北見恭子 『おんなの春』

デビュー32年目にたどりついた“艶歌”で飛躍を!

 三味線と尺八のイントロ。弾けるリズム演歌。年季が感じられる“喉馴れ”した歌唱。それでいながら瑞々しい。さらに詳しく言えば…、民謡テイストの節回しに“枯れ”があり、同時にこぼれるような“艶”もある。サビフレーズにゾクっとする哀切な叫び。思わず身を乗り出して聴けば、2コーラス目に生身の“身もだえ”。
♪積る雪より 白い肌
 夜にこぼれる 黒髪が
 あなたさがして すすりなく〜
 悩殺されてノックダウン…。作詞は麻こよみ、押さえ込んだメロディーは幸斉たけし。唄うは北見恭子。デビュー 32年。失礼ながら、こんな逸材がどこに眠っていたのだろうかと思う。いや、今が最も“おいしい時”を迎え、満を持した新境地、真骨頂発揮作なのかもしれない。
 インタビュー。目前に現れたのは168cmのナイスバディ。眼を輝かしてこう語った。
「私、今までにこういった艶っぽい歌をほとんど唄ってこなかったの。リズム演歌も初めてなんです。大スケールのメロディーが多かったし…」
 思わず聞き返した。
「32年間、いったい何を唄ってきたの」
「海の歌…。聴かせましょうか。♪おいらの船は 300とん アーエンヤコラセ〜。もう1曲♪エンヤコラマカセの舟唄に〜」
 海難遺児チャリティー活動 26年。パワフルでフレンドリーなキャラを生かし、フルスロットルで走り続けてきた。海の歌が多いから、さしずめ♪波をけちらし エンヤードッコイ〜と大排気量船内機を唸らせた疾走。そして時に“港のカルメン”。
 気付けば女性たちが惚れる存在。出身地・山形をはじめ各地に存在する後援会メンバーは女性ばかり。東京・三田在住ながら、町内を歩けば「イヨッ」と声がかかる女伊達…。
 そして今。その中低音と豊かな声量で、本格艶歌の領域へ。早くも「待っていました」の声が多い。
「やっとこういう歌に辿り着いたんです」
 25周年の全国17会場ツアーをもって精神的にふっきれた彼女が、 32年目で本来の歌うべき楽曲に出会った。それは演歌界久々の大型“艶歌”の誕生。彼女にとってエポックメーキングな作品になること間違いない。

●高2で山形放送「ミス民謡コンクール」で優勝し、昭和 48年にデビュー。●11月23日にシングルとアルバム『おんなの春』同時発売。

『おんなの春』
05年11月23日発売
作詞:麻こよみ
作曲:幸斉たけし
編曲:伊戸のりお

★(小生が)知らない歌手も大勢います。インタビュー後、事務所スタッフが写真を撮らせて下さいと言った。イヤな予感がしたんだ。案の定、しばらくして彼女のサイトを見たらあたしと北見さんのショットが掲載されていた。タコ入道みたいのがあたしです。




キラ星館「目次」に戻る            HOMEに戻る