06年9月6日リリース
『かもめの女房』

35周年の足音が聴こえる
初の本格男歌は感動&衝撃で胸を揺さぶる。
斬新!男の矜持と寂しさ、女の波乱人生と可愛さ…それだけのはなしだ!

『かもめの女房』
作詞:吉岡治
作曲:浜圭介
編曲:若草恵
C/W『男の祭り酒』作詞:吉岡治/作曲:浜圭介/編曲:川村栄二

詞・曲・編曲、そしてさゆりさんの歌唱…すべてが斬新、印象的です

 さゆりさんは明治座5月公演の千秋楽から間もなく新曲をレコーディングし、新歌舞伎座の稽古に大阪に旅立ちました。編集部が新曲の音を入手したのは 6月中旬。会報は新曲紹介頁だけを残して7月1日発行体制にありましたが、 9月6日発売の新曲紹介は余りにも時期尚早。急きょ会報発行を一ヶ月遅らせていただきました。まずはお詫び申し上げます。
 さて、満を持しての新曲『かもめの女房』紹介です。作詞は吉岡治さん。詞に眼を通しただけでゾクゾクッです。北の荒ぶる海に“埠頭で死ぬ気の女がいた”。そして…
♪何があったか あいつも言わね こっちも訊かね
 心の傷も あああ 背中の傷も…
 それだけのはなしだ
「初の本格男歌は、ただ“男だゼィ”というのではなく、女性の影や匂いがあって、そこに男女の過去・今・明日があるドラマが欲しいですね。さらに男性でも女性でも唄える歌がいい…」
 さゆりさんは、こう吉岡先生にお願いしたと言います。出来た詞を見て感動と武者震い。テイチク・松下ディレクターが、こう詞を解説します。
「男女の職業不詳、過去も省略。イマジネーションを激しく喚起させて“それだけのはなしだ”と突き放します。唄い手にも聴き手にも聴く側にも想像世界を広げで深みを増す、それは見事な詞です。1コーラス目がハードボイルド風なら2コーラスは春の凪いだ海の描写から始まって可愛く健気な女が見えてきます」
 感動の詞を作曲したのは浜圭介さん。
「演歌とはちょっと違った浜メロディーが合うと思った」
 と松下ディレクター。さゆりさんは、こう依頼したと言います。
「浜先生とは、18歳の最後『霧のわかれ』以来30年振りですから“今の私”を知っていただくために明治座を観ていただきました。そして新曲は言葉の強さからスケール感があって思い切りのいいメロディーになりましょうが、それ一辺倒だとポピュラリティーに欠けます。詞が高倉健さんの映画のようなら“大衆娯楽の日”みたいな部分も欲しいのですが…」
 難しい注文だったが、曲が上がってまた感動。松下ディレクターは、曲の素晴らしさをこう語る。
「五・七の韻を踏む『天城越え』のような定型詞ならメロディーを想像できますが、これは五・五の繰り返し韻からスタートで、一筋縄ではいかないと思っていました。しかし結果はそれが逆に斬新で印象的な曲を生むことになった。詞で感動、曲で感動、今度は編曲で感動しました」
 編曲は若草恵さん。さゆりさんは…
「バグパイプ、アイリッシュ・ヴァイオリン、アンチ和のパーカッション。演歌にない無国籍に近いサウンドです。今までに何度か体験した“素敵な曲が誕生する経緯”は作詞、作曲、編曲の流れに“いい風”が吹いていて、今回もそんな風を感じました。さぁ、いよいよ唄入れです」
 男歌です。腰を落としてタメて唄っています。松下ディレクターは…
「出だしは言葉のイメージを積み上げて行く歌唱。言葉のひとつ一つのニュアンスが硬軟、強弱、方向…多彩な音色変化でイキイキと粒立っています。石川さゆりさんの独壇場です」
 そこから叙事風に物語って…♪かもめの女房と人は呼ぶ〜 でガラリッと声の出処を変え…。
「先生方の“立ち過ぎ”との指摘でちょっと抑えていますが…」続いて
♪あいつも言わね こっちも訊かね〜
 の口語詞も聴き処。男の矜持(プライド)と寂しさが使い分けられているようです。そして“心の傷も”と“背中の傷も”も女性の深い波乱の人生を描いて、最後の“それだけのはなしだ”で突き放して唄っています。
「2コーラスは同じメロディーでも穏やかな春の凪いだ海の描写から始まります。男っぽかった歌唱から、女性の健気さ・可愛さを出した歌唱に変化させています。ですから男性にも女性にも聴いて、唄っていただける歌に仕上がったかと思っています。男性には高倉健さんになった気持ちで唄っていただき、女性には可愛くも芯のある女優さんをイメージして唄っていただけたらと思っています。ふふふっ、吉岡先生は若い時の私をイメージされたそうですが…」
 完成した新曲について松下ディレクターは、自信いっぱいにこう語ってくれました。
「…というワケで、新曲はぜひフルコーラスをしっかり聴いていただきたい。そうしないと映画の途中で席を立つ、小説を途中で投げ出すようなもので、主人公ふたりの深い心情がわからないように思います。その意ではイントロ、間奏を含めたアレンジも入念に作っています。詞で感動し、作曲で感動し、アレンジで感動し、石川さゆりさんの歌唱に感動し…これはなかなか体験できないこと。それが出来たのは言うまでもなくチャレンジ精神旺盛で実力を有した石川さゆりさんの楽曲だからこそです」
 松下ディレクターの意欲はさらに膨らみます。
「手軽な歌もいいけれども、大人が聴いて、唄えるこうした楽曲がヒットしてこそ、日本の歌謡曲は成熟して行くのじゃないと思っています。先達が“いい歌”を創る闘いをしてきて、我々はその上でアグラをかいていちゃいけないんです。先達に負けない“もの創り”をして行かないと後が続きませんからね」
 さゆりさんが『かもめの女房』を、こう締めてくれた。
「サハリンが見える北の港町で知らない女と男が出会って、素敵な時間が流れ、そしてまた女が去っていったという大人のおとぎ話。文字通り“それだけのはなしだ”で、私も聴いて下さる方、唄って下さる皆様がそれぞれにイメージを膨らませて楽しめる楽曲だと思います・私も歌番組やステージの TPOに合わせて、さまざまなドラマを、女性を、男性をお届けしたく思っています。皆様もぜひお楽しみ下さい」
 なおカップリング『男の祭り酒』は表題曲と同じく吉岡治作詞・浜圭介作曲ですが、編曲は川村栄二。さゆりさんは…
「こちらは曲先です。『かもめの女房』がアイリッシュっぽいサウンドですから、こちらはちょっと中近東っぽい無国籍アレンジです」
 と説明。この歌も女性が唄う男歌。
 ♪ダチ公だから よくわかる〜
 とこれまた男の口語詞で、さゆりさんのヴォーカルの威勢の良いこと。秋から年末へ、これからお酒の機会も多くなりそうで、季節的にもピッタリの楽曲です。そして私たちは来春の 35周年を迎える当たって、この新曲をもって全力の助走開始と参りたく思います。大ヒットを目指して、皆様の応援をよろしく! (さゆり倶楽部 38号掲載)


<9月6日の発売日に北海道・宗谷岬で…>
『かもめの女房』発表会

日本最北端の地から日本列島に感動拡げます
ズシリッとした聴き応えに大ヒットの予感…

サハリンの“かもめの女房”たちも祝福
紅葉前線南下と共に全国ヒットへ


『かもめの女房』発売日の9月6日、北海道・宗谷岬で新曲発表会が行われた。記憶が正しければ、さゆりさんの新曲イベントに多くのマスコミ陣を遠隔地に招いたのはポニーキャニオン移籍第2弾『飢餓海峡』以来。それだけレコード会社がこの新曲に大きな期待を寄せてのことだろう。
 さて、当日の取材陣は稚内空港からバスで宗谷岬へ。ここで昨夜の函館コンサートで北海道入りしていたさゆりさん一行と合流。宗谷岬の海は鏡のような“ベタ凪”。滅多に望めぬという 43q先のサハリン(旧樺太)が、間近にあるかのようにクッキリと見えます。まさに2コーラスの景色…
♪あの冬が嘘のよう 穏やかな春の海
 遠くにはサハリンが 霞んで見える〜
 まずは日本最北端の宗谷港へ。宗谷漁協組合女性部の皆さん30名が、大漁旗が舞う漁船前に“かもめの女房”エプロン姿でさゆりさんを大歓迎。代表は…
「お話をいただいてからこの日を楽しみに待っていましたが、昨日までずっと雨でした。そして今日、ここに住んでいてもサハリンがここまでクッキリと望めるなんて滅多にありません。サハリンが『かもめの女房』大ヒットを約束してくれているようです。この歌はこの海の男と女房の物語。私たちの歌です。大ヒットするまでずっと応援して行こうね、と全員で話し合っています」
 さゆりさんを真ん中に全員で元気に…
「大ヒットを目指してオゥ・オゥ・オゥ〜」
 と“鬨(とき)の声”。
 ここから徒歩数分…「日本最北端の碑」が建つ宗谷岬で新曲発表会。今日のイベント情報を知った地元・稚内の皆さん、北海道各地のさゆりさんファン、そして新曲『かもめの女房』の初披露に立ち会おうと全国から集った熱心なファンに観光客も加わって、開演には約1000名の観客。なお宗谷岬「日本最北端の地」での歌謡イベントはさゆりさんが初めて。まず司会者がこう挨拶した。
「石川さゆりさんの新曲『かもめの女房』はまさにこの地の歌です。石川さんも“ぜひサハリンが見える地で歌ってみたい”とおっしゃり、稚内市もバックアップを約束してこの発表会が実現致しました」
 さゆりさん、潮風に吹かれながら気持ちよく『かもめの女房』を大熱唱。
「この歌が今日発売になりました。発売に当たって、ぜひこの地で歌ってみたいとお願いして実現しました。秘めた過去を持つ女と港の男との出会い、暮らし、また去って行ったという大人のおとぎばなしです。この新曲がここ稚内から日本中の皆様に可愛がっていただけたらと願っております」
 第18代稚内ミス流氷・国中さんが花束を贈呈し、横田耕一稚内市長が挨拶…
「お聴きいただきましたように、この歌には稚内も宗谷岬の名も出てきませんが、♪遠くにはサハリンが霞んで見える〜 とあってまさに我が稚内市の歌、宗谷岬の PRになる歌です。市民全員で応援したく思っています」
 市長からさゆりさんに感謝状と最北端の地到達の盾が授与。再びさゆりさん…
「歌は皆様一人ひとりが口ずさんでくださって大きなヒットになります。この歌もそうしてヒットした歌のひとつです。昭和 52年の『津軽海峡・冬景色』を聴いて下さい」
 さゆりさんのこの日の着物は淡い水色の波模様。潮風に揺らいで、岬の野外ステージならではの風情。続いて『人生情け舟』。港で“鬨の声”をあげた漁師の女房たちが再びステージに登場して、大ヒットをいただいて再び『かもめの女房』大熱唱…。
 終演後にサハリンをバックにマスコミ“囲み取材”。当日は秋篠宮妃紀子様の新宮さま誕生で、話題はここに集中。さゆりさんは…
「13年前のテレビ歌番組収録後にお会いしたことがございます。ちょうど長女の眞子さまがお生まれになった直後で、“佐保里ちゃんもお元気ですか”と話かけて下さいました。子供の話をされる紀子さまは“公務を顔”から“お母さまの顔”になられていたのが印象的でした。お元気に健やかにのびのびとお育ちになることを願っております。そんなお目出度い日に、私の新曲も産声をあげることが出来てうれしく思っています」
 最後にさゆりさんは…
「昭和48年『かくれんぼ』から99曲目になるこの新曲をもって、来春の35周年に向って走り出し出したく思っています」
 なお、この模様は翌朝のワイドショーの親宮さま誕生ニュースのなかでも放映。さゆりさんのズシンッと聴き応えある話題曲『かもめの女房』は、ここ最北端の地から全国大ヒットへ向けて走り出しました。 9月12日のNHK「歌謡コンサート」を始めテレビ露出もタイミング良く、早くも大ヒット予感です。(さゆり倶楽部39号掲載)




さゆり資料室に戻る           HOMEに戻る