〜五木会報80号(平成16年1月1日号)掲載〜
『逢えて…横浜』大阪ラジオ集中出演

『逢えて…横浜』ヒットに拍車をかけるべく、五木さんは新歌舞伎座公演の合間をぬって大阪のラジオ7番組に出演。東京に戻っても各キー局でラジオ・キャンペーンを展開しましたが、今号では大阪での番組出演を誌上再現…。

●10月17日放送 MBSラジオ「野村啓司のわたしの歌は茜色」(生)

野村 五木ひろしさんは今、新歌舞伎座の真っ最中。一部がお芝居「泥棒と若殿」、二部が歌のステージで1>時間半。
五木 併せて3時間10分。お芝居は僕の好きな山本周五郎作品。今年は生誕百年で御園座も別の周五郎作「噂の小平太」でした。
野村 お芝居は前半が左とん平さんとの掛け合い漫才のような感じでポンポンと展開されて、後半は庶民人情で泣かせます。そして今、新曲『逢えて…横浜』が絶好調。
五木 これなら唄えそう、待ってました… の声をいただいています。来年の40周年へ向けて大ヒットになるよう頑張っています。
野村 古賀メロディーも唄われています。
五木 名曲、名作は誰かが歌い継いで初めて残って行く。古賀先生がひとつひとつの音符に工夫を凝らし、こだわってつくられた楽曲ですから、形を変えて唄ってはいけません。僕はアコースティック・ギターの弾き語りで原曲通りに唄っています。
野村 小西良太郎さんがこうおっしゃって言る。「何も足さず・何も引かず」…と。
五木 そうしないと間違って伝わってしまうから。また、そこにある言葉が有した意味も正確に伝えたい。そのために誤魔化しのきかないアコースティックがいい。例えばブレスひとつがギターの音色とどう関係するか、そこまでこだわって唄っています。プロは、歌でも野球でも聴く方・見る方がいて初めて成り立ち、かつお金を遣い時間をかけて見に、聴きに来て下さる方々にいかに感動し、楽しんでいただけるかに責任を持つもの。僕はその責任を自分の歓び、生き甲斐と感じてやって来て、来年が40周年です。

10月20日 ラジオ大阪「OSAKA歌謡ウェーブ」(DJ:水谷ひろし・浅野亜希子)

水谷 新歌舞伎座の休演日にスタジオにお越しいただきました。五木さん、先日まで日生劇場でやらはったとちゃいますぅ〜?
五木 だから連続2ヵ月。そして2ヵ月置いて名古屋で初正月公演。来年が御園座出演連続20年で、名古屋のお正月はどんなものなのかなぁ〜と楽しみにしています。
水谷 そして古賀政男生誕100年…。五木 そうです。先生は11月18日が誕生日で来年が誕生百年。いち早くこの9月に日生劇場で「古賀政男の不朽の名作を歌う」を開催させていただいた。来年の僕の40周年でも全国の皆様方に古賀メロディーを聴いていただく予定です。僕には先生からいただいた『浜昼顔』がありますから、単に古賀メロディーをカヴァーするではなく、その世界に棲んでいる者として唄える、そんな気がします。当時は憧れであり、ステータスだった古賀メロディーのアルバムが作れ、当時の僕の作詞家でありプロデューサーだった山口洋子さんが、先生に「ぜひ五木の曲を作って下さい」とお願いして出来たのが『浜昼顔』です。寺山修司作詞・古賀政男作曲という稀なコンビ。当時は夢中で、どうやって唄ったかの記憶が定かではありませんが、マンドリンのイントロの音色がなんとも印象的だったと覚えています。今回は僕もマンドリンに挑戦しています。
水谷 五木さんは幕間でもミュージシャンたちと、ここはどう弾くなど喧喧諤諤の熱心さとか。幕間は普通、身体を休める時。いやぁ、熱心ですねぇ〜。
五木 僕は、ミュージシャンと音楽談義をしてる時が一番楽しいです。僕がその楽器を演奏すれば、その奏者と(気持ちが)ひとつになれる。だから僕は唄っているだけの時でも、奏者の気持ちが分かるし、奏者も僕がそれを聴いていることが分かっているから気持ちが通い合う。ここまで来ないと本物ではないと思います。
水谷 『逢えて…横浜』の制作経緯は?
五木 鈴木淳先生が今年、作曲家生活40周年。その記念曲の打合わせのなかで、テーマを横浜にして下さい、と奥様の悠木圭子さんにお願いした。と言うのは阪神タイガーズの優勝の最大功労者が、勝星を大量に捧げた横浜ベイスターズなんです(爆笑)。ここ数年、ベイスターズの調子が悪いというニュースが流される度に、♪よこはまぁ〜、たそがれぇ〜 と流される。あぁ、別の横浜の歌も作らなくてば、と思っていました。知人で横浜・中田市長にも元気な横浜の歌を…と約束していたし。そんなワケで阪神ブームながら“敢えて…横浜”なんです。

●10月22日 AM神戸「谷五郎のOH!ハッピーモーニング」

『逢えて…横浜』が大反響ですね。
五木
 ありがとうございます。『よこはま・たそがれ』以来、33年振りの横浜の歌です。鈴木先生はムード歌謡が大得意ですから。
谷 
全パターンを唄い尽くしているのに…。
五木
 意外や意外、僕にはこういったタイプの曲はなかったんです。
谷 
来年が40周年ですね。
五木 
底も頂上も全部見て来た40年で、いい歌手人生だと思っています。新たな事への挑戦と、名曲継承の両テーマで走って来まして、我ながら実に様々な事に挑戦して来たなぁ〜と思っています。
谷 
そのパワーが年々増しています。
五木 
そんな事もないが、50代を目標に頑張って来たことが良かったと思う。それによって、相当にいい50代を迎えることが出来ています。サラリーマン社会では50代は終りに近づいて来た感がありましょうが、実は人生のラストに向かって行く大事な時期。まだ頑張れる体力も残っているし…。
谷 
アルバムには『望郷の詩』も収録です。
五木 
全島避難から丸3年経っていて、未だ帰島出来ない。音事協主催で支援コンサートが3年前から行なわれて、僕も去年出演し、村長さんから島民のためにぜひ唄って下さいと詞を託された。これを阿久悠さんが流行歌の詞に書き直して下さって、僕が曲を付けた。作詞も作曲も印税チャリティーです。11月22日に支援コンサートの3回目開催です。
谷 
阪神大震災の時も五木さんは長田に何回も来て下さって…。
五木 
あの年の1月17日のことは忘れもしません。大阪の初正月公演でした。長田区でボランティア・コンサートを重ねる度、歌でこんなに励ませ、歓ばれる…というのを僕は逆に教えられました。
谷 
名曲の継承にも熱心ですね。
五木 
今、こうして古賀メロディーを唄わせていただいていますと、まだ服部メロディーも、吉田メロディーもあると思う。まだまだ頑張らなくてはいけません。
谷 
体力維持の方法は?
五木 
ここ数ヵ月は早朝のウォーキングかジョギングかを必ずやっています。今は開演時間が早いから、7時頃にウォーキング開始で、身体をいい状態に仕上げておくんです。若い時分はこんな事はしなかったが、その代わりよく身体を壊し、喉の調子を崩したり…。今は逆に気に配っているから、すごい体調がいい。仕事は若い頃と同じだというのにね…。

●11月3日 ラジオ大阪「はやり唄一番星」(月:にしきこうじ・サノスミコ)

サノ
 うわぁ〜、写真より本物は男前やねぇ〜。9月は日生劇場でしたね。
五木 
古賀メロディーは4千曲もあって、そこから15、16曲を選曲。アルバム収録し、ステージで唄っています。曲が素晴らしいなら詞も素晴らしい。日本人の奥ゆかしさ、情緒、文学的な匂いもある。4行でも今の歌の十倍ほどの深み、重みがあります。
サノ 
五木さんは苦労し、でも挫折せず頑張りはった。そこが好きですねん。
五木 
ハハッ、僕は挫折しようにも出来なかったんですよ。オフクロ孝行のためもあったから。苦労は悪く出る、良く出るのと二つある。お褒め下さったのなら、僕は良く出たのかも知れませんね。
サノ 
いつの間に、来年が40周年ですね。
五木
 僕は今、五木の5で一応50周年まで迎えればやり遂げた事になるかなぁ〜と思っています。あと10年頑張れば僕の人生、歌手人生は真っ当出来ると…。えぇ、40周年は中途半端だから、あと10年、50周年を迎えたら万歳しながらゴールが切れると。
サノ
 『逢えて…横浜』が好調です。
五木
 新曲をリリースするってことは、趣味でやっているワケではないから、出す以上はヒット達成が目標です。一作一作にスタッフの生活がかかっている。宿命です。
サノ
 ガラスの向こうに大勢いてはるぅ〜。
五木 
みんなも、それで生活しているんですから。しかも今は僕、自分がレコード会社の経営者でもあるワケですから…。
サノ 
クラシックも出されました。
五木 
新レーベルを設立しました。自分から何事も率先して走っています。
サノ 
ホンマにいい顔になりはったわぁ〜。来年はお正月が名古屋・御園座ですね。
五木
 大阪・新歌舞伎座は11月です。
サノ 
それまで待てへん。名古屋まで来はったら、大阪まで遊びに来て下さいなぁ〜。

●11月6日 ABCラジオ「もうすぐ夜明けABC」(DJ:坂口佳澄)


坂口 
リスナーのお葉書に、五木さんは歌も素晴らしいが、お芝居がすごくお上手なんですと。どんな役柄がお得意ですか?
五木 
芝居も30年近くやって来ていますから。これだけやって来て下手だったら辞めた方がいい(笑い)。芝居をするに当って僕が思ったのは、歌手がサービスで芝居をするのは止めようと。歌も芝居も芸の道、やる以上は追求です。だから最初から名作ばかりに取り組んで来た。それなら比較(役者の芝居と)出来ますから…。三枚目もシリアス役も好きですよ。
坂口
 一ヶ月公演を終えられ、ご家族の顔を見てホッとされたと思いますが…。
五木 
いや、休演日に家に帰ったり、また家族が名古屋に来てくれたりしましたから。
坂口
 毛がモコモコとした可愛い子とは?
五木 
彼もこの間、一緒に来たんですよ。次男の学校の先生がモモタロウと命名してくれたトイプードルですが、可愛い可愛い。もはや犬が我が家の中心で、僕が一番はまってんです。散歩も僕の役目だし…。
坂口
『逢えて…横浜』をこの番組でかけましたら「待ってたんやぁ〜、こんな曲を」と男性からの便りがありました。
五木
 ここ最近、阿久悠・船村徹両先生と難しい楽曲にチャレンジして来て、新曲は鼻歌で唄えそうで、かつ都会的な雰囲気のある、ちょっと石原裕次郎さん的世界。この辺は鈴木淳先生が得意とする世界でして、五木ひろしにもこの世界をレパートリーにして欲しいと言われまして…。こういう歌は、作ろうと思っても、なかなか出来ない意外に難しい曲なんです。ムードを出すっていうのも難しいし。でも唄えば“いい男”になれる歌。男が唄ってよし、女性も聴いて良し!の美味しい歌です(笑い)。
『逢えて…横浜』皿回し
五木 
ねっ、イントロのピアノなんか洒落た雰囲気を出していますよね。とにかく今はこの曲に賭けています。『よこはま・たそがれ』以来33年振りの横浜舞台の歌です。ぜひ大ヒットさせ、いい形で40周年を迎えたいと思っていますので応援して下さい。(5番組のトークでダブル部分を割愛し、再構成させていただきました。エアーチェックして下さったR・Yさんに感謝)



HOMEに戻る