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●五木ひろし“本”(及び新聞・雑誌長期連載)ガイド●
ひょんなことから、五木さんの資料を揃えてみようかな、と思い立った平成15年6月末のこと。
インターネットの古書販売検索「スーパー源氏」で、なんと既刊本すべてを一気に入手することが出来た。
加えて五木プロモーション保存の新聞・雑誌クリッピング一部も加えて「五木ひろし本ガイド」です。

<単行本、新聞・雑誌連載や特集を時系列で紹介>

週刊誌特集『ヤングレディー』五木ひろし大特集号 1974年(S49年)3月4日号
 古書のサイト検索で「五木ひろし大特集号」に惹かれて購入。『夜空』でレコード大賞受賞直後で、さて、どんな大特集なのだろうかと期待していたが、巻頭に冬の敦賀に立つ五木さんのショットが4カット、本文に山口洋子さんの手記が5頁あるだけだった。それでも文中、全日本歌謡選手権の2週目「彼の手に持ったマイクロホンが“勝負!”という感じで、まるでナイフかピストルのように思えたくらいです」など、その後の単行本などに引用される文章がかなりあった。

単行本『涙と笑顔』 五木ひろし/1975年(S50)12月15日 講談社刊 定価590円
 ウム、ってぇ〜ことは五木ひろし『よこはま・たそがれ』(1971年)から丸5年後の発行で、五木ひろし本では最初の単行本。デビュー5周年記念の日劇ラスト・ステージからの書き出しで、ここから美浜・子供時代に遡って、五木さんが桧舞台に踊り出るまでを感動エピソードを交えつつ書かれている。
最終章「もう一人の五木ひろし」には各界著名人及び関係者約50名からのコメントが掲載されていて圧巻。そんなところからも、デビュー5周年の初々しいほどの意欲、興奮、熱気が伝わってきます。まさに清清しくも眩いほどの成功物語。ゴーストライターの文によるものでしょうが、通り一遍の取材ではなく、意気揚がるスタッフ一員としての入念執筆だったと推測されます。
 これは余計なことですが、同書発行の1年半後、アタシもニューミュージック系・某さんの初単行本ゴーストをやっている。こちらは本人取材ほとんどなしで、リリース作品の詞から「愛と別れの24章」を強引かつ勝手にまとめた乱暴な仕事だった。その意味でも、同書に充ちた熱気と入念仕事に感心です。


単行本『五木ひろし賛歌』 和田稔著/1982年(S57)8月20日 フェニックス出版刊 定価1200円
 筆者は出版時、福井新聞社・編集委員兼論説委員。同紙に昭和56年7月6日〜9月22日に亘って連載された「五木ひろしの十年」に加筆、地元・福井県の出版社から刊行された書。福井県(民)から見た五木さんの活躍、その人柄をレポートしたユニークな内容。掲載写真のほとんどを福井県民と五木さんの交流ショットで構成。『よこはま・たそがれ』から故郷・福井の歌『越前有情』、そして昭和57年『愛しつづけるボレロ』 『契り』に至るまでの全シングルの動向を、福井新聞掲載「福井のベストテン」から紹介。各曲の福井ならではの盛り上がりがていねいにレポ−トされている。著者がその十年間で五木さんに直接インタビューしたのは、五木さんが福井新聞を訪れた3回のみだそうだが、福井新聞に載った十年間の五木記事全クリッピングから、シングル・リリースを追う形で、郷土が生んだ大スターへの熱い思いを、愛情溢れんばかりに紹介されている。五木ひろし本では、唯一、ゴーストライターではない著作。


単行本『心の旅立ち』 五木ひろし/1984年(S59年)12月25日 敬文堂刊 定価1500円
 昭和58年6月1日に旅立ったシルクロードの旅を、翌年にまとめて出版。最初は中国、そして韓国、パキスタンと約一ヶ月、3回に分けて探ったシルクロードの旅。五木さんは、お子様が三人になった今でこそ夏休みなど長期休暇を取るようになっているが、この旅行は『よこはま・たそがれ』から一日も休まずに走り続けて来て、ここで音楽活動からしばし離れる大英断の旅立ち…。当初はテントで飯盒…と覚悟した旅だったが、テレビ東京「五木ひろし・演歌の源流を求めて」がからんでいる。旅を続けながら五木さんが演歌について、自身の歌手人生についてあれこれ考えたことが記されている。12月5日にはビデオ「五木ひろし/シルクロード一人旅」がリリースされている。


週刊誌連載「五木ひろしの人生演歌」 サンデー毎日/1985年(S60)1月6日〜7月14日売り号まで全26回連載
36歳、芸能生活20年を機に、五木ひろしが自ら語る苦闘の歴史を連載する…と書き出された週刊誌見開き2頁の連載。第1回は「新橋演舞場・初春公演」からの書き出しで、正月と言えば…で、故郷・美浜の紹介。そして第2回目から幼少時代から物語が始まる。5、6歳の頃に母の見舞いで病院で唄った『りんご追分』の思い出、父が去った後の母の苦労へ。小・中学時代の思い出、そして京都の歌謡学院時代…と連載が続いて行きます。連載最終の第26回目は、シルクロードの旅と昨年末の『長良川艶歌』で2回目の日本レコード大賞・受賞を振り返り、これからの私の“人生演歌”は生ある限り続く…で締め括られている。構成は吉岡範明。氏は渥美清、有馬稲子、宝塚や歌舞伎関係など著書多数。

スポーツ紙連日連載「演歌の心 二十年」日刊スポーツ/〜1990年(H2)12月30日まで全90回連載

単行本『ふたりの影法師』 五木ひろし/1991年(H3年)3月29日 マガジンハウス刊 定価1165円
 平成3年春からの20周年を控えた前年の晩秋、九州ツアーの長崎ステージから書き出され、ステージ制作、賞レース辞退などを語ってから、中学時代に遡って成功までの物語が展開されている。20周年ならではの構成は全7章のうち、第四章に「最愛の妻と子へ」が設けられている点だろう。和由布子さんとの出会い、デート、婚約、挙式が詳しく語られている。巻頭カラー見開き写真も、大介君をあやす団欒のショット。三重時代の父が、従業員300名を抱える「松山石材」経営者だったこと。また母、兄、そしてふたりの姉の人生も詳しく語られている。第6章は「わが心の交情録」で美空ひばり、古賀政男、服部克久、輪島大士、落合博満、高倉健との交友を紹介。最終章は五木グループの将来への夢が熱く語られている…。

単行本『渾身の愛〜語られなかった我が半生の記〜』 五木ひろし/1991年(H3年)4月19日 主婦と生活社刊 定価2000円
 変形大版の豪華本。表紙に「未公開秘蔵写真180点も一挙掲載」とあり、プロローグに大介君を抱っこしたフォーマル衣装のファミリー写真があって、エピローグは1991年2月20日の20周年謝恩パーティー組み写真。前半は五木さんとお母様のモノローグ的な交互文章で構成。「未公開秘蔵写真」通り、セピア色に変色した五木さんの子供時代、デビュー当初のモノクロ写真、そして貴重なファミリー写真などがふんだんに掲載されている。「17歳からの顔の変遷」、「転々と替えた都内住居写真集」(オヤ、ウチの近所にもお住みだったんですね)、「懐かしい人たちとの思い出フォト」、「夫人が撮ったパパと大介君ショット集」、さらには「田園調布の自宅内部や調度品、飾られた絵画などの写真」、さらには「伊豆・田子の別荘写真」…と写真企画も豊富。この頃はすでにファンも高齢化していたのだろうか、本文も15Q(10.5P)の大活字。「今まで語られなかった」という点では、五木さんが実は京都・烏丸生まれで、ここから三重県へ、そして母の故郷・美浜へ移住したことや、野口プロから独立した際に2億円の奉公料が支払われたことなど、他の本には書かれていない事実が初公開されている。小生が入手した本が第九版だから、五木本のなかでは最も売れた本なのかのしれない。



 

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