『オブリビオン』"Oblivion"(2013)

(2024/03/30記) (2024/03/30 Amazon prime) 一番重要なシーンの字幕がクソみたいな訳だったからもしやと思ったらやはり そうだったようだ。 他にも逆にそこは意訳の方が良い所で直訳だったり造語の訳のセンスなどそういう 意味でのノイズが酷かったのは残念。 と、それらはさておいて、やはり球体ベースのデザインって良いよなあと 再確認させてくれたし、そもそも一番好きな題材の一つが大ネタだったのが とても良かった。 だからこそ余計にそこを台無しにされたのがなあ。 この作品が良いのは、ヴィクトリアというキャラクターをそこに差し込む事で さらに立体感が増した事。 登場人物が少ない作品であるが故に余計に効いていたと思う。

『オリエント急行殺人事件』 "Murder on the Orient Express"(2017)

(2023/11/08記) (2023/11/08 amazon prime) 原作は久しく読んでいない。 以前映画化されたものも久しく観ていない。 どちらもとても好きな作品ではあるが、さらに記憶となると美化されていると思う。 そういう視点で見るとなるとやはり色々と偏った見方にもなるかもしれないがそれを 踏まえての感想など。 冒頭のエピソード。 懐かしいポアロらしい台詞や言動の数々。 そして彼に対する人々の態度。 シリーズものの中の一篇での描写というよりは、彼を初めて知る人達に対する紹介の ようにも見えた。 考えてみれば前回の74年の映画化の際にはまだクリスティは現役のミステリー作家で あり、またミステリー、推理小説というジャンルも読書という趣味も今よりは メジャーな扱い方をされていたようにも思う。対してこの今に近い2017年はポアロや クリスティの認知度から始めなくちゃいけないんだなという風に見えた。 まあ実際にはここから観続けていると分かるのだが、主役は事件ではなくポアロだった。 言い方を変えれば推理小説というよりは冒険小説の趣き。 どうやらケネスブラナーは数々のリブートされたシリーズものの流れに、このポアロ シリーズも組み込みたかったのかなという描き方。 故に登場人物達の印象や描かれ方が薄いのが物足りなさを感じるというか。 個人的にはこれをやるならスタイルズから始めて欲しかったなあ。以前の映画化の際には 途中まではそれぞれが独立したものだったし、ならば有名どころやドラマに仕立てやすい 本作というのも分かるのだけれど。 まあスタイルズこそさらに認知度の低い作品なのでお金も集められないだろうけれどと なってしまうし、そこからカーテンまで全部映画化なんてそもそもとなってしまうのは 作品の量が多いクリスティ作品ならでは悩みか。 まあこうやってクリスティの作品と再会するのはとても嬉しいのだけれどというのは 贅沢かな。

『大いなる遺産』"Great Expectations"(1997)

(98/09/15記 at FYOUGA 2番会議室)  『大いなる遺産』を観ました。(98/09/15 at 早稲田松竹)  ロードショー公開時から、観たいみたいと思っていたのですが、タイミング が合わない映画というのもあるもので、この映画も、その一本。何度か観る機 会はあったのですが、その直前に観た映画が気に入って、何も観る気がしなく なってしまったりとか、ちょっとした理由の積み重ねで、ロードショー公開時 には、観ることができなかった作品なのでした。  さて、そんな時に便利な名画座なのですが、この早稲田松竹に行ったのは、 15年ぶりくらいじゃないかな? 家から歩いても20分はかからないのに、 何故か行く機会を逸していた映画館でした。  だもので、館そのものが改装されていたのにびっくり。(笑) 館の前にあったコーヒースタンドも姿を消し、館の中もかなり奇麗に改装され ていました。ちゃんとした音響設備も整っている。  そんな感じで、寂しさ半分嬉しさ半分を噛み締めながらも、この『大いなる 遺産』を、この早稲田松竹での『ガタカ』との2本だてで観てきたのでした。 (前置きが長い。(^^;) (以降、ネタバレあり)  何か、実に見事に「映画」してますね。トンネルの中で、影だけで感情まで 表してしまう会話のシーンとか、数々の幻想的なシーン。そして、デニーロの 登場の仕方とかのタイミングといい、画面全体を覆うトーンといい、嬉しく なってしまうくらいの気持ちよさでした。  そして、水を飲むシーンや、肖像画を描くシーンなども、「ここまで!」と 言う絶妙なところで展開しているし、何故、こういう映画がもっと存在しない のかが不思議なくらい、「あ、映画ってこういうものだったんだ。」と言う思 いを改めてさせてくれました。ホント、映画ってものは、「話」と言うものに 囚われるものばかりじゃないんだって事を思い出させてくれました。 しかし、グィネス・パルトロぅってほんと、やせっぽちって感じだったなぁ。 そして、アン・バンクロフトにあそこまでメークさせるとは。(笑) デニーロは、今やあいかわらずの役をやっているし。 でも、やはり、イーサン・ホーク。『ガタカ』といい、なんでここまで映画を 選ぶ目があるのだろう。(正確に言うと『恋人までの距離−ディスタンス−』 からか。) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 かなめ(CXE04355) mailto:  cxe04355@nifty.ne.jp  takashi.miyamoto@nifty.ne.jp  kaname@a2.mbn.or.jp URL:  http://member.nifty.ne.jp/kaname/  http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/  http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/theater/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 P.S.『ガタカ』の方もあらたな発見があったのですが、またそれは別の話。

『おおかみこどもの雨と雪』(2012)

(2012/08/12記) 『おおかみこどもの雨と雪』(2012) を観ました。 (2012/08/12 at 新宿バルト9 シアター9) 細田監督は『時をかける少女』は好きで、けど実は『サマーウォーズ』は観ていない。 観たくないのではなく、観るタイミングがまだ来ていないというだけだが。 だから、というわけではないのだけれど、実はこの作品も観る気はなかった。 が、劇場で予告編見たら何か観たくなってしまったのだよ。 雪積もる中疾走する子供たちと、同じくして満面の笑顔で疾走する花。 これに心動かされてしまった。 そして実際に観て、観て良かったって思った。 (以降ネタバレあり) ああ、この人の作った『涼宮ハルヒの消失』も観てみたかったなって思った。(京アニ 版ももちろん素晴らしかったのだけれど、それでもこの感性の人に作ってもらったら それはそれで興味深かったなという意味で。 そして、これで説教臭くもなく押しつけがましくもないって本当に良いな。 ただ感じて思えば良い。 見慣れた土地やいつか観たような場所、そこかしこにあるどこかで出会ったことが ある小物たち。 ハヤカワミステリ文庫版「ロンググッドバイ」ってもっと厚かったんじゃないかな というところだけは引っかかったが、それでもそれがその場にあるだけで良い。 全力ではなく、いつも自分らしくある花が良い。 自分の良いところをちゃんと分かっている花がよい。 変わっていく雪、そして雨が良い。 いつか母のようになっていく雪と、父を思わせるものになっていく雨が良い。 好きなもののために一生懸命な花。 それを感じられるのはとても気持ち良い。 時には背景の一部になりながらも、自分を生きていく花が良い。 何かそんなことを考えながら観ていました。

『大阪物語』(1998)

(99/06/25記 at FMOVIE 2番会議室)  『大阪物語』を観ました。(99/06/24 at 金沢ニュー東宝2)  この映画は、東京で上映している際に、とても観たかった映画では あるのですが、残念ながら見逃してしまい、それが今回旅先で、たま たま観る機会を得ることが出来たのでした。  市川準の作品は、『BU.SU』以来、結構観ていて、好きだった と言うのもあるし、タイトル的に同監督の『東京兄妹』と対をなしそ うな作品であること。他にも、沢田研二が予告を観る限りでははまっ ていそうな事。  後は、主役の子に、監督が惚れこんだと言う話や、脚本が犬童一心 であった事も、なんとなく気になることではありました。 などと言いつつ、『二人が喋ってる』は観ていない私。(笑)  ところが・・・。 (以降内容に触れます。)  最初から中盤にかけて。 まぁ予想どおり話が進んでいく。半分ドキュメンタリー的な撮りかた というか、わざとな雑さ加減の視線や、ある種モノローグ的な語り口。  沢田研二の存在感に隠れてるけれど、相変わらず田中裕子はいい なぁとか、逆に、そこまで存在感を出している、ダメさ加減が絶妙な、 沢田研二はやはり良いなぁ、などと。  所が中盤から話が変わっていく。「カスや。」言われて姿を消して しまうりゅう介、追わないはる美、追う若菜。 「ピカピカでちゅう」も良かったのだが(笑)、その後の展開は、見 事に良い方に裏切られました。  確かに、今となってはよくある展開ではあるのだが、それでも、 疾走(もしくは暴走)していく話(もしくはキャラクタ)は止まらな い。今までののんびりほんわかな大阪の雰囲気が、もうひとつの大阪 に切り替わる。そして、もうひとつの話に。  自分の知っていたものがを別の側面で観ることになったことの、 あの雰囲気は見事に出ていた。  けど、それでいてドロドロ感はない。これが、この主役の子の 存在感なのか?  ここの所、やや落ち着き始めているように感じられていた市川準 が、また蘇りつつあるように感じた。 かなめ(CXE04355)

『オースティンパワーズ』"Austin Powers"(1997)

(98/08/06記 at FYOUGA 2番会議室) 『オースティンパワーズ』を観ました。(98/08/05 at シネセゾン渋谷)  実は、私にとって今年一番の期待作だったのですが、まさかこんなに混んで いるとは思いもしませんでした。先週の土曜日、初日に神戸で観た人の話だと、 「30人くらいしか入っていなかったよ」っということで、少し油断していた のですが、渋谷の方では平日の最終回だと言うのに上映30分前には結構な量 の人がいて、最終的には立ち見(というか座ぶとん)まで出ていました。 さて、以降ネタバレあり  結果としては、くっだらないところはすごく気に入ってます。くどいまでの 「隠す」シーンの末の**やXXなんかは、えらく好きです。ビックボーイな んかが出てくるところも好きだな。「くっだらねぇ」とか「ばか〜〜」って思 わず口に出てきてしまったところもありました。(^^;  そして、ロバートワグナーや、果てにはバートバカラックまで出てくるとこ ろも良いです。音楽もひねりなしでそのままばっかりだったし。(笑)  ただなぁ、「ルックオブラブ」のシーンだけは、やるんなら徹底的にまねし て欲しかったです。下手に他のパロディの混ぜたりするんじゃなく、あそこだ けはそのまま使って欲しかった。  私は『007/カジノロワイヤル』の「ルックオブラブ」のシーンがめちゃ めちゃ好きなんですよ。せめて、水槽や風車、スローモーションなんかをいれて くれると最高だったのだが。唯一なところは「カッモ〜〜ン」がそのままだっ たか。あのバカな映画の中で、唯一息を飲むようなシーンだったのに。 しかし、よくまあいたなぁ、イルマブントもどきやオッドジョブもどき。(笑) 果てにはロバートワグナーがNo.2だもの。(笑) さて、続編を作るとのことだけれど、いったいどうなるやら。(笑) かなめ(CXE04355)

『オースティンパワーズ:デラックス』"Austin Powers:The Spy Who Shagged Me"(1999)

(99/09/05記 at FMOVIE 2番会議室) 『オースティンパワーズデラックス』を観ました。(99/09/04 at 渋谷松竹セントラル)  前作を割と気に入っていたので、楽しみにしていたのですが、 媒体からは割と評判が良いのに、公開直後のここでの評判が、芳 しくなかったのがやや不安を煽り・・・。  そんな状況ではあったのですが、ノリ的には一番合いそうな渋 谷で、公開一週間後の非常に混む時期、しかもオフという鑑賞環 境を万全に整えて鑑賞へと望んだのでした。 果たして、私の『オースティン・・』鑑賞計画は如何に。(^^) (以降、映画の印象及びネタに触れます。)  して、結果は、○(まる)でした。(^^) こういう映画は、ホント渋谷が向いてました。元ネタ探しに奔走 するような人は、ほぼ皆無。くっだらないベタなギャグや下品な ネタに大笑いしている間に、時間は過ぎて、しかも、普通の映画 なら気になるような「携帯の着信音」が、この映画で、この雰囲 気だと、効果音にさえ聞こえてきちゃう。 あ、効果と言えば、しっかり「ドルビーサラウンドデジタルEX」 していました。(笑) それはおいといて・・・。  いかにも過ぎる007的なオープニングメロディや、その直後 に流れる、やはりそのまんまの「今までのあらすじ」。(笑)  そして、その後のイーブルとオースティン登場の件は、どちら も前作で一番好きだったところ。 片や「×××」の連続、片や前回はフルーツネタがメインだった のが、今度はタイトルロールをメインに使ったお遊び。(笑)そ れがこれでもかというくらいにパワーアップされて、最後、何故 か完全復活を遂げてしまうオースティンというオープニングだけ で、私はもう満足してしまいました。(^^)  その他にも、ムスタファネタや、ミニミーが「ちょっとだけ。」 と言うシーン。オースティンがタイムマシンビートルを乗り回す (笑)シーン等等。くっだらないギャグ満載のシーンは楽しかっ たー。introducingなMr.バカラックとコステロさんも好きだな。 個人的には、アメリカ大統領(69年当時)のキャラクタがもう 少しだったかな?  そんな中で、一番自分が受けていたのは、「シアトルのスター バックス」!! ビッグボーイ像よりも、こちらの方が、悪の雰 囲気満載で、しかもアットホーム。(笑)  たぶん、これに勝る悪の秘密組織はないんじゃないかな。(笑) (あと、使えそうなのは、「りんご」な会社と、世界一の億万長 者の経営する会社くらいだが、前者はけっこう似合うものの、割 とベタだし、後者はシャレにならない。(笑) あ、ベタって)  一方で、元ネタが割とはっきりとあるもの(主に007もの) は、「はいはい、そうですか。」と言った感じで、"IN LIKE FLINT" の取り扱い方も、オープニング流すだけかい!と言った感じ。 (ID4の使い方には笑ったが。(笑))  と、だいたいこれだけなら「万人にお薦めできるおバカ映画」 だったものを、ファットバスタードまで出してきて。(^^;  まぁ久々に、映画館内の人間が、ほぼ一体になって、近年稀に 見る「それは止めてくれ」な空気になったのは凄く嬉しかったの だが、あのワンシーンだけで、「万人にはちょっとお薦めできな いかな」な映画になってしまったのが、残念というか、何と言う か。(^^; おかげで、個人的には「大好きだけれど、ビデオでは絶対観たく ない(というか一人でとか、寂しい環境では絶対に観たくない) 映画」にもなってしまいました。 (けど、あのシーンの直後に、一発かましてるギャグを見損なっ たのでもう一度観たいのだが、そのためには、あのシーンで目を 伏せてる時間はない・・・ってところが確信犯なのが、これまた 憎いのだが。(笑)) kaname(CXE04355)

『オーメン』"The Omen"(1976)

(2006/06/24記) 久々に『オーメン』(1976)を観ました。 やはりジェリー・ゴールドスミスは偉大だ。 とこれだけで終わっても良いのですが。 「アヴェサターニ」も印象に残る曲ではあると思うのですが、 個人的に好きなのは、「新任大使」。 俗にいう「オーメン 愛のテーマ」という奴ですな。 前者の曲を軸に捉えるとオカルト映画なのですが、 後者の曲を念頭において観ていくと、それは状況に しか過ぎず、父親を軸にしたこの家族の悲劇と 観れなくもないとも思っています。 (ただし、この妄想はシリーズ化された時点で 完全に否定されているのですが。) 故に私は、この作品をとても哀しみに満ちた作品という 形で捉えています。 最後の止め絵から銃声なんて何度観ても涙ものです。

『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005)

(2006/10/22記) 『ALWAYS 三丁目の夕日』を観ました。(2006/10/22 at DVD) この映画は光に祝福された作品だな。 オープニングから、その作品の隅々に至るまで自然の陽の光に 祝福された画面には終止涙を禁じ得ませんでした。 その優しい陽の光に包まれた 懐かしい風景。 昭和三十三年 私はまだ生まれていなかったけれど、まだその名残のあった 子供時代を思い出してしまいました。 それは今、どこの国にあっても存在しない風景。 それを再現してくれた やはり私と近い年代の監督と、そして この作品に関わったキャストやスタッフに、ただひたすら 感謝の言葉を贈りたくなる。 そんな作品でした。

『ALWAYS 続・三丁目の夕日』(2007)

(2007/11/11記) オープン3日めのTOHOシネマズ西新井に『ALWAYS 続・三丁目の夕日』を 観に行きました。(2007/11/11 at TOHOシネマズ西新井 スクリーン5) しかし11/2に羽生、11/8に春日部、11/9にこの西新井と、東武伊勢崎線 沿線に立て続けにシネコンがオープン…という話は長くなるのでおいといて。 私が、今回この作品を観るためにここを選んだのは、言うまでもなく三丁目の 残滓が残っているところだと思ったから。 実は、私が一番印象に残っている映画館、もう一度行ってみたい映画館という のが他でもない同じ足立区にあった千住名画座。 今だから白状しますが授業さぼって観に行きました。(笑) 『セーラー服と機関銃』と『翔んだカップル』の二本立てでちょうど夕飯の 買い物にというのはもうちょっと早い時間帯だったかな。商店街の中にある その映画館には、子供連れてる母親とかいかにも近所の人たちという感じの 人たちが来ていて、ああ、この映画館は生活の一部なんだなと強く感じさせ るものがありました。 上映中に子供が走り廻ってそれを親が捕まえようとしている様も全然気に ならない。映画館にいる事の至福を感じられたひとときでした。 その思い出があるからこそ今回足を運んだTOHOシネマズ西新井 実際に行ってみて、広い空の下を通り、下町な家族連れに囲まれての鑑賞は とても心地よいものでした。 ホント、笑いの起こり方まで映画の中のようで何か嬉しくなってしまった。 そんな、幸せな出会いをする事が出来た映画の感想です。 さて、ここからはネタバレに入るので改行します。 まぁそうやって気持ちが快く入れたなぁなどと思いつつ東宝スコープから 始まる本編。 しかし始まってすぐに「え、もしかして…。」 …ホント「嘘だろ!」と思いました。 もうそれからは号泣状態。山崎さん、あんた本当に凄いよ! 良くやった! 本当に観たかったものを見せてもらいました。それもおもいもかけず。 そして、やはりあれはあそこにしか存在しちゃいけないんだなということを 強く思わされました。 まぁそんなオープニングなんぞを見せられた日には、もう後がどんなだろう と文句は無い。 相変わらずの特にCG多用な邦画における映画館とミスマッチな画質にはちょっ と気がそがれる事が無かった事は無い。 少々話の無理なところもあった。 けれど、それこそもうひとつの(続編ならではの)反則技にも心地よく泣か されたし、ラストのそう来たかと思ったら、さらにがあってまた泣かされま した。 いや本当に心地よい時間を堪能させていただきました。 それこそ確信犯かと思えるほどのデジタルエキストラたちの使い方さえも。 …ううむ、曖昧に書くのはやめよう。 ここから本当にネタバレになります。既に聞き及んでいるかもしれませんが 出来ればこれから観ようと思う事がありそうな人はここから先は読まないで ほしい。初見の楽しみを奪いたくないから。 東宝スコープのロゴの後の懐かしい音。これで号泣でした。 そうだよな、山崎さんだものな。これやらなくちゃな。 しかも時代設定は昭和三十四年。 この時代を焼け野原にするゴジラ。 それも今の時代の技術を使ったゴジラ。 東京タワーを熱線でなぎ倒すゴジラ。 ゴジラはあの昭和の時代、子供の頃の時代でこそのものだよな。 何かそう思うと、もうそれだけで号泣でした。 そして本編。 話としてはその時代のものばかり。 唯一芥川賞がらみの詐欺の部分と最後には折れてしまう川淵にはちょっと 納得いかない部分もあったのだけれど、前作の夢を引きずっている宅間に しても、鈴木オートの戦友話やともえの過去の話にしても六子や子供たち の話にしても、そういうものを見せてもらいたかったのだというものばか りでした。あの美加ちゃんのキャラクタじたいなんかそのものだもの。 もちろん、反則技たるヒロミの怒濤の前作回想シーンなんて思惑通りの 号泣もの。 そういえば小学生の時に社会科見学で観に行った羽田空港なんてものを思 い出したりもさせられたし、そもそも町のたたずまいがまだ私が子供の頃 に残っていた場所そのものだもの。 そしてラスト。鈴木家が東京タワーに昇りそこから引きの絵でじんわり来 ているところに駄目押しで日本橋で夕日を見るあの三人だなんて卑怯過ぎ ます。(笑) そういうものを、あの場所、満員の客席が笑い、泣くところで見せられ た日には、これを至福の時間と言わずして何をいうのだろうか。 映画が終わり、館内から出るとそこは21世紀の出来立てショッピングモー ル。 何か未来にでもタイムスリップしたかのような気分でした。 …なんていうオチまで付いてしまったしね。 何か、夢の中で映画を観ていたかのような、そんなひとときでした。

『おっぱいバレー』(2009)

(2009/04/18記) ということで『おっぱいバレー』舞台挨拶付きで観てきました。 いやあ、ナイスおっぱい! 最初から持ってかれました。 ウェルメイドな青春映画、しかも羽住調ということで、安心して楽しめました。 むしろ今までより進化してるか。 そして、ナイス生おっぱい!>綾瀬はるか まあ強調されるような衣装ということもあって、良いものを拝ませていただきました。 そうそうチケット買いのチャンスは逃しましたが、パンフ買いでおっぱいバレー一部と は言えました。 本当はバレーを付けずにと思ったけど、物販激混みでそんな余裕はなかった。 というわけでおつかれおっぱい ーーーーーーーーーーーーー (2009/05/01記) 『おっぱいバレー』を観ました。(2009/04/18 at MOVIXさいたま シアター8) この手の作品の作品ならある意味安心してみれる羽住監督ではあるけれど、どちらかと いうと今まで男臭いものばかりだったということでどうなるんだろうとは思ってはいた のですが… 何もする心配なかったわ… というより今までの作品の中で一番合ってると思いました。 (以降ネタバレあり) というか、オープニングシーンにまず持ってかれた。(笑) いくつかの会社のロゴをきれいにまとめた後に、いかにも正統派青春映画の オープニング… と思ったらそこからの落とし方が凄かった。(笑) もうこれだけで「最後まで着いて行きます!」と思いながら大笑い。 やっぱりバカだわ。 で、まぁ綾瀬はるか登場でオープニングから繋がるエピソードがあるなぁと 思いつつ観ていたら… それかよ! すみません。さっきの「最後のまで着いて行きます」は正直甘かったです。 今度こそ本当に最後まで着いて行きます! と強く思わせるほどバカ。 ここまで凄いツカミ見せられたのは本当にいつ以来だろうと思わせるくらいの 連続技、本当に参りました。 で、まぁこのツカミでこの映画が何なのかと判ってからはもうホント安心して みれました。 そして、決して期待を裏切らないのね。 こいつらバカでバカでバカ。 これが最高の賛辞でしょう。 そして、相変わらず女優をきれいに見せるつもりはさらさらなくて『銀色…』で少しは そういうところうまくなってきたのかなと思っていたら、むしろ女性というよりはひと りの人間として綾瀬はるかを撮っているところもまた良かった。 それが、笑いと泣き(コミカルとシリアス)のバランスを非常に良く保てた理由なのか なとふと思っていたりもしました。 最近のコメディまっしぐらな綾瀬はるかではなく、この作品の中にしっかり根を張って いる綾瀬はるかだったのが良かったかなと。 唯一、ちょっと浮き気味…というか立ち位置があやふやだった仲村トオルが残念と言え ば残念だったけれど、そこを除けば笑いあり涙ありの本当に気持ち良くてバカな奴らの 作品でした。 それにしても「おっぱいでかすぎ」 ここは綾瀬はるかGJと言っておきましょう。 やっぱり、男の子の頭の中は100%妄想で出来ているのだよな。 ーーーーーーーーーーーーー (2009/12/29追記) 前記(※)の感想ののちにネタバレな感想を書いた筈なのに、どこにも見当たらない…。 (※2009/04/18記のもの。実は以下の感想は2009/05/01記の感想が行方不明に なっていたため、急遽以下の感想を書き直しました。(笑)) というわけで、悔しいので思い出しながら改めて感想。(ネタバレ付き) いや、ホントにツカミの部分から思い切り持ってかれてしまいました。 バカだろう…いや、なんてバカなんだ…(褒め言葉) ホント、見事な中学生男子。 妄想炸裂なオープニング。 で、すっかりやられたと思ったら、見事な追い打ち。 鼻血出すなよ!(出していなかったっけ?(笑)) もうこの2連発を見れただけで満足してしまいました。 主人公たちの中学生たちに色の付いていない子たちを持って来たのはホントに正解。 で、その子たちに対して受ける大人たちの色の付き具合が見事なんですよね。 特に綾瀬はるか! 正直デビュー当時はまぁその出だしが長澤まさみと被らせる売り方をされていたせいも あってあまり興味を持てなかったのですが、テレビドラマの「ホタルのヒカリ」辺りで 「あれ?」と思い出し「鹿男おをによし」でこの子の真価を見せられた感じ。 なので観る前から何の心配もしていなかったのですが、見事な使われ方。 そして他の出演者たちもそういった色が付いている分、それが正攻法だったりギャップ だったりでそういう部分だけでも楽しめた。 個人的には唯一仲村トオルだけがこの物語世界の外(傍観者ポジション)にいるような 感じがして乗れなかったものの、そこ以外は何のひっかかりもありませんでした。 時代を映した美術や音楽もまた割と近い世代なのでストライクゾーン。 正直知っている世代だけに逆にちょっとしたものでも引っかかってしまう事も多いので すがこの作品にそんな不安はありませんでした。 などといろいろ書きつつもやはり中学生の主人公たちに尽きるよなぁ。 こいつらのバカさ加減は本当に最高です。 それも最後の最後まで。 ほろりとさせられている時におまえらそれかよのラストに至るまで十分堪能させていた だきました。 そして、羽住監督は男臭いものがうまいなぁと思っていましたが、実はそれは間違いで 男の子臭いのがうまいということも再確認。 正直『海猿』よりも心入っていたでしょうと思わんばかりの主人公たちへの愛溢れる描 写と、対する女性の扱い方の今まであまりうまくなかった部分がここでは微塵も見えな かった辺り、監督の女性対する目線は下から上のほうがしっくり来るのかななんて事も 思ったりしました。 書いていたらまた見たくなって来た…。

『オデッセイ』"The Martian"(2015)

(2016/01/24記) 『オデッセイ』"The Martian"(2015)を観ました。 (2016/1/17 at 機内上映) ええとこれはネタバレ改行した方がよい作品なのかな? うまくネタバレ保護になっていればよいのだけれど。 メチャメチャ運良いよね。 なあんて思うところは多々あれど、一方で立ちまくるフラグとか、世評をある意味 受ける側の主観でしか描かないところとか、やはり皆ひときわ人格者に描かれる アストロノーツたちとか情報の切り分けがパキパキしていて面白い。 迷うけど迷いがないんだよな。 久々のホットスタッフとかやはり宇宙飛行士ものは懐メロとワンセットであるべき だよな。 臨機応変に組み立てやすいありきたりなものと最先端の組み合わせで構成されて いるのも良いな。 こういうのは好きだ。 しかしリドリーも相変わらずだねえ。 力の抜き方とかテンポの良さ、そして画の緻密さ等々。 で、最後にはやはり触れておこう。 やはり奴は出てきたか。いい使われ方していたよな。

『踊る大捜査線 THE MOVIE』(1998)

(98/11/03記 at FYOUGA 2番会議室)  『踊る大捜査線 THE MOVIE』を観ました。(98/11/03 at 渋東シネタワー1) 実は、私はほとんどTVを観ていないのですが、それでもたまに目につくものと いうのはあって、その中でもこの『踊る大捜査線』というTVドラマは、TVシ リーズも再放送もスペシャル版もすべて目にする機会が有ったと言う珍しい作品 でした。そして、そのドラマ自体も非常に気に入っていて、特に、劇中の本当の クライマックスシーンで使われている音楽が、007シリーズで使われた中でも 屈指の名BGMとして名高いその名も「007」と言う曲、『007/ロシアよ り愛をこめて』からの数作で格闘シーンによく使われていた曲です、をアレンジ しかかのようなお音楽を使っていたのが、私が完全にはまってしまった大きな原 因の一つといえるでしょう。(この曲が本当にはまる曲なんです。) というような理由で、このドラマの映画化は大画面で、同曲を聞けるということ で、とても楽しみにしていたのですが、 初日から凄い混みかたをしていたと言う話をしていたし、休日は、渋谷で朝8: 40からの回があるぞ、ということで、当日は余裕を見て朝8:00に劇場に着 いたのですが、当初渋東シネタワー4(252席)でかかる予定になっていたのが、 同1(610席)に映画館が変更になっていた上に、すでに8割近い入りで開場して いました。しかも、年齢層が広い。(笑) 友達同士できた中学生やら、家族連 れ、カップルも、若いのからある程度の年配の方までと言う、まるで、今までT Vで観ていたものが映画館で観れるというので楽しみにしてきたかのような、お 茶の間のノリが映画館に溢れていました。  と、そんな、期待するなというのがほとんど不可能に近い状態でこの映画に臨 みましたのですが・・・。 (以降、ネタバレあり)  いやぁ、やっぱり面白いと言うより他にない!! TVの連続ドラマ的なテン ポは、その後の3回のスペシャル版で長尺ものに慣れていたみたいだからなくな っているのは当然、なんて見方をしたって、実に映画映画してるし、重要なオチ は、すべて伏線をびっちり張ってある、しかもどれもが見事に当たってるし、元 々気に入っていた「音」の要素も、今回期待していた「007」モドキは残念な がら流れなかったのだが、小泉今日子のパートなんてはまりまくっていたもんね。  そして、そう、小泉今日子も噂には聞いていたがここまでやったか!って感じ で文句ないです。○○○○にまでされちゃうし。(笑)  あとは、やっぱり一度はやってみたいよね! ○○から出る○○の○(その上、 ぼそっとつぶやくし。(^^))こんなところも大好き!!  映画を観るまでがやがやしていたのが、始まると静かになり、劇場が笑い、泣 き、ドキドキとさせてくれる一体感も、映画館に来て良かったなって思わせるも の。こういう映画って本当に大好き!! 〜〜〜〜〜 98/11/03(火) 〜〜〜〜〜〜 かなめ (CXE04355) mailto: takashi.miyamoto@nifty.ne.jp     kaname@a2.mbn.or.jp URL http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『踊る大捜査線 THE MOVIE』(その2)(1998)

(98/12/05記 at FJMOVIE 9番会議室)  初めまして!! 今日、『踊る・・』2回め観てきましたかなめと言うもの です。(98/12/05 at ワーナーマイカルシネマズ茅ヶ崎)  初めて観た時も、その明確な伏線、その伏線が見えた時に、「やられ た!!」って思うような伏線の張り方のうまさと多さがものすごく気に入って いたのですが、私がその事を、既に2回観た人に話したら、「そんなレベルじ ゃなく、もっと遊んでいるよ。」と言われて、「これはもう一度観なけれ ば!」って思っていました。(ちなみに、初めて観たのは98/11/03 at 渋谷渋 東シネタワー1)  そして、今回ようやく機会を得ての鑑賞。 いざスクリーンの前に座って、「ああ、TVシリーズもう一回観直してくれば 良かった」とか少し後悔もしたのですが、まぁ、それはそれとして、今回もしっ かりと堪能してきました。 (故に、これ以降はそのほとんどがネタバレです。)  まず、今回いちばん楽しみにしていたのが、「4つ」の事件の犯人たちが、 その正体が明かされるまでに、いかにして画面上で犯行をしているか! でし た。  結果としては、領収書窃盗犯(笑)は、「わかってるね!」くらいしかなかっ たし、猟奇殺人の方は、初回に観た時とほとんど変わらず。  しかし一方誘拐犯のほうは、クイーンズスクエアで明確に存在を確認できま したし、それ以上に大胆過ぎるくらい、何度も登場してくれる窃盗犯には、大 笑いさせられました。  その上、猟奇殺人の方の、「拳銃から弾が出ない理由」もぼそっと出てきて、 思わず「なるほど!!」って膝をうちたくなってしまいました。(笑)  他にも、「黒沢塗料」の缶(しかも登場のタイミングが絶妙!!)とか、新 たな発見はいろいろあったのですが、今回、一番遊んでいるなと思ったのが、 この映画、まぁ全体的に音響は並みなのですが、一箇所だけサラウンドが全開 になったところ!!(笑) そこまでやるか!!(笑)  あと、個人的には、「煙」のシーンで、それが始まる少し前、(青島が、窓 の外にふと気づくところ)から、和久さん発見までのシーンだけ、フィルムの 粒子が荒くなってるところとか、「あおしまーーー!!」の少し後で音楽が終 わって、次の展開へと移るところまでの間の絶妙さなど、大好きなところはい ろいろあるのですが。  しかし、2度目で判ってはいるのだけれど、やはり泣けてしまいました。 〜〜〜〜〜〜 98/12/05(土) 〜〜〜〜〜〜 かなめ (CXE04355) mailto: takashi.miyamoto@nifty.ne.jp     kaname@a2.mbn.or.jp URL http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/cinecom/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『踊る大捜査線 THE MOVIE』(その3)(1998)

(2007/10/13記) 久々に観ました。(2007/10/12 at フジテレビ) この作品における本広演出はホント冴えまくってたなぁ。 もう引っ張る引っ張る。 笑いの間もホント見事。 初めて映画館で観たときのあのいびきの瞬間は今でも忘れていません。 あの、当時渋谷で映画館へ向かったときの映画館へと続く列も思い出して しまった。ホント、朝8時だというのに文字通り老若男女の列。 あれもシネコン層が出来始めたばかりの頃だからなぁ。 (とはいっても都市部はまだまだ。) シネコン巡りを本格的に始めたのもあの頃。 オフをよくやっていたのもあの頃。 あの時期nifがらみのイベントで知り合ったり、もちろんあの頃FMOVIEで 知り合ったばかりの人たちの人もいたし、いろいろな事を思い出す作品でも ありました。 しかしNIF始めた頃の思い出の作品も『Love Letter』だし、つくづく ROBOTの作品って縁があるのか…。(^^) それにしても当時の感想読み返してみると…ちょっと恥ずかしい。

『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003)

(2003/07/19記 at @nifty FMOVIE 14番会議室) 『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』を 観ました。(2003/07/18 at お台場シネマメディアージュ シアター 1 カウントダウンプレビュー) 私には、自分にとっての理想の映画というものがあります。 それは、観ている観客がひとつになって楽しめる映画。 たぶんそれは、映画を観始めた頃に、映画館に行くたびに味わって いた事であって、 しかしながら、いつのまにか味わえなくなってしまった事であった りもする。 普段は、そういう部分ではなく、その映画の持ついろいろなものに 惹かれて観る事に喜びを見出しているのだけれど、 たまにそういったこだわりをすべてすべて捨てて、 諸手を挙げて、ただその作品と、作品を観ている劇場の中の人達と の一体感のみに身を委ねたくなる映画と、場所が存在することがあ る。 この作品の前作である『踊る大捜査線 THE MOVIE』では、まさに そんな、神が与えたもうた至福の瞬間を体験できた作品であった。 元となったTVドラマは好きであったものの、映画化されることで 魅力や方向を失ってしまうことも良くあることだし、その覚悟はし た上で、たまたま観る機会を設けられたので観にいった作品であっ た。 ところが、劇場へと向かう足が、いつもとは違う事に気づく。 映画を観に行くことが多いが故に、そこに足を運ぶ客層というのは たいていいつも想像が付いてしまうのであるが、雰囲気が違う。 通常映画を観にくる人達と、構成単位や層があきらかに違うのだ。 これを言葉に表すとすれば、「お茶の間がそのまま映画館に移動し てきたかの様。」 ふだんテレビを囲んでいる家族やカップル、友達などの年代の固定 されない集団が、 まるで「今度は映画館でしか観れないのかぁ。しょうがないなぁ。」 とか思いながら、何の疑いもなく、そのままの構成単位で足を運ん でいるかのよう。 これに軽くデ・ジャヴを覚える。 映画館に足を運ぶ事がも少し日常に近かった昔とまったく同じ雰囲 気ではないのか? テレビに奪われてしまったものが、テレビによって再びもたらされ た瞬間。 しかし不安は残る。果たして、感情の共感はできるのであろうか? 観客がひとつになって泣き、笑い、という空気は産まれるのか? しかしそれも杞憂に終わる。 観客のすべてが作り手と一体化した時、その映画にとって怖いもの は何もない。 あとはただ、その瞬間にいた事を感謝するのみである。 さて、そこまでの体験をしてしまった映画に続編ができるという事 を知ることになる。 普通であれば、結果として今でも国内での興業収入の上位に残るよ うな作品であれば、続編という話はそれほど時を経ることもなく、 進んでいくと思うのだが、事前に何の噂もない状態で、しかも4年 も経ってから突如の話。 それから制作ということになるので、まる5年の月日が経ってから の続編体験となる。 背負うものも大きい。そのうえ、「続編」という言葉から受ける イメージは決して良いものばかりではない。 さらには「理想の続編」は人によってけっこう違うということも 多々ある。 増してや私にとっては「神が降りてきた時にであった」とも言える 作品の続編である。 果たして、再び5年前を追体験することができるのか? それとも、もはや周りにも自分にもその情熱は失われてしまった のか。 期待と不安を胸に、足を運ぶこととなったのであった。 (以下、内容に触れます。) で、待ちに待ったその瞬間。 心配は杞憂に終わった事を知った。 前作が持っていた良いものがすべてそのまま残っている。 そしてさらに5年という時間を経てスキルアップした各々のものが そこに加わり、ひとつの形となしている。 中でも、たぶんそのスキルアップが作品に対して一番貢献している のはやはり他ならぬ本広監督自身なのだろうなぁ。 前作よりも、さらに同監督向きの作品であったことも確かなのだろ うと思うのだけれど、独特とも言える間は、磨きがかかったような 気がする。旧知のキャストが、それをさらに良い方向に持っていっ ているのだろうなぁ。 また、前作のヒットも確実に良い方向に作用している。 金銭面のグレードアップや、周囲の信頼度のアップは、確実に この作品にとって良い方向に活用されている。 具体的にいえば、こじんまりとまとめられかねない絵に対して、 しっかりお金をかけられている。役者の起用方法にしても、役者 自身のポテンシャルも良い方向に作用している。 前作があるからこそできる(事前情報の)ミスディレクションが 見事に効いている。 ここでもう一度監督の話に戻ってしまうのだけれど、単に泣かせ る事よりも、そこに笑いをうまく加える事のほうが遥かに難しい し、そこまでできる人は稀である。 ここで改めて考えてみると、方向性は各々違えど、北野武、岩井 俊二、そして本広克行という3人の私の好きな監督は、いずれも それに長けている人だったりするのだな。 ただし、前の二人が実は割と直球勝負であるのに対し、この人は さらに少しずらしてくる。 故に外れる事もあったりはするのだけれど、前作といい、今回の 作品といい、すべてが良い方向に作用している。 それは何かといえば、「自信」なのだろうなぁ。 スタッフやキャストに対する信頼というべきか。 ホント、何かこうなってしまったらもう止まらない。 スケールアップした、心地よい、そして今回もしっかり伏線張って あるオープニングは健在。 もしかしたら変わったしまったのかな?と思わせておいて、実は 相変わらずなところまで見せてくれる。 オープニングロールもむちゃくちゃかっこいい。 似たようなものは例えば『硝子の塔』などでもあったのだけれど、 意味がちょっと違うからなぁ。 犯罪のリアルタイム性も健在。 それに対して、組織の現実もそのままであるのだけれど、最後には そこを快く壊してくれる。 こういった予想を外してくれるツボの押し方もうまいよなぁ。 ここまで観れるという限界を、最後の最後に壊してくれた。 そこを壊すということは、続編への道を絶つことにも関わらず。 この潔さには、ホント、拍手を送りたい。 そして、もうひとつの(予想していなかった)大仕掛け(?) 前回はいびきであったけれど、今回は「愛してる」 予想もしなかった言葉にはどきりとさせられて・・・(あとは言わ ずもがな。(^^)) そして、おまけでもうひとつ、少しだけどきりとするシーンの 後に、それかよ(笑)というシーン。 あと、エンドロールと共に流れるこの5年間の出来事らしきものの スナップショットの最後には、いったい何が起こったんだというも のが出てきて、唯一これだけがさらなら続編の可能性なのだろうけ れど、やはりこれもそれ以上は描かないのが粋というものだな。(^^) ホント、待った甲斐があった作品でした。 kaname(CXE04355)

『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(その2)(2003)

(2007/10/14記) というわけで昨日に引き続き鑑賞。 (2007/10/13 at フジテレビ) こちらは昨日の『THE MOVIE』と比べると新しいのに返って色あせて みえるように感じました。(話の内容ね。) こちらのほうがいろいろ傷(特に本の問題)も多いし、そのうえせっ かくきれいに終わったのに「その後」を作っちゃったからなぁ。 などと思いつつも中盤からは楽しませていただきました。(CMの入 り方の問題でせっかくの本広さんの間がずたずたになっている部分 も多々あったが。) 飽きさせず楽しませてくれます。

『踊る大捜査線 BAYSIDE SHAKEDOWN 2』(2003)

(2003/12/20記 at odou.com 捜査員日誌[改]) 『踊る大捜査線 BAYSIDE SHAKEDOWN2』を観ました。(2003/12/20 at AMCイクスピアリ16 スクリーン7[SDDS] シネプレックス10幕張 シネマ7[SRD] ヴァージンシネマズ六本木ヒルズ アートスクリーン[SRD,THX])  いやぁ、久々に一日に映画を3本も観てしまいました。しかも同じ作品を違 う場所で。(笑)   『踊る大捜査線THE MOVIE2』(結局10回観た)を欧米公開用に再編集し、つ いでにスカイウォーカーサウンドで音を入れなおしたものをまずは日本で公開 するということで、それなりの映画館でかかるのかなと思いきや、良くても4 番手くらいの映画館。 逆にそれ以上落ちないうちに早く観に行かなければと、初日の三連続鑑賞とい うことになったのでした。 一応イクスピアリがSDDS、残り2館がドルビーデジタルという音響効果の違い。 シネプレックスが300席弱の規模のスクリーンに対して、残り2館が200席 弱の規模のスクリーン。 ヴァージンシネマズがTHX認定スクリーンということに対して残り2館は普通 のスクリーン。 あと、ヴァージンシネマズ六本木のみ英語字幕版という形で、できるかぎりの 組み合わせの鑑賞を試みたのでした。 (以降、内容に触れます。) まずは一回めがAMCイクスピアリ16。 朝9時台の鑑賞ということと、この映画館がディズニー作品以外の鑑賞時には 穴場であるということもあって、スクリーン一番乗りであわや一人締めかと思 いきや、結局総客数8名での鑑賞でした。 まず、ここを選んだ理由のひとつが、予告編が始まる前の休憩時間のBGMを 始めとして元々の親系列がアメリカのシネコン故のアメリカナイズされた雰囲 気が、今回の欧米向け公開の作品に合うかなということだったのですが、これ はある意味正解だったかな。 気持ち的にもそういう心持ちで映画に望むことができました。 そして、音響効果について。 SDDS版は、ちょっと目立ち過ぎで浮き上がってました。 個々の場としては良い所もあったものの、それが延々と続く事でだんだん胃も たれを起こしそうなほどに。 そんな中でも良かったのは、雨のシーン。 雨って降る場所によって音が違うんだよなぁということを再認識させてくれま した。(これは後述の2バージョンも同様) そしてそれ以上に良かったのは、セリフがすべて聴き取りやすく加工されてい た事。これはアメリカの映画、というよりはスカイウォーカーサウンドそのも のの御家芸で、設備、というよりはノウハウ部分のほうが大きいので、本当の ことをいえば、ここだけが強いていうとオリジナルを加工して欲しかった部分 かな。決してオリジナルもアメリカ映画に引けを取らないものではあったので すが、スカイウォーカーサウンドはこの部分は本当に別格の存在だから、まぁ しかたないとは思うのですが。(この部分も後述の2バージョンも同様) さて、ようやく本編(再編集部分)  当初から話の出ていた『地獄の黙示録』で使用されたヘリの音に、ヘリの音 が差し替えられていると言われていた部分は、正確にはオープニングが黒一色 の状態でヘリのロータ音が劇場を駆け回るという同作品のオープニングをほぼ そのまま再現していたというのが正解でした。いつ"THE END"が流れてきても おかしくないくらいに。基本的にはまったく別の作品としてうけとってもいい くらいに、印象のまったく違う作品となっていました。 まぁ、そういう形で始まったのですが、たぶんもしオリジナルがこの内容であっ たとしたら、ここまでのヒットにはならなかったと思えるくらいに、この作品 の毒であり傷である部分(イコール魅力的な部分)を見事に削ぎ落としてしまっ ているのが、またなんともいえませんでした。確信犯なのかなと思えるくらい に。個人的にはう〜〜〜んという感じ。 というわけで、まず胃もたれな音響となんともいえない再編集部分に、当初予 定していた3スクリーン巡りが挫折の危機へと陥っていたのでした。たぶん日 を改めていたらそこで挫折したままだったでしょう。 これは、DVDの映像特典として作られたものであればこういうのもありかな というレベルかな。 そういうアナウンスの元に観ていれば、「劇場でも観ることが出来てよかった ぁ。」という事になっていたのにと強く思いました。 しかしながらと気を取り直して、2館目のシネプレックス幕張へ。 今度はスクリーンが大きいということと、よりスカイウォーカーサウンドが得 意としているドルビーデジタルということで期待していたのですが、その期待 にはすべてこたえてくれました。 まず、SDDSの時と比べて、音響効果はかなり適度のあるものになっていました。 それでいて押さえるところはちゃんと押さえていたので、(あきらかに作為的 な音の差し替えにはちょっと?マークだったものの)割と良かったかな。 しかしながら、本当はここの映画館のメインスクリーンであればきれいに抜け るはずの大音響の部分が歪んでしまっていたのはちょっと問題ありでした。 特に後半、たぶんフィルムのせいではないかと思うのですが、あきらかに一部 ひっくり返った音が混じる部分があり、その部分でも気が削がれてしまいまし た。 それ以外でも、総じて映像の質もあまり良くありませんでした。 今回はデジタルからの再編集版の初日ということできれいな絵を期待していた のですが、それはまったく望めなかった。これはイクスピアリでも同様でした。 そんな中で、このスクリーンで良かったのは、スクリーンの大きさかな。 イクスピアリもなかなか工夫されているのですが、やはり素で大きいスクリー ンのほうが観やすいわな。 しかしながら、ここでも(オリジナルのように)何度もリピートする気にはな れませんでした。 そして、本日最後のヴァージンシネマズ六本木ヒルズ。 かかるのはアートスクリーンということで通常の席よりもさらに広い座席感覚 で楽しめるのは嬉しかったものの、やはり画面は小さいんだよなぁ ・・・なんて思って観始めたら・・・ 前の2スクリーンで観たものは、実はフィルムを数ヶ月も廻したもの(それだ け傷んでいるもの)を見せられていたんじゃないかと思えるくらいに、逆に鮮 明。 一番見分けの付き易い所は、冒頭の客船内でのファーストシーンでバーカウン タに並ぶグラスの色が全然違います。 この作品の場合、この部分が良い映画館とそうではない映画館を見分ける目安 になるかな。 そして、音響効果はかなり控えめ。それでいてセリフは前2館以上にクリア。 ホント、もしこれが廻る順番が違っていたら、その映画館に対して怒りを覚え るくらいに鮮明度が違いました。 さらに本当の事をいえば、ここでは字幕版故に映像の加工が一回多いはずだか らあまり期待できないだろうと思っていたら、それを凌駕するくらいの画質の 良さには、本当に参りました。 しかしながらもということで、ここの場合で気になったのはやはり字幕かな。 結局すべて読んでしまい、その分音響や映像に集中できませんでした。 ただ、それでもここで観ることが出来て良かったと思えるくらいの質の良さが ここにはあり、今までに反して「もう一度観てもいいかな」と思わせるくらい のものはありました。 というわけで、いろいろな意味で勉強になる作品ではありましたが、これを海 外配給のために作ったものとしてみるとちょっとどうかなと思う作品でもあり ました。 なかなか難しいものですね。