五木ひろし

●五木倶楽部会報第83号掲載より●

8月13日:ハワイ、シェラトンホテル・ワイキキで芸能生活40周年ディナーショー開催

五木ファミリーがハワイに旅立った5日後…、8月11日 ミュージシャン7名、ステージ・スタッフ7名、事務所スタッフ4名、総勢18名が日本を後にした。まずは旅立ち前が大変で、従来なら旅行社が全員一括でビザ申請でしたが、テロ防止の厳しさで各人が大使館まで出向いてビザを取得。持ち込む楽器類の申請も一段と厳しいチェックでした。
翌12日 休む間もなく会場のシェラトン・ワイキキで現地ミュージシャン(ストリングス8名、パーカッション、ウクレレ、スチールギター各1名、女性コーラス2名)と初顔合わせ。ステージ総勢20名の大編成。照明やPA器材はハワイで調達。レベル的には日本と同じですが、まぁ、その料金の高いこと。加えて器材それぞれに保険加入。バカ高い器材料に泣かされた。ステージ内容は、日本での芸能生活40周年記念ツアーをハワイ向けにアレンジです。
 さて、音合わせは日本でなら満足行くまで徹夜してでも…ですが、ハワイではユニオンの厳しさもあってままならず。急きょ加わった楽曲(「冬のソナタ」主題歌『最初から今まで』)もあり、完璧とは言えぬまま時間切れ。しかしそこは一流プロ。譜面を自宅に持ち帰って“しっかり練習”を約束してくれた。また女性コーラスの日本語はやはり無理でスキャットに変更。
13日当日 ハワイ滞在中の五木さんは通常、自ら車を運転で“極上の休日”を堪能ですが、この日ばかりは“スター歌手・五木”ですからハイヤーで送り迎え。会場は約800名。日本と同じくディナー後に、約2時間のショータイム。五木さんのハワイ・コンサートは今回が5年振り6回目ですが、ディナーショーは初めて。チケットは150ドル〜100ドルでハワイ一の高額料金。5年前のNBCホール・コンサートも、マイケル・ジャクソンと同料金の75ドル。五木さんはハワイでもナンバーワン・アーティストです(しかし、後述しますが前回は400ドル、今回も300ドルをチャリティーで還元)。
 客席は日系の方々がほとんどですが二世、三世も多く、日本語をしゃべらない世代も増えているとか。しかし日本のテレビ番組はリアルタイムで入っており、最新曲『アカシア挽歌/雪燃えて』大ヒット中も皆様よくご存知。
オープニングは、英語の女性ナレーションにのって軽快テンポ『夜空』。「ヒロシィ〜!」の声が早くも会場に響きます。『よこはま・たそがれ』から『千曲川』へ一気に佳境か、の盛り上がりで客席は日本より熱そう。無理もありません。5年前のNBCホール2日間コンサートの直後から次回開催を1日も早く!と要請されていたものの、2001年9月11日のNYテロの影響で、5年越しの実現だったのですから…。
五木さんの最初のトークは…
「一度は実現したいと思っていたハワイでのディナーショーです。芸能生活40周年の年に実現し、大変嬉しく思っています。ハワイに来る度にどんどん友達が増えて、すっかり第二の故郷になっています。今日もハワイの友人・知人、また東京の友人・知人が大勢いらっしゃっています。ここからは英語でご挨拶申し上げます」
 五木さん、日本出発前に勉強をして来たのでしょう、それは流暢な英語で、そのままエルビス・プレスリーのナンバー『Blue Hawaii』を披露。スチールギターとコーラス入りで、ハワイムードたっぷり。会場はヤンヤの大喝采です。
 次は古賀メロディー・コーナー。ギター弾き語り『影を慕いて』。会場は次第に水を打った静けさになり、歌声だけが響き渡ります。『人生の並木路』から、マンドリン弾き語り『浜昼顔』、再びギターで『悲しい酒』。会場が静謐なら、サウンドも薄い“静”の世界ですが、感動は全身シビレるほどの大迫力。これはE・プレスリーもM・ジャクソンも成し得ぬ“日本の歌・日本の心”世界です。
「日本のスーパースターの中で最もハワイが似合ったのは石原裕次郎さんでした。『北の旅人』と『夜霧よ今夜も有難う』を聴いて下さい」
 『夜霧…』はテナーサックスがむせび泣いて、最後のサビは♪ハワイよ今夜も ありがとう〜。次にレイ・チャールズ『Ican’t stop loving you』を英語詞で。会場は鳴り止まぬ大拍手。
「ハワイに来て、さっそくワイアラエCCのゴルフ仲間とプレイ。その際に“冬のソナタ”がハワイでも大人気とか。東京に電話して急きょ、主題歌の譜面を用意させました」
『最初から今まで』の日本語カヴァーをハワイで初披露。ここからは「私のオリジナルをたっぷり聴いて下さい」で『おまえとふたり』を唄いつつ、客席各テーブルを巡ります。いやはや、皆さん、五木さんにレイを掛けて頬にキッス。日本では係が飛んで行って阻止でしょうが、キスが習慣のこちらでは止めようもありません。日本のショーとは較べられぬほどの熱狂展開で、『倖せさがして』が終わったところで…
「皆様どうぞお座り下さい」と五木さんは客席の興奮を抑えるのも必死なほど…。
「会場に『北の旅人』『アカシア挽歌』のコンポーザー・弦哲也さん、アレンジャーの南郷達也さんがいらっしゃいます(小西良太郎プロデューサー、休暇中だったのでしょう、綾小路きみまろさんの顔も。日本領事館の武藤ご夫妻もお見えでした)。こちらに西川きよしご夫妻もいらっしゃいます。奥様は英語が堪能ですからご挨拶していただきましょう」
「英語がしゃべれないミス・ヘレンです」(笑)
 …で西川さん、今だけ独身のミス・ヘレンさん、五木さんの面白トークがあって“ひろしとヘレンの『居酒屋』”。ヘレンさんの歌の上手さに、五木さん「ワンダフル!ビューティフル!」。
(ハワイにはテレビ東京の制作クルーも同行で、五木さん中心に40木功さん、徳光和夫さん、西川きよしさんを取材。すでに五木さんと青木さんは北海道のゴルフ場で二人のラウンドを収録済。そしてハワイで五木さんが西川夫妻を案内する姿を撮影中)
 五木さんはここで『逢えて…横浜』から『傘ん中』で再びステージ・オンしてトーク。「80、90歳の方々と握手させていただきましたが、2年前に亡くなった母を思い出します。母を初めてハワイに連れて来たのが30数年前。それが最初の親孝行でした…」
ア・カペラのように『おふくろの子守歌』をじみじみ唄って、最後のトーク…
「今年は芸能生活40周年で、私は今56歳です。あと10年ほどは頑張って唄い続けたく思っていますので、まだまだハワイでショーが出来るかと思います。40周年記念曲で日本でただ今ヒット中の『アカシア挽歌』を聴いて下さい」
 同曲から『雪燃えて』へ。アンコールは『長良川艶歌』と『山河』。
「楽しいコンサートが出来ましたことの感謝の気持ちからクアキニ病院(日系の皆さんが建てられた)、クィーンズ病院(長女・華菜子ちゃんが産まれた)、そしてハワイ州ホノルル市に各1万ドルを基金したく思います」
 大拍手の中『Aloka‐oe』で終演でした。
 なお、終演後にプロモーターに早くも次回開催をの声が殺到。また出口に向かう皆様から「ねぇ、あんなに感動させていただいて150ドルはちょっと安かったんじゃない…」の声・声。
 五木さんは翌日、前述のテレビ取材で西川夫妻のハワイ案内の様子を撮影。その後に前述の両病院と市役所を訪ねて基金セレモニー。ハワイ好きな芸能人は多けれど、五木さんのようにコンサート毎に高額チャリティーを重ねている方は他にいないでしょう。ハワイが本当に大好きな五木さんです。(スタッフYに取材+当日録音MDより構成)




「五木★さゆり」に戻る