野中彩央里『海峡』

自身の従来イメージを一新したエポック・メーキングな楽曲
この歌唱、この声は聴き逃せない逸品です 

 新曲『海峡』を聴いていて…
「あぁ、野中彩央里は自身のエポック・メーキングな楽曲についに出会ったのだなぁ」
 と思った。詞、曲、アレンジ共に実によく練られた楽曲。
♪死ぬか生きるか 沈むか浮くか
 崖を背にした 女がひとり…
 ドラマチックな詞とメロディー。存在感に満ちたパワフルなボーカル。
「遂に待っていた楽曲に出会いましたネ」と言うと
「やはり、そう思いましたか、分かりましたか。他の方からズバリ指摘されて、今、鳥肌が立って来ました」
 と。興奮気味に同曲誕生までの軌跡をこう語ってくれた。
「16歳でデビューして、当初は男歌ばかり。20歳になって、やっと女歌を歌わせてもらったの。その最初が『雪国恋人形』で私の代表曲になって、今でも“雪国恋人形の野中さん”と言われます。高音のきれいな幻想的なイメージです。でも、あれから7年で、私も28歳。どうしても、私の本当の歌が欲しかったのです」
 ディレクターと共に必死の楽曲作りが始まった。作詞は星野哲郎。最初は4行詞で4番までの詞だったが、よりドラマチックを狙ってこの詞に書き直してもらったという。作曲は弦哲也。最初は唄い出しからコブシ効かせて張って唄うメロディーだったのが、こころ静かに入って、次第に盛り上がる曲に変えてもらったという。そして…
「存在感を出したかったですから、なるべく地声がいいと、キーを半音下げての思い切った唄入れでトライしました。アレンジにもアイデアが凝らされました」
 従来は“笹の葉がサワサワ”とそよぐような…と形容された声だったが、半音下げての余裕からパワーが増して“いぶし銀が打ち震える”そんな変化を得た。
「デビュー13年目にして、初心に戻れるまったく新しい私の世界が出来ました」
 歌手人生の中、自身を変えるエポック・メーキングな楽曲との出会いは滅多になく、野中彩央里は今、同曲をもって間違いなく新たな歩みを始めた…と言っていいだろう。
「エッ、本当にこれ、野中彩央里?」
 そんな驚きをもって迎えられた同曲は、オリコンの総合チャート初登場80位の快進撃。
「間違いなく私の新たな代表曲になります。いつまでも歌い続けて行きます」
 素晴らしい楽曲を得て、今、野中彩央里の眼はまぶしいほどにキラキラ輝いていた。演歌に感動を忘れていた方がいましたら、ぜひ『海峡』聴いて下さい。
 日本全国に“海峡”のある町が13ヶ所あると言います…。これから入念なプランを練っての「海峡キャンペーン」を考えます…と野中さんと徳間スタッフ。昨年、全国60会場もの民音コンサートを展開しており、ここで彼女の歌に触れた方々が新曲支持に一気に飛び付いてくれる予感もします。 さぁ、野中彩央里と新曲『海峡』から眼が離せなくなって来ました。


●プロフィール 本名:福村さおり 出身:栃木県宇都宮市 特技:日本舞踊、和太鼓 デビュー:1989年8月『やらんかい』 ★11月21日『海峡』を含む…『2001全曲集』発売


野中彩央里『恋路』

唄巧者の艶歌。カラオケ自慢は「いざ、挑戦」。
この艶、この情念、この巧さに思わずやめ息

「あぁ、巧いなぁ〜」と改めて感心です。いわゆる実力派には熱唱系が多いが、野中彩央里は“唄巧者”(歌舞伎の言葉“見巧者<みごうしゃ>”からの造語)。 16歳でデビューして男唄一途。20歳で初の女唄『雪国恋人形』。28歳で地声を生かし存在感を満ちた『海峡』をリリース。理想の楽曲に出会って表現力、説得力を増して大飛躍のチャンスかと思いきや、事務所を失って入念プロモーションを逸してしまった。新たな体制を得たこの新曲で、再び『海峡』をボーナストラックで収録。
「仕切り直して、改めて頑張ります」
 誠実さ、意気込みが感じられます。
 ユニークなイントロ。抑えた歌唱で聴く者をグッと引き込みます。ビブラートを極力抑え、哀切な情感を広げたところで
♪あ・・あなた〜
 このたった5音で、にわかに成熟した女の生身がうごめき出す凄さ。カラオケ自慢の方はココを徹底マスターして下さい。ここからのサビは濃厚な艶世界。最後の「♪もう一度〜」のファルセットが見事に決められたら、あなたも唄巧者…。2コーラス目が最も艶っぽい詞。
♪震える指が この肌が
 あなた欲しがる 岬宿〜
 抑えた込んでいた感性と燃え上がろうとする業火のせめぎあい。歌唱もそんな歌詞とピッタリ一致。
「私も2コーラス目の詞が好きなんです。フフッ、私、32歳になりました」
 そう語る野中の瞳の力が増したようだった。日本情緒。日本女性の内に秘めた色香がチラッと表に浮かんだ瞬間。
「皆様にこの素晴らしい楽曲をもって“お待たせ致しました、新しい野中の世界をたっぷり味わって下さいませ”と久々にプロモーション開始です」
 すでに回ったディーラーからはその艶、その新たな世界に絶賛の声・声…だと言う。約 2年のブランクが、逆にインパクトを高めているのだろう。
「私の勝負曲です」
 また瞳が燃えた。

『恋路』
05年6月22日発売
作詞:麻こよみ
作曲:弦哲也
編曲:桜庭伸幸

●「スターは君だ!ヤング歌謡大賞」第14回チャンピオンになって平成元年にデビュー。平成6年『雪国恋人形』が 15万枚ヒット。平成9年にデビュー10周年民音コンサートで全国60会場。平成13年『海峡』。そして今、期待の『恋路』リリース。



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