『三人の名付親』"3 Godfathers"(1948)

(2023/09/09記) (2023/09/09 NHK BSP放送版) やはりジョンフォード作品は馬が走るシーンを観るだけで眼福。 ピーカンなロケで見せる光と影のコントラストとか毎度ニヤニヤしてしまう。 そして、賢い者同士が進めてくれるテンポ良い話の心地良さも味わえる。笑いと緊張感の 混ぜ込み方も惚れ惚れする。 舞台が整うまで30分ちょいというのは駅馬車もそうだったかな。 ジョンフォード、堪能させていただきました。

『ザ・スーサイド・スクワッド』"The Suicide Squad"(2021)

(2023/08/20記) (2023/08/20 amazon prime) あれ?トゥィーティーが混じってたぞ。(笑) 音的にはスーイサイドスカッドのような気もするが。 という訳で、事前情報も何も無く鑑賞。 所々は知ってはいるけれど。 ザ・アメコミを全編に渡って体感できる作品だったな。 脳内で紙面変換が捗る捗る。 彼らなりの連携や価値観の違いがディテールに宿るという意味ではジャスティス リーグよりもコントラストが強い。そこが面白さなのかな。 あとは使い捨ての酷さとか、むしろ管理側の酷さや人間臭さも遠慮なく描ける ところとか。 元ネタを追うのも面白そうだけれどそこはむしろ想像で補って置く方が良さそうだ。 怪獣、というか宇宙人が岡本太郎デザインそのままなのは愛があるとみて良いのか。

『ザ・フラッシュ』"The Flash"(2023)

(2023/08/09記) (2023/08/09 amazon prime レンタル) 劇場公開時にタイミング合わず観そびれたものの早く観たかったので通常レンタルでの 鑑賞。 理屈では分かっていて今までは抑えていたのだろうけれどあの最後のひと押しでやって しまったか。 どこが始まりかは考え始めるとけっこう大変な事になるので今回はやめておく。 もうおおよそは情報は流れていたのであそこら辺を初物で見られる恩恵は 味わえなかったけれど、それでもバットケイブからのあの懐かしのガジェット達には 思わず興奮してしまった。 その後も悪くは無いのだけれどホントの格好良さを体験できたのはあのデザインから だからな。 BTTFをネタにしておいて彼を出してくるのも良い。 下手すると彼も映画扱いされていてもおかしくないからな。マーズアタックの ポスターでだいたい年代特定できたと思ったがスパゲッティ状態の話が 出てきた時点でなんでもありだ。 結果として未来に戻るために雷というのもまた。 あのスーパーガールもあの世界のためだけというのは残念だなあ。 アクアマンの件もあるしどうなるか。 あれができるのは彼だけなのにあれは?という所をうまく輪廻の蛇にしてる所も 好きだ。その上で彼にその決断をさせる事も。 オープニングタイトルが出てからのシークエンスも好きだな。観客に火を着けるには 十分過ぎるくらいの共同作業。真実の縄で、ねえ。(笑) まあよくぞここまでという作品だったな。

『冴えない彼女の育てかた Fine』(2019)

(2021/05/02記) (2021/05/02 at Amazon Prime Video) まったく、テレビシリーズの時もそうだったけれどこういうメタネタ突っ込んで 来なければもっと面白いのに。またエピソードゼロかよ。 という所までは今回は行かなかったかな。 まあそういうところまで含めてのこの作品ではあるのだけれど。 というところを置いておけば、特に原作読んでから望んでいる身としては、序盤から もうニヤニヤが止まらなかったよ。 恵が何考えているか知りながら見てるともうなんとも言えない。最高。 観たいもの皆見せてもらったなあ。 ああ、描かれていなかった所、多少は脳内補正しているかもしれないけれどその点も 含めて堪能させて戴きました。

『009 RE:CYBORG』(2012)

(2019/05/04記) (2019/05/04 at BSアニマックス録画) キャラデザインと監督との相性があって当時敬遠していたのだが縁あって鑑賞。 「天使編」をベースに今に置き換えた形か。 ジェットと違えていると聞いた時点でたぶん二人してまた大気圏行くのだろうなと 思っていたが今回は一緒に落ちはしなかったか。 それはさておきかなりしっかり作っているな。 見ごたえもあったし面白かった。 各キャラクターもベースとなる俳優がいてそれを各キャラに寄せた感じでそういう 意味で実写にそのまましても良かったかなと思わせるものだった。 その延長線上でどのシークエンスもどこかで見たものばかりと言ってしまえば そのままだがそれは何もこの作品に限ったことではないからな。 という割り切りの上で作られている分思い切りは良かったのが勝因か。 まあ実写で一番イメージしやすいのはConclusion Warだけれどその前にやらなければ ならないものがまだいくらでも。

『サンダーボルト』"Thunderbolt and Lightfoot"(1974)

(2018/08/14記) 『サンダーボルト』"Thunderbolt and Lightfoot"(1974)を鑑賞。 (2018/08/14 at ムービープラス録画) 隠し事はしないし素直だしそういう所での読み合いが無いのは良いものだ。 挙句の果てに資金稼ぎの為に地道に働く事を厭わない。 その生活もありじゃないかというくらい普通に順応しているのに。犬にもびびるレッド。 ライトフットはモテるなあ。頭おかしいのばっかだけど。 しかしなぜここまでこの作品に心持っていかれるのだろうなあ。 やはり二人の関係性にということなのだろうな。

『サマーウォーズ』(2009)

(2018/08/18記) 『サマーウォーズ』(2009)を鑑賞。 (2018/08/18 at ファミリー劇場) 出だしは快調。 オズの案内の後ややのんびりした二人にナツキ先輩がバイト話を持ちかけてから アレヨアレヨと言う間に巻き込まれていくケンジ。 そこから第一のヤマがありそこまでは良かったのだけれど。 初めのうちは子供たちの足引っ張りであと僅かとかであったのがショウタやら ワビスケやらナツキ先輩がちょっとなあ。 それが最終的には正しい方向に作用しても何か釈然としない。 さらにはコイコイでの盛り上がりでのスローダウンで完全に乗りそびれてしまった。 こればかりは相性だなあ。 例えばオズ絡みとかは良かったのだけれど諸悪の根源的な扱いの米軍があまりにも 浅はかだったりそういうサジ加減がご都合主義にみえてしまう。 但し、作中に仕組まれた伏線やらトリックやらがまだまだ色々ありそうなのが気に なってしょうがないので色々言ってはいるがまた観たいという気持ちがあるんだよなあ。 複雑だ。

『サイレントランニング』"Silent Running"(1972)

(2017/09/04記) (2017/09/02 at NHK BS 録画) 実に久々の観賞。 改めて見ると、最後自分でも言っていた通り場当たり的な行動が悪い方に転んでいった だけだったな。 自然をというよりは自分の有形無形のテリトリーを守ることだけが行動原理だっただけだし。 それが結果として最後のシチュエーションを生むということがむしろこの作品の本質か。 ヒューイデューイルーイは流石に覚えていたが元はドローンと呼ばれていたことは すっかり忘れていた。 それでも彼らを久々に見れて良かった。 ジョーンバエズの歌もまた時代を語っていて好きだったりします。

『サイン』"Signs"(2002)

(2002/09/28記 at @nifty FMOVIE 2番会議室)  『サイン』を観ました。(2002/09/28 at 立川シネマシティ シ ティ2)  実は、いよいよ今度の金曜日までとなった『スター・ウォーズ エピソード2』が、この立川シネマシティのシティ1(DCS対応 シアター)でかかっていると知って、急遽観に行ったのですが、 時間を勘違いしてしまい観ることが出来ず、せっかく来たのだか らと、この『サイン』を観た次第。  故に、心の準備なしに、このM・ナイト・シャマラン監督の作 品に初めて接する事になりました。『シックス・センス』も『アン ブレイカブル』も観ずじまい。 この人の作品のテイストに関しては、いろいろ噂も聞いていたの ですが、この形での初遭遇は、良い結果となるか、それとも・・・。 (以降、内容に触れます。)  はたして、ある意味心構えがなかったのはいいほうに作用したよ うです。 まずオープニングで、かなりあからさまなヒッチコック作品を思わ せる音楽の使い方。 これで、かなり身構えてしまいました。もしかしたら、全編ヒッチ コックな匂いを漂わせられる事になるのか? しかしながら、本編が始まるとそれほどでもなくひと安心。犬を使っ た脅かし等も、最初は身構えてしまったもののそれ以降はそれほど では無かったし、そういう意味でも安心してました。 そしてほどなく、この映画で何をやろうとしているのかが判ってく る。見えそうで見えない、ひたすら想像を喚起させる映像による予 兆と、物語の常套手段である「伏線」という名の予兆。 これと、畑の中に突如出てきた何かの予兆であるサインをダブルミー ニング、いやトリプルミーニングにして、ひとつの話を作りたかっ たということが。 それが判ったのが、畑の中の「足」のシーン。 以降は、それを如何にして張り巡らしていくかと、どのように収束 させるかを、楽しませてもらいました。そして、やはり自信がある からやっているのだろうだけあって、うまいし、話の流れを遮る事 もまずない。 まぁ、オープニングの音楽の伏線が、実は監督の登場シーンありと いうことでも納得し(監督の顔は知らなかったものの、インド系の 人が出てきた時点で「もしや」と思ってしまうのは、やはりオープ ニングで聞いた曲の効果だと思う。)、そして、いろいろな予兆が 割とあっさりと異星人襲来という形に結実し、さらには、ある意味 予想通り、ウェルズの「宇宙戦争」をベースにした構成であり話で あるものである事も判っていく。 しかし、その中でも、ひとつだけ心配だったのが、彼らがどうやっ て去っていく事になるのか。 これも、ちゃんとした伏線は判りやすく置いてあったものの、返っ て邪推して「祈る事で退散していく」のではないかという嫌な予感 がし、もしそれだったら嫌だなぁと思ってはいたのだが、そういう ことにならずにひと安心。(もしそうなったら、ヨーデル以上のイ ンパクトを与えられるところでした。(^^;) そして、張り巡らせられた伏線の、残りすべてがひとつに結実する 瞬間。 これは見事だなって思いました。 ただ、傍目で観て見事であるが故に、傍目から観る視点より、もっ と内側に入り込めなかったのも事実。 今までの、淀みのない流れも、逆に感情が入り込むには少々あっさ りしすぎてしまっているようにも見えてしまう。 けれども、ホント、うまい。 うまいが故に注文もいろいろと出てきてしまうのは、たしかにスピ ルバーグに近いものがあるな。彼ほど自分の感情に溺れたりはしな いけれど。 というわけで、面白かったものの、物足りなさも感じてしまったの が、ちょっと残念な作品でした。 ただし、観る価値はあると思う。 kaname(CXE04355)

『ザ・エージェント』"Jerry Mcguire"(1996)

(97/08/14記)  『ザ・エージェント』を観てきました。面白かった! 途中にダレもまっ たくなく、笑わせ、泣かせ、最後良い気分で映画館を出ることが出来た。良 い映画でした。キャストもいいですよね。トムクルーズはもちろんとして、 それ以上にレニーゼルウィガーや子役が良かった。もう、あの子が画面いっ ぱいのアップになるたびに映画館の中全体が柔らかい雰囲気になるのがわか る。もう、これはそういう基準で選んだのであろうけど、それが本当に成功 している。下手に演技する子役を使わず(たぶん)地のままを出せる子役を 選んだのは大正解だったようです。彼女の方もすごく自然で、ちょっとした 表情がすごく良くて、ホント、彼女を選んだとトムクルーズってホントにキ ャスティングの才能があるんじゃないかと思います。  ホントに幸せになれる映画です。

『サウンドオブミュージック』"Sound of Music"(1965)

(95/11/05記 at Niftyserve FMOVIE 15番会議室)  何度観ても泣いてしまうのが、この『サウンドオブミュージック』  初めて観たのは、たぶん中学生の頃。たしかフジテレビのゴールデン 洋画劇場でした。あの頃のフジのおはこでしたからねえ。  それはさておき、この映画の、曲と言う曲の素晴らしい事!! JRのCMで流れる『私のお気に入り』、長女の子とジュリーアンドリュー スの踊る『もうすぐ17才』(でしたよね、たしか)。 その他にもオープニングの『サウンドオブミュージック』や有名な『ドレミ の歌』、『エーデルワイス』や『ひとりぼっちの羊飼い』(でしたっけ)な ど。 そして、ラストの『すべての山に登れ』!! もう、これを書いているだけで涙が出て来ますもの。                               KANAME(CXE04355)

『ザ・グリード』"Deep Rising"(1998)

(97/08/14記) 『ザ・グリード』を観てきました。(98/11/02 at 新宿オデヲン座)  しっかし、期待はしていたけれど、こんだけベタな映画を映画館で観るのは、 本当に久しぶりだったなぁ。(笑)東宝東和の宣伝に偽りなし!(笑)  もう、いかにもなベタな音楽で、それがジェリーゴールドスミス!! そのう え、ドリームクエストやILM(しかもYUSEI UESUGIのクレジットまで出てる。 (笑))までつぎ込んでこれかい!!(笑) もう趣味走りまくり。(笑) キ ャストもお金はかけてないまでも、マイケル・パレもどき、ニック・ノルティも どきを始めとして、なにかどのキャラクタもどこかから引っ張ってきたかのよう に濃い。(笑)そしてベタ。(笑)  そして、話の展開も、見事なまでにベタだし、もう恐がらせようとか、驚かせ ようとか言う意思はまったく感じられない。作ってるほうが楽しみすぎてる。 (笑)  もう、こんな映画をオールナイトで観れてホント幸せでした。(昼間に観たん じゃ悲しいものがあったかも。(^^)) しかし、映画を終わって出た休日前の酔っぱらいに満ち溢れた新宿歌舞伎町の方 がよっぽど狂ってると思ったのは私だけでしょうか?(ってこれもベタなオチで すね。(^^;) もうすぐ劇場公開終了みたいなので、未見の方はお早めに劇場へ。(^^) 〜〜〜〜〜 98/11/02(月) 〜〜〜〜〜〜 かなめ (CXE04355) mailto: takashi.miyamoto@nifty.ne.jp     kaname@a2.mbn.or.jp URL http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『新座頭市物語 笠間の血祭り』(1973)

(2007/02/12記) 『新座頭市物語 笠間の血祭り』を観ました。 (2007/02/12 at スカイパーフェクTV! 日本映画専門チャンネル) 座頭市シリーズなんて観るのは下手すると中学生以来。 ちらちらと観てはいたものの、本当にひさびさ。 これもリマスターした作品らしく本当に奇麗。 だいぶ新しい作品ではあるものの昔はこんなに奇麗だった記憶が 無いものなぁ。 あと、もうこの頃は東宝作品だったのね。 それはさておき本編。 本当に丁寧に作ってるなぁと実感。 プログラムピクチュアとしてここまで丁寧に作ってあると 本当に見応えがある。 十朱幸代が今も昔も十朱幸代だった以外は本当に違和感無く 見る事が出来ました。 ストーリーは定番ながら余計なものを付けず、こちらが本当に 観たいものだけを見せてくれるというのも、今となっては なかなか味わえないものだというのを再認識させてくれます。 主人公がストイックであるのもまた作品に合っているし。 クライマックスは文字通り血祭り状態。 ここも一切手抜き無しでしっかりとしかも過剰な盛り上がりも 一切無しで魅せてもらいました。

『座頭市』(2003)

(2003/09/07記 at @nifty FMOVIE 2番会議室)  北野武版『座頭市』(2003)を観ました。(2003/09/07 at T・ジョイ大泉  シアター3) かねてから暴力シーン(というとやや語弊があるか)のリアルっぽさには定評 がありましたし、特に最盛期の『3−4x10月』や『ソナチネ』は、笑い等 で間を作る事でより研ぎ澄まされたものをみせてくれた北野武監督ですが、言 われてみれば時代劇というのはなかったな。 という意味でも、今回の『座頭市』というのは、とても期待のこもった作品で した。 しかしながら、この『座頭市』はちまたでも既に言われているように、勝新太 郎あっての作品。 それをいかにして目の前に差し出してくれるのか。 期待と不安を感じながら、早々に観に行く事にしました。 (以降、内容に触れます。)  しかし、これはもしかしたら『座頭市』を狙っているのではなく、むしろ意 識しているのは『用心棒』のほうじゃないかな。 (厳密に言えば、意識的に『座頭市』を観たことはないので、それは違うとい う話になるのかもしれませんが、)『用心棒』における居酒屋の爺さんの役回 りに、あの大楠道代演じる姉さんを置いたりとか、人物や周辺の設定を再構成 した上で、凄惨な殺陣と、息を抜くためにある笑いの間、そしてリズミカルな テンポを引き継ぐと、まさにこういう感じになるのかなという作品だと感じま した。 まぁ人物設定の入れ換えなんていうのは、ある意味特に時代劇ではよくあるも のではありますが、その中で、もっとも『用心棒』を意識しているのではと感 じたのは、最後のお神楽のシーン。 あのシーンが『用心棒』の中盤における「山田五十鈴が女衆引き連れて三十郎 の前に現われるシーン」と何故か被っているようにみえてしまったので。 (最近タウンページのCMでこの部分のあからさまなパロディが流れています が。) 事前にテレビで何度も同様のシーンが流れているのを観た時には、「いったい これがどう本編と絡むのだろう?」と思ったのですが、実際に見てみると割と すんなりと入れました。 そう見てみると、武vs浅野忠信は三船敏郎vs仲代達矢を髣髴とさせるシーンと なっているのもすんなりと見れるし、ふむふむ、勝版『座頭市』と比較されな いために、こういう風に外してきたかという感じかな。 ただし、『用心棒』の、というよりは黒澤明の作劇の肝たる人間味のある主人 公、「切られりゃ痛てぇぞ。」という台詞が、実は三十郎自身のキャラクタ造 詣の根っこにあり、そのために自らの危機を招く。といった部分はまったくな い。 これは、ものすごくひいき目に見ればなのかもしれないが、「黒澤さんが絶対 に切れない」部分であり、それを、ここまで意識したものを作っておきながら 敢えて切ったのは、ある意味凄いと思う。 あの部分は黒澤の強みであると同時に、説教臭いとも捕らえられかねないほど の弱点でもあるのだから。 で、さらに北野武的回想時制を使って仇討ちの姉弟と市自身の、「雨から連想 される回想」が入るのだけれど、この両者の対比がまた面白かった。 市自身は、戦う事だけで終わり、それ以外に何もない。このシーンが何なのか 分からないまま、今度は姉弟の回想となり、心の準備が出来ないまま、何が起 こるかと思えば今度は姉弟の今までが描かれ、哀しみを誘う・・・ううむ、 書いていてうまく表現できていないのがもどかしいところだけれど、こういう 流れの作り方は好きだな。 あと、殺陣におけるCGの使い方ですが、最初は違和感があったものの、徐々 に良くなっていたように感じた。特に刀から血を振り落とすシーンは奇麗だっ たな。 さらに、最後の3つの伏線の使い方も割と好きかな。 (vs浪人、vsくちなわの頭、そしてさらにもうひとり) 各々にオチを持ってくるというのも、そのテンポの良さも気に入っています。 などといろいろ書いてきましたが、やはりこの作品を気に入った一番の理由は、 ここまでオーソドックスに作られた時代劇を久々に見せてもらったということ かな。 この映画の底辺に流れている空気というのは、今のテレビ世代が始まってから のものではなく、明らかに映画全盛期の時代劇の空気のように感じられたとい うのが一番大きいかなと思う。 お神楽なんて最たるものだよなぁ、これがなくっちゃな。 などと思ったりしたのでした。 kaname(CXE04355)

『サトラレ』(2001)

(2004/01/11記 at @nifty FMOVIE 6番会議室を一部改稿)  『サトラレ』を観ました。(2004/01/11 at DVD) 「サトルの化け物」というものを初めて知ったのは、筒井康隆の名 作「七瀬シリーズ」の「家族八景」中の一篇でした。 人の心を読むという能力を持つ七瀬が、・・・と、これは読んでのお楽 しみかな。  そんな感じだったので、この作品のタイトルを聞いた時、原作を 知らなかった私がまっさきに頭の中に浮かんだのはこの作品であり、 その思い入れのある一篇を連想させるタイトルの映画ということと、 それを監督するのが笑いと泣かせの間が絶妙な本広監督ということで とても楽しみにしていた作品でもありました。 ただし、そういう映画でも劇場で見逃してしまうということは往々に してあるものです。 (以降、内容に触れます。)  今になっての初見ということであらためてキャスティングにも楽 しめるところが増えていたかな。 この前ようやく『7月7日、晴れ』を観たので、これで『友子の場 合』を除けば本広監督の映画はデビュー以降はすべて観たことにな るのですが、ホント、いつも味のある役者さんを周りで囲んだ上で、 良い役者さん揃えてますよね。 とはいいつつも、私が劇場に足を運ぶのをためらった理由もその主 役だったのですが、それも心配に過ぎませんでした。  これは、予告で受けていた印象よりも、ある意味本広監督ぽい 笑いやテンポが多かった事が好印象になった要因かな。  最初から泣かせを狙われるとたぶん駄目だったと思うのですが、 前半はホント笑った笑った。 あと、鈴木京香もホントいい味を出していました。 こういったところはホント本広監督の真骨頂の部分ですよね。 ある意味、『踊る…』における官僚主義に対する皮肉に通じる部分 も多いのですが、それよりもむしろこれは『トゥルーマンショー』 と通じる部分が多かったかな。 それでいて、やはり本広監督なんですよね。 ホントこういうところはうまいなぁと思います。 まぁ、やや強引なところはあるものの、それはそれ。 やはりこのテイストを味わえるのはいいよなぁ。 kaname(CXE04355)

『サバイビング・デザイアー』"Surviving Desire"(1991)

(97/08/14記)  先日、ハルハートリー監督の『トラストミー』が上映された際に、ハート リー監督の初期短編集ビデオ『サバイビングデザイアー』が売っていたので、 つい買ってしまったのですが、この『サバイビングデザイアー』はその中の 一篇。 これがとっても面白いのですよ!!  マーティンドノバン扮する文学の教師がここ数ヶ月ずっと「カラマゾフの 兄弟」の同じ部分ばかりを教え続けている。そんなところから始まるんだけ ど中身は本当にどこを切ってもハートリー印! なんとも言えない映画です。  ハートリーの世界は、出てくるキャラクタすべてが自己主張を続ける。ど こかしらバランスが崩れてはいるのだけれど、それがとても柔らかく、優し くて、居心地が良い。感情を表現するために、無表情で突然踊りだしたり、 そんなところも相変らず。カレンサイラスは「結婚してくれ」と男に声をか け続けるが、それは本当に結婚したいわけではなく、自分を人に認識しても らいたかっただけだし、主人公の女の子も「好きか嫌いか。」と言うことよ り、「好かれていると言う状況」で酔っている。マーティンドノバンもその 逆だが基本的には同じ。そんな中で、人々がさまよっている。優しい、そし て少々不安定な人達が。

『さびしんぼう』(1985)

(95/09/07記 at Niftyserve FMOVIE 15番会議室)  なにか、はっとさせられてしまいました。無謀にも私はこの映画を 何の呼び知識もなくレーザーディスクで買ってしまったのですが、よ かった。それまでは、『良い映画を作る大林宜彦』だったのが『心を 奪う映画を作る大林宜彦』に変わってしまった。 『懐かしい』という気持ちでいっぱいになった映画です。                             KANAME(CXE04355)

『サボテン・ブラザース』"Three Amigos!"(1986)

(2005/03/11記 at Production Note of ...) ユルいけど楽しい。 このユルさがジョンランディスだよなぁ。 はっ! (2005/03/11鑑賞@テレビ東京)

『サマータイムマシン・ブルース』(2005)

(2005/10/10記 at Production note of ...) 『サマータイムマシン・ブルース』を観ました。 (2005.10.10 at アミューズCQN シアター3) このシアター3、わずか60席。そのうえ、(まぁ当然のことながら) 久々に見る小さなスクリーン。 まぁ来週には終了してしまうということでこのスクリーンなので しょうが、それでもこの日の私の観た回は、立ち見(というか 補助席)も出る盛況。 評判も良かったしなあ、などと思いつつ、この作品に臨みました。 で、ここからはネタばれも多く含んだ感想。 おお。(^^) すっごい、本広さんらしい作品だなぁ。 この話のテンポの良さと間。 そして畳み掛けるような 話のまとまり方! いや、本当に気持ちよかった。 元が舞台劇とはいえ、その台詞まわしでたまに現実に 引き戻されてしまう部分はあったにせよ、もう見事 としかいいようがない。 特に、ケチャや河童の描き方に関してはもうすっかり 唸らされてしまいました。(そう来たか!と。) そしてそして、すっかり笑わせられた後にくる不意の一撃。 絶望的な未来と、それを受け入れざるを得ない体験を した主人公と共にしたという構図をここで持ってくるとは これまた本当に本広節炸裂だよなぁ。 最後のあの絶望に無駄だと思いつつ立ち向かっていく その姿も。 で、ここからは蛇足。 すべてが終わって気がついた私の一つの幸福。 小さいなと思っていたその箱が、何か小劇場の箱に思えて しまったこと。 エンディングの選曲や音の付け方がまたそれっぽくて 最初に少々残念に思ったこの小さな箱で観れたことが、 最後に訪れた個人的なもうひとつの幸せでした。

『ザ・マジックアワー』(2008)

(2009/10/03記) 『ザ・マジックアワー』を観ました。(2009/10/03 at フジテレビ) いやぁやっぱりうまいわ。>三谷幸喜 ネタフリから落としまでのテンポの良さと、映画に対する愛情を楽しませていただき ました。 出てくる(見知った)役者が多過ぎてワンシーンワンカット見逃せないのが玉に傷 だけれど、まぁそれは贅沢というものだな。 あとは、あんな町が本当にあったらロケ地使われまくりだろうなぁと思いながら観て いました。

『鮫肌男と桃尻女』(1999)

(99/03/14記 at Niftyserve FJMOVIE 4番会議室)  『鮫肌男と桃尻女』を観ました。(99/03/10 at シネセゾン渋谷)  この映画は、浅野忠信が主演している事もさる事ながら、それ以上に 予告編のビジュアルの面白さ。  このテンションが映画本編でどこまで持続できたのか? この映画を 観る前の興味は、それに尽きるかな。そして、観た人の評判の良い事!  もうとにかく楽しみな作品で、しかしながらかなり混雑しているとの 噂も聞いていたので、少々足を運ぶのが遅くなってしまいました。 (以降、ネタバレあり)  さて、本編。 いやぁ、噂以上のキャラクタたちの個性的なこと!  そして、その中でもやはり、山田くんこと、若人あきら(いや、我修 院達也だったっけ。(^^))  これも、噂には聞いていたけれど、凄すぎ! トイレのシーンでの銃 さばきの巧みさだけでも感嘆していたのに、なにさこのキャラクタは。 映画全部をひとりで喰っちゃってる。(^^) それでいておおげさな部分 がまったくない。そのままだというのがなんと言ったらいいのか。  もちろん、他のキャラクタたちもそれぞれがぴったりあっていて、例 えば堀部圭亮なんかも、何とも言えないのだけれど、やはり山田くんに は敵わない。  そして、そこまでのキャラクタたちに対して、本当にこの人しか主役 を張れる人はいないっていう領域までいってしまった浅野忠信は、もち ろん良い。決して多くのキャラクタを演じられる人ではないのだけれど、 浅野忠信的役柄を演じたら、向かうところこちらも敵なし。 『バタアシ金魚』や『あいつ』では、はっきり言ってどこに出ていたの かも気づかなかった。(というか当時知らなかった。)  しかし、『フライドドラゴンフィッシュ』以降、浅野忠信を演じ続け る浅野忠信は、本当に凄い。これって、三船敏郎が、三船敏郎以外演じ られなかったのに通じるところがあるくらい凄いと思います。  思うに、これって原作あっての作品だけれど、キャラクタたちがその 領域はすでに越えてしまっているような気がする。(もしくは原作がそ こまで刺激してくれる作品であった? 残念ながら読んでいないので。)  ここまで書き込むかってくらいにキャラクタたちは書き込まれていて、 それが、本当に見ているだけで楽しい。それも中途半端じゃなく。 この監督って、今後、本当に要注意だな。 〜〜〜〜〜〜 99/03/14(日) 〜〜〜〜〜〜 かなめ (CXE04355) mailto: takashi.miyamoto@nifty.ne.jp     kaname@a2.mbn.or.jp URL http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/cinecom/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『ザ・リング』(2002)

(2002/11/03記 at @nifty FMOVIE 2番会議室) 『ザ・リング』を観ました。(2002/11/2 at T・ジョイ大泉 シアター 1) この作品、オリジナルである中田秀夫の『リング』は観ていないものの その原作となった鈴木光司の「リング」は読みました。 そういえば、今日観た三本とも皆、大元は読んでいる事になるなぁ。 狙った訳ではないのに、変な偶然だ。もしかしたら、偶然ではなく、傾 向なのかもしれないが。 (以降、内容に触れます。) で、観ていない『リング』に関しては言及する事ができないが、少なく とも原作の「リング」よりは面白かった。 原作は、たしかにうまいなとは思ったものの、そのうまいなと思わせる ために、どんどん説明の渦に巻き込まれてしまい、7日間という時間設 定が持っているサスペンス感を後半において失速させてしまっている。 それが、このトリックの持つジレンマのひとつ。 そして、もうひとつが、特に得体の知れないものの持つ恐怖に比べると 得体が知れてしまったものはやはり恐怖感が減じられて感じてしまう事。 それらは、この『ザ・リング』も陥っている部分ではあるものの、原作 ほどの失望感は味合わなかったかな。 なんて書いていると原作と五十歩百歩だったんじゃないかと思われてし まうかもしれないが、決してそんな事はなく、特にというか、やはりク ライマックスの貞子ならぬサマラが「出て」くるシーンはドキっとした。 これは映画の持つ力だな。リックベイカーやティペットスタジオの名前 がクレジットに出ているのはやはり伊達じゃないな。 ただドキッとしてシーンもそこだけといえばそこだけなのが、ちょっと。 作品としては面白いのだけれど、そういう部分は物足りなさを感じてし まった。所々、「これは『リング』のシーンをそのまま焼き直したんじゃ ないか」と思ってしまうような「邦画をそのまま置き換えてみました」 的なシーンが多かった事も含めて、やはり『CUREキュア』みたいな 恐さ(かつ、もしくはイコールとなる面白さ)をこういうものに求める のは酷なのだろうなとも思ってしまいました。(あの作品が別格なのは 判っているけれど。) あと、そうそう、音楽の中に「あの旋律」を入れてくれたのは、懐かし くて良かった。判ってるじゃん。何が欲しいのかって事を。とその時は 思った。 きっと、「あの旋律」を覚えている人だけ、ほんのちょっと周りの人た ちより背筋が寒くなっていたんじゃないかと思いました。 嬉しさと恐さが半分づつで。(^^) kaname(CXE04355)

『ザ・ロック』(1996)

(98/09/29記) 『ザ・ロック』を観ました。(98/09/20 at ビデオ)  007と言う役が、イメージとして固定するのを嫌って、シリーズから 降りてしまったショーンコネリーが、今、これほどまでに007に愛情を 持った話に出てくるのは、『インディジョーンズ最後の聖戦』でも感じた が、やはりなんとも言えないものがあります。  それほどまでに味のあるショーンコネリーの役柄と、そして一種善と悪の 入り乱れたような話は、観ていてとても気分が良かった。  ただ、『コンエアー』でもあった、なんでこんなカットが入っているん だろうという居心地の悪いアクションシーンがあって、部分的には冷めて しまった所もないことはないのですが。監督は違うのに、何故なんだろう?  まぁ、それはおいといても、やっぱりショーンコネリーだよなぁ。

『三月のライオン』(1991)

(95/11/05記 at Niftyserve FMOVIE 15番会議室) 今更ながらこの会議室に来て発言させていただきます。よろしくお願いしま す。  まず、『3月のライオン』!!  私はこれをたしか3年前に新宿のTOPSで観ました。その時は監督と主 演の女の子(昔Hさんに聞いたのにまた忘れてしまった)が来ての舞台挨拶 があったのです が、まあそれはそれとして、  私はこの映画にうちのめされました。きれいな映像、簡潔な語り口、そし てエネルギー!! そうですか。この映画はもうビデオが出ているのですね。                               KANAME(CXE04355)

『39[刑法第三十九条]』(1999)

(99/05/16記 at Niftyserve FMOVIE 2番会議室)  『39[刑法第三十九条]』を観ました。(99/05/15 at 池袋シネマサンシャイン 6番館)  この作品には、予告編に見る『CURE(キュア)』臭さに、やや危惧を覚えな がらも、監督が、最近また調子を取り戻しつつある森田芳光ということや、それよ りも公開後のここやFJMOVIEでの評判の良さに興味引かれて観に行ってきました。 (「評判の良さ」と言いつつも、実際には文章はまったく読んでいないので、「興 味の高さ」と言う言い方に変えたほうが良いかもしれませんね。) (以降、内容に触れます。)  まず、目に付いたのは、やや予想どおりの映像のあざとさでした。ただ、それは 確かに目には付いたものの、模倣ではなく、自分のスタイルであったということ。 『CURE(キュア)』における黒澤清に感じた完璧さうまさとは別に、そのあざ とい映像は、あくまでも昔からの森田芳光の映像の延長。これが、すごく泥臭く、 別の意味であざとく感じられて、それが快さを感じさせてくれました。  そして、この撮りかたが、さらに演技をしている役者さんたちのいやらしさ、如 何に、役者という人たちが、人間を細かに観察し、それを嫌味なまでに再現させて くれるかをみせつけてくれて、そしてそれが、最後のトリックへのダブルミーニン グにもなっていて。  そうすると、このキャスティングの妙にまで感心を覚えてしまう。 そういったところに、この作品に森田芳光を取り合わせた事のうまさを感じたので した。  そして、この映画そのものの構造。 あるものを見せられると最後まで思っていたのが、実は、この映画が、言いたい こと、この映画が表現しようとしていたことが別の部分にあったのを知らされる 快さ!  こういうものは非常に好きなんですよね。 あることに対しての伏線と思われていた事が、最後に、実は全然違うものへと繋 がる事を知って、その瞬間すべての伏線を思い出させて、頭の中で話を再構成さ せてくれる瞬間の心地よさ。 そういう心地よさを、この映画は感じさせてくれました。 やや冗長に感じさせる中盤から後半にかけての部分は、最後に思考が一気に加速 させてくれるための、構造的伏線だったのかとまで考えさせてくれる。 ややだらけたその部分は、「今までのものに対して、なんでここまで認識を再確認 させるようなことを続けているのだろう」と思わせていたのに、その部分のだらだ らさが、最後の構造の逆転に対して、本来なら、もう少しあっさりとした印象を 与えるかもしれないところを、十分にかみしめさせてくれました。  ただ、残念なのは、そのあとに、さらに「この裁判は延々と・・」と言った感じ の言葉を最後につけたこと。 その作品の意図をさらに明確にさせたいのではという意図は判りますが、そこまで 出す必要はさすがになかったのでは、と感じました。 かなめ(CXE04355)