『リバティ・バランスを射った男』"The Man Who Shot Liberty Valance"(1962)

(2020/05/22記) (2020/05/22 at シネフィルWOWOW録画) 説明などしなくてもなぜ彼がそういう態度を取ったのか理由があるという事を ちゃんと匂わせてくる。 結局というか実は作中では1人も殺していないんだよな。ブレーキとして2人ついてる。 ジョンウェインが出てくるまで20分。 そして同時にあの場の人間関係がすべて分かる。 相変わらずとんでもないところに酒隠してるなぁ。 保安官が意外と法律の事を知ってる。 意外といえばピーボディも状況を正しく把握して的確に表現する能力を持っている。 戻ってバランスもということに繋がる。 ホントに食べ物を美味しそうに描くよなぁ。 保安官のツケの多さをそこまで引っ張るか。 それこそ西部劇におけるようなインディアンは出てこないが彼を通じて自分の 持っている常識というものが若しくは視野がいかに狭いものであるということと その愚かさを知っていくことになる。 例えば読み書きとか。 という所からこの展開。 まるで黒澤明の作品観ているかのようだ。 本来本末転倒なのだが。 だから好きなのかなとも思う。 ジョンフォード作品としては目立った存在ではないところも含めて。

『リズと青い鳥』(2018)

(2019/09/06記) (2019/09/05 at 新宿ピカデリー シアター1) あ、凄い。流石。 山田監督はいつでもたったひとつの簡単な事を優しい視線で描いてくれる。 素晴らしいなあ。リズと青い鳥がお互いを気づくその瞬間。 この物語もまず音から入っていく。 この優しい入り方ももう監督のトレードマークみたいだ。 今までのテレビアニメのキャラデザインである池田絵から西屋絵に変わった理由も よく分かる。 確かにこの物語に関してはこの感じがものすごく合っている。 優子がちゃんと部長やってた。けど根っこは相変わらず。変わらずと言えば麗奈も だけれど。 あの話のその後の話だったんだな。あれはあれだけでは終わらなくてここでようやく 昇華するんだ。良かったね。ホント。 2人の目の動きやさり気ない仕草の一つ一つが愛おしい。 飛び立つ二羽の無垢なところも、ようやく到達したその関係も愛おしい。 2人とも弱くて強い。 少しだけついてしまう嘘やようやく言えた素直な気持ちが愛おしい。 同じ世界の不器用な子達の話でも、久美子ともあすか先輩とも違うこの感じが愛おしい。 登校から下校までほんの少しの事に気付いた2人の物語。 ーーー (2021/07/21記) 『リズと青い鳥』(2018) (2021/07/21 at BS12) リズと少女。 黄前ちゃんと高坂経由して第3楽章というくだりは最高に素晴らしい。 鎧…剣崎さんとのやり取りが徐々に変化していくあたりも好きなんだよなあ。 そこで「あれ?」となるあの一瞬。 まあこんな事を言い連ねていけばほぼほぼすべて語る事になりかねない。 積み重なって開花して行き詰まって変化してじわじわと形を成していく。 翻るスカートの向きとそこに到達できたdisjoint→joint。 ふわふわと思い出しながらそれらが繋がっていく読後の余韻にもうしばらく浸って いよう。

『リベリオン』"Equilibrium"(2002)

(2017/09/11記) (2017/09/10 at イマジカBS 録画) えらく退屈な話の中で際立つガン=カタ。 ネタとしては面白い話になりそうなのに何故ここまで乗れないんだろうとばかりに 作品世界以上に感情が動かない。 上手いなと思ったのは子供たちの扱い方くらいか。親より賢いのは良いなあ。 そしてそんなことより話戻ってガン=カタだよなあ。 最初の見せ方からして上手いなと思った。 そして作品におけるガン=カタの割合もベスト。 これだけのネタをこれ以上増やしたらだれるというところでバッサリ終わらせて しまうあたりの潔さはこのアクションに見事にフィットしている。 ワンシーンだけしつこいなと思ったところがあったがそこもご愛敬で済ますことが できるくらい。 堪能させていただきました。

『リアリティバイツ』"Reality Bites"(1994)

(94/12/30記 at Niftyserve FMOVIE 3番会議室)  Tさん、こんにちはKANAMEです。前回見なくては!と発言してから随分と経 ってしまいましたが、やっと『リアリティバイツ』を観に行く事ができました。  まあ、観に行く前にこの会議室とかRTなどでいろいろ読んだり話を聞いた りして、ちょっとばかり不安になっていた部分もあったのですが・・・、それ も観てみればすっきり解消されました。  だってウィノナがいきいきしてるんだもの!  最近は時代物づいちゃって、ちょっとばかり(私には)不満な部分もあった ウィノナでしたが、これで解消!  画面一杯のアップ顔のなかで大きな目をキョロキョロさせるウィノナは、や っぱりいい!  周りに対してちょっとばかり肩ひじのはったウィノナではなく、これがあた しよ!文句あるの!といわんばかりに、それでいて肩の力を抜いたウィノナは とっても魅力的でした。今までの私の一押しのウィノナは『ビートルジュース 』でしたが、こっちもいい!(日本語になっていない気もする。)  内容に関していえば、あ、俺にもこんな事あったなって部分と、アメリカ人 ってこんな感じだったよなって部分が結構あって、これも映画に素直に入り込 めた理由のひとつだと思います。(私にとってアメリカ人とは、どいつも結構 変な映画知っていて、一日中ジャンクフード食ってるぞっというイメージです。 もちろんビジネスのときは別ですけれども。)  というわけで、以上、ういのないのち〜のKANAME(CXE04355)でした。

『リーサルウェポン4』"Lethal Weapon 4"(1998)

(98/08/01記 at Niftyserve FYOUGA 2番会議室)  『リーサルウェポン4』を観ました。(98/08/01 at MOVIX六甲 Screen5)  いやぁ、この映画館、前から好きなんですが、今回また惚れなおして しまいました。今回は、この映画がそれほど音には手を入れてはいな かったんですが、結構、夜のシーンが多く、普通暗くてつぶれちゃいそ うなシーンも、はっきりと浮き上がって見えるんですよ。これは、この 映画館で観て正解でした。  さて、それは置いといて本編ですが、最初「なんで今になってまた シリーズ再開したの?」と思っていたんですが、これがやりたかった んですね。 リッグスも昔ほどのキレがない。マータフもそうそう動じなくなった。 なにか年を感じるなぁ。そのうえ、今回悪役となったリーリンチェイが 出てくると、途端に画面に活気が出てくる。それが、またこのふたりと その周りに年と限界を感じさせる。  実際リーリンチェイの動きって凄い。これは、『007/トゥモロー ネバーダイ』の時のミシェルキングの登場にも感じたのだけれど、こう いう形で出てくるとハリウッドの映画スターって本当に華がなくなって しまったなぁと感じてしまいます。絵で映えるのはどちらかと聞かれる と、答えが決まっちゃうもの。  と、少し脱線しましたがさておいて、それでも、それでも俺達はこう いう映画を作っていたんだよ。俺達は変わらないよ。ってことがやりた かったんだなって。  クライマックスには二人も、昔(1の頃)に少しだけ戻っていたしね。 なにか、そう思ったら、「ああ、今日はこの映画を思って一日を過ごそ う。」って思っちゃいました。これって、今までのシリーズを観ていな いと面白さなんてなくなっちゃうのかもしれないけれど、それでも、こ の映画を作ってくれて良かったと思う。こうやって、一日を過ごさせて くれたから。 なにか、多少わけのわからない感想になってしまいましたが、こんなとこ ろで。 かなめ(CXE04355)

『リターナー』

(2004/08/28記)  『リターナー』を観ました。(2004/08/28 at フジテレビ) おお、これは予想以上だわ。(^^) 既に、観た人の話はいろいろ聞いてはいたものの、予想以上の「観た事のある 絵」の連続。 「そのまんまじゃん。」の意味、しかと体験させていただきました。 ホントのホントにそのまんまなのね。 それもここまで詰め込んでいるとは、良い意味で予想以上でした。  それでいて、ちゃんとキャラ立てているのはさすが。 これも見事なひとつの個性だよなぁ。 と言わしめてしまうのは、この監督の素晴らしさだわな。 作家性の強い近年の日本映画の中で、これはあるべき、必要な個性。 これからもよろしくお願いします。 k.

『リディック』"The Chronicles of Riddick;(2004)

(2004/08/14記 at @nifty FMOVIE 2番会議室)  『リディック』を観ました。(2004/7/29 at 立川CINEMA TWO)  実はこの作品がスピンオフとして世に送り出されるきっかけとなった『ピッ チブラック』を観ていません。  劇中登場人物のひとりである「リディック」が、その名をタイトルロールに 冠するスピンオフが出てくるまでに至るようなキャラクターとしてでてくると いうことで、オリジナルである『ピッチブラック』は非常に興味があったので すが、そもそもこのタイミングで『リディック』を観る事になるとは思っても みなかった状況での鑑賞だったので、完全に不意を突かれた形になってしまい ました。  何故かといえば、この日、立川シネマシティの新館であるCITY TWOのオー プニングレセプションに招待されていて、その中でスニークプレビューとして 観る事ができたのがこの作品。 さらには、そのスニークプレビュー、個人的にはまさしく勝手に「『サンダー バード』が観れる!」なんて思い込んでいたものですから本当に不意打ち状態 でした。  まぁそんな感じですので、最初は予備知識ほとんどなしに作品世界に入って 行くのが大変。  さらには、この作品のTVCMで「『スターウォーズ』以来のアクションSF映画 云々」などという宣伝の仕方をしていたものだから、「なんで『スターウォーズ』 がアクションSF映画なんじゃい」とひとり文句を言っていたりもしたので、さら に抵抗もあり。(笑)  しかしながら、そういう各種の障害も乗り越えて、ようやくこの作品が目指し ているものの輪郭がようやく見えてきたところからは、純粋に楽しむ事ができま した。  何せ”デイム”ジュディ・ディンチが、まるで最初からその世界の住人である かのような顔をして出てくるわ、ウ゛ィン・ディーゼルのアクションは、「これ からアクション見せますよ〜」と貯めを作ってから始まるわというお約束は外し ていないし。  描いているのは全編照れる事無きSF、ダークヒーロー、そしてそれにふさわ しい物語。  難をいえば、話のスケールの割にこじんまりとしすぎているきらいはあるも のの、これもまぁお約束といえばお約束ではあるな。  エンディングも、ああいう形で落としてくれたので、ある意味非常にすっき りとさせてもらいました。  これは『ピッチブラック』も一度観なくちゃねぇ。 kaname(CXE04355)

『リバーランズスルーイット』"A River Runs Through It"(1992)

(95/11/08記 at Niftyserve FMOVIE 15番会議室)  これは、「何て・・・映画なんだ!」と思いました。若き日のではなく 『ナチュラル』の頃のレッドフォードの雰囲気を若くしたようなブラッド ピットに驚き、そして映画そのものの美しさにも驚きました。 KANAME(CXE04355)

『リリイシュシュのすべて』(2001)

(2001/10/07記 at @nifty FMOVIE 2番会議室)  『リリイ・シュシュのすべて』を観ました。(2001/10/06 at シネスイッチ銀座)  『Love Letter』から6年、『スワロウテイル』からも5年ぶりの岩井俊二 監督の長編作品。あの頃は、その次の長編を観ることになるまで、こんなにも 時が過ぎるとは思っていませんでした。  当時まったく期待されなかった『Love Letter』と、逆に過剰な期待の渦の 中にいた『スワロウテイル』という2つの作品から解放されるには、やはり 時間が必要だったのでしょうか? (以降、内容に触れます。)  あふれでる言葉。しかし、その言葉に、主(ぬし)はいない。  鮮明な映像。しかし、その絵の中の真実は、常に覆い隠されて いる。  過ぎ行く時間。しかしいたずらな時間は、決して前に進んでい くばかりではない。  今までもそうであったけれど、今まで以上に、この作品の中には 想像させるヒントのみ満ち溢れているが、それはこころよい予感ば かりではなく、むしろ、目の前に起こっている現実に、目をそむけ させることで、観客を沈黙の共犯者という関係に落としいれるもの ばかり。  これは、「現実」  しかし、誰もそのことにまっすぐ向き合おうとはしない。  それが、まるで現実のよう。  言葉という情報にのめりこむ人間が、現実を失っていく様は、 体験している者にとっては、痛みと、それをオブラートに包んだ ものの両方を想起させる。  たぶん、自分という肉体が滅んでしまった後も、そこに存在し 続けているのではないかという錯覚。  どうすれば痛みを感じるのだろうかと、自分の頬をつねってみ るが、そこには痛みなどなく、ただ空虚さのみがあるという現実。  それが、まるで現実のよう。  その、現実のような夢は、自分が「呼吸」をする生き物である という事を思いだすことで、現実を呼び戻すことになる。  息を吸って、そして吐く事で、痛みも心も取り戻せることが、 現実に戻る手段。 そのことに気づくことでこの物語は終わる。 その代償を、ほんの少し、心の中に残したまま。  この作品の中で一番遠くにある虚構、リリイ・シュシュという 存在を残したまま。 kaname(CXE04355)