五木ひろし
芸能生活40周年記念シングル&アルバム2タイトル紹介

〜シングル・チラシのコピー&アルバムは会報82号の原稿より〜

 あんれぇ〜、めずらしい。シングル・チラシのコピー依頼があって、五木さんの仕事を始めて9年目に初めて新曲チラシのコピーを書いたん。「5's」設立以前は、新曲チラシはなかったんです。ずっと宣材なしのプロポーションだったんです。で、「5's」設立の『傘ん中』からチラシを作るようになって、コピーはプロデューサー・小西良太郎さんが書いていたんですが、今作は何故かアタシにお鉢がまわって来た。えぇ、ヤマハの仕事をしていたある時期はポプコンや世界歌謡祭からレコード・デビューするすべてのアーティストの新曲チラシ(パンフ)コピーを、ポニーキャニオンの仕事をしていた時代もニューミュージックからアイドル、演歌とずいぶん多くの歌手、アーティストの新曲チラシのコピーを書いてきましたが、いや、それが仕事だったんですが、久々のチラシ・コピーでした。

『アカシア挽歌/雪燃えて』

 芸能生活40周年記念シングル。送り手も聴き手も、肩に力が入ろうというもの。2曲併記。まず『アカシア挽歌』を聴く。哀愁に充ちたメロディー、ロマンチックな詞、舞台は北の町、漂うは甘美な追憶…。五木ひろしは芸能生活40周年を大上段に構えることなく、甘美な陶酔へスゥ〜ッと誘います。
 ムーディ歌謡…。この言葉でコンセプトすれば、いや、どこか違うぞ、という気になってきます。その声その歌唱は紛れもなく“いぶし銀”。ここに充ちているのは、40周年ならではの“時”を経て醸し出される芳醇さ。その滋味濃厚なり。若木のアカシアの花なら瑞々しく香るだろうが、幾つもの時代を超えてきた花木は「ここまで芳醇ですよ」と言っているかのよう。北の町のアカシアは明治のころに移植されたという。芳香放つ花だけでなく、スックと聳えた大きさ、優しさも伝わってきます。親しみ易く、唄い易く、いつの間にか口ずさみ出している曲ですが、40周年ならではの芳醇な香り、滋味も堪能していただけます。
 一方、『雪燃えて』は同じ作詞・作曲家ですが壮大なスケール感、ドラマチックな展開です。燃え上がる情念と冷徹な雪の原野が融合する妖しくも神秘的な情景が現出します。インパクトあるサビフレーズが、感動的な光景を広げます。木枯らしが吹き、雪便りが届くころにジーンと胸に染み込む感動楽曲です。
 五木ひろしは56歳の誕生日2日後、3月16日に演歌歌手初受賞の大衆芸能部門・芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。これは昨年9月の自ら構成・演出した日生劇場コンサート「古賀政男の不朽の名作を歌う」で発揮した“何も引かず・何も足さず”の真摯な名曲継承と、新しい歌への果敢な挑戦を続けてきた彼の歌手活動が評価された結果でしょう。「40周年の大きな節目に大きな賞をいただき、今後も精進、努力を貫いて行きたい」 アカシアの花が咲く初夏から、月冴え雪燃える真冬へ…、五木ひろし芸能生活40周年をこの2曲でたっぷりお楽しみ下さい。


[アカシア豆知識]
◎日本には大別すると常緑のマメ科アカシア属と、落葉のエンジュ系属の“アカシア”があります。
<常緑のアカシア属>●マメ科アカシア属の代表格は通称「ミモザ」でしょう。オーストリアやアフリカ原産の常緑高木で、春先に黄色い花を総(ふさ)状にいっぱい付けます。
<アカシア属から採取…>●アラビアゴム:アカシア属のひとつ「アカシア・セネガル」の樹液から「アラビアゴム」が取れます。世界の需要の8割をスーダンが生産。その粘り性からキャンディーやチョコレートの食材、アラビアノリに使われます。●タンニン:その樹皮から抽出される「タンニン」は、皮のなめし剤や合板やパネルの接着剤原料。シックハウス症候群が問題の今、この天然有機物の接着剤が注目されています。●香料:花から抽出のエッセンシャルオイルは、その芳香から香水、石鹸、化粧品などの香料にも使われています。●砂漠の緑化:生長が早く、土地を肥沃化することで防風・防砂を併せて砂漠の緑化にも大活躍中。
<落葉のエンジュ系では…>●マメ科ハリエンジュ属の「ハリエンジュ(針槐)」は落葉アカシアの代表格。通称「ニセアカシア」で北アメリカ原産。花期は初夏、白色で垂れ下がる総(ふさ)状の花に芳香があります。寒さに強い品種で、歌謡曲の題材になる「アカシア」の多くがこれ。他に日本原産「イヌエンジュ」、中国原産「エンジュ」があります。
<ハリエンジュから採取…>●花に芳香がありますから花ジャム、蜂蜜に芳醇な花の香りが楽しめます。
<ハリエンジュの歌謡曲>●『この道』(作詞:北原白秋/作曲:山田耕筰、昭和2年)♪この道はいつか来た道〜。●『アカシアの雨が止むとき』(作詞:水木かおる/作曲:藤原秀行、昭和37年)♪アカシアの雨にうたれて〜 翌年に日活で浅丘ルリ子、高橋英樹主演で映画化。●『赤いハンカチ』(作詞:萩原四郎/作曲:上原賢六、昭和37年)♪アカシアの花の下で〜 同年はアカシア・ブーム。この時、五木ひろしは中学3年生。●題名や歌詞に登場の楽曲は他にも石原裕次郎『思い出はアカシア』、サザンオールスターズ『流れる雲を追いかけて』、松任谷由実『acacia(アカシア)』、森進一『内灘愁歌』、テレサ・テン『アカシアの夢』、坂本冬美『泣いてアカシア』…。<アカシアで有名な地>●札幌の大通り公園:明治時代に移植。札幌の電話帖には「アカシア」名の会社や店舗が約40件とか。●秋田県小坂町:町内に500万本。4年前に中国大連と「アカシア祭り友好交流意向書」を締結。●石川県河北郡内灘町:アカシアロマンチック祭を5月中旬に開催。●京都府久美浜:9万本の並木。6月上旬に白い花を咲かせます。●軽井沢、千曲川にも多い。


※以下は会報に書いたアルバムの紹介原稿です。

2004.6.23リリース 五木ひろし芸能生活40周年記念アルバム
五木ひろしオリジナル40「新宿駅から40年」
CD3枚組:FKCX−5009〜5011/CT2本組FKTX−5009>〜5010定価各¥5,000(税抜価格¥4,762)

昭和40年、松山まさる『新宿駅から』から『アカシア挽歌/雪燃えて』まで五木さんの40年間がここにグッと凝縮。17歳から56歳まで…五木伝説40年を満載!懐かしさと再発見でワクワク・ドキドキの釘漬けの40曲です

 5年前、3周年の時の『五木ひろし大全集』はCD、カセット各14枚(本)組で全223曲収録の超豪華ボックス仕様(2万4千円)でした。いきおい大事な宝物として飾りケース入りですが、40周年は40曲の選曲。これなら気軽に五木さんの40年間を振り返ることができるうれしい企画です。
 1曲目は17歳の松山まさる『新宿駅から』。最近のコンサートでは松山まさる、一条英一、三谷謙から五木ひろしへと各芸名の代表曲が披露されていますが、ここに在るのは紛れもなく17歳の「松山まさる」はじめ、その時々の五木さんです。アレンジはじめサウンドも懐かしく、なにやら胸ときめいて逆に新鮮さも覚えます。次が『母と子の道』で五木さん、限りなくフレッシュです。3曲目は新録で、4曲目『雨のヨコハマ』は21歳の三谷謙。5曲目『よこはま・たそがれ』はニューヴァージョン。
 という流れで、一曲一曲それは懐かしい五木さんを次々に発見で、その楽しさにもう釘漬けです。五木さんは…
「声が変わるのは当然だが、歌唱も十代のころ、『よこはま・たそがれ』から『千曲川』あたりまでの歌い方、それから30代、40代と変化しています。40年間を改めて40>曲に凝縮して聴き直しますとその辺も面白いかもしれませんね。僕にとってはその時その時のベストで唄っているんですが…」
 “オリジナル40”のタイトル通り、ほとんどがオリジナル音源ですからそんな再発見を楽しみつつ聴いたらいいのかも。五木さんファンの多くは20年、30年のファン歴を有した方々も多いでしょうから、あの曲この曲はこんな風に応援したわねぇ〜と当時を思い出しつつ聴くのも楽しそう。また最近のファンは昔の五木さんを知らないワケですから、一曲毎に五木さんの歴史発見でしょう。
 最終収録曲はもちろん『アカシア挽歌』『雪燃えて』です。さぁ、五木ワールドをたっぷりご堪能ください。40曲で5千円、これも大サービス価格です。


<収録曲>
1 新宿駅から  2 母と子の道  ★3 俺を泣かせる夜の雨  4 雨のヨコハマ  5 よこはま・たそがれ(N/V)  6 待っている女(N/V) 7 旅鴉  8 あなたの灯  9 ふるさと(N/V)  10 夜空(N/V)  11 浜昼顔(N/V)  12 千曲川(N/V)  13 愛の始発   14 灯りが欲しい   15 渚の女(N/V)   16 おまえとふたり   17 倖せさがして  18 人生かくれんぼ   19 契り(N/V)  20居酒屋   21 細雪   22 長良川艶歌   23 そして…めぐり逢い   24 浪花盃  25 追憶  26 暖簾  27 心  28 おしどり   29 終着駅  30 汽笛   31 酒 尽尽   32 女の酒場   33 紫陽花  34 酒ひとり   35 山河   36 おふくろの子守歌(N/V)   37 傘ん中   38 逢えて…横浜   39 アカシア挽歌  40 雪燃えて



五木ひろしが歌う!『日本の歌・歌謡史40』
CD3枚組:FKCX‐5012〜5014 CT2本組:FKTX‐5012〜5013定価¥5,000(税抜価格¥4,762)

昭和から平成へ。戦前・戦後歌謡曲からニューミュージックへ…時代を彩った40曲。五木歌唱も40色の多彩展開。未だ知らなかった五木さんの魅力をいっぱい発見で、改めて五木さんの世界の広さ深さを再認識でしょう

「歌謡史の大きな流れを、この40曲からわかっていただけたらいいなぁ〜と思っての選曲です。作家やオリジナル歌手の配分まで気をつかいましたから大変でした。また歌謡史を知っていないと出来ない選曲で、僕のすべての知識はある意味で歌謡史だからこそ出来た選曲だと思っています。まず40曲を選曲した後に“この曲は新録がいいだろう”、“この曲はすでに唄っている過去の音源がいいだろう”“これはライブ音源がいい”などと考えて仕上げて行きました。えぇ、全曲新録はできるワケもなく、今までの音源があったからこそ可能な企画でもあります」
 戦前歌謡曲は『影を慕いて』『国境の町』『人生の並木路』。戦後歌謡曲は『かえり船』から『青い山脈』『長崎の鐘』から始まります。昭和48年からは井上陽水『心もよう』、かぐや姫『神田川』、グレープ『精霊流し』とフォーク、ニューミュージック楽曲が続き、今度は歌謡曲スター歌手の八代亜紀、大川栄策、北島三郎、石川さゆり、石原裕次郎などの代表曲…。平成になってからは『川の流れのように』『SAYYES』『珍島物語』『地上の星』、最終曲が『世界に一つだけの花』。
 こうした選曲にも五木さんならではのセンスやこだわりもしっかり反映されているような気もします。芸能生活40年ならではのあの時この時の音源+今の五木さんの歌唱、そして選ばれた楽曲も戦前歌謡から戦後歌謡からニューミュージック、平成流行歌へ。ここで強調したいのは大きな歌謡曲の流れを知る以上に、このアルバムの40曲には五木さんの40色が煌いていて、聴く人それぞれが、未だ知らなかった五木さんの魅力をいろいろと発見。改めて五木さんの世界の広さ、深さが再認識させられることでしょう。ここから今度はこういう歌を唄って欲しい…の欲も出てくるかも。
 なお、新歌舞伎座の11月公演は『新宿駅から40年』『日本の歌・歌謡史40』両アルバムからさらに厳選40曲のライブ・パフォーマンスになる予定です。ご期待下さい。

<収録曲>
★1 昭和5年  影を慕いて(古賀政男・古賀政男・佐藤千代子) 2 昭和9年  国境の町(大木惇夫・阿部武雄・東海林太郎)3 昭和12年  人生の並木路(佐藤惚之助・古賀政男・ディック・ミネ) ★4 昭和21年  かえり船(清水みのる・倉若晴生・田端義夫) ★5 昭和24年  青い山脈(西條八十・服部良一・藤山一郎・奈良光枝) ★6 昭和24年  長崎の鐘(サトウハチロー・古関祐而・藤山一郎)  7 昭和30年  逢いたかったぜ(石本美由起・上原げんと・岡晴夫) 8 昭和30年  別れの一本杉(高野公男・船村徹・春日八郎)  9 昭和30年  おんな船頭唄(藤間哲郎・山口俊郎・三橋美智也)  10 昭和32年  有楽町で逢いましょう(佐伯孝夫・吉田正・フランク永井)  11 昭和32年  雪の渡り鳥(清水みのる・陸奥明・三波春夫) ★12 昭和34年  黒い花びら(清水みのる・中村八大・水原弘)  13 昭和36年  王将(西條八十・船村徹・村田英雄)  14 昭和37年  いつでも夢を(佐伯孝夫・吉田正・橋幸夫 吉永小百合)  15 昭和38年  見上げてごらん夜の星を(永六輔・いずみたく・坂本九) ★16 昭和41年  星影のワルツ(白鳥園枝・遠藤実・千昌夫)  ★17 昭和41年  君といつまでも(岩谷時子・弾厚作・加山雄三)  18 昭和41年  悲しい酒(石本美由起・古賀政男・美空ひばり)  19 昭和42年  夜霧よ今夜も有難う(浜口庫之助・浜口庫之助・石原裕次郎)  ★20 昭和46年  おふくろさん(川内康範・猪俣公章・森進一)  21 昭和48年  心もよう(井上陽水・井上陽水・井上陽水)  22 昭和48年  神田川(喜多条忠・南こうせつ・かぐや姫)  ★23 昭和49年  精霊流し(さだまさし・さだまさし・グレープ)  ★24 昭和50年  シクラメンのかおり(小椋佳・小椋佳・布施明)  25 昭和50年  北の宿から(阿久悠・小林亜星・都はるみ)  ★26 昭和54年  秋止符(谷村新司・堀内孝夫・アリス)  ★27 昭和54年  舟唄(阿久悠・浜圭介・八代亜紀)  28 昭和55年  いとしのエリー(桑田佳祐・桑田佳祐・サザンオールスタース)  29 昭和57年  さざんかの宿(吉岡治・市川昭介・大川栄策)  30 昭和58年  矢切の渡し(石本美由起・船村徹・ちあきなおみ)  31 昭和61年  北の漁場(新條カオル・桜田誠一・北島三郎)  32 昭和61年  天城越え(吉岡治・弦哲也・石川さゆり)  33 昭和62年  北の旅人(山口洋子・弦哲也・石原裕次郎)  34 昭和63年  乾杯(長渕剛・長渕剛・長渕剛)  35 昭和63年  酒よ(吉幾三・吉幾三・吉幾三)  ★36 平成1年  川の流れのように(秋元康・見岳章・美空ひばり)  37 平成3年  SAY YES(飛鳥涼・飛鳥涼・チャゲ&飛鳥)  38 平成5年  珍島物語(中山大三郎・中村大八郎・天童よしみ)  39 平成14年  地上の星(中島みゆき・中島みゆき・中島みゆき)  ★40 平成15年  世界に一つだけの花(槙原敬之・槙原敬之)



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