水田竜子 『北山崎』
〜「ソングブック」掲載原稿〜

若さ・元気いっぱい。壮大楽曲に比した突き抜ける発声を得て飛翔…

 ドラマチックなストリングスからギター。
♪雪と波とが ぶつかりあって〜
 水田竜子の伸びと強靭さを有したハイトーンが、気持ちよく広がる。喉奥にカンッと抜ける発声。作曲・水森英夫のアドバイスがあったに違いない。
「レコーディング前にレッスンを受け、以後、ご自宅に通ってレッスンを受けています。子供の頃から通っていた“カラオケ教室”の先生が、クセをつけぬよう発声など基本レッスン中心でしたから、水森先生の教えにすんなり溶け込みました。今は歌の組み立て方など勉強意欲がグリグリ湧いています」
 17歳でデビュー。バラエティー豊かにユニークな楽曲を多数唄ってきた。そして今、28歳。そろそろ大人の歌、本格演歌への扉を開ける時に出会ったのが水森英夫。「北山崎」は陸中海岸の200mの断崖が8km続く大景観。歌詞は“旅の終りに残り火捨てる〜”と絶望的だが、水森メロディーと彼女のヴォーカルは、その壮大な絶壁から明日へ飛翔せんばかりの“旅立ちの歌”に仕上げている。カップリングも然り。
♪なんて淋しい ちぎり川〜
 の歌詞だが“スカンッ”と抜けた歌唱。まずは天に抜けるような発声ありきかの水森イズムだが、若山かずさと共に“叶姉妹”を自負するなどドレス姿でナイスバディ発揮の水田竜子にはふさわしいスタイルなのかも知れない。
 子供の頃は喘息気味の虚弱体質。母が健康増進に薦めた水泳とカラオケ。デビューのための上京までカラオケ教室レッスンを続けつつ、小学時代は水泳とバスケット、中学時代は砲丸投げ、高校 1年までソフトボール。グラマーでアスリートのような肢体…。
 そんな経歴からも新しい歌謡曲・演歌世代なのだろう。それを反映して彼女のファン層は 30〜40代とか。
「ファンクラブには中学生男子もいるんですよ」
 この7月にバーディ企画に完全移籍。RF「水田竜子の歌って素晴らしい!!」(金曜日 3:00〜3:30)と、自分の名入り番組も持つなどの新体制を得て心機一転。「北山崎」の絶壁から飛翔せんばかりの歌唱のごとく、明日の歌謡曲の担い手としてブレイクが期待される逸材…。

●歌唱アドバイス「最初の2行を一語一語噛みしめて。次の2行は最後の「北山崎」を歌い上げのピークにすべくクレシェンドで盛り上げて下さい。最後の2行は多彩な表現で奥行きを深めて下さい」。さぁ、唄ってみましょう。

『北山崎』
05年11月23日発売
作詞:水木れいじ
作曲:水森英夫
編曲:前田俊明

★若い歌手は小生の担当ではないが、06年7月のテレビ東京「名曲の時間ですよ」に同曲で出演していて、取材したことを思い出した。



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