市川由紀乃
(キング)
『さいはて海峡』
〜ソングブック11月号原稿より〜

大人の女の切なさ満ちて…
「癒し系女性演歌歌手」も味わい深まって来ました。

  10月30日に新曲『さいはて海峡』をリリース。大好評を得た『海峡氷雨』(本誌の第11回日本流行歌大賞受賞)、初の夫婦演歌『絆坂』に次ぐ市川昭介メロディーの3作目。
「女の切なさを感じていただけたら、うれしいのですが…」。
 そう語る穏やかな口調、優しさ満ちた表情。新曲を聴けば…その歌詞、そのメロディーを慈しむかの丁寧な歌唱から伺える優しさ、そのソフトな歌声から心がなごんで来ます。噂の「癒し系女性演歌歌手」に納得。だが、良く聴き込めば…そんな優しい女が北の海峡を旅せずにはいられない哀愁が胸を打って、味わい深い仕上がり。持ち味を充分に発揮です。
「耳から伝えるのみではなく、今度は歌っている時の表情からも情感が伝わる…そんな表現力も身につけたいと思います」  17歳でデビューして今、25歳。そろそろ背伸びせずに演歌が唄える年齢。本人にも、大人の女になって来た自負があって、男性演歌ファンにとっても嬉しい存在になりつつあります。
「今までは中高年の女性カラオケ層に囲まれている時が、幸せで落ち着けるひとときだったのですが…」
 男性ファンが増え、さらには4月開始の文化放送「走れ歌謡曲」木曜早朝担当を通し、若者達から演歌歌手ではなく優しいパーソナリティーのお姉さん的慕われ方をして、恋の悩みなどの相談相手にもなっている。また同番組にゲスト出演する先輩歌手たちと語り合う機会も増え、大人に向かって急成長中。
「デビュー当初は詞の意味が実感できなかったことがままありましたが…」
 と語るその微笑みは、すでに少女のそれではなく、癒し系ならではの包容力を感じさせる豊かな女の風情。新曲カップリング『昭和生まれの渡り鳥』はアップテンポの現代女性の股旅風仕上がりで、聴いていると元気が出て来る人生応援歌だが、巻き舌歌唱にどこか姐御肌もチラッと感じさせて、ますます楽しみです。
 そして目下のテーマはステージ活動の、より以上の活発化だろうか…。
「7周年の時のステージの感動が未だに胸の奥で燃えています。全スタッフが私を支えてくれてのステージ、そして観客の拍手…。ツアーとまでは言いませんが、せめて大都市コンサートを実現したく思っています」
 着実に増えているファン、話題曲も生まれ、そして今、期待の新曲です。由紀乃ちゃんの明日に熱く注目するより他にないだろう。 
 数年後を想像してもらったら「尖ったハイヒールの似合う女性になれたらいいなぁ」。時代を走るキャリア豊かないい女…。そんな由紀乃さんが着物姿になれば一転し、今度は誰をも穏やかな気分にさせる大いなる癒しの存在。そんな相反するダブル・イメージを獲得したら、それはもうきっとスーパースター。そ〜です、大ヒットを放てばその瞬間に大スターですから、夢じゃないかもで〜す。応援して下さい。


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