2005年10月26日リリース
「居酒屋『花いちもんめ』」

「さゆり倶楽部」35号・36号掲載

居酒屋『花いちもんめ』作詞・吉岡治/作曲・岡千秋/編曲・蔦将包
C/W『恋のからまわり』作詞・吉岡治/作曲・岡千秋/編曲・矢野立美

 5月25日発売の純愛ソング『秋のメルヘン』から、早くも次のシングルが10月26日リリース決定です。常に新たな歌謡曲に挑戦のさゆりさんですが、新曲はまったく久々の演歌でタイトルは…居酒屋『花いちもんめ』。しかも昭和 60年7月リリースの『紫陽花ばなし』続編。日本海の港で店じまいしたママが20年ぶりに再登場…。作詞・吉岡治、作曲・岡千秋。したたかに人生を重ねつつ性根は座るも、優しさは失わぬママ…。さぁ、一升・二升でも呑んで口説いてみましょう。聴けば、そんないい女、そんなソーンが見えてきます。

久々の腰を据えた演歌。強く生きてはいるが、性根は優しい女が主人公


 胸を突く哀切なメロディー。ギターにストリングス。抑え気味のさゆりさんの演歌ヴォーカル。北の居酒屋『花いちもんめ』で“身もだえ”ているのは男。艶やかな情には流されぬ“凛”としたママがいて、そんな男を見守る眼は厳しくも優しくて…。遠くをフと見つめるママの眼には、波乱に富んでいただろう拭えぬ過去が浮かんではまた消える…。
 さて、皆様にはどんな絵が浮かぶでしょうか。いずれにせよ一度聴いただけで、こうした絵をワァッと現出させるさゆりさんの表現力に、改めて感心させられます。
 作家は作詞が吉岡治、作曲が岡千秋。さゆりさんは今から20年前の昭和60年から翌年にかけて、同コンビで幾つもの名曲を送り出しています。主な楽曲は第 27回日本レコード大賞・最優秀歌唱賞受賞の『波止場しぐれ』に、『紫陽花ばなし』『大阪つばめ』『裏町夫婦草』など。それから 5年毎にリリース。平成2年『うたかた』、平成7年『北の女房』と『大阪のおんな』をリリース。
 そして今、脱演歌の純愛テーマ『秋のメルヘン』から再びズシリッと腰を据えた本格演歌の登場です。それはまた久々にカラオケ・ナンバーにもなる楽曲で、多くの人々に唄われつつ浸透しそうです。
 カップリングは、これまたさゆりさんの独壇場で、とことん陽気な江戸小唄風楽曲。とは言え歌詞はルージュ、ビミョ〜、団地サイズ、独身セレブ…と現代風刺フレーズで抱腹絶倒。なんでそこまで底抜けに明るい声が出せるのか、これまた感心の声・歌唱です。

さて、さゆりさんに新曲について語っていただきました。一問一答の形で紹介です。

… 『人生情け舟』以来の演歌ですね。
石川 いえ、それら楽曲とはまた別の久々の本格演歌です。演歌好きの皆さまには、久しぶりに唄っていただける歌ができたかなぁ〜、と思っています。
… ♪おめえが欲しいと 吠えてみな〜
  ♪性根を据えなきゃ 抱かれない〜
 この辺は唄うとカッコよく決まりそうです。
石川 カッコ良く唄おうと思えばそうもでき、心情を細かく唄いたいと思えばそういう歌唱もよし。お好きなように唄っていただけます。
… でも軽くはない。主人公の存在がズシリッと重く、女の矜持がある。声や歌唱でそんな女が見事に表現されています。ちょっと抑えた歌唱ですね。
石川 『津軽海峡・冬景色』のように思いのすべてを吐き出すような唄い方ではなくて、『波止場しぐれ』で唄っているような腹に据えた唄い方です。自分の身体の中にいろんな思いを溜め込んで、それを搾り出すような…。歌唱的にも久しぶりの楽曲です。
… 『波止場しぐれ』より抑えられています。
石川 えぇ、主人公の背負ってきた過去の重さがポイントですから。歌い手は声や歌唱法を駆使して、そうした主人公をいかに表現するかが仕事。その意味でも、いい作品に出会えた、久しぶりに“歌が創れたかなぁ”と思っています。
… ってことは女性像の創造ですね。
石川 そうです。私は日本女性をテーマに唄っていますが、唄い尽くせるものではありません。生まれや育った環境、体験した過去や生活、時代に翻弄もされましょう。私自身も歳を重ねると共にさまざまな体験をしています。そうしたさまざまな日本女性を唄っていきたいと思っています。
… さゆりさんが声を発することで、無からある女性像を創造されます。
石川 歌い手も役者も自分ひとりの人生ですが、さまざま人になれ、さまざまな人を創れる楽しさがある。だから歌手はおもしろい。
… 新曲は『紫陽花ばなし』の続編のようでもあります。
石川 歌を作っていく段階で作家といろいろお話をします。今回は吉岡先生と『紫陽花ばなし』の話をしました。同曲は「紫陽花」というお店のママが、お客様に“ありがとう”と言って店じまいをする。で、どこへ行くかと言えば♪夫がいます 他人には云えぬ過去がある〜 で、実は夫は獄中から出てくるので迎えに行くための店じまい…だった。
… ゲッ!(笑い)。
石川 …例えばそう想像もできるワケです(笑い)。それで今度こそ幸せになれるかと思ったが、やはり落ち着くことはできずに、流れ流れて居酒屋『花いちもんめ』をやっている。女性はもう弱いだけでは生きてはいけない。逞しく一生懸命に生きる女性になっている。
… そこにまた通う男がいて。
石川 それが、好きだと言えずに酔いつぶれている(笑い)。
… 昔の東映映画を観るようです。健さんと別れた女が気丈にママをやっているみたい…
石川 『紫陽花ばなし』は女優さんだったら誰で、それから月日が流れて『居酒屋“花いちもんめ”』。さて、どんな女優さんがいいんだろうか、そんな想像も楽しいかも…。
… でも、一升呑んでも口説けそうにない。
石川 苦労をして逞しく生きている女性ですが、性根は優しいんですよ。
… カラオケする時は、そんなイメージで唄うと楽しそうですね。
石川 「ふたりのビッグショー」一部で、生前の吉田先生のナレーションが流れます。…歌というのは時が経って読み人知らずになって、皆が自分の歌を口ずさんでいるのを聴く、またそういうところに遭遇することができたら自分はとても幸せだ、ということをおっしゃっています。それを聞いて、あぁ、そうなんだ。自分が発信した歌を“どう聴いて下さい”なんて言ってはいけない。聴いて欲しいという思いで作っても、カラオケもよしなんです。歌は発信したら、お客さまの楽しみ方次第でいいんです。歌が生きて流れて行くこと、すなわち流行歌なんだと。これは「ふたりのビッグショー」の収穫のひとつです。
… ではカラオケのコツをぜひ
石川 抑え方云々ではなくて、これは声の向きや声の色の追求でしょう。その人になってみて、その生き様の呼吸が歌の中に出せたらいいと思います。ため息をつきたい時もあり、軽快なところもあり、浅かったり深かったり、ちょっと巻き舌っぽくなってみたり、うれしい声や顔になったり…
… あぁ、なんとなくわかります。
石川 一方、何も気にせず気持ちよく唄って、それでも成立する歌ですから、どうぞお気軽に楽しんで下さい。聴いて楽しむにはフルボリュームでもヘッドフォンでもよく、唄の息遣いを聴いていただけたら楽しいかと思います。すると腰の据わった女、でも性根は荒れていず、あたたかさも持った女性が見えてくるかもしれません。私はそこが大事だと思うんです。どんな暮しっぷりでも性根が曲がっちゃいけない、いじわるではない女性を唄いたいなぁ〜と思っていますから。人は生きていくうちに容姿も変わり、暮しのクセも付きましょうが、性根はあったかく優しい女であって欲しい。私はそんなさまざまな日本の女性を唄っていきたいと思っています。




「居酒屋『花いちもんめ』」ダブル1位感謝&新曲発表会
05年11月28日:新橋SL広場

「さゆり倶楽部」36号掲載

平成十八年(2006)、明けましておめでとうございます
今年は私の干支“戌年”。ダブル1位スタートでワンワン…
皆様とご一緒に…素敵な年になりそうな予感がしています


オリコン演歌チャート初登場1位
演歌有線リクエストランキング1位
●11月28日:夜の新橋SL広場でダブり1位感謝&新曲発表会を開催。
さらなる大ヒットに向けて吉岡・岡先生と共に“鏡割り”。夜の巷でカラオケ盛り上がります!!

皆様、明けましておめでとうございます。旧年中は格別のご愛顧を賜り厚くお礼申し上げます・・・石川さゆり

 昨年晩秋の「スキウタ〜紅白みんなでアンケート」が、皆様のお陰で『風の盆恋歌』『天城越え』『津軽海峡・冬景色』とベスト100に3曲もランクイン致しました。皆様の一生懸命の応援がこういう形になった、とほんとうにうれしく思いました。改めて皆様に御礼申し上げます。
 昨年は5月25日リリースの『秋のメルヘン』を唄い続けますと皆さまに表明し、応援していただきながら、急きょ10月26日に「居酒屋『花いちもんめ』」を発売させていただきました。同曲がとても良い曲でしたので一日も早く皆様に聴いていただきたい、お届けしたいという気持ちが募ってレコード会社に無理を言ってお願い致しました。そんなわけで宣伝体制を整える間がなかったにもかかわらず、発売と同時に好スタートとなりました。これまた私がこういう歌がいいなぁと思った気持ちと、皆様のこういう歌を待っていましたというを気持ちがピタリと一致したんだなぁ、と歓びもひとしおです。
 今年は私の干支“戌年”です。12年に1度の“年女”ですから、ぜひ良い年にしたいと思っております。久しぶりに劇場公演もありますから、充実した 1年になりそうな予感がしています。そして来年は35周年です。大きな節目の年はお祭り気分で盛り上がりたく思っていますので、今から全力で助走を開始します。今年もどうぞよろしくご指導ご支援をよろしくお願い申し上げます。

夜の巷にパワフルに浸透して行く新曲は、さらに大きなヒットへ…

「居酒屋『花いちもんめ』」の音を聴いて、さゆりさんに会報取材したのが9月6日。その日は同月1日よりスタートした「ふたりのビッグショー」のNHKホール2日間から北海道厚生年金会館へ飛び、再びさゆりさんがNHKホールに戻った「歌謡コンサート」楽屋でした。
「久々に腰を据えた演歌歌唱です。皆様に大いに唄っていただきたい楽曲です」
 9月末に新曲特集の会報を発行。そして約一ヶ月後の10月26日に新曲リリース。11月7日付けオリコン初登場で演歌チャート 1位、総合チャート24位。USENも演歌リクエストランキング1位の快挙。
 ファンクラブの皆様はシングル発売の約一ヶ月前から新曲「居酒屋『花ちもんめ』」に賭けるさゆりさんのメッセージを読み、ジリジリとしながら発売を待ったことでしょう。そしてカラオケできる・したくなる楽曲、居酒屋で一杯呑みたい季節も相まってのブレイクといえましょう。
 以来、ヒットチャートも有線も上位をキープ。年末・年始のお酒が呑みたいシーズンに、巷のカラオケに浸透して大ロングセラー化の期待…。それを予測したかのイベントが、昨年 11月28日の夜の新橋SL広場で開催。そのサブタイトルも「オリコン・USENダブル1位獲得感謝&新曲発表会」。以下、そのレポート…
 サラリーマンの皆様でそろそろ賑わい出した午後5時の東京・新橋SL広場。まずは締め切り追われるマスコミ向けに、広場に面した会員制競輪場外発券サロン「ラ・ピスタ新橋」内で囲み取材。
 さゆりさんは…
「今日の日をずっと楽しみにしていました。新橋のこの時間は、お仕事帰りの皆様で賑わうころ。呑んでカラオケも致しましょう。そういう現場で新曲を聴いていただけることがうれしいんです。この歌の舞台は、北の港の小さなお店“花いちもんめ”ですが、ここ新橋にも歌と同様にいろいろと苦労を重ねてきて、お客さんの痛みもわかる女将さんのお店もたくさんありそうです。今夜も多くのお店で、この歌のような人間ドラマが繰り広げられているのかも知れません。今宵はそんなお店で“居酒屋『花いちもんめ』”をたのしく唄っていただけたらいいなぁ、と思っています」
 午後7時。広場に面した巨大なオーロラビジョンに「居酒屋『花いちもんめ』」のプロモーション映像が流れて、駅前広場の皆さんがちょっとざわめき出します。そして同ビル2階テラス・ステージにさゆりさんが登場。
「おおぃ、な・な・生の石川さゆりの歌が聴けるなんてなんとラッキーなんだ」
 と、新橋駅前広場はたちまち黒山の人。新曲披露に、同ビル前に陣取った熱心なさゆりさんファンがリズムに合わせて大きく手を振りだします。続いて『津軽海峡・冬景色』…
「まさか、ここで“生さゆり”、しかも“生歌の津軽海峡…”が聴ける・見れるとは我がサラリーマン生活の忘れえぬ思い出になりそう」
 新橋広場は喧々ごうごう…。人はさらに集って、その数は約2千名。ここで吉岡治、岡千秋両先生が登場。吉岡先生は居酒屋“花いちもんめ”のいわれを語り、岡先生は…
「骨太のメロディーにさゆりさんの歌声がのって、どんな色っぽさが出るか楽しみでした」
 そして最後に再び「居酒屋『花いちもんめ』」熱唱。「いい歌じゃないか」とあっちこっちの囁きが聞こえます。ややして同ビル前にさゆりさんと両先生が出て来て、さらなる大ヒットを祈念しての華やかに“こも樽”鏡割り。そして握手会とふるまい酒…。
「居酒屋『花いちもんめ』」はこの冬、人々に愛されて夜の巷々で唄われ、息の長いロングセラーとなる予感が一杯でした。(次頁に続く)
 開演前の“囲み取材”は、締め切りに追われた新聞各社向けで、イベント終了後はテレビのワイド番組対象に再び“囲み取材”。まずは駅前広場キャンペーンを終えたさゆりさんの感想は…
「33年間、歌手活動をしてきましたが駅前キャンペーンは初めてでした。ここは会社勤めの皆様の生活の場です。私たちの歌は、皆様の生活の中に生きてこそ!だと思いますから、とても貴重な体験でした。仕事を終えてのちょっと一杯の席で“居酒屋『花いちもんめ』”で楽しく盛り上がっていただけたら、それは日常のなかのささやかなハレ、お祭になりましょう。そのためにも私の歌が皆様により愛されますように…と思っています」
 そして紅白の抱負は…
「皆様のお力で“NHK〜スキウタ”に3曲もベスト100に入れていただきました。一方この新曲は年末・年始にぴったりの楽曲です。“冬は鍋”なら“冬はこの歌”になるように頑張って唄っていますので、ぜひ紅白で唄いたいのですが、どうなりましょうか…。
(編集部注:『天城越え』は昭和61年紅白歌合戦の紅組トリで唄って、年明けと同時に動き出して大ヒット曲になった)
 続けて来年(平成18年)の意欲を訊ねられたさゆりさんは…
「その翌年、平成19年になりますと歌手生活35周年を迎えます。シングルも100曲目になるかも知れません。大きな節目の年はお祭り気分で盛り上げたく思っていますから、この新曲がそのためのいい助走になるような気がしています」
 記者会見、賑やかな握手会の様子をうれしそうに眺めていたテイチク・松下プロデューサーは、新曲について、またダブル 1位の好スタートについてこう語ってくれた。
「ファンの皆様方が、この時期にジックリ聴きたかっただろう歌がお届けできて本当にうれしく思っています。まさに渇望されていた楽曲だったのでしょう。だからと言って今までの楽曲がマズかったというのではありません。それぞれが非常に高いクォリティーを有していますから、これからも石川さゆりさんの歌として唄い継がれて行くと思っています。今まで送り出して楽曲は、そう、カメラのズームレンズのように距離が長かったり短かったりの振幅があって、今回はその中でポピュラリティー有した演歌という標準レンズで送り手と受け手のピントが合ったのだと思っています。この新曲は演歌ですが、詞も曲も編曲も実にていねいに作られた秀逸な作品です。僕としても納得、満足の素晴らしい仕上がりになっています。熱燗が呑みたい季節です。ますます大きなヒットになる可能性を有しています。このヒットが 35周年へのいい助走になりそうです。今から素晴らしい35周年が迎えられますように万全の体制を整えたく思っています」
 平成18年。さゆりさんが皆様にメッセージした通り“年おんな”ならではの充実した1年になって35周年に向かって走りだしそうです。皆様と一緒に新しい年を大いに盛り上げて行きましょう。



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