Shunkay
〜SB10月号「おとな派かようきょく」掲載〜

その声、そのヴォーカル…胸に響く歌謡バラード『さよならが云えなくて』
フジテレビ系連続ドラマ「愛のことば」主題歌『バージンラブ』

 昨年の11月号よりShunkay(シュンケイ)さんをトップバッターにスタートした「おとな派かようきょく」。
JPOPと演歌の狭間に埋没する“歌謡曲”をクローズアップすべく生まれた当欄ですが、
同じく韓国系歌手のチェウニがシングル第3弾『星空のトーキョー』で
オリコン演歌チャート1位を何週にも渡って維持するなど、
若い世代による新たな“歌謡曲”が点から面へと広がって、
その存在とパワーを徐々に主張し始めて来たようです。
当欄の記念すべきトップバッターに登場のシュンケイさんに再び登場していただいた。

 インタビューは、今年1月から約6ヶ月間かけて全国展開されていたNAK会員による<shunnkay『さよならが云えなくて』応援隊>の活動報告を兼ね、NAKの櫛田本部長によって行われた。まずは、その活動報告から…。
「全国約90名の会員さんがこの応援隊に参加下さって、カラオケ店で歌うと1ポイント、カラオケ大会や発表会で唄えば5ポイントなどで、その累計を競っていただきました。云うならば唄うアマチュア宣伝マン、唄うプロモーター活動で、或る方は周辺のカラオケ店を制覇して他県まで足を伸ばして29店で唄いまわり、或る方はオーディションの課題曲にし、またテレビのカラオケ番組で唄ったりの大健闘でポイントを競ってくれました」
 応援団一人ひとりの活動記録を食い入るように見ていたシュンケイさんは、大きく息を吸い込むと、万感の気持ちを込めて
こう言った。
「言葉では、とても言い表せないほどに嬉しく、感謝申し上げます」 
『さよならが云えなくて』リリース後、
523日にフジテレビ系全国ネット連続ドラマ「愛のことば」主題歌となったシュンケイ改名後2作目マキシシングル『バージンラブ』を発売し、同曲のキャンペーンを含めて久々に体験された全国キャンペーンを振り返って、プロモーションの難しさを、こう語ってくれた。
「『さよならが云えなくて』ではユーザーの顔がハッキリとわかりませんでしたが、『バージンラブ』をリリースして、ターゲットがテレビを観ている主婦層…と明確になりました。で、ショッピング街で歌うなどのキャンペーンを展開しましたが、ステージから親子で着るブランド・ショップなどが見えて“あぁ、あの年代なら私もCDを買うより、子供に少しでも良いものを買っちゃうだろうなぁ”と思って、これは大変な闘いをしているのだ、と実感しました。
JPOPのティーン世代は音楽も必需品のファッションですが、家庭を持って子育てが始まる30代、40代はファッションより生活中心になっているワケで、私の歌はそんな年代向けの、何とまぁ“茨の道”そのものではありませんかと…(笑い)。そんな認識がありますから、こうした貴重なご協力をいただき、胸が今、ウルウルしております」
 若者中心の
JPOPと年配者中心の演歌、その間の3040代が最もレコードを買わぬ層と言われているが、リード文に記した通りチェウニの3枚目のシングル『星空のトーキョー』が演歌チャート1位を何週にも渡って維持する大ヒットで、この例からも伺える通り、今まで埋没していた歌謡曲が、ひしめく演歌楽曲を押さえて踊り出る極めて注目すべき動きが現れている。この裏にはCDを買わぬと言われた世代は、実は青春時代を音楽とと共に過ごしていて、今は子育て中だけれども、いい音楽があれば傍に置いておきたい衝動を秘めていて、J−POPでは若過ぎ、演歌では年寄り過ぎて「聴きたい音楽がなくて困っていた」のが真実で、今やっとこれならOKとばかりに飛び付いている姿が想像出来ます。
「えぇ、本当に聴きたい音楽がなくて困っている世代だと思います。娘(クリスタル・ケイさん)のJ−
POPSと呼ばれる音楽の譜面を見れば、余りに忙し過ぎる作りになっていて、これでは私にも着いては行けないなぁ、と思います。もうメロディーが出尽くしちゃって、ここまで複雑に手を入れないと目新しさが生まれなくなっちゃったんだと思います。ですから逆に、あの頃のメロディー中心の楽曲に餓え始めた人々も出始めて来て…」
 “おとな派かようきょく”に活況の兆しが見え始めたのではないか、と言う。
 シュンケイさんの『さよならが云えなくて』『バージンラブ』を聴いてみれば、その心地好さに引き込まれずにはいられない。まずは絶対的な魅力として声の良さがある。一度聴いたら忘れられないハスキー。洋楽ポップス系でしたたかにセンスを磨き込んだであろうパンチのあるヴォーカリズム。語尾が微妙なビブラートで上がることで増す歌詞の説得力。そして、これら
2枚のマキシシングルには表題曲の韓国語ヴァージョンが収録されているのも特徴で、韓国語の方がビブラート強調で、言葉は分からぬもののグッと胸を揺るぶるパワーがより発揮されているような気もする。音楽的ルーツを伺うと…
「モータウン系、ソウル系についてしゃべり出したら、もう止まりませんから…」
 そう、何を隠そう、シュンケイは目下ソニーミュージックからアルバム『
637always and forever〜』がオリコン・チャート上昇中の、1986年生まれで米韓の血を引くアメリカン・スクール在学中のクリスタル・ケイ・ウィリアムスのママで、ここからも容易に想像できるが、その音楽キャリアは筋金入り。しかもミュージックカレッジのヴォーカル講師でもあって、何でも唄える実力派…
「でもシュンケイの名でCDを出して行く以上、今はしっかりした方向性を固持してやって行きたいと思っています。私は今まで器用貧乏な人生でした。R&Bを唄っていたかと思えば、求められるままに今度はジャズを唄うような道を歩いて来た。今は日本のポップス、歌謡曲一途で頑張りたいんです。イルカの『なごり雪』も大好きですし…」
 シュンケイさんのハートには
70年代の邦・洋楽の様々な音楽がビッシリと蓄積されている。
「だからでしょうか、私の歌を聴いて“懐かしい”と言って下さる同世代、上の世代の方々がいらっしゃるのです」
 この辺も、しばし音楽から遠ざかっていた層を誘う得がたい要素になりそうで、次作への期待がいやが上にも高まって来る。チャウニの次にブレイクするのはシュンケイじゃないだろうか…の声も日増しに高くなっていて、もし、そうなれば韓国系実力派歌手によって、J−POPと演歌の狭間に消えかかった日本の歌謡曲が新たな時代を迎えることになって、それは少しも不思議な事ではなくて本物、実力派の歌謡曲を
30代、40代が求め出しているからに他ないような気がするのだが…。シュンケイの次作に注目です。

プロフィール本名:テイ・シュンケイ(鄭 舜慧)。123日、横浜生まれ。10代の頃より横浜を拠点にライブ活動を開始。モータウンサウンドを中心に洋楽カヴァーを歌っていた。30歳でSincere(シンシア)の名でデビュー。その後、コンスタントにリリースを重ねて来たが、昨年10月に本名のシュンケイで『さよならが云えなくて』を発売。今年523日に『バージンラブ』リリース。

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