石川さゆり陽春スペシャルトーク
〜さゆり倶楽部・会報:2001・SPRINGより加筆修正〜

2月17日の武蔵野市民会館コンサート楽屋に、
21世紀、新たな時代を走り出した元気いっぱいのさゆりさんがいた。
5月明治座、7月新歌舞伎座の演目も決定し、そこで披露される多くの新しい歌々。
そして秋の青山劇場から新たなライフワークについて…。
21世紀の抱負を熱く語っていただいた。


テイチク移籍第1弾『人生情け舟』ヒット秘話と、意欲に満ちた新たな
スタッフに出会った歓び…。素敵な楽曲をどんどん創って行きます。


 皆様、ご機嫌いかがでしょうか。日頃の心あたたかいご支援に、厚く御礼申し上げます。
 さて、会報が皆様のお手許に届くころは、きっと桜の蕾もほころび、春爛漫かと思われますが、2月17日の武蔵野市民会館コンサートの楽屋にて、皆様にご挨拶申し上げます。
 昨年は、テイチク移籍が決まってから大晦日「紅白歌合戦」まで本当に慌しい日々が続きました。改めて移籍当初を振り返ってみますと、テイチク飯田社長以下全スタッフの石川さゆりに対する大きな意気込みに感謝せずにはいられません。と申しますのも、移籍が決まった段階では年内のCD発売はもう間に合わない日程でしたが、「テイチクの石川さゆり」の歌を一日でも早く皆様にお届けしたい、と皆さんが頑張って下さってシングル『人情情け舟』、『二十世紀の名曲たち・第10集』を年内リリースすることが出来ました。
 『人情情け舟』は、移籍話が持ち上がった段階で、現場スタッフがトップの決定を待っていたら間に合わない、石川さゆりがテイチクに来て、もし自分たちが担当することになったらと想定して、早々と楽曲発注までしていて下さったのです。ですから移籍が正式決定し、スタッフの方々に初めてお目にかかった時に
「実は自分たちで作ってみたのですが、聴いてみていただけますか」
 と吉岡、弦両先生による『人生情け舟』を耳に致しました。
「あぁ、ここにはこれから一緒に作品を創って行けるいい仲間たちがいるんだなぁ」
 と大感激しました。スタッフの方々は、それまで第三者的立場から観ていて、もう少しお客様に身近に感じていただける楽曲を創ったらいいにに…と思っていて、それを作品化してくれていました。
 今までは歌い手であり、かつ作り手の一員として制作スタッフに加わって参加するをモットーにして来たわけですが、今回はテイチク・スタッフの熱意と、時間が差し迫っていたこともあり、皆が創ってくれた歌を、精いっぱい唄わせていただきます、となった次第。結果的に、いつもの石川さゆりとは違った楽曲になりまして、またこれがヒットした要素かな、とも思っています。
「石川さゆりの歌は聴くのはいいけれど、なかなか唄えないと皆さんがおっしゃいます…」
 と自らステージでお話することが多いのですが、テイチクの方々はこの点を打破し、カラオケ大好きな皆様に一人でも多く唄っていただけるよう考えての曲創りだったのです。皆様も唄っていただけたでしょうか。
 さて、『二十一世紀の名曲たち』も、今まで9年間続いて来たものをここテイチクで途切れさせてはいけないと、10年目の第10集・完結集を年内リリースして下さって、改めて感謝しております。


劇場演目は雨月物語から「千年の恋」です。第二部の歌謡ショーを
併せて、新しい歌をたくさん披露しますので、どうぞご堪能下さい。


 新しい歌を、如何に皆様にお届するかについては、こう思っています。
 今、ステージで新歌舞伎座での「近松情話〜夢の浮橋」を聴いていただいていますが、CDにはなっていない歌でも、こうして皆様に聴いていただく方法もいいなぁと思っているんです。
 むろんCDで伝えて行く方法が最もメジャーですが、ステージでしか聴けない石川さゆりの新しい歌もあっていいのではないか…。それで皆様の
「あの歌が好きだから、もっと全国区にして欲しい」
 などの意見をいただいてシングルになって行く形があるわけでして、実際『酔って候』もアルバム収録曲でしたが、大好きな歌ですからステージで何回も唄っているうちに、皆様の声が反映されてのシングル化でした。私のシングルには、意外にそんなケースが多いのですよ。ステージを観たら、こんな歌が聴けちゃった、みたいな楽しみをもっと広げたく思っています。
 そこで5月と7月、明治座と新歌舞伎座で各一ヶ月公演をやらせていただきますが、ここでもシングルになるならないを別にして5曲、いやもっと多くなるのかなぁ、ここで披露する新しい曲を制作中です。
 今年の演目は「雨月物語」を題材にした「千年の恋」。お芝居の劇中で歌う曲も創りたく思っています。ですから、この公演から皆様の「あの曲をCDで聴きたいわ」と言う声をいただければ、ここからアルバムやシングルが作れるかも…で、何かこいうのって「いいかなぁ」と思います。
 という訳で、目下、新しい曲が次々に出来ています。実際には10曲ほど上がって来ていて、その中から音を録っておこうかしらと思うのが4、5曲はあります。現段階では5月発売の新曲がどの曲に…とは未だ言えない状況で、皆様にはもうしばらくお待ちいただきたく思っています。ぜひ、ご期待下さい。
 ※5Pで新曲『涙つづり』を速報紹介しています。詳しくは、そちらをどうぞ…。

『二十世紀の名曲たち』に次ぐ、あらたなライフワークも模索中。
そして来年は歌手生活30周年…。石川さゆり旋風、盛り上がります。


 明治座、新歌舞伎座は一昨年の公演と同じく吉岡治さん脚本、日比野糧さんの構成・演出です。前回が40分ほどの舞台でしたが、今回は1時間か1時間ちょっとで、多少長くなる予定です。えぇ、歌のショーもしっかりやります。演歌歌手の方々がなさっているお芝居とは違って、一昨年の公演スタイルを石川さゆりのベーシックな形として、さらに進化させた内容にしたく思っています。歌手の公演に、新たなスタイルが構築出来たらいいなぁと思っています。
 「雨月物語」は、奇想天外な魔界の女と人間の男性との恋物語。ちょっと間違えますと“お化け”になってしまいますから(笑い)、これを演出でどうするか…。「千年の恋」のタイトルからも伺える通り、ファンタスティックな舞台になるはずです。
 魔界と人間界の結ばれない恋であっても、人を愛するという思いは永遠なもの…。この辺がメインテーマになるはずです。今は本が上がった段階で、お稽古も4月から。細かい打ち合わせはこれからのこと。ぜひお楽しみ下さい。
 劇場公演はとても大変ですから今後は1年おきになるかな、と思っています。『二十世紀の名曲たち』が完結した今、また新たなライフワークを考えています。私、のんびりした性格のためか、長いレンジでお仕事をするのが好き。作る時は1作づつでも、後でまとまった段階で、何かが見えて来る、また皆さんが後で…
「あぁ、こういうことがやりたかったんだ」
 と感じて下さる、そんな息の長い仕事をやりたいと思っています。それをどこからやって行くかはテイチク・スタッフと今、擦り合わせ中です。
 21世紀はIT時代、インターネットはじめで、ますます情報が飛び交うなか、今、何が大事かと言えば「自分は何者か、というアイデンデティーの把握こそが大事」と思っています。“私は日本人で日本の歌を唄う石川さゆりです”ということを追求して行く事が大事だと思っています。
 以前、童謡アルバム『童』を創りましたが、民謡や都都逸、端唄…、この辺を何か形に出来たらいいなぁと思っています。日本には民間継承の音楽、伝統音楽などがいろいろあって、これらが一堂に揃った段階で「あぁ、日本だ!」と実感出来るシリーズが出来たらいいですねぇ。例えば外国に行く時に、これをお土産に持って行けば、それだけで“日本の音楽ってこうなんです”とすべてが分かる。また後で“あぁ、こんな風に日本の歌を楽しんでやっていた歌手がいたんだ”と思われる仕事に意欲を覚えています。
 これはきっと、大きなセールスにはならないと思いますが、音楽は枚数を伸ばす商品と、そうではない商品…蔵書的に持っていたいアルバムがあってもいいと思っています。
 そんなわけで今年はスタジオワークがビッシリになりそうです。加えて来年が30周年です。どんな展開、どんなアイデアをもって盛り上げていくかも考えなくてはなりません。事務所もスタートして今年で5年目。早いなぁと思いますが、スタッフそれぞれが頑張ってくれて、やっと軌道に乗って来ました。今後の展開、活動にいい結果を残せるよう頑張り所だと思っています。
 5月の明治座公演には、たくさんの新しい歌と共に劇場に入って行きますから、皆様、ぜひ足をお運び下さい。また、テイチクさんにも協力いただいて、明治座初日の5月1日に新曲リリースを予定しています。そして7月の新歌舞伎座の次ぎは、11月の青山劇場が決定しています。1ヶ月公演とはまったく別の内容にする予定ですから、これにもご期待下さい。えぇ、今年も盛りたくさんで、アッという間の1年になりそうです。
 皆様、どうぞ今後も石川さゆりにご支援、ご声援をよろしくお願い致します。(談)

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