『エスケープ・フロム・L.A.』"Escape from L.A."(1996)

(2018/08/11記) 『エスケープ・フロム・L.A.』"Escape from L.A."(1996)を鑑賞。 (2018/08/11 at シネフィルWOWOW録画) 良いなあ。このチープだかなんだかよく分からないこの感じ。ダサいの格好いいのか よくわからないカート・ラッセル。 どこをどう切ってもカーペンターなこの感じは定期的に禁断症状まで引き起こす。 何があってもブレない日和らないまごうことなきカーペンターを見せつけてくれる この作品。大好きです。

『2012』"2012"(2009)

(2018/05/02記) (2018/05/02atBSジャパン) やはり凄いなぁエメリッヒ。 なんだこのゆっくりした積み重ねから一転してのひたすらライドな状況は。 タイムリミットまで15分という状況でのあれで最後の盛り上がりを持ってくる あたりは上手いなと。 当然アドリブな状況なのでこの期に及んでの生死の逆転が発生し、ドラマが生まれる。 そもそもが最初から計算違いの状況の連続であったがゆえにああ出来たこう出来た ばかりと言うのが徹底していたのは逆に良かった。 コントロールなんてできると思うなと。 方舟のアイデアは良かったな。 結果論でそれがベストの選択だったという事と、ミス・ディレクションとしての 宇宙船という単語の使い方が絵空事からの現実味を一気に押し上げるあたり。 細かい嘘はつきまくっているのだけれどね。 そう、あえてひとつ難を挙げるとすればアソコではなく日本であったならまた新たな ドラマが生まれたのだけれどなあ。 まさに筒井康隆の世界そのままに。

『ニキータ』"Nikita"(1990)

(97/09/21記)  残酷な映画だった。  この映画を観たのは、WOWWOWのリュックベッソン特集で。映画開始 の前にリュック・ベッソンのインタビューが入る。 インタビュアー:「この映画について何かコメントを。」 ベッソン   :「何もない。」 確かこんなやりとり。そして唐突に映画が始まる。「えっ」と思った が、映画を見終った今はこれが監督として正解の言葉だったように思 う。昔の恋人を撮ったなんていう、他の理由も考えられるにしろ、こ の映画にたいして監督は愛情をみせてはいけない。その時点でこの映 画が崩壊してしまうから。  そして話は始まる。どこかで観た顔が叫ぶ。「俺はリコだ!」『グ ランブルー』でのエンゾの弟役の男だ。他の仲間も思い思いに自分の 名前を叫ぶ。そして、尋問室でニキータも叫ぶ。自分の名前を。俺だ よ俺だ。元気か?そんな感じで叫ぶ。まるで自分の存在を認めてもら った事が嬉しかったみたいに。彼らは殺され、彼女は生き残る。彼ら を追い詰めたことは罪にならず、彼女に助けの手を差し出した(よう に見えた)警官を殺した彼女は罪に問われる。ここでは観客さえもが 彼女を突き放す。  そんな彼女に死を振りかざし、その後は優しさとそれを補えない程 の残酷さで周りの人間は彼女を道具として使っていく。彼女が幸せに 浸れば浸るほど、それにたいして残酷な仕打ちが待っている。  そして同じような扱いを受け、失敗を恐れ、レールを外れることを 恐れる掃除人ヴィクトルの死を目にして、彼女はこの生活から逃げよ うと決意する。『ベティブルー』でベティが壊れていくのを止められ なかったジャンユーグアングードは、ここでも手を差し伸べる事が出 来ず、「逃げなさい。」としか言えない。  そして、もっとも残酷だったのは、その時点で彼女の未来を何も示 唆することなく、唐突に話が終わった事だった。彼女はこの映画にさ えも突き放されてしまうのだ。  やはり、ベッソンは凄い。

『20世紀ノスタルジア』(1997)

(97/08/14記)  過去に録画されたビデオテープと、それを持ってその場に立つ自分とをフ ラッシュバックさせながら、自分の好きだった人の考えている事を追いかけ て行く。この感覚がとても面白かった。  そしてその追いかける相手が出そうとしなかった本心が、そのテープに綴 られているのを見て、「そうじゃない。」と別の答えを出し、彼に提示する 彼女。「そして、それを教えてくれたのはあなたよ。」と言う彼女。  何かこういう感覚は大好きだ。 そして、それを演じているのは、不思議な少年(名前忘れた)と広末涼子。 たしかに監督自らが「才能に惚れた」と言っているように、この映画の中の 彼女は、まさに彼女そのものだった。今までCMやらいろいろな媒体を通し て観ていても、実はさほど気にならなかった彼女にたいして、凄く好感を持 つようになった。  不思議そうにカメラを覗きこむ彼女。その表情は何とも言えないものがあ る。

『2001年宇宙の旅』"2001 A Space Odessey"(1968)

(95/02/19記 at Niftyserve FMOVIE 3番会議室)  この映画は、観るたびに、原題も邦題も、これほどマッチしている作品はな いなあと思ってしまう。それほどまでに、シンプルだと思う。  特に、あの骨から変わったオリオン号が、「美しく青きドナウ」にのって、 宇宙ステーションへと入っていくまでのシーンには、もう、毎回涙を流して感 動してしまう。  そして、あのディスカバリー号の頭部が見えて、全体を写していくシーンで は、もう感極まって、「もうすぐHALに会えるんだ!」と嬉しくなってしま う。  さらに、この映画を観る度に、この映画に触発されたシーンを持つ、数々の 映画を思い出してしまう。  今回は久しぶりに観たので、特に『ツインピークス』の最終話を思い出して しまった。あの、銀行の老人、赤いカーテンの待合室、ラストの洗面所・・・。  そうやって観終わった後に出た銀座の昼間の風景は、自分に、何とも言えな い孤独感を味合わせてくれる。自分達は、この小さな星に、へばりついている だけの存在でしかないことを・・・。  と、言った感じで、観る度に頭が飛んでいってしまうのです。この『200 1年宇宙の旅』という映画は。  以上、テアトル東京で観るチャンスがあったのに観に行かなかったことを、 いまだに後悔し続けているKANAME(CXE04355)でした。(きっと、一生後悔し続 けると思う。) P.S. 上映中にえんえんと私の真後ろの席でしゃべり続けていたカップルがい たのが残念でした。

『ニューシネマパラダイス』"Nuovo Cinema Paradiso"(1989)

(2002/01/02記 at @nifty FMOVIE 6番会議室)  『ニューシネマパラダイス』を観ました。(2002/01/02 at DVD) 映画って、観ている時期と観ていない時期というのが大抵あって、その観てい ない時期の映画、見逃した映画っていうのは、それが本人にとってリアルタイ ムであればあるほど、次に観る機会っていうのはなかなか訪れないんですよね。 私にとってのそんな映画のひとつが、この『ニューシネマパラダイス』。 故あって観る機会を得ることができました。 そして、実はもうひとつのそういう作品である『E.T.』も、20周年記念 バージョンが今年ロードショー公開されるということで、これも、もうそろそ ろ解禁しようかなと思っています。こういう事も、また運ですよね。 と余談はさておき、以降内容に触れます。  いみじくも、この出会いをテーマとした映画に、こういう形で出会うという のも、この映画に対する出会い方のひとつとして、複雑なものを感じました。  この映画、観ていると、「もし自分がもっと前に出会っていればどういう感 じ方をしたか。」というのが痛いほどわかるんですよ。それが、運命(という ほどおおげさなものではないけれど)だったとはいえ、今、ある意味では一歩 引いた視点で観れたことが、この映画との幸福な出会いとも感じられる一方、 残念だった部分も感じられる。あまりうまく表現できてはいないのだけれど、 そういう複雑な感傷に浸ることができました。 サルヴァトーレが、葬儀の列の中からさっと後ろを振り向いた瞬間、それが どういう感情を示すか、そしてそれは何故なのかを理解しながらもやはり目頭 が熱くなってしまったりとか、最後のキスシーンを編集したものを観ているサ ルヴァトーレが感じているのは、今まで私たち観客が観てきた『ニューシネマ パラダイス』という物語に対する回想であると同時に、少年であった時に彼が 観たであろうこれらのキスシーンを含む映画全てを思い出し、かつ、キスシー ンというものが、そこに至る感情の結晶であることをも思い出させてくれる= 母親の言っていた「あなたを本当に愛してくれている人の声」というところに 結実するあたりが、この映画の最大の魅力なんだろうなぁと強く感じました。 今回、この映画と出会う上で、唯一不幸だったと感じてしまったのが、この映 画の音楽を耳にする機会が今まであまりにも多かったこと。 その出会い方が、良い出会いばかりであれば良かったのですが、安易に、TV ドラマやバラエティに使われすぎているのを目の当たりにしていたのが、ちょ っとだけマイナス点だったかな。 とはいえ、それは細かい傷であり、ほぼ幸福な出会いを果たすことができたの でした。 kaname(CXE04355)

『ニューヨーク1997』"Escape From New York"(1981)

(95/11/08記 at Niftyserve FMOVIE 15番会議室)  ジョンカーペンター色がものすごく強くて大好きです。 ニューヨーク島そのものが刑務所になっていて、そこに大統領機が墜落、その 大統領の声明文(というかテープ)を救出するために、からだに爆弾を仕込ま れたカートラッセルが・・・。  アーネストボーグナインのタクシーの運ちゃんもとてもよかったです。 KANAME(CXE04355) ---以降2024/12/30記--- (2024/12/30 amazon prime) さて、何を観ようかとなんとなく探していたらみつけてしまったので迷わず鑑賞。 せっかくなので字幕なし原語版で。 さすがに何度観たか分からない作品だし…って前もそんな事言って観てほとんど 聴き取れなかったような気もするがまあいいや。(笑) やっぱりいいよなあ、スネークプリスキン。 彼の名前だけを皆知っていて期待している。 彼はそれに応える。それだけなんだけれどね。 そのうえで最後にホークにいう言葉があれだもの。 意外と律儀で、大統領の回答次第では本物渡す可能性もあったりとかそういうのも 好きだったりする。 いや、何やっても好きだけれどね。

『ニュー・ワールド』"The New World"(2005)

(2006.5.5記) 『ニュー・ワールド』を観ました。 (2006/05/05 at TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン4) 何といえば良いのだろう。 『シン・レッド・ライン』の中で好きな部分を抽出して、 さらに煮詰めていったと言えば良いのだろうか。  ただ私はそこにいてそれを感じ続けていられればよい。 至福の時間でした。 そこにあるのはディスコミュニケーション。 しかし実はそれよりも根っこにある本能とも言うべき部分で 繋がりあっているということを認識させられる世界。 前半においてはジョン・スミス。後半においてはポカホンタスと クレジットで紹介されている少女が、私たちと世界を共にして くれます。 彼と彼女の微笑みは、私の微笑み。 ただひたすらに陽光を浴び、その中でさまざまな感情をシンクロ させながら自分たちの世界に戻ってくると、そこにはほんの少し 違って見える自分たちの世界があって、 今、この場でそれを共有できる事に至福を覚えながら映画館を 後にしたのでした。

『ニルヴァーナ』"Nirvana"(1997)

(99/02/14記)  『ニルヴァーナ』を観ました。(98/12/13 at シネセゾン渋谷)  この映画の予告編でのインパクトは、あの舌が伸びていくあの女性に尽き ますよね。  そして、永遠のB級SF映画俳優、クリストファーランバートの存在。常に 苦悩する役柄というのは、『ハイランダー』以降、イメージとして定着してし まっていて、それは彼にとっては良い事なのか悪いことなのか。 (以降、内容に触れます。)  さて、その常に苦悩し続けるランバート。今回もそうでした。しかし、それ だけ多く、こういった役柄が廻ってくるだけあって、彼以外にこういう役が出 来るのは、昔のハリソンフォードくらい。もうこういった役柄は年齢的に、 やってくれそうもないのが残念です。  それはさておき、まずは最初に興味のあった、予告編のビジュアル。あの、 舌の伸びていく女性と言うビジュアルは、ゲームのイメージCMだったのです ね。  その女性のたたえている表情、苦しみとも悲しみとも言えない表情と、永遠 を思わせるようなイメージ。そのイメージが大きく映し出されるスクリーンの 前に、だめ押しで雪が降る。これが、この映画のイメージと見事に合っていて、 好きです。  そして、その本編。  ややアクションに寄り過ぎてしまった『JM』や、かなり良い所まで行った ものの、安普請の部分が目立ってしまい、バランスが崩れて残念だった『ティ コムーン』などと同じ、サイバーパンク的な世界を描いた中では、かなりバラ ンスの良いものになっていたと思います。  細かい所まで気を使われていて、ハリウッド的な起承転結に囚われていない。  これが、本来私の好きなギブスンの短編小説的なサイバーパンク的な世界な のですが、それが今になってようやく現われてくれた。  ハードボイルド→フィルムノワール→サイバーパンクと流れてきた、小説と 映画のキャッチボール、アメリカとヨーロッパの文化のキャッチボールは、 やはり映画ということになると、ヨーロッパ圏に戻ってきた。そんな感を覚え ざるを得ないのかな。 かなめ

『ニンゲン合格』(1998)

(99/01/24記 at Niftyserve FJMOVIE 4番会議室)  『ニンゲン合格』を観ました。(99/01/24 at 銀座東劇)  これは、悪夢だよなぁ。『CURE/キュア』は、優しくて居心地の良い話 だったけれど、これは辛かった。忘れ物をちょっと取りに来た人の話なのだけ れど、何故なのだろう。 そして、『CURE/キュア』は、完成度の高い映画だったが、こちらは、途 中で行き詰まっている。故に、こちらのほうが好きかもしれない。  オープニングシーンのカメラの視点から、相変わらずの話の省略の仕方まで、 相変わらずの黒澤清調だし、洞口依子や役所広司、相川翔はもちろんのこと、 西島秀俊も、見事に世界の住人でした。 〜〜〜〜〜〜 99/01/24(日) 〜〜〜〜〜〜 かなめ (CXE04355) mailto: takashi.miyamoto@nifty.ne.jp     kaname@a2.mbn.or.jp URL http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/cinecom/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 P.S.しかし、マイケルウィンターボトム、黒澤清と続けて観るのは精神衛生上 非常によくないなぁ。(笑)