Books6(第6書庫)
2024/04/21記
ついにアニメも始まった本作の最新刊。
声も付き動く様も見れたので、脳内再生はそちらに以降しつうある。
珍しくリヴィアはオチもなくだったな。と見て良いのかな。
そして言われてみればリヴィアの根源はこちらの世界に来てから始まった訳ではなく
根っこはそこらへんだという事で腑に落ちた。
いまはまさに天職じゃないか。
そしてそこまでの状況に至っても、サラとはほとんど接触しないんだな。
望愛の母親、このタイミングで出てきたということは最後のアレと関わりそうな。
サラは相変わらずの無双っぷりだが、はたしてここでどんな介入が始まるのか。
次こそ予測不能だ。
入間人間
(2024/03/15記)
それと気付いた時には涙が出そうだった。
気付いたのは季節が分かった時。
延々と続くふたりの物語。まさかこんな所までと言う所からそこに収束するのか。
ふたりの関係ってずっとそうだったよねえ。
まさかあなたがそんな所まで付き合ってくれるとは。ほんとに嘘のない子だ。
ふたりの物語は最初から最後まで密かなドキドキとなんとも言えない距離感に
満ちていました。
「安達としまむら」、もし映画化するのだったら、この「99.9」が良いな。
入間人間
(2024/03/14記)
物語の行間を埋めるエピソードの連なりが徐々に形を成していく心地良さ。
最後はそこに落ちるのか。
ふたりの距離感を楽しみながら謎が溶けていくこの感じ。
こうやっていつまでも世界が続いているのが心地良い。
「地球最後の日」"When Worlds Collide"(1932,1933)
Philip Wylie and Edwin Balmer
(2024/03/02記)
ジョージ・パルの同名作品を観た流れで原作たる本作へ。
映画化するためにどのように換骨奪胎していったのかがとてもわかり易い。
まさか主人公まで交代していたとは。
映画の方はあの時代のSF映画としては面白いが、こういう題材であれば原作の
アプローチの方が面白いよね。
ある意味良い所引っこ抜かれている。
そういう意味では再映画化話の際に単独でこのまま作られなかったのは悔やまれる。
ここからはこの原作の話。
この作品の面白さの一つは主人公とその置かれた環境の設定。
プロジェクトに関わる前後どちらでもある意味客観的な視点に立ちつつ恋愛感情的な
部分は覆い隠さない所。
ランズデルは良い奴と思いつつもいざイヴのそばにいる時はそういう制御が効かない
ことも自覚してという人間臭さ。
その彼が見聞きする世界の終焉と未来の為に動く人間の姿。
前者は尊厳と欲望にまみれた人達が描かれ、後者はある意味自分の興味あるものに
対して貪欲で有能な者達。
どちらも理不尽で合理的に動くのでこのボリウムに対してテンポが良いのよ。
そして見たいものを見せてくれる。
そしてその才能のみが到達できたこの結果。
神の采配の使い方。
まあ何よりもこの原題が現す、この題材にビリヤードみたいなシチュエーションで
ノアの箱舟してしまうアイデアの面白さだよな。
単なる地球の終焉だけではない所が凄い。
ある意味ではあるけれど『ディープインパクト』+『アルマゲドン』=本作という
視点で見えるのもまた面白いな。(また映画に戻ってる。)
2024/01/26記
とうとうその手を。
これでコントロール失うかとも思ったが、とりあえずは上手く使いこなせたと思って
良いのかな。
何度もは難しそうだけれど。
と、思っていたらそもそもCRCは踏み台、キッカケにすぎない所に収まりそう。
流石にそこで終わりという訳にはいかなかったか。
腕と頭、部位は違えど今回の当麻と同じような状況なのか。だとしたらまだ復帰もとも
思えるけれどそう上手くはいかないだろうな。
今回は心理掌握さんキツそうと思っていたけれど、本人としては幸せなんだろうな。
そして結果としては巡り巡って彼女の得意領域がウィークポイントではあった。
美琴も活躍しづらいと思っていたけれどまさかトリガーとして。
それ以上に久々に実は頼れる禁書さんを見ることができました。
ピンポイント参戦の一通さんも良かったかな。
「オリエント急行殺人事件」"Murder on the Orient Express"(1934)Agatha Christie
2023/11/12記
蕗沢忠枝訳の新潮社版を久々に読了。
推理小説らしい文法の推理小説を読むのも今となっては久しぶりになってしまった。
章立てからしてこういう構成のもの、今はあまり読まなくなってしまった。
こうやって改めて読んでいくと、これはポワロにというかクリスティに限らずだけれど、
当人の視点以外で語られた状況や感想が事のほか先々に大きな意味をなす所に、
独りよがりではなく第三者として自分達も参加しているような気にさせられて
いるのかなと改めて思った。
まあこういう感じ方をするのは別の媒体、今回で言えばケネスブラナー版の映画を観た
ことで強く思ったのかもしれない。
個人的にはこういう原作のやり方の方が好きだなあ。
で、この作品に於けるトリック…これが初見だったらホントにごめんなさい…について。
トリックそのものに関して語られる事の方が多いけれど、作品の本質としてはこの犯罪の
計画者がどのような規律を持って計画し不測の事態に対応していったかの方が面白い。
その理由は彼らの動機が大きく関わっている事も含めてね。
世にいう二つの解答は その事じたいより、提示後誰も一切野暮な事言わないで物語を
ひいてしまうあたりが好きなんだよなあ。
2023/11/01記
ファミリーシーズン突入。
まずは現時点での立ち位置確認が色々と。
変わらずの言葉遊びがスライドして形をなりたたせていくあたりは変わらず見事。
そうかそう来たかという所から話がどんどん膨らんできて、ただそこだけはこだわって
いるなあと思う所に気を取られていると。
まさかあれのグレードアップ版を頭の中で一枚絵になって想像できるきっと想像以上の
光景が用意されているとは思わなかった。
なんとなくオチが見えたなと思った所でこんな不意打ち喰らうとは思っても見なかった。
ホント構成の上手さよ。
「怪獣保護協会」"The Kaiju Preservation Society"(2022)John Scalzi
2023/10/20記
最も衝撃的だったのはあとがきに書かれている本作が産まれた経緯。
それは半分冗談だが、さておき彼のオタクっぷりが今まで以上に楽しい本作で
ありました。
それは今と密接に連動していて、なおかつそうスライドするのかというあたりが
なんとも言えない。
その状況になったらやはり設定こねくり回したいよねえとか、まあ彼の
「レッドスーツ」を読んでいればわかるけれど。
2023/09/27記
海外での再映画化が決まったとの事で、懐かしくなって読み始めました。
個人的に山田太一はドラマ脚本よりも一作目の長編小説「飛ぶ夢をしばらく見ない」や
2作目の本作の方が好きだったりする。ついでに言えば本作が原作の大林宣彦の映画も
とても好きだったりする。
そんな作品との久々の出会い。
とてもドライな部分と情熱的なものとの同居のさせ方が凄く上手いというか絶妙で、
その余韻が心地良いんですよね。今回読み直してみて、こんなにあっさりしてたんだとも
思った。
けど一方で感情ぐちゃぐちゃにされてしまう部分もしっかりとあって、そういう意味で
これがどんな形で映画化されるのかも楽しみ。
「飛ぶ夢…」も再映画化されないかなあ。
さておき脳内ではしっかりと風間杜夫で片岡鶴太郎で秋吉久美子で名取裕子でした。
けど父ちゃん母ちゃん30代なんだよなあ。
「長いお別れ」"The Long Goodbye"(1953)Raymond Chandler
23/09/15記
前2冊と比べると少々時間がかかってしまったが、ようやく清水俊二訳を読了。
時間がかかったのは飽きてきたというよりは、古い友達と親交を深め直したような感じかな。
私の知っているこの物語は本作だった。
たしかにこうやって見直してみると田口俊樹訳の感想で書いたわかりやすさという点では
この清水俊二訳の方が格段にわかりやすくはなっているな。
その代わりと言っては何だがある意味けっこういじっている。
物語の枝葉となってしまうような他愛もない描写を省略したり、かと思えばキャラクターの
心情をわかりやすく付け足したり。
本来の翻訳者ではないが故の取捨選択は彼の弟子を思い出して苦笑してしまうくらいだ。
もちろん師匠の方が良い意味で上手い。
ただ、意味の分かりづらい投げっぱなしの描写も、他愛もない描写もチャンドラーの
魅力だよなあと思うと、今まで心酔してきたこの訳もけして良いところばかりでは
なかったとこれだけ多彩な訳本が出てきた事でようやく納得できたかな。
村上春樹訳の時はそこまでは思わなかったけれど、意地の悪い言い方をすれば多数に
流されたとも言えるかもしれない。
あ、そうそう、清水俊二訳のマーロウが一番グールド似ではあるかな。
訳じたいは映画が作られる前にされたものなので寄せているわけではないだろうが、
それは生きてきた年代の差なのかそれともたまたま感性が合っていたのか。
今まであまりこういう視点で翻訳本に接する事はなかったがけっこう面白いな。
そしてこの視点で読み始めると一番怖いのが井上一夫なんだよなあ。
「長い別れ」"The Long Goodbye"(1953)Raymond Chandler
2023/09/05記
今年新たに刊行された市川亮平訳を読んでからの昨年刊行の田口俊樹訳版も読了。
この方は血の収穫や動く標的も近年訳されているのか。
どちらも以前読んでいるのでまた読んでみるかな。
さて、余談はこれくらいにして本書を読んでの感想。
市川亮平版の感想でわかりやすいという言い方をしたがそれはちょっと言い方が
間違っていた。
親しみやすい、砕けた表現が多いという方が正しいかな。それでいて私の持っている
チャンドラーの書く文章イメージに近い文が多い。
どちらかと言えばチャンドラーを楽しむという意味では市川亮平版が良いかなと思う。
と、わざわざこんな事を書いたのは、より話を整理した上で「分かりやすさ」が
あるのはむしろこの田口俊樹訳の方かなと思ったから。
ある意味ここはどういう意味かという所での発見があったり、どういう単語を
言い回す事で複数の意味を持たせている事をよりわかりやすく表現してしているのが
この田口俊樹訳だと思った。
その訳し方の違いで印象の変わる場面がいくつもあった。
そういった多数の視点でみたひとつの物語を堪能するという意味でこの2作品に加えて
清水訳村上訳まであるのはホントに幸せだな。
さらに言ってしまえば作品そのものは一人称、一人の視点で描かれているのが面白い。
そしてこれらを踏まえてアルトマンの映画を見てみると、それらを原語で読んでいる
人間がどう解釈してああいう形になったかというのも妄想できて面白い。
それが原作ものの映画として正しい在り方だと思わせてくれたのがこの作品である。
久々に清水訳も読んでみるかなあ。
「ザ・ロング・グッドバイ」"The Long Goodbye"(1953)Raymond Chandler
2023/08/31記
2023/09/01
「ザ・ロング・グッドバイ」"The Long Goodbye"(1953)Raymond Chandler
2023/08/31記
そうか、今年で初出から70年なんだ。
映画は50年だったし。
最初に読んだ清水俊二訳は今でもオールタイムベストだ。
村上春樹の訳は話題になったが、さらにその後、去年と今年の2回に渡って新訳が
出ていたことは知らなかった。
しかも今までの早川書房ではなく創元と小鳥遊から。
前置きが長くなった。
今回読んだのはその小鳥遊書房版のハードカバー。
訳者は市川亮平。多分この方の翻訳したものを読んだのは初めてだと思う。
この本の存在を知った時その紹介文から得た印象通り、とてもわかりやすかった。
さらにはその場の状況描写の為のイラストもわかりやすく、作品のガイドになって
いたように思う。
それでいてという書き方は変かもしれないが、多分今まで訳されたものよりも、
より原著に近い文章になっているようにも思う。
そう感じたのは冒頭の一文が昔読んだ原書であるペーパーバック、家の中のどこかに
今もあるはず、で読んだとても長ったらしいチャンドラーらしい文に思えたから。
答え合わせは出来ていないので間違いかもしれないが。
この一文に好印象を持ったせいもあって最後までわかりやすくそして面白く読ませて
もらった。
そのわかりやすさのせいでというのもあれだが、何箇所か文字が飛んでいたり誤植と
思われる箇所があったのも目ざとく見つけることができた。
まあ改めて読むとアルトマンの映画とはけっこう違うのだけれどマーロウそのものは
地続きに感じるんだよな。
だから映画の方も好きだったりする。
いくつも間違いを犯し勘違いもし、それに対して後悔もしながら自分の信念を
持っている、そんなマーロウの魅力が一番詰まっているのが本作だと思う。
さて、長話はこれくらいにしておこう。
もう一つの訳本が待っている。
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