Books6(第6書庫)
2025/05/10記
未来を予感させる、しかしそれは今ではないという状況。
後付けの品、ということを意識させる登場の仕方からの「とある」らしい哲学を
持った麦野家当主やら、沈利の一番身近な存在であった狢山の実力やら。
終わってみれば麦野家関連者が皆魅力的に描かれていてこれだけでスピンオフ
作るんじゃないかとも思えてくるくらい。
それだけに唯一の犠牲者が不憫に感じる。
ましてやそれが、手段は違うにせよ彼女の最期を彷彿とさせるものというのが。
まあこれであの時のむぎのんがどんな状態だったかという事の予行演習には
なったのかな。
ヤベェ女は伊達じゃない。
そしてアイテム4人の有能っぷりも改めて。
2025/06/10記
何度も死に至っているのにこういう機会は無かったよなと言うところから膨らんで
いった話が。
懐かしい科学サイド。そして魔術側もまた懐かしくと言うところを枕にしてそこに
繋がっていくのか。まあ彼女もまた懐かしい顔ではあるのだけれど。
しかしこうなると共闘する事になるのかな。
流石にあれはそう簡単にはいかないぞ。
2025/06/03記
るなはもう少し関わってくる話になるのかなと思っていたらあの場から解放された事で
一旦落ち着く。しかしあれどころではないものが出てくるとは。
と言うところからの魔術師の経験則。そこで交わされた経験が最後に役に立ち、
また次の火種にも。
今回の登場人物の中でも一番まともな小桜でもやはり精神バランスおかしいよなあと
思っていたら、完全に一般人な紗名が思わぬ形で登場し、これもまた最後の
シークエンスに関わってくることに。
自分の意志と関係ないものに突き動かされると言うところは恋愛も一緒か。
延々と思考が続く。
2025/05/30記
今回もそれぞれの活躍が並行して描かれるがまずは長い視点での布石となりそうな
友奈とアルバの話で、箸休め的に大人たちの話があって、そこから大風呂敷な
リヴィアでサラがまた成り上がって〆る。
サラダボウルなのでまだまだ混沌は続きそうだけれど。
2025/05/24記
最後のカット。アビィの残滓もしっかりと。
そしてモモの言う通り、少しだけ背の高くなった彼女とその羽織とか、あまり多くは
語るまい。
考えてみれば迷い込んだのは世界に馴染めなかった子達ばかりだったんだな。
それがそのまま彼女たちの属性となっていた。
その創造された世界。彼女が無から作り上げたのかと思ったらそこに本物を
召喚していたとは。
最善の手段は巡り巡ってより幸せな形で成し遂げられたか。
遺恨となるようなものはほぼ消え去り、その上で「ほぼ」の部分で彼女たちは
彼女たちらしく生き続ける。
タイトルを回収したというよりはタイトルが彼女達の方向性を導いたように見える。
このタイトルは常に彼女達のそして物語の道標になっていたように思う。
良いタイトルに良き作品が導かれた。そんな作品だったように思う。
2025/05/23記
決着へ向けての各々の立ち位置と背景が明確になっていき、その上で明かされる
ハクアから見た世界。
最後まで読むと判るサブタイトルの意味。
まあ、今回ちらっとだけ出てきた我堂蘭の本人格は次巻最終巻でも出てきそうだから
彼女側の視点も見られるのかな。
今までの展開だと彼らの形を模した中身の違う模造品派生品達がアカリと共に
元の世界へ戻ると言うことになるのかと思っていたけれど、このままだと逆に姿形は
原形をとどめていない彼らの精神イコール魂に近い部分が元の世界に戻るということに
なるのかな。
仕込みだけして最後どこに出てくるのかわからない【光】がどんな形で関わるのか。
「虚ろなる十月の夜に」"A Night in the Lonesome October"(1993)Roger Zelazny
2025/02/19記
この本に辿り着く前にある程度の情報を仕入れてしまったのだが、おかげで冒頭から
文法を理解することができた。
ただ、その情報無しでそこに辿り着いた時の喜びを得ることはできなかった。
それでもおかげでこの本に辿り着く事ができたのだから良しとするべきかな。
という前置き。
まったくの新作に出会えるのは何十年ぶりだろう。
久しく長編の翻訳は途絶えていたので嬉しい限り。
(「変幻の地のディルヴィッシュ」以来)
しかも、何故今までゼラズニイがここまでがっつり手を付けていなかったのかが
不思議なくらいの、まさに満を持しての題材との邂逅。
あの年代のロンドンに、物語の主人公達が集まって、旧きもの召喚の是非を
争うだなんて、まさにゼラズニイの本領発揮ではないか。
しかも本編の語り部はそれらではなくその使い魔と言える存在達。
故に固有名詞の扱い方が面白い。
高名な御主人達女主人達は伯爵やら博士やら名探偵やらと呼ばれ、逆に名を持たぬものは
その形態を表す固有名詞ではなく名が与えられている。
例外はジャックと多分ジルもそうかなというくらいか。
そして当然語り口も健在。
何かゼラズニイ濃度200%くらいで読みながら鼻血でも出るんじゃないかと思ったよ。
これが実質の長編遺作だなんて、なんて…。
2025/01/15記
数頁程度のものがけっこうあるとは言え39篇。それも西尾維新だからな。
しかも初期から今に至るまでの物語の隙間を埋めるものであるから、読んでいる方も
色々な時期のものを思い出しながらそういえばこうだったなどが詰まっていて、
ある意味大量の伏線が回収されたものを読んでいる気分。
構成として発表順になっているようなのでそういう意味でも一人の作家の変遷として面白い。
これ全部時系列で並べ直して本編共々読んでみたいというのはもはや壮大な夢だな。
2024/12/05記
元々途中までは発表済の作品だったが、時期的にはそこら辺の話となるのか。
まああの時期のハルヒならそんな感じかも。
3陣営の関係性もね
最新のあの話の続きとなるとまた違うことになる、かな?
メタの中のメタで来たなあとも思ったが、同様にあの延長線上ならそれもありか。
なんて言いつつ色々忘れているのでそのうちまた時系列順で読んで見るかな。
2024/11/20記
地獄旅行とは何かあるとは思っていたがそういう事か。
そもそもの始まりはある意味上条家内で完成されてしまった術式のようで、だからこそ
その果てのあの世界。
この話は映画的な構成や状況でみたいなあ。
と、それは毎度の事ではあるのだけれど。
2024/11/08記
前巻のあの不穏な引きは何だったのかと言わんばかりの刺客の行方。
まさかそっちと対峙する事になるとは。
その台詞はさすがに完璧に脳内再生される。
ブレンダに限らずアニメ化のおかげでほぼ声が聴こえてくるがやはり一番
はまっているのはリヴィアかなあ。
サラブレッド移動で探さないでくださいにはやられた。
とはいえ今回の主役は友奈。
彼女はそっち時空で活躍することになるのか。
対魔法使いでその推理力がどこまで通用するのか。
そしてそうか、同業だものなあ、いつかはあの二人も対峙しそうな気配。
2024/11/07記
今まで出会って来たもののその後。
と、漠然と思っていたら最後そこが繋がるのか。
マヨイガにしてもるなにしても何を以てして幸せな終着点となるかというのを
考えさせられる話となっていた。
特にるなに関しては小桜と霞のその後が前段のガイドラインとしてあったので
明確に落とすのかと思ったらここでの引き。
などという話がメインとしてある一方で前巻でのその後の2人というか空魚
最後にそこに辿り着くかという所で、あのるなの台詞。
なんて感じで最後にすべてが集約してました。
続きが待ち遠しい。
2024/10/20記
冒頭から過去の話への持っていき方が良い。
「外」から見た一般的な視点からの彼の立ち位置を経てから過去が語られる事で彼、そして
高義を始めとする周囲の実在感が増してくる。それは実在の地名や出来事も同じ事で、
物語に引き込まれていく。
そこから無自覚で無神経で残酷な光景が拡がる。
ただそれは充にしても弥生や高義にしても仕方がない事で。前述の良さがここで生きてくる。
こういった人の心の描き方がこの人は本当に上手くて好き。
と、ここからが本番。
「今まで描かれてきた」諸々がどんどん結実していく。まさかその為にというものが
形になりより良い事とより悪い事で振り回していく。
一応自転車はその結果が提示される前、メモの時点で何の為にだったかは気づいたが、
それ以外はほぼやられたという感じ。名前なんて本人のモノローグまで全然気づいていなかった。
そういうのが無駄なく描かれている所も好きな所。
今回も堪能させていただきました。
2024/09/19記
さらにその先の話になるかと思っていたら時期的にはUと同時代のもう一つの話。
それでいて、これは言ってみれば「トップをねらえ!2」的なものに見えた。
SFにおけるもう一つの普遍的なテーマ、愛に関する話。それはもうこのエピソードの
結末に至るまで素晴らしく、本編の状況に至らなければ成り立たない話でありながら
結果的には本編の傍流にすぎない話。こういうのがたまらなく愛おしいんだよなあ。
などと思っていたら本編においてそれがここまでの事態を招く事になるとは。
二つの文明は結果としてお互いを刺激し合う事で、共に賢くも愚かにもなる。無自覚に。
と、物語はそこで終わりではなかった。
それどころか最初に感じた「トップ2を彷彿とさせる」はまさにその通りとなった。
対三体世界どころではないその先。
こんな所まで、しかもこれでもかとばかりにぶつけてくるアイデアの奔流に身を任せ、
ようやく読み終わったというのが今一番の感想かな。
という訳で無事完走。
2024/09/03記
長いチュートリアルでもあった前作から、いよいよこの状況をどうやって打破するか
というフェイズへ。
一番嬉しかったのは前作で一番のお気に入りな大史がまた良い役回りで続投。
前回のあれをもって得られた情報は何よりも貴重で、故に今回の話のメインとなる訳だが、
結局4人とも捨身という手段しか取れなかったのはある意味妥当。
そう思わせる話の持っていき方とそのどれもが結果として役立つというあたりが上手いよな。
コールドスリープの果てに愛する妻子というのは途中から確定かなとも思ったが最後まで
ヤキモキさせる。こういう「夏への扉」テイストは大好物。
羅輯の呪文の目的は割とわかりやすかったけれどそういう所も話の組み立て方が
上手いからだよなあ。
彼がどれだけ怖いことをしたのかが前作で誰も懲りて無かったのかよと思わないでも
無かったが、それが結局黒暗森林に落とし込んだのは面白かった。50光年というのが
大きなヒントになってたな。
水滴、優先順位がそうなった所が彼らが舐めていた3人のおかげでというあたりも、
個人の勝利ではなく何か一つでも欠けていたらで良いよなあ。
中でもここで章北海が丁儀がしかもこんな形でラストピースとなるとはねえ。
で、真面目な話、SETi的なものってよっぽど彼我の差があれば良い方に転ぶ可能性が
あるのだけれど、こうなる可能性の方が高いようにしか思えない…というのは別の話。
2024/08/31記
チラチラと見えていたものが、少しづつ形を成して出てくる。
予想外の形で。
それはクラスメイトだったり、第六位だったり。
あの時助けた風紀委員とも徐々に近づいているような気が。
アイテムがチームとして固まっていく過程、麦野と滝壺の関係性。本編以前のこれらを
ここまで堪能できるとは。
さて、もうそろそろ本格的に出てくるのかそれともこれきりなのか。
「三体」(2006)劉慈欣
2024/08/28記
発刊当時から読みたかったものの、色々と縁遠くけっこう時が経ってしまった。
まあおかげでハードカバーは図書館の在架で普通にまとめて置いてあるように
なったのでこの機会に。
これはたしかに面白い。
このアプローチでこの状況を描くのかという所から、そこに至るまでの話の構成、
登場人物達の行動原理に至るまでの熱量等ほんとに飽きさせない。
そしてここでの第一部完。
まさに壮大なチュートリアルだけでこの量かというあたりもね。
主要登場人物3人それぞれも魅力的。
そのほぼ一生を描かれるもの、話を進めていく主人公、そして。
個人的には大史が何故か「機龍警察」の姿警部に見えて仕方がなかった。最初の印象から。
太陽とか陽子とかナノマテリアルとSFガジェットの使い方も好きだなあ。
そういう意味で一番面白かったのは当然三体世界なのだけれど。
この続きがすぐ読める喜び。
2024/08/24記
本文中のチュートリアルにもあったが、たしかに分類としては怪獣映画だ。というのを
まさかそこで見せられるとは。
もはや、というか最近はそういう展開が多くなってきた学園都市内の集団戦は
リミッターが外れるとこうなるのかというばかりの千切っては投げの序盤。
その分岐点が星になる黒子というのが超電磁砲っぽくて良い。
それを経て二人が共闘せざるを得ないきっかけとなるのがそこ由来というのは
たしかにそこだよな。二人ともそこが第二の転換期になっているもの。
まあその為にやはり共通である第一の転換期には早々に退場してもらう必要が。
彼がいると彼女達の負担がめちゃくちゃ減ってしまうし。
リミッター外す方法としての異世界転生というのも面白い。というか今だからこそなのに
それが流行りに乗ったというより必然性があるのが上手いな。
この厚さも必然か。
2024/08/20記
前巻の引き、こんなにも早々に、しかもこんな形で回収してくるとは。
1巻で絹旗が新人で始まったのは、彼女に対して周りに説明するという形式で
チュートリアル進められるからでもあったのか。
そしてこの2巻であきらかにされるのはむぎのん。
レベル5って皆戦闘特化に見えてしまうけれど、その為のものだったのか。
そして彼女とメアリーの関係性。ここらへんは既出の3人(第ニ位のあれは
未見なので不明)も何かしらの形で描かれてはいたが、こちらも早々に描かれる。
それを滝壺に繋げてくるとはね。負荷によるマイナスさえ無ければ第五位より上位?
というかその為にチーム組ませたのか。なかなかエグい。
第六位はまだ引っ張ってくるなあ。華野が実は藍花?とか少しだけ思ったが
そもそもやってる事違いすぎるし。
2024/08/19記
あれの1年前という面白い所からの始まり。
だとするとという事で超電磁砲のあの話が絡んでくるのか。
そして、本編に絡むまでを描いていくのかなあとフワっと考えていたけれど
今回の引きでこの作品が何を描きたいのかが明確になる。
そうか、あれと、もしかしたらその落とし前までをやりたいのねという事がわかる。
本編で引っかかっていた所だものな。
故に導入はこうなるのか。
能力をもったいぶられた挙げ句瞬殺とか、第六位やレベル5の使い方とか使える
ネタまだ山程ありそうだなと言うことを再認識させられたりとかなかなか面白かった。
2024/08/17記
甦ったアリスとそれが何であったのか。
ある意味学園都市は今までで一番世紀末な状態だったな。
ただしメインはほぼアリス戦。
もはやもう二人の主人公は関われない状態。元々アリスがそうであったから
というか既に決まっていた未来というか。
アリスに関してはそこまで残酷で屈折したものだったとは思わなかった。
かの魔術師の人非人っぷりはかつて出てきたどの者達も敵わない。
明かされなかったそれはいずれ出てくるのだろうか。
そして、とうとう神話を扱う以上避けられないフェイズに突入。
2024/07/04記
それぞれの意図が形となり、ここでもう一人、本体の代用品が加わることとなる。
何かが欠けている一団という意味ではほんとにオズの魔法使いだな。
そして世界の成り立ちもそういうことなのかな。
しかしメノウが諦めていた事をモモがねえ。
それも一つや二つでなくここまで一気に通してしまうとは。
サハラもアヴィも健在であとはと思っていた所で彼女が残る側のラストピースと
なるのかな。
特に彼女と言うことで今までにないくらい危機感は無い。この期に及んでも勝手に
自力でなんとかしそうだし。
その前にまずは最後の人災との再戦か。
2024/04/21記
ついにアニメも始まった本作の最新刊。
声も付き動く様も見れたので、脳内再生はそちらに以降しつうある。
珍しくリヴィアはオチもなくだったな。と見て良いのかな。
そして言われてみればリヴィアの根源はこちらの世界に来てから始まった訳ではなく
根っこはそこらへんだという事で腑に落ちた。
いまはまさに天職じゃないか。
そしてそこまでの状況に至っても、サラとはほとんど接触しないんだな。
望愛の母親、このタイミングで出てきたということは最後のアレと関わりそうな。
サラは相変わらずの無双っぷりだが、はたしてここでどんな介入が始まるのか。
次こそ予測不能だ。
入間人間
(2024/03/15記)
それと気付いた時には涙が出そうだった。
気付いたのは季節が分かった時。
延々と続くふたりの物語。まさかこんな所までと言う所からそこに収束するのか。
ふたりの関係ってずっとそうだったよねえ。
まさかあなたがそんな所まで付き合ってくれるとは。ほんとに嘘のない子だ。
ふたりの物語は最初から最後まで密かなドキドキとなんとも言えない距離感に
満ちていました。
「安達としまむら」、もし映画化するのだったら、この「99.9」が良いな。
入間人間
(2024/03/14記)
物語の行間を埋めるエピソードの連なりが徐々に形を成していく心地良さ。
最後はそこに落ちるのか。
ふたりの距離感を楽しみながら謎が溶けていくこの感じ。
こうやっていつまでも世界が続いているのが心地良い。
「地球最後の日」"When Worlds Collide"(1932,1933)
Philip Wylie and Edwin Balmer
(2024/03/02記)
ジョージ・パルの同名作品を観た流れで原作たる本作へ。
映画化するためにどのように換骨奪胎していったのかがとてもわかり易い。
まさか主人公まで交代していたとは。
映画の方はあの時代のSF映画としては面白いが、こういう題材であれば原作の
アプローチの方が面白いよね。
ある意味良い所引っこ抜かれている。
そういう意味では再映画化話の際に単独でこのまま作られなかったのは悔やまれる。
ここからはこの原作の話。
この作品の面白さの一つは主人公とその置かれた環境の設定。
プロジェクトに関わる前後どちらでもある意味客観的な視点に立ちつつ恋愛感情的な
部分は覆い隠さない所。
ランズデルは良い奴と思いつつもいざイヴのそばにいる時はそういう制御が効かない
ことも自覚してという人間臭さ。
その彼が見聞きする世界の終焉と未来の為に動く人間の姿。
前者は尊厳と欲望にまみれた人達が描かれ、後者はある意味自分の興味あるものに
対して貪欲で有能な者達。
どちらも理不尽で合理的に動くのでこのボリウムに対してテンポが良いのよ。
そして見たいものを見せてくれる。
そしてその才能のみが到達できたこの結果。
神の采配の使い方。
まあ何よりもこの原題が現す、この題材にビリヤードみたいなシチュエーションで
ノアの箱舟してしまうアイデアの面白さだよな。
単なる地球の終焉だけではない所が凄い。
ある意味ではあるけれど『ディープインパクト』+『アルマゲドン』=本作という
視点で見えるのもまた面白いな。(また映画に戻ってる。)
2024/01/26記
とうとうその手を。
これでコントロール失うかとも思ったが、とりあえずは上手く使いこなせたと思って
良いのかな。
何度もは難しそうだけれど。
と、思っていたらそもそもCRCは踏み台、キッカケにすぎない所に収まりそう。
流石にそこで終わりという訳にはいかなかったか。
腕と頭、部位は違えど今回の当麻と同じような状況なのか。だとしたらまだ復帰もとも
思えるけれどそう上手くはいかないだろうな。
今回は心理掌握さんキツそうと思っていたけれど、本人としては幸せなんだろうな。
そして結果としては巡り巡って彼女の得意領域がウィークポイントではあった。
美琴も活躍しづらいと思っていたけれどまさかトリガーとして。
それ以上に久々に実は頼れる禁書さんを見ることができました。
ピンポイント参戦の一通さんも良かったかな。
「オリエント急行殺人事件」"Murder on the Orient Express"(1934)Agatha Christie
2023/11/12記
蕗沢忠枝訳の新潮社版を久々に読了。
推理小説らしい文法の推理小説を読むのも今となっては久しぶりになってしまった。
章立てからしてこういう構成のもの、今はあまり読まなくなってしまった。
こうやって改めて読んでいくと、これはポワロにというかクリスティに限らずだけれど、
当人の視点以外で語られた状況や感想が事のほか先々に大きな意味をなす所に、
独りよがりではなく第三者として自分達も参加しているような気にさせられて
いるのかなと改めて思った。
まあこういう感じ方をするのは別の媒体、今回で言えばケネスブラナー版の映画を観た
ことで強く思ったのかもしれない。
個人的にはこういう原作のやり方の方が好きだなあ。
で、この作品に於けるトリック…これが初見だったらホントにごめんなさい…について。
トリックそのものに関して語られる事の方が多いけれど、作品の本質としてはこの犯罪の
計画者がどのような規律を持って計画し不測の事態に対応していったかの方が面白い。
その理由は彼らの動機が大きく関わっている事も含めてね。
世にいう二つの解答は その事じたいより、提示後誰も一切野暮な事言わないで物語を
ひいてしまうあたりが好きなんだよなあ。
2023/11/01記
ファミリーシーズン突入。
まずは現時点での立ち位置確認が色々と。
変わらずの言葉遊びがスライドして形をなりたたせていくあたりは変わらず見事。
そうかそう来たかという所から話がどんどん膨らんできて、ただそこだけはこだわって
いるなあと思う所に気を取られていると。
まさかあれのグレードアップ版を頭の中で一枚絵になって想像できるきっと想像以上の
光景が用意されているとは思わなかった。
なんとなくオチが見えたなと思った所でこんな不意打ち喰らうとは思っても見なかった。
ホント構成の上手さよ。
「怪獣保護協会」"The Kaiju Preservation Society"(2022)John Scalzi
2023/10/20記
最も衝撃的だったのはあとがきに書かれている本作が産まれた経緯。
それは半分冗談だが、さておき彼のオタクっぷりが今まで以上に楽しい本作で
ありました。
それは今と密接に連動していて、なおかつそうスライドするのかというあたりが
なんとも言えない。
その状況になったらやはり設定こねくり回したいよねえとか、まあ彼の
「レッドスーツ」を読んでいればわかるけれど。
2023/09/27記
海外での再映画化が決まったとの事で、懐かしくなって読み始めました。
個人的に山田太一はドラマ脚本よりも一作目の長編小説「飛ぶ夢をしばらく見ない」や
2作目の本作の方が好きだったりする。ついでに言えば本作が原作の大林宣彦の映画も
とても好きだったりする。
そんな作品との久々の出会い。
とてもドライな部分と情熱的なものとの同居のさせ方が凄く上手いというか絶妙で、
その余韻が心地良いんですよね。今回読み直してみて、こんなにあっさりしてたんだとも
思った。
けど一方で感情ぐちゃぐちゃにされてしまう部分もしっかりとあって、そういう意味で
これがどんな形で映画化されるのかも楽しみ。
「飛ぶ夢…」も再映画化されないかなあ。
さておき脳内ではしっかりと風間杜夫で片岡鶴太郎で秋吉久美子で名取裕子でした。
けど父ちゃん母ちゃん30代なんだよなあ。
「長いお別れ」"The Long Goodbye"(1953)Raymond Chandler
23/09/15記
前2冊と比べると少々時間がかかってしまったが、ようやく清水俊二訳を読了。
時間がかかったのは飽きてきたというよりは、古い友達と親交を深め直したような感じかな。
私の知っているこの物語は本作だった。
たしかにこうやって見直してみると田口俊樹訳の感想で書いたわかりやすさという点では
この清水俊二訳の方が格段にわかりやすくはなっているな。
その代わりと言っては何だがある意味けっこういじっている。
物語の枝葉となってしまうような他愛もない描写を省略したり、かと思えばキャラクターの
心情をわかりやすく付け足したり。
本来の翻訳者ではないが故の取捨選択は彼の弟子を思い出して苦笑してしまうくらいだ。
もちろん師匠の方が良い意味で上手い。
ただ、意味の分かりづらい投げっぱなしの描写も、他愛もない描写もチャンドラーの
魅力だよなあと思うと、今まで心酔してきたこの訳もけして良いところばかりでは
なかったとこれだけ多彩な訳本が出てきた事でようやく納得できたかな。
村上春樹訳の時はそこまでは思わなかったけれど、意地の悪い言い方をすれば多数に
流されたとも言えるかもしれない。
あ、そうそう、清水俊二訳のマーロウが一番グールド似ではあるかな。
訳じたいは映画が作られる前にされたものなので寄せているわけではないだろうが、
それは生きてきた年代の差なのかそれともたまたま感性が合っていたのか。
今まであまりこういう視点で翻訳本に接する事はなかったがけっこう面白いな。
そしてこの視点で読み始めると一番怖いのが井上一夫なんだよなあ。
「長い別れ」"The Long Goodbye"(1953)Raymond Chandler
2023/09/05記
今年新たに刊行された市川亮平訳を読んでからの昨年刊行の田口俊樹訳版も読了。
この方は血の収穫や動く標的も近年訳されているのか。
どちらも以前読んでいるのでまた読んでみるかな。
さて、余談はこれくらいにして本書を読んでの感想。
市川亮平版の感想でわかりやすいという言い方をしたがそれはちょっと言い方が
間違っていた。
親しみやすい、砕けた表現が多いという方が正しいかな。それでいて私の持っている
チャンドラーの書く文章イメージに近い文が多い。
どちらかと言えばチャンドラーを楽しむという意味では市川亮平版が良いかなと思う。
と、わざわざこんな事を書いたのは、より話を整理した上で「分かりやすさ」が
あるのはむしろこの田口俊樹訳の方かなと思ったから。
ある意味ここはどういう意味かという所での発見があったり、どういう単語を
言い回す事で複数の意味を持たせている事をよりわかりやすく表現してしているのが
この田口俊樹訳だと思った。
その訳し方の違いで印象の変わる場面がいくつもあった。
そういった多数の視点でみたひとつの物語を堪能するという意味でこの2作品に加えて
清水訳村上訳まであるのはホントに幸せだな。
さらに言ってしまえば作品そのものは一人称、一人の視点で描かれているのが面白い。
そしてこれらを踏まえてアルトマンの映画を見てみると、それらを原語で読んでいる
人間がどう解釈してああいう形になったかというのも妄想できて面白い。
それが原作ものの映画として正しい在り方だと思わせてくれたのがこの作品である。
久々に清水訳も読んでみるかなあ。
「ザ・ロング・グッドバイ」"The Long Goodbye"(1953)Raymond Chandler
2023/08/31記
2023/09/01
「ザ・ロング・グッドバイ」"The Long Goodbye"(1953)Raymond Chandler
2023/08/31記
そうか、今年で初出から70年なんだ。
映画は50年だったし。
最初に読んだ清水俊二訳は今でもオールタイムベストだ。
村上春樹の訳は話題になったが、さらにその後、去年と今年の2回に渡って新訳が
出ていたことは知らなかった。
しかも今までの早川書房ではなく創元と小鳥遊から。
前置きが長くなった。
今回読んだのはその小鳥遊書房版のハードカバー。
訳者は市川亮平。多分この方の翻訳したものを読んだのは初めてだと思う。
この本の存在を知った時その紹介文から得た印象通り、とてもわかりやすかった。
さらにはその場の状況描写の為のイラストもわかりやすく、作品のガイドになって
いたように思う。
それでいてという書き方は変かもしれないが、多分今まで訳されたものよりも、
より原著に近い文章になっているようにも思う。
そう感じたのは冒頭の一文が昔読んだ原書であるペーパーバック、家の中のどこかに
今もあるはず、で読んだとても長ったらしいチャンドラーらしい文に思えたから。
答え合わせは出来ていないので間違いかもしれないが。
この一文に好印象を持ったせいもあって最後までわかりやすくそして面白く読ませて
もらった。
そのわかりやすさのせいでというのもあれだが、何箇所か文字が飛んでいたり誤植と
思われる箇所があったのも目ざとく見つけることができた。
まあ改めて読むとアルトマンの映画とはけっこう違うのだけれどマーロウそのものは
地続きに感じるんだよな。
だから映画の方も好きだったりする。
いくつも間違いを犯し勘違いもし、それに対して後悔もしながら自分の信念を
持っている、そんなマーロウの魅力が一番詰まっているのが本作だと思う。
さて、長話はこれくらいにしておこう。
もう一つの訳本が待っている。
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