オフショア金融センターの歴史と特典

 

1.英国管轄  オフショア金融の世界   

オフショアは1920年代くらいから発展。従来、Tax Haven(税の避難地)と呼ばれていたが、近年はオフショア金融センターと呼ばれる。

1.1 歴史

少例を除き、オフショア金融センターのほとんどは旧英国領。企業数が少なく産業が発達しない近隣島嶼を英国通産省がオフショアの金融産業育成を推奨、支援。(マン島、スイス、ケイマン島)

1.2 特典

−海外企業の登記が可能、税金は免除(法人税)

−非居住者は免除(所得税とキャピタルゲイン税)

−企業及び個人の金融取引は完全機密保持であり、秘匿違反者は実刑)

1.3 安全性

−完全かつ、高度な投資家保護

−資産の約90%と将来の利子(利益)等を保証(マン島、ガンジー島)

−破綻した投資会社の債権者は、保管口座の顧客資産には手を出せない仕組み

−柔軟な法制度が有利な資産管理サービスを創造

−法律違反には特に厳しい = 投資家の権利と資産を完全保護し、守るため

   −元本保証 初期投資額の一部を担当銀行がゼロクーポンボンドで運用し、満期時点で元本額まで

殖やして償還する。(一部)

1.4 オンショア(各国内市場)との違い

−軽課税の環境(一般的に非居住者の所得税、相続税、キャピタルゲインズ税は徴収しない)

    年毎の課税が無く、日本国内への送金時、利益に対して収入税を申告、支払う。

−規制が最小限(資産運用規制が少なく、資産成長が早い。投資家保護法も整備されている)

    投資の選択度が高い。より大きな国際分散投資機会。高い金融技術。(日本はリテール中心)

    −秘密の厳守(麻薬密売、マネーロンダリング等を除き外国政府介入も排除。情報提供者は禁固刑)

     −ペイオフが無い。

1.5 オフショアでの資産形成の優位性(運用利益に課税されないので高成長、売却までは無税)

−日本円建て(約年率0.01−0.001%)

     −米国ドル建て(約年率3−5%)

    −オフショア積立て(約年率3−5%)

 

2.オフショア金融センターの組織

    一般的に、ファンド設立地と運用会社の所在地は異なる。

2.1オフショア・ファンドの解禁と資産運用機会

1998.4月金融ビッグバン「外国為替及び外国貿易法」(外為法)により外貨預金などと共に、オフショアのファンドによる資産運用が可能となった(98年の外国為替法改正)。これ以前は10年前後、外国人ファイナンシャル・プラナーが在日外国ビジネスマンを対象にオフショア・ファンドにようる資産運用サービスを提供していた。金融ビッグバンは宇宙創生のビッグバンになぞらえて1980年代、英国は金融ビッグバンを実施し、金融市場の大改革が実施された。日本はこれに続いて金融制度、税制、金融市場をNY,ロンドン並みに自由化、活性化する金融システム改革。Free, Fair、Globalをモットーに金融に関する規制緩和、市場整備が行われペイオフの実施(一時延期,2005.4.1日実施)」、金利自由化、銀行・証券の垣根の撤廃などを行った。

ビッグバンにより規制がなくなり各金融機関は競って新規金融商品を開発、ネット・バンキングなど。自己

責任で金融商品の選択・運用、外為法改正、銀行などでの本体の投信販売、有価証券店頭デリバティブ

の導入、会社型投資信託の導入、私募投資信託などの導入をした。

2.2オフショアの目的

−プライバシーの保護

−財産保全

−節税対策

−国際分散投資

−ペイオフ対策

2.3 金融組織

a.           プライベート・バンク

富裕層の資産管理、運用、節税、相続対策など包括的サービスを行う。

   もっとも有名なのはスイス。富豪対象に資産の包括的な運用管理サービス。

   秘密保持と無記名口座。世界5大PB, クレディスイス、スイス銀行、UBS,LGTグループ、ピクテ。

b.オフショア・バンク

   中流・庶民層を対象(特に海外駐在ビジネスマン)。自治権を持つイギリス領が多い。秘密保持

   を含む投資家保護制度が整備されている。口座開設に1万米ドル(≒100万円)レベルから。

c.オフショア投資信託会社

   税制と運用規制面からファンド運用会社の設立が多い。欧州各国で無登録販売ができる

   メリット。

d.オフショア生命保険会社

   欧州系の生命保険会社の設立が多い。生命保険そのものより投資商品(資産運用商品、

   個人年金商品等)を海外駐在員に提供。税制、秘密保持面からオフショアが得策。

 

2.4 オフショアを構成する組織(相互に関連する)

a. 投資顧問業者 :ファンドマネージャー

b. 資産管理会社 :保管銀行(カストディアン・バンク)、証券会社(プライムブローカー)

c. 事務管理会社 :投資家のファンド購入から利益分配までの手続き窓口。

d. 弁護士事務所 :ファンドの目論見書作成、投資家の購入契約、などの契約書の作成。

e. 会計事務所  :決算書の監査(事務管理会社が作成した決算資料のチェック)

 

 

 

2.5 オフショアファンドの種類と利用法

a. オフショア・バンクの提供品は預金口座(使用可能通貨は10〜15通貨)

普通預金口座 ・コール預金口座 ・通知預金口座 ・定期預金口座

当座預金と普通預金を合体させた利息付き当座預金口座もある。最低預金額1万米ドル(≒100万円)。

年間3%程度の利息がつく。

b. プライベート・バンクの提供品 ※

資産運用 ・投資商品の選択&ポートフォリオ管理 ・商業銀行業務 ・所得税、相続税対策

※オフショア・バンクがイージーオーダーならプライベート・バンクはテーラーメード。

c. 利回り強化信託預金(企業向き)

2.6 オフショア・ファンド運用会社の提供品

信託形態(オフショア・ユニット・トラスト)→ユニット単位(1口)の販売。

通貨、債券、株式、ファンド・オブ・ファンズ。

蓄積型、配当型

2.7 オフショア・ファンドの種類

a. ランプサム・インベストメント・プラン(一括投資)

−インベストメント・ボンド(IB)→2万米ドル〜

−マネージド・ポートフォリオ・ボンド(MPB)→5万米ドル〜

−パーソナライズド・ポートフォリオ・ボンド(PPB)→10万米ドル〜

b.           レギュラー・セイビング・プラン(積み立て投資)

−積み立て期間と払い込み金額を予め決めてスタート

−イニシャル期間中(1〜3年間)の変更は不可。

       −イニシャル期間終了後は中断、増額、減額ができる。