2000年にしか参加したことのないシャトー・ディケムが参加した。
収穫量が多かった2004年ヴィンテージはクラッシックで繊細である。サン・ジュリアンのように質がそろっているアペラシオンを除き、大半のアペラシオンで収量が2004年の品質に影響している。収量を厳しくコントロールできた生産者のワインは色も構成もしっかりしていて、クラッシックなボルドーの年に見られる酸を伴う。シャトー・ディケムは生き生きとしてエレガント。まだ5ヶ月足らずで判断するのは難しいがすべての要素が存在している。辛口の白は酸がしっかりしていて生き生きとしていて強い。2004年全体としては赤ワインのほうがよく、特にカベルネ類は、ブレンドするとよりしっかりしたストラクチュアを与えてくれる。メルロはカベルネ類よりも収量の多さの影響がでている。
2004年を一言でいえば豊富なタンニンと果実のアロマがあり期待が持てる年である。(4/9,Le Figaroより)

(価格は前年並みかやや減 -stablite ou legere baisse-)
いち早く価格を発表したのはシャトー・ヴァランドロー(サン・テミリオン・グラン・クリュ)で、75ユーロ/本と昨年のほぼ半額とした。これに続いていくつかのシャトーも価格を発表した。グリュオー・ラローズ(サン・ジュリアン、2級)は18.5ユーロ(03年は20ユーロ)、シャトー・シトラン(オー・メドック)は6.7ユーロ(03年は6.9ユーロ)。その他のシャトーも同じように03年並か、やや減である。(4/15,Le Mondeより)

<参考:ボルドー大学醸造学部が発表した2004ヴィンテージ情報>
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ボルドー:ヴィンテージ2004
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夏の高温と旱魃で収穫量が少なかった2003年の後に迎えた2004年、生産者は芽の豊富さと花穂の大きさに驚かされた。結果として、エクレルシサージュ(摘房)を多くやったにもかかわらず収穫量の多い年となった。2004年は、夏と秋の気温と、アルコールや酸、フェノール類などのバランスが取れていることから、正統なボルドーの年といえる。

冬:気温は平均を下回り、雨も少なかった。発芽は4月に始まったが雨と寒さで生長は進まなかった。
春: 5月は気温が高く雨も多かった。中旬の好天のおかげで、早い区画では開花が始まった。5月20、21日に右岸の一部が雹に見舞われた。メルロの開花は6月4日から10日まで、太陽に恵まれ高い気温の中で、急速にまとまって広がった。続いてソーヴィニヨンとカベルネの開花が6月末まで続いた。サンプル調査をした5つの区画では、黒ぶどうの開花の中間期は6月8日で、過去10年(1993年2002年)の平均に対して5〜10日遅かった。
夏:夏はとても暑いというわけではなかった。7月は日照に恵まれ、雨は少なく、気温は月末に高くなった時以外は平年並みであった。一方8月は雨が多く、日照時間も特に長くはなく、気温も格別高くはなかった。最高気温と最低気温の較差は、この時期にしては少なかった。これに対して9月は、日照に恵まれ気温もかなり上がった。特に日中の気温が上がったが、夜間は涼しかったため、カビの拡大を防ぐことができた。
色づきの中間期は8月10日頃で、2003年よりも10日遅かったが、ボルドーの平均並であった。9月と10月初めの好天で、ぶどうにはグラン・ヴァンを生み出すのにふさわしいバランスが整った。メルロは醸造学的には9月末に熟した。カベルネ・ソーヴィニヨンの成熟はこれよりも15〜20日遅く10月となった。10月は雨が多く日照と気温は平年を上回った。

赤ワインの醸造には特に大きな問題はなかった。未熟な部分を取り除くために選果が必要であった。アルコール醗酵は酵母添加の有無にかかわらず早く進み、醗酵後の高温浸漬によりワインに肉付きと、ほど良いタニックなストラクチュアが与えられた。ワインは色がしっかりとつき、生き生きとしている。しかし熟期の遅かった区画の一部では完全に熟しきっていないカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロがあり、野菜のような、苦味のある特徴をもたらしている。偉大な赤ワインとしての性質は明白である。タニックなストラクチュアが存在するが、ワインに丸みを与える要素に包まれている。果実のアロマがこれに重なり、複雑な感じを生み出している。酸の存在はこのワインが長熟型であることを示している。良い条件で保存されれば、時とともに熟成していくワインである。

辛口の白ワインはとてもフルーティーで花のような香りがあり、繊細でエレガント。とても爽やかで余韻も長い。中にはセミヨンなど、肉付きがしっかりしているものもある。

甘口の白ワインはとてもアロマが豊かだが、ぶどうの収穫時期により異なる。
ボトリティス・シネレア菌は、最初はよく広がったが、その後に雨が降り広がりが乱れた。このためワインの品質は一定していない。
(ボルドー大学醸造学部)

decanter誌の04ボルドーの情報