カン・ダヒョン『小さな花』
〜ソングブック9月号に掲載〜


TV「世界ウルルン滞在記」から、また新たなヒット予感
『小さな花』カン・ダヒョン (ワーナーMJ)

プロフィール
 韓国ソウル出身。26歳。1998年に来日。3年前、23歳でスカウトされる。2001年8月、日韓合作映画「親分はイエス様」主題歌『mother sky』でデビュー。昨年12月『小さな花』でメジャー・リリース。

 MBS・TBS系TV「世界ウルルン滞在記」エンディングテーマから森山直太郎『さくら』がヒットし、その後のタイアップ(6・7月)からまたひとり、新人歌手が脚光を浴び出した。韓国歌手のカン・ダヒョンがその人で、70年代フォークの曲調に不思議な雰囲気を充たした『小さな花』がその話題曲。今月も新たな“おとな派…”発見です。

懐かしいフォーク調にセピア色の情景、そこにピュアで健気な歌唱の妙…
 カン・ダヒョン『小さな花』は、昨年12月18日リリース。ラジオ・有線の地道なプロモーションを経て、MBS・TBS系「世界ウルルン滞在記」6・7月のエンディングテーマに…。今、全国的に盛り上がりをみせる注目曲です。
 本誌読者、中高年層が同曲を聴けば、思わず「あンれぇ〜、懐かしの70年代フォークじゃないか…」と喜ぶだろう曲調で、何と言ったらいいのでしょう、ちょっと不思議な雰囲気に充ちています。
 曲がフォーク調なら、その詞も中高年層の少年期、戦後昭和の懐かしい情景を彷彿させる内容で、聴く者の胸をキュンとさせます。(作詞・作曲・編曲はプロデューサーの須藤晃氏)。
 曲・詞がそんな時代へ誘へば、肝心のヴォーカルは高音域ビブラートが不安定に揺れ、懐かしさに浸ることを拒絶します。工場脇に咲いた“小さな花”が風に翻弄されつつ、でも「しっかり咲いていますよぅ〜」と叫んでいるような…ピュアでけな気なメッセージの展開。
 楽曲が有する懐かしさと歌手が有する初々しさが同居して、それは不思議な魅力です。その声もちょっとハスキーで、聴けば聴くほど気になって、気付けばもうカン・ダヒョンのト・リ・コ…。

母国のプロ経験なしで日本デビュー新たな韓国歌手世代の登場かも…
 今までの韓国歌手と言えば、母国でとことん喉を、テクニックを磨き込んで来てから日本デビューが決まったパターンでしたが、今はそうとも限らない新たな韓国歌手の日本登場現象が起きているようです。
 カン・ダヒョン、26歳…。来日前、韓国でのプロ活動は一切なし。
「小学生から中学生までの9年間、韓国民謡を習っていました。でも興味を持ったのはポピュラーソング。だからと言ってプロへのチャンスがあるワケもなく…」
 それが日本留学中に、思いもかけぬ展開でプロデビュー。
「赤坂のライブバーで唄っていて、今の事務所にスカウトされたんです」
 一昨年、日韓合作映画「親分はイエス様」主題歌『mother sky』をリリース。そして迎えた今回のメジャー・デビュー。
「『小さな花』は、私が語る少女時代の想い出や考えから、須藤プロデューサーが創って下さった楽曲。ですから私の心の叫びとして唄えます。レコーディングも細かくテイクを重ねるのではなく、一気に唄って雰囲気が出たテイクでOK…そんな録り方でした」
 上手下手より、サムシングを求めた手法で、それが見事に人々を惹き付けています。ベテラン歌手のビブラートは心地よさを生みますが、彼女の高音域ビブラートは儚さ・脆さを漂わせます。
「それはきっと、韓国民謡を習っていたせい…。高い音域を地声で唄うのが特徴ですから…」
 小学生から中学時代の9年間に亘って習っていた韓国民謡。それはきっと哀しさのアピールを特徴にしたのかも…と推測です。
「ライブで『小さな花』を唄いますと、泣いているお客さんもいます」
 8月8日にマンスリー・ライブの3回目を開催。ブレイクを予感させる満席で、熱気もこもる。ライブでは須藤プロデューサーによるCD未発表のフォーク系オリジナル楽曲の新曲も披露。現在のファン層は30代中心ですが、これから40・50代のフォーク世代をも巻き込む可能性が大。J‐POP層と演歌層の中間層を押えて、新たなヒロイン誕生の息詰まるドラマが進行中と言ったらいいでしょうか。日々、眼が離せない存在になりつつあります。
「昨年12月リリース作です。肌恋しい寒さに、ひとり淋しく、辛いなぁ〜という時に聴いていただけたら、きっと涙が出て来ます。また秋から冬の季節です。ブレイクするまで唄い続けたく思っています」
 なおカップリング『Tears』は韓国女性シンガーのカヴァー曲で、韓国語で唄われています。グルーヴ感に充ちたロッカバラードで、『小さな花』にはないソウルフルでパワフルな魅力。その意味でも母国でプロ経験なし…カン・ダヒョンの真価発揮はこれから。ワクワクするほど明日が楽しみなシンガーです。

 『小さな花』
作詞・作曲・編曲:須藤晃 CD/HDCA−10126

 小学生の頃、日本の昔のヒット曲が流行っていて、よく聴いていたんです。淋しそうなフォークが好きでした。ですから『小さな花』、私の心の歌にピッタリです…と。



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