●すがはらやすのり●
中尾ミエが昭和52年に唄ってヒットの『片想い』をカヴァー。
今、中高年女性層から熱い支持が集中!

『片想い〜One−way Love〜』
作詞:安井かずみ 作曲:川口眞
〜ソングブック10月号掲載〜

 今、音楽シーンは激変中。数年前まで多発していたミリオンセラ−も今年は未だ出ず、ヒットチャートの上位をHIP POPが飾り、カヴァーブームもある。総じてシングル売り上げ激減で、結果的に今までカヤの外だった演歌が50位以内に何曲も入り、今や“なんでも有り”状態。これは音楽に限らず政治、経済も有為転変で、そんな時代にクローズアップされるのが心を癒す定番の“懐かしの叙情歌”。芹洋子、由紀さおり・安田祥子姉妹、そして男性歌手と言えば「すがはらやすのり」で、いま彼の周辺が次第に熱くなって来ています。 山野楽器レーベルで名曲アルバム6枚組を完成させ、7月24日にはテイチクEより『片想い』をリリース。我が時代来たり…と意欲炸裂の氏にインタビューです。

プロフィール
1945年7月生まれ。早稲田大学理工学部建築科を卒業後、同大学院に進学。その夏、船で太平洋を渡ってサンフランシスコへ。ここで初の海外コンサート。その後、博士課程へ進学し、一級建築士取得。1971年より日比谷野外コンサート、世界各国で平和コンサートを開催。1981年、NY国連本部にて「地球歌の日コンサート」。文化庁芸術祭優秀賞受賞。その後も世界各国でコンサート活動を展開。

 すがはらさん、会うなり胸に秘めた歌への情熱をほとばしるように語り出したが、まず注目すべき氏のご家族の紹介から。新曲には直接関係なしですが、ファミリーの大活躍は、現在の日本文化を象徴するかのようで記さずにはいられない。またそれも氏を理解する上に必要だと思われる…。
 まず奥様は、食環境分野で著名な保健学博士で「菅原研究所」所長の菅原明子さん。現在、マイナスイオンの第一人者として大注目を浴びている。そして長男・ゆうた君はインディーズ・パンクバンド「B−DASH」で大活躍。メジャー初シングル『ちょ』が初登場6位で、アルバム『ぽ』はインディーズながらオリコン・アルバムチャート初登場3位の超人気。次男のそうた君はCG漫画「みんなのトニオちゃん」の週刊SPA連載、単行本で時の人。
「娘は今、オーストラリア留学中で、ジャケット裏面とプロモーション・ビデオに登場してもらっています」
 さて、時代の波に乗って疾走のファミリーのパパ・すがはらやすのりさんも、来年の35周年を控え、時代の表舞台に踊り出るべく猛ダッシュ開始です。
「今までの30数年間は、皆さんの眼に触れぬ海外コンサートに95%のエネルギーを費やして来ましたが、2000年2月の日本武道館コンサートを機に活動の軸足を日本に置いて、再スタートしています。今の日本は大人たちに余りに厳しく辛い状況で、そんな大たちに“大人のいい歌”が求められているはずだから…」
 趣旨を同じくする山野楽器と組んで同社のオリジナル・レーベルより昨年11月に3枚、今年3月に3枚、計6枚のアルバムをリリース。『祈り』のライナーが筑紫哲也氏と永六輔氏、『雨情』監修に野口雨情直孫の野口不二子氏、『和』のライナーに酒井政利氏、『古』のライナーに反畑誠一氏、『愛』のライナーに石井好子氏、『ever green』のライナーに湯川れいこ氏と錚々たる陣容を揃えて、全76曲を収録。
 ここには彼が30数年に渡って唄い込んで来た日本の童謡や叙情歌、シャンソンやカンツォーネ、スタンダード・ポップスが収められています。これら歌々を括る言葉はありませんが、芹洋子さんが6枚組アルバムを、由紀さおり・安田祥子姉妹がシリーズ・アルバムを、また元祖的存在・川田正子さんも2枚組をリリースしていて、このジャンルは今ちょっとしたブーム…。
「そんなワケで僕を応援して下さる方々が山野楽器に足を運んでいますから、同店シングルチャートで、テイチクE移籍第1弾シングル『片想い』が2位(8月19日〜25日集計でも5位をキープ)になって、これがテレビ朝日系の土曜日「やじうまプラス」の山野楽器調べで“銀座の帝王・すがはらやすのり”なぁ〜んてコメントで紹介されているのを聞いてビックリ。だって後藤真希、MISIA、氷川きよしさんより上位だったんですから…」
 新曲『片想い〜One−way Love〜 』は、昭和52年、中尾ミエさんが唄ってヒットした曲のカヴァー。同曲はスケール大きなオーケストレーション・アレンジで、すがはらさんの甘くソフトなヴォーカルが包み込んでくれます。
「朝川朋之さんのアレンジで、“千と千尋の神隠し”のレコーディング・スタッフによる制作。ディズニー映画や“タイタニックのテーマ”など優れたオーケストレーションは、若い人たちには出来ない世界で、息子たちにも新鮮な衝撃を与えたようで“パパ、やったね”の言葉をもらいました」
 なぜ『片想い』だったのしょうか?
「30数年間、唄って来た童謡、叙情歌、スタンダード・ポップスの集大成アルバムを完成させ、さて、その先は…と考えたら日本の70年代ポップスに素晴らしい楽曲がたくさんあるではないかと」
 同曲を外国で披露すると『My way』のような名曲ですね、と言われることが多かったと言います。そして…「今はカヴァーブームですが、カヴァーだったら私に任せていただきたい。30数年間、ずっとカヴァーを唄って来たのだから」と微笑む。
 だが同曲で披露されている氏のヴォーカルは、抑えに抑えた感じ。以前の歌唱は大ホールに響き渡れ!とばかりの大熱唱だったと記憶するが…
「えぇ、今は世界の大ステージではなく、日本で一人ひとりとのコミュニケーションを大事にするようになっていますから、マンツーマンで心が触れ合う…そんな歌唱になっています。活動の場もサロンコンサートが好きになっているし…」
 とは言えヴォーカリスト・すがはらやすのりさん本来の姿はオールマイティー。ちょっとやってみましょうかと、氏は美空ひばりさんを例に発声法を次々に変えて唄って下さった。スタンダードジャズを唄う場合、演歌の場合、歌謡曲の場合。さらにはこれがイタリこう発声するのがドイツ歌曲のヴォーカリズム、江戸の端唄はこうで…と多彩な発声法を披露。そうしたキャリアを積んで…
「いよいよ本格デビューなんです。今まではリリースしてもノンプロモーション。この新曲は音楽出版、レコード会社が手を組み本格プロモーションを展開して下さって、これは僕にとって初めてのこと…」
 これにファンが燃えないワケはない。彼には日本武道館コンサートや6枚組アルバムを成功に導いた熱烈ファンが大勢いる。
「日比谷野外コンサートを始めた頃からの30年来のファン、その後に東京近郊で展開した新聞社主催の“カルピス奥様コンサート”、10年ほど前にレギュラー出演で唄っていたNTV系“ルックルックこんにちは”の“心の歌コーナー”当時のファンが今も僕を応援して下さっています」
 これら活動から童謡・叙情歌ジャンルとも言える流れが脈々と今日まで続いて、今の主流を失って百花繚乱の音楽シーンになって、このジャンルが癒し系音楽としてにわかに浮上、またカヴァーブームも相まってクローズアップされ出した。
 すがはらファンは、口を揃えてこう言います。
「あの声の甘さ、優しく包み込む歌唱を聴いたら、もう他の人の唄は聴けませ〜ん」
 35周年を来年に迎えて、やっと自分の時代が巡って来る予感に、すがはらさんも意気軒昂。
「57歳とは言え、声量もドンドン増し、艶も出て来ています。今まで海外に向けていた95%のエネルギーを日本に注いで、ぜひ“すがはらやすのり”をメジャーな存在にしたく思っています。そんな私に時代のスポットが当れば、それは元気をなくした中高年層へ自信と、前向きに生きる勇気と楽しさのアピールにもなりましょう。私はこれから60、70、80歳と限りなく輝き続けたい…」
 CD、ミュージカル、ディナーショーと今後ますます活発になる彼の諸活動。“元気と自信復活の素”を注入すべく、ぜひお楽しみ下さい。

写真は去る7月19日、東京・銀座の山野楽器で行なわれた新曲発表ミニ・コンサートで… テイチクE移籍第1弾シングル『片想い〜One−way Love〜』



キラ星館に戻る      演歌TOPに戻る

HOMEに戻る