月刊「カラオケファン」連載 〜4月号(2月21日発売号)〜
40周年の軌跡と円熟の展開
五木ひろし 俺の山河は…。

文:スクワットやま Squat Yama
第17回 /五木パパ・・・16年の物語

[取材日記] …新年最初の原稿入稿ゆえ“挑戦と継承”をしばし忘れて、五木パパ物語はいかがだろうか。
 五木倶楽部(ファンクラブ)会報には時として五木家からファミリー写真が提供される。昨年夏号には五木ファミリー出演の音楽発表会の写真が載った。これは五木家の子供たち長男 15、次男(12)、長女(10)が通う音楽教室の発表会。それぞれがピアノやマリンバの演奏。そしてパパと連弾、親子で合奏などを次々に披露。
 新年号には長女の初トゥシューズのバレエ発表会写真も提供された。バレエ・レッスンは足腰の筋肉がある程度鍛えられた 10歳頃からトゥ(爪先)立ちに挑戦するそうで、その最初の壁を見事に克服してポワント(爪先立ち)のスラッと可憐なマドンナ姿を披露。
 そんな写真が会報に掲載されると、ファンクラブ事務局には通常の倍の便りがドッと寄せられる。韓流スター“ヨン様”はファンを「家族」と言うが、五木ファンは誰もが五木のみならず、愛犬モモちゃんを含む五木ファミリーを愛してやまない。五木家からの写真提供は、そんなファンへの気遣いなのだ。
 また五木は、昨年の芸能生活 40周年で事ある度に「あと10年、50周年まで頑張ります。その時には一番下の長女も二十歳の成人になりますから…」と言ったものだ。また“囲み取材”のワイドショー・レポーターの常套句“お子様は歌手になりたいとおっしゃいませんか”には決まってこう応えていた。
「“家族で共通した趣味を持とう”をモットーにして来ました。その一つが音楽で、家族全員が楽器演奏を楽しみますが、プロ歌手の大変さをそばで見ていますから、誰一人、歌手になりたいとは言いません」
 ちなみに五木家ではゴルフ、スキーも家族共通の趣味。さらに、もうひとつの常套的質問は“この件について奥様はなんとおっしゃっていますか”だが、芸能生活 40周年については…
「もう結婚して16年です。母、女房としてしっかりやってくれていますから、私がこうやって仕事に集中できるんです。僕は子供時分に一家団欒を体験していませんから、今はその夢が実現されています。その意でも女房に感謝しています」
 五木夫人は元女優・和由布子、本名・さち子。控え目の美しく優しい方である。

[五木パパ16年] …芸能レポートではないから、二人の出会いから結婚に至る経緯を改めて書く必要はあるまい。バイオグラフィーから抜粋紹介すれば…。
・昭和63年(1988)1月、新橋演舞場・新春特別公演のお芝居『花と龍』で女優・和由布子と共演。
・3月、40歳の誕生日に大阪・都ホテルで婚約発表。
・4月30日、高輪プリンスホテルで結納。
・9月26日、天皇陛下の快癒を祈って挙式日程見直しを発表。
・10月5日入籍。
・昭和64年4月、長男誕生。
・5月31日、新高輪プリンスホテル「飛天」、翌日の東京プリンス「プロビデンスホール」で結婚式。
・6月2日〜9日、ハワイへ新婚ファミリー旅行。
・6月17日、福井県美浜で地元結婚披露宴。
 さらにファミリーの紹介をすれば平成4年10月に次男誕生。平成6年10月に長女誕生。
 筆者が五木夫人に会ったのは五木取材を始めた平成8年の「第8回美浜・五木マラソン」でだった。おさな子を見守る優しく微笑む夫人がいた。ちなみに同マラソン大会は五木が地元・美浜で結婚披露宴をした翌日開催が第1回目。つまり長男の年齢、結婚年数、五木パパ歴とマラソン大会開催数は常に同じで、今年5月 29日開催の美浜マラソンは第17回目。
 さて、平成8年のマラソン取材だが、終了後に福井市のホテルに移動してチャリティゴルフ前夜祭が行なわれたが、会場に現れた夫人は母から五木夫人に変身しての和装で、五木から数歩控えた位置から出席者に挨拶する、その美しさに目を見張ったもの。
 以来、大きなイベント毎に会場に顔を見せる夫人と子供たちを見てきたが、まぁ、子が育つのは早い。平成9年のファンクラブ・ハワイ旅行では9歳になった長男もゴルフコンペに出場。パパ仕込みのステディなスイングでラウンドしていた。そして今は冒頭で記した通り間もなく高校生。目下はバスケットに夢中と聞くが、パパがプロ歌手を目指して故郷を旅立った歳になる。
 最近は学生生活中心になったのだろう、次第にパパのイベントには顔を出さなくなった長男と次男に代わって、愛犬モモちゃん(トイプードル)がステージオンしたりでファンを喜ばせている。また五木も大好きなゴルフに再び熱くなっているとみえ、昨年の超多忙 40周年の最中に、ハンディキャップを念願の「5」にした。
 歌手・五木とは別に、そんな五木パパの17年を見ていると、これまた人柄反映でファン熱中のほどがうかがえる。幼子を愛でたパパ、少年期に熱心に音楽やスポーツを教えたパパ、そして自己主張しだした息子たちを見守るパパ。そして今は…
「子供たちはもうすべてがわかる歳で、その眼で父を見ていますから、励みでもありプレッシャーでもあります。遊びも仕事も悔いを残さず常にベストを尽くすこと。そんな姿勢を学んでもらえればと思っています」。
 今年は五木ひろし『よこはま・たそがれ』から 35年目。
「今年こそ大ヒットを実現したい」
 と言う五木パパの飽くことなく闘う姿を、子供たちはシカと見届けるだろう。
 ラッキーナンバーが重なった55歳、芸能生活40周年、そして今年は五木ひろし『よこはま・たそがれ』から 35年。この3年間に渡る五木の猛ファイトを、子供たちも忘れることはないだろう…。

メイン写真キャプション 昭和63年3月14日、40歳の誕生日の婚約発表風景(写真は五木ひろし著「渾身の愛」より)
サブ写真キャプション 写真は昨年12月16日の東京国際フォーラム「スーパーライブコンサート 2004〜FINAL〜」のエンディング・シーン


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