ニューシングル『陽だまりの詩』
2003.4.23リリース
〜さゆり倶楽部第25号掲載より〜

作詞:吉岡 治/作曲:聖川 湧/編曲:南郷達也
C/W『花の寺』
作詞:吉岡 治/作曲:聖川 湧/編曲:南郷達也

今、欲しいのは…やさしさでしょ。さゆりさんの陽だまりにも似たやさしさが、
疲れ・荒んだハートを癒してくれます。そのゆったりテンポに、さぁ、遠慮せず
…揺り揺られてみましょう。31年目をスタートさせたさゆりさんの、新しい魅力
探し第1弾!!まずは“さゆり癒しパワー”をどうぞ…。
                                     担当プロデューサー 太田 輝

 昨年春、30周年のスタートにアルバム『さゆり』、シングル『転がる石』を同時リリースしました。アルバムは1年を経た今でも、全12曲それぞれに、聴けば惹き込まれずにはいられない、それは素敵な世界が構築されています。そこから当初の予定通り7月24日に『夢の浮橋』を、この2月21日に『湯の花KOUTA』をシングルカットして来ました。
 そして今は3月中旬。まだまだ寒さ厳しくも、間もなく春爛漫。同曲はそんな本格的な春を迎えるころ、会報が皆様のお手許に届くころに、あちらこちらで花便り…。桜吹雪浴びつつ、ホロ酔い気分で♪チリシャン チリシャン…と皆さんのハートを浮き立たせ、元気づけてくれる曲としてパワフルに浸透中…と思っております。
 とは言え、3月25日が過ぎればさゆりさん本人は30周年が終わって、31年目の新たな旅立ちです。皆様に “さぁ、存分にお楽しみ下さい” と『湯の花KOUTA』をお預けして、我々制作陣は31年目の第一歩を踏み出さなければなりません。と言うワケで4月23日リリースのニューシングル『陽だまりの詩』完成です。作家クレジットから、お気づきの点がありましたか? そうです。表題曲、カップリング共に作曲はさゆりさんと初組み合わせの聖川湧さん。『はぐれコキリコ』で昨年の日本レコード大賞作曲賞受賞他で、いま最もノッている作曲家です。この初組み合わせから何が飛び出したか…。フフフッ、もったいぶるワケじゃありませんが、楽曲説明の前にさゆりさんの新しい魅力探しについて、ちょっと語らせていただきます。
 30周年の大きな節目を無事に終え、私たち制作スタッフは改めて石川さゆりさんには無尽蔵の輝きがまだまだ…たくさん眠っている、の感を深めています。31年目からの新たな歩みは、それらをどう引き出して行くかがポイント、いや、それが制作陣の使命だと思っています。そのためにも、今回のように…さゆりさんと初顔合わせの作家たちのコラボレーションを機会ある度にチャレンジしていただきたく思っています。具体的に申せば、例えば全曲集アルバム…。これは通常、最新曲と過去の楽曲で構成ですが、ここでも何割かは新しい試みが展開出来るのでは、と思っています。ある時は女性作詞家と、また若い世代の作曲家と積極的に組んで、さゆりさんの新たな魅力探しを試みたく考えています。ぜひご期待下さい。
 さて『陽だまりの詩』です。新曲をひと言で説明すれば、『人生情け舟』と『涙つづり』の中間で、メジャーのヨコユレ楽曲とでも申しましょうか。 “ははぁ〜ん、うまいことを言う” と。何ぃ〜言ってんですかぁ、プロに向って。エッ、“ヨコユレ”がわからないと。タテノリ、タテユレに比してのヨコユレです。『人生情け舟』が手拍子でコブシ効かせた楽曲でしたが、新曲は“ゆったり横たわって揺り揺られて…”のミディアムゆったりテンポ…。
 そう、この “ゆったりテンポ” が曲者で、ここに歌い手の実力が出ます。さゆりさんは詞を、曲を、リズムを慈しむように…それは見事にじっくりと唄っています。これぞ “ヨコユレ” の見本。メロディー的には唄い上げたい箇所が何ヶ所もありますが、さゆりさんが唯一唄い上げているのが♪あんたに惚れた…のサビだけ。それも抑え気味です。
 新曲テーマは(他)人への思いやり。ここに充ちる深いやさしい歌唱が癒しパワーを発揮し、聴く者の疲れ・荒んだハートを和ませ寛がせてくれます。皆様も遠慮なさらず、さゆりさんの癒しに正体なくとろけちゃっていい〜です。
 先日行われたLD撮影スタジオでのこと。撮影のほぼ半日間、『陽だまりの詩』がずっと流されていて、皆さん、催眠術にかけられたかのように寛いだムードが充ちたと聞いています。私は当日、スタジオにこもってのマスターリング作業。ですからスタジオに流れていたのはラフミックス音源で、マスターリングを経た音源はさらに入念調整で、さゆりさんのやさしいヴォーカル、サウンドの心地好さが倍化で、皆様のお耳に達する『陽だまりの詩』は…、えぇ、ここから先は言えませ〜ん。
 さゆりさんはここ最近“いい意味で肩の力が抜けて来た”という指摘をよく耳にします。えぇ、かつては構えていなきゃ生きてはいけない、そんな時代もあったのでしょうが、今は心底ナチュラル、自然体です。ここから湧き上がる笑顔、仕種…にも癒しパワーが充ちています。
 やさしさの裏に何があったの?とお訊ねですか。それは次頁の本人インタビューをお読み下されば“何か”がわかるんじゃないですかぁ。制作スタッフとして言えますことは、昨年の30周年はかなり力を込めた1年間で、地方キャンペーンはじめ、我々がプロモーションでかなりスケジュールを固めましたし、最後は紅白歌合戦の赤組トリまで務め、まぁ、息つく暇もなかったはずです。さゆりさん自身、そんな1年を経て久し振りにホッとリラックス、またハードな1年間を乗り越えた達成感と自信…これらが重なって落ち着いたやさしさを生んだのでは…とも思っています。
 “いい意味で肩の力が抜けた”…そんなさゆりさんに、またピッタリの楽曲が『陽だまりの詩』でもあります。『涙つづり』では「くの字 登りの 坂ばかり」というフレーズがあり、新曲にも「おなじくの字で 眠りましょ」と“くの字”が出て来ますが、前作は“二人で頑張りましょ”の意で、新曲は陽だまりで“寛ぎましょ”です。
 ポカポカ・ヌクヌク…、この表現は肩に力が入っていたら出来るワケもなく、今のさゆりさんだから成し得た妙味。歌い手と楽曲の出会いって不思議だなぁ〜と、改めて思っています。(談)

着付は渥美俶江さん、ヘアメイクは渡邊サブロオさん、カメラは渡辺達生さん。



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