『ゴジラ-1.0』(2023)

(2024/05/03記) (2024/05/03 Amazon prime) ROBOTの阿部さん、亡くなられていたのか。 本作にROBOTが関わっていた事も、ROBOTから退職されていた事も知らなかった。 という事をエンドロールで知った本作。 大戸島での初登場シークエンスから実に魅力的で格好良くかつ恐怖の対象と なっていたのはさすが。 闇に塗れているのがより一段と効果的でした。 そこからの、あの質感に至る過程やその延長線上にある再生シークエンスなどを アップからロングショットに至るまで様々な形で表現されたそれは実に魅力的。 そして、そのゴジラに限らず美術全般のルック、それこそ小物に至るまでを上手く、 当時としてのものとして表現されていました。 果ては飛行する震電。飛んでる飛んでると思わず嬉しくなってしまった。 ただなあ、ドラマがそれに釣り合わず安っぽくというか薄っぺらくなっていたのは残念。 それこそキャスティングにしてもそれこそ当時のある年代がすっぽりいなくなっている 年齢感とかも正しいと思うし芝居も悪い訳では無いのになあ。 山崎監督、作品がハマればそこらへんも面白さに繋がるのにそこは作風なのかな。 最初/cとどちらを先に観ようかと思っていたが、良い所も悪い所も強調されそうだが、 もし、尺や編集までちゃんと変えているのであれば観てみたいなと思った。 流石に情報量がそれだけ違うとフィルムとデジタル以上の差にはなると思うから…と これはシンのオルソもそうだけれど。

『映画 五等分の花嫁』(2022)

(2024/01/27記) (2024/01/27 2024TBSチャンネル放送版) 何故文化祭?という所が五等分の花嫁だからこそできる事をちゃんと生かす舞台として 使っていたのは見事。 まさか同じ舞台で5回も泣かされるとはね。 挙げ句の果てはね、考えてみれば最初からそうだったというものだったし、回想で語られた ように最初からそうであれば4人とも気づいていたな。当人だけが否定的だっただけで。 その上で、いや、それでも諦めるなんてことはしなかったあたりやはり姉妹か。 そういう血の繋がりとしてあの父親の存在がある事が彼女達を縛っていた所とかまあ実に 色々なものが上手く絡められていた。 最後は、どちらとも取れるように作っているのもまた。 過去の記憶か未来の白日夢か。 ホントに色々なもの詰め込んで来てる。 鑑賞前に2時間越えと知った時そこまで長くなるのかと思ってしまったがこれなら納得だ。 ホント面白かった。

『キングコング:髑髏島の巨神』"Kong: Skul Island"(2017)

(2023/11/26記) (2023/11/26 amazon prime) 時代背景に合ったそこかしこの音楽が心地良い。 酒場に入った途端にその時代に戻れる心地良さ。 分厚い嵐の雲の中へあんな密集した編隊で進むなんて無謀なとも思ったが、結果として あっさり成し遂げ、それができるからこその彼の部隊への依頼だったというのに 転嫁したのは上手いな。 と思ったのも束の間、コングとの初遭遇時の判断が自らを信頼していた多くの部下の 命を奪う結果に。 ここで戦争末期というのが活きてくる。 部下に慕われる事まで含めて有能であったにしても、隊長が正しい状況判断が 出来なくなっていることが今後の展開を作って行くことに。 一方で、墜落直後に腹ごしらえまでしていた彼が、モンスターが頭から来ると思って 待ち構えていた所に尻尾で薙ぎ払われて無駄死にするくだり。 ここは生物としての経験値の差が絶望感を加速させる良いシーンだった。 で、あのラストがKOMに繋がるのね。

『ゴジラvsコング』"Godzilla vs Kong"(2021)

(2023/11/03記) (2023/11/03 amazon prime) やはりアメコミだよなあ。画面構成が。 見ようによっては『怪獣総進撃』だったり『地球最大の決戦』要素を混ぜ込んだ上で コングどころかメカゴジラまで引っ張ってきてしまうという愛の強さてんこ盛りが KOMの時よりも、より強く感じる。 その代わりと言っては何だがそれが強すぎた結果、双方共に子供たちが主軸になりすぎて 薄くなった部分があったように思う。 エネルギー利権はゴジラというよりはマジンガーやゲッターか。 それにしても香港のバトルパートはホント良かった。

『ゴジラVSビオランテ』(1989)

(2021/12/31記) (2021/12/31 at 日本映画専門チャンネル) 久々の視聴。もしかしたら公開時以来か。 脚本は面白いんだよなあ。ただその演出やら編集やらが雑な所が気になって。 安く見える合成とかシーンぶった斬りな音楽とかもね。80年代な絵や音楽もそこに拍車を かける。 などと思って見ていると、ゴジラが登場してスーパーX2が出てきてからはスピーディな 展開とカッコ良い絵作りで見せてくれる。 音楽ぶった斬りとかはその後もちょくちょく気になるのだけれどそれでも面白くみせて くれました。 あと、やはり実写でやるとあの退場時の沢口靖子はなあ。 前述の脚本の話も含めていっそアニメな方がしっくりくるんだよなあ。けど特撮パートは 良いんだよなあと身も蓋もない事を言ってみる。 改めて隠れ人気の高さを再認識できる作品でした。

『ゴジラ対メガロ』(1973)

(2021/05/05記) (2021/05/05 at Amazon Prime Video) ホントに久々とはいえつい魔がさして観てしまったという感じだなあ。 たしか初見時もこれの前後であるヘドラやガイガン、メカゴジラやメカゴジラの逆襲は 面白く観ていた気がするのだけれど、これだけはジェットジャガーのデザイン以外は 記憶から抹消してしまうくらいだったからなあ。 タッグマッチに至るまでの過程、もう少し何とかなればと色々考えてみたが…。

『映画 この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説』(2019)

(2021/05/01記) (2021/05/01 at Amazon Prime Video) 相変わらず変わらないなあからの盛り上げに盛り上げまくるクライマックスは テレビシリーズ同様で、それを一息で観られる幸せよ。 それにしてもまさかの紅魔族の真実。 そしてまさかの再登場どころか、合体再びに至るまで、ニヤニヤなものばかり。 強いて言えば駄女神がやや薄めだったがまあ紅伝説だからな。 楽しませていただきました。

『荒野の用心棒』"Fistful Of Dollars"(1964)

(2020/05/29記) (2020/05/29 at Movie Plus録画) よく考えてみたら一体何十年ぶりの鑑賞になるのだろう。 昔は『用心棒』より遥かに見る機会の多かったこの作品も気がつけばもう 逆転していて凄く新鮮に見る事が出来た。 まあ、改めて観るとやはり『用心棒』の方が面白いよなあ。 価値観の違いとかはあるだろうがキャラの付け方とか話の積み重ね方とかは 流石だなと思う。 加えてセルジオレオーネの他の作品を知った上で観ると物足りなさが半端ない。 ただそれでもOPロールのアニメーションとクライマックスのカッコ良さには 痺れるんだよな。 そして何よりもこのスコア。 この上ない耳が幸せなこのスコアを聴いて居られるだけで私は満足出来るよ。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』"Godzilla King of the Monsters"(2019)

(2019/06/01記) (2019/06/01 at MOVIXさいたま Dolby Cinema) 本当にもう何年待たされたんだよ、ドルビーシネマ。 オープン以来まずは3D上映に偏重している理由はよく分かった。 真骨頂は2Dであろうけれどこの3Dに於ける没入感も素晴らしいなあ。 それにドルビーアトモスならではの音場が加わってさらに集中が増す。 予想通り暗いシーンの多いこの作品を観に行ったのも正解だった。 トレーラーの黒表現のくだりはもちろんの事、暗闇に映えるシルエットの コントラストとか見事。 アトモスで言えば音と振動の使い分けもまた見事。 爆音でも4Dでもないのにこのエネルギーの塊が鋭く飛んでくるのは素晴らしいよなあ。 さてこれでいよいよ来月となったグランドシネマサンシャインのツインレーザー IMAXがまた楽しみになった。 けどそのうち2Dでも何か観たいな。 という訳でここまで書けばネタバレも気にせずに済むかな。 さて本編。 怪獣愛が素晴らしい。スクリーン全面使って羽根を拡げるキングギドラやラドンや モスラ。 スクリーン両端から突っ込んでくるゴジラとキングギドラとか愛してるとしか 言いようが無い。 他にもモンスター達の鼻クンクン感とかゴジラの絶対中に人が入ってるだろう感も 愛だよな。 そいつ等が人間お構いなしに暴れまわる姿もまた良い。 ラドンはやはり街中を低空飛行だよなあ。 モスラは神々しく。 そしてギドラのふざけた強さ。 そんなものを傍目に進む人間パート。 最初何だこいつはと思ったがそうかそもそもお前が誘ったのか。 この構成でこの展開は反則モノの予想外。 しかも娘まで巻き添えにしているのがある意味生々しい。 物語の構造で善悪を背負わせることをしないという意図でこんな事をしたのかな。 それは結局次へと繋がる彼らたちにも引き継がれたのであろう。 まあ前作見てないんだけれどね。私(笑) という訳でドルビーシネマの初体験として楽しませていただきました。 ーーー (2021/05/09記) 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019) (2021/05/09 at Amazon Prime Video) モチーフの使い方がやはり良いよなあ。 そして母親の精神のバランスの壊れ具合と、それを感じているからこそ付きそう娘。 一方で直後は酒に溺れたものの逃げた事で立ち直れた父親という対比。 ラストバトルでゴジラに与するモスラに対して攻撃していたラドンは、あのエンド ロール後のアレによって復活するであろうゼロにまた寝返るのだろうなあ。 作品としての密度や練り込み具合は最初からユニバースとして作り込んである分一段と 濃い。 そこら辺はMCUの副産物なのだろうな。 今までのようにシリーズ物をその作品だけで完結させようとしないで作るからこその 深読み要素。その場にいないものの存在感とか。 しかしコング公開直前なのにプライム対象じゃないんだなあ。それとも気を逸したのか。

『ご注文はうさぎですか??〜Dear My Sister〜』(2017)

2019/01/02記 『ご注文はうさぎですか??〜Dear My Sister〜』(2017) (2019/01/02 at BS11録画) サブタイトルをキーにして各々の関係を見事に膨らませた作品だったな。 ココアが帰省する事でココアサイドとチノサイドの双方で話が同時進行し最後に 一つにまとまる。 一番のトラブルメーカーなココアの時間は田舎でノンビリと。 そのココアがいなくなったことでチノたちの時間も街中とはいえ丁度よいバランスに。 個人的には今まで誰も本人にツッコミを入れていなかったアレを言及された時のリゼの 反応を見れたのが良かったかな。

『荒野の七人』"The Magnificent Seven"(1960)

(2017/08/11記) (2017/08/11 at イマジカBS) 吹替版なんて観たのはそれこそ何十年ぶりだろう。下手すると『七人の侍』観てからは 初めてかもしれないくらいの昔。 なのにこの声のラインナップはしっくりくるなあ。やはり染み付いているのか。 今回初めてかもしれない思ったのは、記憶より原作オマージュっぽい劇伴が多かったこと。 どちらかと言えば荒野の七人のテーマソングとそのアレンジの方が目立つ作品だから すっかり忘れていたよ。 そして毎回思うのは見事に原作をハリウッドな西部劇に消化しているなあということ。 ちゃんと肝はある程度押さえながら流すところはちゃんと流してる。 それができないからこそ面白いのが黒澤作品なんだが、それがない分をアイデアと テンポでうまくヒーローもの西部劇としてまとめているあたりは ジョンスタージェスだよなあ。プロデューサー兼任の強みもあるか。 ああ、そうそうイーライウォラックもチャールズブロンソンも 『続・夕陽のガンマン』や『ウェスタン』よりしっかり若いよなあ。 まあ他も皆若いんだが。七人の生き死にがこちらは決着がほぼ着いてからの 置き土産的なところが多いのがちょっともて余したところなのかな。 まあ原作200分超えの作品を130分弱に押さえてるのも大きいだろう。 まあ懐かしかった。

『コブラ』"Cobra"(1986)

(2017/05/05記) (2017/05/05 at wowow録画) 吹き替え版は初めてだ #コブラ Coors一本で状況を逆転させる #コブラ テンポいいよなあ #コブラ 一曲流す間に話を整理して物語を方向付ける #コブラ うまくいっていた犯行も回を重ねれば綻びが出てくる #コブラ コブラが捜査に加わった途端にこの被害者の量(ただし偶然) #コブラ これだよニトロスイッチ #コブラ そりゃそうだよ、目撃者保護そっちのけで犯人追跡に没頭されたらw〉やめて! #コブラ 話のテンポを上げるカットバック #コブラ 記憶以上に80年代な映画だったなあ。#コブラ スタローンコマストスコンビを堪能させていただきました。#コブラ

『映画 聲の形』(2016)

(2017/01/01記) (2017/01/01 at 新宿ピカデリー シアター8) 聲の形は人の形。 伝えようとする伝え方も、伝えられたものをどう受けとるかも、十人十色。 何が正しかっただなんて判りゃしない。 きっと何度も何度も思い出しては後悔し続ける。 補聴器が一つになったのは、あれは血を流していた方の耳だったっけ?それは邪推の し過ぎか。 ひとつ消えた希望がせっかく訪れた幸せにより強調されてしまい、これ以上の幸せは もう無いんだと錯覚する。 将也は一度死ぬ気になったことがきっかけで自分が求めなければならないものの方向、 自分の視点を変えられるきっかけを得た。 それは正しい道の選び方ではないけれど、今、この場に限って言えば、これからの 硝子に対して少しだけ近くなった。少しだけ。 好きという言葉さえきちんと伝えられなかった硝子。どんなに勇気を振り絞った ことか。そこから始まる後悔。 ふとしたきっかけでどこか諦めてしまったものが取り戻せ、近くなる距離。 遮られた表情。もしくは見えない表情。実は見ようとしないから。見たくないから。 見たくないものは見なければ良い。 それはある人にとっては、ある時にとっては救いであるが、そこから後悔が自分を 蝕んでいく。 彼女や彼らは単に悪い子というわけではなく理解ができないんだ。 それも、努力すればなんとかなるというレベルではなく、たぶんそこに余地はない。 いや、少しだけ余地はあった。 その距離は少しだけ縮められた。 良かった。ホント最後までもしかしたら死んじゃったんじゃないかと思っていた。 ちゃんとごめんなさいを言えて良かったな。 よくあるものに落ち着くんじゃないか。 この評判をもってしてもどこかでそう思っていた。 それがもう最初の一音からまごうことなき山田尚子じゃないか。 『映画 けいおん!』でも『たまこラブストーリー』でも毎回ビックリさせられて きたのに、またそれらさえも越えてしまうのか。 それも、インタビュー等で前に読んだ本来の山田監督の趣味嗜好に益々沿った形に なって。 あなたは本当にどこまで人を驚かせれば気が済むんだ。 以降2018/08/25追記 『映画 聲の形』(2016)を鑑賞。 (2018/08/25 at NHK Eテレ) 初見の時よりも、より「らしい」作品だったんだなと思った。 思いきり作家してる。 映像だけでも音楽だけでも台詞だけでもなくすべてが揃って一つの作品として 成り立ってるんだなと当たり前のような事を改めて感じさせてくれる。 より実感させてくれると言ったほうが正しいかな。 彼らは時間をかけて、自分が他人のすべてを理解出来ない事を理解する。 それが間違っていない事を理解する。 当然正しい答えなんてどこにもない。間違うことで他人を傷つける。 それに向き合う。それがどういう事かを教えてくれる。

『この世界の片隅に』(2016)

(2017/01/01記) (2017/01/01 at 新宿ピカデリー シアター6) すずの表情のひとつひとつの生々しさ。 どこか浮き世離れした夢見るようなその表情の合間に、ふと見せる笑顔の色っぽさ。 もしくは女性らしさ。 浮き世離れしたエピソード、人さらいや座敷わらしは、それこそ普通に 起こっていたこと。 昔、おおらかな時代に家の裏に鍵をかけることもなかった頃に、まるでそれが 当たり前かのように入ってきて物を盗って出ていく人なんていうことがあったと いう話を私も祖母から聞いたことがある。 故に余計りんの話は身近に感じられ、エンドロール後のあれやあれは凄く身に染みる。 それこそ投下管制に使っていたであろうカーテンや近所とのやり取りに使っていたで あろう装置なんかはまだ小さい頃は残っていて、防火用水用であったであろう 石の水槽は金魚を飼うのに使っていた。 家の脇の山側に防空壕があったので、少々不自然な形で本来なら出窓でも おかしくない家の脇からもすぐに出られるような引き戸が存在していた。 そんな今まで判ってはいたけれど判っていなかった現実を、この作品が 繋いでくれた。 裕福ではなかったから、普通にすいとんとか調味料以外おかずの無い食事なんて のも実は割りと多かった気がする。 それを家族全員で囲んでが日常の日々。 タラレバの瞬間は誰にでも訪れる。 それを巻き戻すことはできない。取り戻すことはできない。 しかし、ふとしとことから得られる幸福もある。 それを糧に生きていくことを歪んでいると笑わば笑え。 良い映画だった。 また観たくなる良い映画だった。 わたし、歪んでしまったのかな。 今までのすずを見ていただけに重い台詞だ。 そんなすずに対して世界は優しいわけでも厳しいわけでもなくただあり続ける。 すずはまだこの世界のどこかに生きている。 そんな映画でした。 以降2018/08/15記 『この世界の片隅に』(2016)を鑑賞。 (2018/08/15 at 日本映画専門チャンネル) 久々の鑑賞。 あの子が懐いてきたのは右手だったのか。気付いていないはずのない演出だったので すっかり忘れていたんだろうな。 やはりあのシーンはなんでそこにを考えながら観てしまう。ここでああだったらと すずのように考えながら観てしまう。答えなんかないのに。 久々に観たからと言うわけではないのだろうが、脳内で勝手に話を補完していて これだけシンプルであったことを改めて感じさせられる。それだけ刺激されるものが あったのだろうし、今もまた刺激されている。 グルグルとどうすればどうすればと考え続けてしまう。

『シン・ゴジラ』(2016)

(2016/09/04記) 『シン・ゴジラ』(2016)をT・ジョイPRINCE品川 シアター11 IMAXで観賞。 おお、これはまごうことなき庵野監督作品だわ。 よくぞここまでやったなあ。 それだけでも本当に凄い。 たぶん他の人なら諦めていたかもしれないところまで含めて、ここまで やってくれるとはねえ。 効果音すべてが円谷作品のそれだし、ゴジラと巨対災の図式を少なくとも 途中までは伊福部サウンドと鷲巣エヴァなサウンドで彩ったり、何よりも まず耳が幸せだった。 そこに、生々しい東京が重なる。 ああ、ゴジラが帰ってきたんだなあと強く思った。 思えた。 何だろう。 混ぜてはいけないものは一切混ぜてないんだよなあ。 目的を見失うようなもの。 見せたいものの妨げになるようなもの。 やりたいことをやりきった感が何よりも良かった。 もうこの際、宇宙の戦士やストライクウィッチーズと同等の扱いでもいいよ。 (2018/08/04追記) (2018/08/04 at Amazon prime video) やはり科学技術館の屋上で迎えるクライマックスというのは来るものがある。 そして既に手元に見る事ができるものがあってもなおこういう機会があるとやはり観て しまうよなあ。 ホントに。

『恋人までの距離<ディスタンス>』"Before Sunrise"(1995)

(97/09/21記) 97/09/17 at パルコ調布キネマ  観る前の先入観(たとえば公開当時の予告など)から、この映画はごくあり ふれたアメリカ映画のひとつだと思っていた。  そして確かに、始まったばかりの(特にイーサンホークの)雰囲気は、それ を予見させるものだった。 しかし、それを見事に裏切ってくれた! BGMを最小限にとどめ、場面ごとを 会話で埋めつくした物語。まるで自分が登場人物のようにさえ感じていまし た。 ふと、ある時間を過ごすことになったふたりが、お互いの思惑を胸にお互いを 探りあい、惹かれていき、にも関らず非現実に走ったりせずに、複雑な気持ち を持って別れていく。このラストに占める余韻がたまらなく愛おしいです。  きっとあの二人は、ジュリーデルピーの祖母の話じゃないけれど、お互い 一度も会う事なく幸せに過ごすことが出来ても、自分の孫に「実は昔、とても 好きだった人がいたの。」と言えるんだろうな。  思い出にしかならないけれど、それでもそういう人がいるのは、たまらなく 悔しいだろうし、けれども魅力的ではある。  その昔『ある日どこかで』を観たときに持った切ない感覚と、微妙に違うけ れど近い感覚につつまれる映画でした。

『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0』(2008)

(2008/07/20記) まだできて間もない副都心線に初乗りして、昨日オープンしたばかりの新宿ピカデリー を観に行ったついでに『攻殻機動隊2.0』を観てきました。 いや、本当のところをいえば、『スターシップトゥルーパーズ3』を観に行こうとしたの だけれど、中途半端に間に合わないので、ちょっと遠回りして副都心線経由して新宿ピカ デリーで時間を潰し、『攻殻…』観る事にしたのだけれど。(笑) などという細かい事はおいといて、久々の新宿ミラノ1公開2週目での鑑賞は、お客さん も5割に満たない程度だったし、あの大きなスクリーンで好きな場所で観る事が出来まし た。 さて、その感想(ちょっと改行) やはりというか観る前からちょっと事前映像だけ観て違和感を覚えていたオープニングの 素子CGは、やはり必要だったの?という感じました。 そのCGも必要な部分のアップグレードは良かったのだけれど、それでもあそこだけはなぁ。 声の変わった人形つかいは、…正直に言えば全盛期の榊原良子だったら感はちょっと否め ず。も少し色気が欲しかった。 それでもいいんだけれどね。(^^) 音響面はスカイウォーカーサウンドをうまく使いこなしていたという感じ。 どこぞの作品のように逆に使われてる感はなかったし、映画館で観た甲斐はあったという もの。 相変わらずの説教臭さも、これがまたスカイウォーカーサウンドのせいかくっきり明瞭で イライラ感は募らず、クライマックスでの空気もまた音響が奇麗だと映えるんだよなぁあ のシーン。 というわけで実はけっこう今まで鑑賞中にだれた事もあるこの作品をけっこう楽しむ事が 出来ました。 で、観た後はお腹は空いていたけれど、別のお腹はいっぱいで、時間が合えばポニョかイ ンディかスタトルでも観ようと思っていたのを取りやめて、ゆっくりと作品の咀嚼をしな がら帰途へとついたのでした。

『交渉人』"The Nrgotiator"(1998)

(99/01/02記 at Niftyserve FYOUGA 2番会議室)  続いて『交渉人』を観ました。(99/01/01 at 渋谷パンテオン年越しイベン ト)  今回一緒に観た、『ラッシュアワー』『交渉人』『スネークアイズ』と言う 取り合わせの中で、一番地味そうだな、しかし、真ん中に来ているから眠っち ゃうかな、最初に持ってくればいいのに、と思っていたのですが、とんでもな い。全編にわたってテンションの高い映画で、眠る間などありませんでした。  そして、この三本の中では、一番上質の作品だったかな。 というわけで、内容に入ります。 (以降、ネタバレあり)  もう、この手の作品のアイデアはほぼ枯渇したんじゃないかと思っていたら、 とんでもなかったですね。  「言葉に寄る駆け引き」と言う職業が題材に出てきた時点で既に面白いのに、 そこでさらにこんなシチュエーションで、同業者との駆け引きというものまで 持ってきて、もう、テンション高い高い!  誰が嘘をついているか、誰を信じていいか判らない状況というのも、デビッ ドモースや、JTウォルシュなど怪しい奴を周りにちりばめていたりしたとこ ろもうまくいっていたし、それ以上に、この芸達者な二人を主役に持ってきた ところで、この映画の勝ちだったかなと。  いやぁ、実に見事な映画でした。 〜〜〜〜〜〜 99/01/02(土) 〜〜〜〜〜〜 かなめ (CXE04355) mailto: takashi.miyamoto@nifty.ne.jp     kaname@a2.mbn.or.jp URL http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/cinecom/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『交渉人 真下真義』(2005)

2005-05-07 21:31:13 初日にさっそく観てきました。(2005/05/07 at シネプレックスわかば シネマ1)  本広作品の大好きなところは大きく二つあります。 ひとつは、あの独特の笑いとそれを使った泣かせの間。 これが特に一部の作品では冗長に過ぎるくらいになるのですが、これが またいいんですよね。 大きなところでいえば、『踊る大捜査線THE MOVIE』と『サトラレ』の クライマックスシーン。 もうひとつが、特に『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』で発揮された、過剰な 情報量をひとつの作品の中に詰め込んで成立させてしまう力技。 このどちらもがある意味本広監督の独自の持ち味となって私を惹きつけて くれます。 一方で、テレビドラマなどで培ってきたのであろう職人監督的な部分。 これは先に挙げた二つの部分をある程度押さえて、そつなくひとつの 作品としてまとめあげることができるのもこの人の持ち味のひとつで あるのですが、映画の場合、『七月七日、晴れ』のように最後に少し だけ一番最初に挙げた部分がニョキっと伸びてきて、映画としての 心地よさを出していました。 さて、この『交渉人 真下正義』。 ここまで挙げたそのすべてを出そうとしているように見えるのですが、 どれも少し今までと比べると伸びが足りなかったかな。 同監督の作った映画では初めて泣けませんでした。 まぁ泣きの映画ばかりが良い映画という訳でもありませんが、 その部分でやや肩すかしをくったかなという感じ。 一方で、情報量もちょっと物足りない。 まぁこの部分では前作のOD2が凄かったのでこれと比べてしまうのは ちと辛いか。 本広監督の作品として期待していた身としては、ちょっと物足りなかった かなと思いました。 ただし、(シリーズ中に存在していたルールの壊し方などを除けば)由緒 正しきスピンオフ作品であり、映画ではなくテレビのスペシャルなどで あればまあ満足できたかなと思います。 というよりは、この作品の本自体が、映画向きのテンポではなく、テレビ 向きのテンポであったのではないかな。 うまいのだけれどカタルシスをひきづるまでには至らなかった。 話が整理されすぎているのかな。 そこが少し残念です。 と、ここまで書きながら頭の中を整理していてひとつの作品を思い出しました。 『ダイハード3』。 シリーズ中のポジションも(スピンオフでは無いけれど)近いものがあり ますし、作品の内容そのものも、クイズと爆弾と交渉。 かなり強引に当てはめようと思えば当てはまるかも。 あと、脚本に関していえばキャラを立てようとして今までのそのキャラの 台詞を悪い意味で使い過ぎな部分があるかな。一番の例が室井で、(番宣で 露出している部分を除くと)過去の発言のみで存在しているキャラになって しまったのは残念。 一般的な作品と比べると面白い方ではあるのですが、期待の高かった方向への ベクトルの伸びが今までと比べると少し少なかったのが残念でした。 これは、本広監督と本の相性なのかなぁ。 とはいいつつも気に入っている部分もあり、難しいところです。 (2005.05.07記)

『ゴースト&ダークネス』"The Ghost and the Darkness"(1996)

(97/04/06記 97/04/07掲載 at Niftyserve FYOUGA 2番会議室) (ネタバレあります。) 『ゴースト&ダークネス』を観ました。(at 立川シネマシティ3)  マイケルダグラスって最近ずっとおやじ路線まっしぐらですっかり忘れてい たんだけど、久々に『ロマンシングストーン』を思い出させてくれました。 やっぱりこっちの方がいいよ>マイケルダグラス!! (以降ネタバレあり)  もう、この映画。オープニングのジェリーゴールドスミスの音楽からしてわ くわく状態で、さらにそれから自信に満ちた主人公=ヴァルキルマーが出て来 て、「お、これは!」とますます期待を高められてしまう。  もう、こんなに期待していいのか?って状態にまでされて、結局最後まで期 待は裏切られなかったのは本当に良かった。  現地に出向いて、いきなり知識だけでライオンを一発で仕留め、現地人から 尊敬され、仕事もまあ順調に進んできたところで登場する『ゴースト&ダーク ネス』。  途端に自信を喪失し、恐怖感が増し、とうとうボスに言い訳までするように なってしまうヴァルキルマー。さらに現地人の信頼も失い・・・。  そこで出てくるマイケルダグラス!! これが登場の仕方からしてかっこい い!!(これはもう観てもらうしかない!!)  まだ『ロマンシング・・』の頃は今となっては結構若かったマイケルダグラ スだけど、髪もやや白くなり、顔の皺の深みも増したマイケルダグラスは、『 ジョーズ』のロバートショーとも違う、自然に生きる男の深みを見せてくれた。  そして、ここからは『ゴースト&ダークネス』vsヴァルキルマー&マイケ ルダグラスの図式が出て来てこれからの面白さは観なきゃわからない!  そして本領を発揮するジェリーゴールドスミスの音楽!!  もうすっかり楽しませていただきました。

『ゴーストシップ』"Ghost Ship"(2002)

(2003/01/13記 at @nifty FMOVIE 2番会議室)  『ゴーストシップ』を観ました。(2002/1/12 at MOVIX京都 シアター7)  この作品の予告編を観て、まず思い出したのは『ザ・グリード』。ただし、 かの傑作(^^)とは違い、こちらはホラーっぽい雰囲気ではあるのですけれどね。 (^^) (以降、内容に触れます。)  いやぁ、オープニングから予想を外す正統派の雰囲気。 古き良き時代の音楽にのせて流れる、甘い予感を持たせるタイトルバックと古 き良きしきたりに包まれた映像。  こうやって雰囲気を手を抜くことなく盛り上げておいて、その後をしっかり じっくり(!)とみせてしまうあたりはいいよなぁ。 で、その後『ザ・グリード』化するかと思いきや、あくまでも現実的な展開。 その中で、まぁなんとなく察しはつくものの、基本に忠実で、しかも、ある時 点ですべてがまっすぐ繋がる(私は殴ったところで全部繋がった)ミスディレ クションをしかけてくれるという気持ちよさ。 劇中のキャラクタがそれに気づいていないのもまた仕掛けだったりすることが またいいよなぁ。  ただちょっと主要キャラクタすべてに愛着を持たせようとしているために、 中盤がやや冗長。  けれども、それも、その後にあのオープニングの雰囲気さえもが罠であった と気づかせてくれる事の快感。  そして明かされる真相と結末。 たしかに、これはB級テイストで作ってしまったら、面白く無くなってしまう 世界だわ。 オーソドックスなものを寄せ集めて、こんなひねったものをみせてもらい、何 か得したような気になりました。 もし、ジャンルムービーとして観に行ったら、完全な肩すかしをくらっていた であろう事も確かなのですがネ。(^^) 2003/01/13(月) kaname(CXE04355)

『コーヒー&シガレッツ』"Coffee and Cigarettes"(2003)

(2009/05/01記) 『コーヒー&シガレッツ』を観ました。(2009/04/26 at DVD) …ということでブラウザ直書きしていたのですが、後残りはシグぐらいというところで ブラウザが落ちた…。 ということでちょっとテンション低い点はご了承ください。 久々に観るこのジャームッシュ作品は、家でDVD鑑賞という事で当然コーヒーと煙草付き。 思えばジャームッシュは『ナイト・オン・ザ・プラネット』以来か。 なんて言っているけれど、そもそもその他には『ストレンジャー…』と『ミステリー・ トレイン』しか観ていないのだが。(^^; (以降、ネタバレあり) 雰囲気として一番好きなのは「ルネ」 ある意味ジャームッシュのイメージと一番近いといったところもあるからか。 「ジャックはメグにテスラコイルを見せた」(だったかな?)は技術屋としては苦笑 するしかありませんでした。 トム・ウェイツとイギー・ポップの「カリフォルニアのどこかで」(だったかな?)は ある意味一番安心して観れました。当人たちのイメージそのままだからなぁ。 一番笑ったのはスティーブ・クーガンとアルフレッド・モリーナの「いとこ同士?」。 最初はそういえば"24 HOURS PARTY PEOPLE"見逃したんだよなぁとか思いながら観て いたのだが、オチはそれかよ。(笑) そりゃあ誰だってしくじったと思うわな。 しかも二段オチ。 さらにジャームッシュ作品ということが頭の中にあるからまさに「それかよ」 そして、何よりも一番予測通りの予測不能で安心して楽しめたのがビル・マーレイの… ええとタイトル忘れた。(^^; あんた最高だよ。 まぁ、そして最後を締めるちょっとブラックなコーヒーの余韻を味わいながら良い時を 過ごせたなぁと感じたのでした。

『ゴールデンボーイ』"Apt Pupil"(1997)

(99/07/04記 at Niftyserve FMOVIE 2番会議室)  『ゴールデンボーイ』を観ました。(99/07/03 at 池袋シネマサンシャイン 3番館)  スティーブンキングに関しては、小説のほうは興味がないものの、その映画 化されたものは、『キャリー』を始めとして、非常に好きな作品が多いと言う 意味で、興味はあったのですが、 観た人間の前評判の芳しくなさに少々尻込み気味。  『ユージュアルサスペクツ』のブライアンシンガー監督の作品と言う事でも 興味があったので、余計?だったのですが、「まぁ観てみようかな」と言う感 じでの鑑賞でした。 (以降、ネタバレあり)  さて、その『ゴールデンボーイ』のオープニングは、まさに『ユージュアル サスペクツ』を髣髴とさせる語り口でした。 興味を持ち始める糸口から、資料へと没頭していくシーンは、この映画のオー プニングにまさにぴったり。 そして、時折みせる「夜」の映像の雰囲気もまた『ユージュアル・・』を髣髴 とさせて・・・。 しかし、そこで終わりだったような気がします。  スティーブンキング作品を映画化したものって、皆なんというかキング独特 の語り口が突如発露するシーンがあるのですよね。どの作品にも。 その緊迫感が好きなところのひとつなのですが、何かこの作品では、その緊迫 感が得られないまま終わってしまったような気がします。  その代表的な所として、ふたつの出来事が同時進行をするシーンが何ヶ所か あるのですが、そのふたつの出来事が同時進行しているところに、その行為に よるテンションアップが見られない。何か散漫なんですよね。もちろんやろう としていることは判るのですが、それが成功して いないように感じました。  ただ、物語の主人公が、老人と少年のふたりから、突如、あのユダヤ人の患 者に完全に移ってしまうシーン。あそこはとってもキング原作物っぽかったな ぁ。(^^)  ただし、そこも少々インパクトにかけたかなと言う気がします。これが、こ の映画に完全にノレていたら、別の印象を受けていたのかもしれませんが。 あと、演出的なうまさと言うと、エド・フレンチに関わるシーン。 最初の登場時と、最後の登場時の両方の曖昧さ加減が、「彼の真実」をどちら にでも取れるような絶妙な雰囲気を出していました。この部分はすごく「買い」 です。 って、これこそはブライアンシンガーの面目躍如か。(^^) kaname(CXE04355)

『獄門島』(1977)

(2007/05/02記) そういえば昔、「『獄門島』のテーマ」のエアチェックしたのを 持っていたなぁ。懐かしい。 というわけで、『獄門島』を観ました。(2007/05/01 at NHK- BS2) まぁ、前述のようにオープニングからまた感慨に浸ってしまった ので最初から懐かしモード。 そのうえ、連夜の鑑賞でまるで手塚マンガみたいな一部の役者の 記号化が頭の中で始まって、まぁそれも映画を読み解かせる上で の意図したものだからなぁなどと思いつつ楽しんでいました。 約束された水槽の中を泳ぐ金田一に身を委ねながら。

『コクリコ坂から』(2011)

(2011/08/10記) 『コクリコ坂から』を観ました。(2011/08/10 at パルコ調布キネマ) まず、ここでこの作品を観ることが出来たのは良かったかもしれない。 時期としては夏休み真っ盛りとはいえ、平日の昼下がりの回。街中の小さな映画館の水曜日1000円サービスデイ。 さらには一般認知度が高いジブリ作品。 場内は男女比1:9以上、年齢層は実に広範囲でグループパターンも多彩。 で、本編始まってまもなく、大人二人子供二人の女性4人組が私の前の列にバタバタと入ってきてまぁほっとしたので あろう。 そうそうに大人二人が少しだけ話し始めてほどなく静かに。 と思ったら子供用の座布団を思い出したらしく親が1組取りに行く。 当然もう一組の子も欲しがってさらに1組追加。 時と場合によっては迷惑に感じることもあるこんな風景やこんな音。 街中の小さな映画館のよくあるヒトコマ。 この場に限っては良かったなぁと感じさせる。 この作品はそんな作品でした。 (以降、もう少し内容に触れます。) この作品、昔聞いた音、見たことのある肌触りのものを心地良く表現しているんですよね。 この肌触り知ってる、とか、このホコリ臭さ知ってる、とか、この味は覚えてる、とか。 知覚に、五感に訴えかけてくる。 時代設定は1960年代前半、私の生まれる前なんですけれどね。 昔ながらの商店街とか舗装されていない土の香り、急な坂に囲まれた風景、海辺ではなかったけれど私のよく知って いた場所そのものでした。 木で建てられた古い建物なんてのも、叩けば永遠にホコリが舞うんじゃないかというのも皆知ってる、知ってた。 家族も多かったから大人数の食卓もそうだし、お釜で炊くご飯なんてのもね。 まぁそんなちょっとした生活の音、ふと見える景色、そんなものがとても懐かしく、心地良かった。 で、まぁそういったものを、たまに下手くそな事、恣意的な進行で演出がぶち壊すのですよ。話の流れは否定しないが、 ちょっとそれはもう少しやりようがあるんじゃないかということができてない下手くそ感を持って。 せっかく振ったネタをスルーしたり、唐突な話の展開だったり。 普通はそういうのも個性だったり味になったり感じるのだけれど、今回は気に触ってばかりでした。なんだろう、監督を 自分より上と見れないからかな。見てないからかな。 そこらへんは心地良さという概念に覆われている中だったので、対して不快という概念に感じるという。 けど、それでも日常のさえずりや匂い、光を感じられる映像や音は凄く好きであったりします。 対比するのであれば、『ALWAYS』からセットな感じ、CGな感じをさらに省いたもの。にここまでのものがあればもっと 心地良かったかもしれない。 これは実写では難しいというか無理なのかなぁ。あの少しだけ絵画的な絵柄だからこそ受け入れられるのかもしれない 過去の記憶。 で、まぁ但し、ですが、宮崎駿の脚本作品ですから原作はあくまでも走りだしのためだけの素材。彼の好きそうな世界 設定に覆われています。 原作は未読なのに原作好きな人にはあまり受け入れられないんじゃないかなと思えてしまう辺りが今までがあるがゆえ の功罪か。 そういう部分に対して考慮なされていないのは、特に『ゲド戦記』の時も聞こえてきていたにもかかわらず、相変わらず なのだろうな。 人の心を描くのが上手いのに、人の心が分からない…あ、何か親子がごっちゃになっているか。(^^;

『心の指紋』"Sunchaser"(1996)

(97/08/19記 at Niftyserve FYOUGA 2番会議室)  『心の指紋』を観ました。(97/08/17 at シネスイッチ銀座)  末期癌に冒された凶悪犯と、その診察をたまたましていた、将来を約束さ れた大病院のガン科医とのロードムービーなのですが、最近久しく観ていな い、何か懐かしいものを感じさせるロードムービーでした。  まるで、昔『サンダーボルト』を撮った頃のマイケルチミノが戻ってきた かのように。  それが、とても嬉しかった。 (以降、ネタバレ)  ウディハレルソン演ずるマイケルはジョンセダ演ずるブルーとなかなか 打ち解けようとしない。  そのように見せても、やはりどこかで否定している。  それが、延々と続いて、このまま何となく目的地についてしまうのかと 思っていたら、ブルーが病院を拒否し、あくまでも希望の地を目指す。そ れができなければ死んでしまってもいいと言う態度を見せたとき、医者と しての自分が目覚めて、爆発する。  病院から薬を盗み、警察に終わればがらも希望の地へと向かいだしてか らがとても気持ち良かった。  それまで自分だけを信じていたマイケルが、人を信じて動きはじめる所 が、とても心地好かった。  その昔、死にかけているジェフブリッジス=ライトフットと共に、夢の 地へと向かいはじめたイーストウッド=サンダーボルトのようだった。  そして最後、彼を迎えた家族の、喜びに満ちあふれる映像が良かった。 これで、それまでの経緯でマイケルをどのように思っているのか今ひとつ つかめなかったその奥さんが、ただ、マイケルが戻ってき、彼が微笑んで いるのを見ただけで、やはり喜びに満ちあふれてしまう奥さんであったの がとても良かった。  そして、幸せな気分で映画館を後にすることができたのでした。 kaname(CXE04355)

『ゴジラvsキングギドラ』(1991)

(2006.3.4記) 『ゴジラvsキングギドラ』を観ました。(2006.3.3 at 日本映画専門チャンネル) 『ゴジラvsデストロイア』で(ようやく)決別するまで観続けた平成ゴジラシリーズの中で、 唯一のFAVOURITE MOVIEであるこの作品。 久々に観ました。 しかし好きだなぁ、この作品は。 タイムマシーン、テレポーテーション、アンドロイド等の往年(^^)のSFマインドに 彩られたこの作品は、ゴジラシリーズ屈指の人気怪獣キングギドラを迎え、さらには 当時のMY FAVORITE ACTLESS、中川安奈を主役に迎え、・・・といった感じで 個人的なツボ突かれまくりな上に、脚本/監督の大森一樹作品としても(個人的には) ベストムービーなもので、もう何も言えません。 とはいいつつも、鑑賞中は(際限なく)ツッコミまくり。 日本政府の騙されやすさはタイムリーだし、それよりも何よりも コントのような効果音!! けれどもいいのです。 鑑賞当時(初日初回)舞台挨拶の際のM11人気を思い出したり、中川安奈の 他の作品(『彼女が病気になった理由』)などを思い出したり、当時の空気に 苦笑したり、『ゴジラ対キングギドラ』(金星人!)を思い出したり等々 久々に懐かしさを味わえたので。 そして今回一番懐かしさを感じたのは伊福部サウンド。 新旧いりまじったゴジラサウンドは格好いいわ。 伊福部昭さんのご冥福をお祈りします。 ーーー (2021/05/08記) 『ゴジラVSキングギドラ』(1991) (2021/05/08 at Amazon Prime Video) 初日舞台挨拶でM11大人気だったのは良い思い出。 もう30年近く前の作品であるが故に今見るとという所もあるが、それ以上に時間SFと してけっこう無茶苦茶な事しているのがなあと思うのだけれど。 確信犯としてそれをやっている上にこれでもかとばかりに変なネタ詰め込んで ツッコミ所がたくさんある作品にしてしまったり、ビオランテのあれを無かった事に するやり口とか予想なかったキングギドラの使い方とかこのシリーズから少なくとも ここに至るまでのゴジラの一貫性とか好きなんだよなあ。 冒頭のシーンからこれから何が起こるのか本当にワクワクさせられたもの。 そして耳に心地良い伊福部サウンド。 ホント良いわ。

『ゴジラ GODZILLA 』"Godzilla"(1998)

(98/07/11記 at Niftyserve FYOUGA 2番会議室)  あの衝撃的な予告編から幾日が経ったことでしょう! しかし、ついに念願の G−DAY到来!! ということで、ようやく『ゴジラ GODZILLA 』を観ること ができました。  「どこで観るか?」ということも、いろいろ悩みました。 「やはり、"SIZE DOES MATTER"だからスクリーンの大きな日本劇場で観ようか?」 「立川シネマシティはシティ2(THXシアター)でやってるぞ。」 「画面がでかくてTHX仕様ということになると、WMC海老名のSCREEN7と言 う選択もあるか。」 「それよりいっその事日帰りでWMC東岸和田のSCREEN5(ここもTHX)まで 行ってみようか?」 などと、いろいろなことを考えていたのですが、 「8chSDDSがフルスペックで再生可能で、残響度は並みのTHXシアターよ りも少なく、画面もそこそこ大きくて、きちんと暗くなるWMC新百合丘 SCREEN1」で鑑賞する事にしました。  そして、もちろん「初回鑑賞だ!」ということで、10:30am上映に対して、同 シネコンの開く9:00amの少し前に到着。ところが、まだビルの中に入れないのに も関らず、長蛇の列。しかも心なしか低年齢層の女の子が多いぞ? と、ちょっ とびびっていたら、どうやら同日公開の『アンドロメディア』目当てが半分以上 だったようです。う〜〜む、喜んでいいのか?(^^;  そんなこんなで、無事映画館に入り、館側が上映の40分前から館に入れてく れたり、その後の長い待ち時間の間に知り合いを見つけたり(笑)、上映後もさ らにVIVREの前でさらに別の知り合いとバッタリなんていうこともあったのです が、そんなことは置いといて、映画の方を。(しかし、今年は映画館内での知り 合い遭遇回数が異常に多い。(笑)) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  もう、すっかり堪能させていただきました。やっぱりこうだよなぁ、こうでな くちゃと一々嬉しがっていました。(^^)・・・と、ネタに突っ込んだ話にな りそうなので、この辺で、 (以降ネタバレのみ)  何が良かったって、まずはこのオープニング!! デビッドアーノルドの壮大 なオープニングテーマをバックに、行われるフランスの核実験と、それをじっと みつめるイグアナ達!! もう、これだけで涙が出てきました。そうだよ、こう いうものがみたかったんだ!! と、今までの予告編でも毎回驚喜していたよう に、嬉しかった!!  そして、続いてのタンカーが襲撃されるところ。いきなり相撲のニュースが出 てきたりするのは愛敬として、そのバックでたぶんワンフレーズだけ、 『GODZILLA』のサントラに入っていたラルクアンシェルの曲をほとんどわからな いように流していたりか(笑)、日系人俳優がわさわさと出てくる中で、メイデ イを出すのが加藤雅也だったりとかも、良かったけれど、なぜ、あのイグアナの 突然変異が「ゴジラ」と呼ばれるかを、初代ゴジラと同じように割とうまく処理 しているのがやはり良かった。  ええと、続いてがチェルノブイリでミミズを嬉々として捕まえるマシューブロ デリック。「雨に唄えば」をバックに、雨降る中をボロ自動車で走って行くとこ ろといい、その後、足跡の中で大喜びしているシーンまで、何か、まるで「自分 が観たいものがそのまま映像化されている」ようなシーンだったな。  で、続いて、漁船がものすごい勢いで懐中に引っ張られて行くシーン。これも、 ぜったいやりたかったんだろうなぁ。ものすごく迫力のある良いシーンだった。  で、ここでNY(何故かNYと言う単語は一回も出てこなかったような気もす る)に舞台が移って、TV局。ここは『ディープインパクト』を観てまだ日が浅 かったからか、ややトーンダウン。(^^;  そう、こんな感じで、ほとんどがテンポよく進んで行ったと思ったら、「あれ、 観たことのあるシーンだ!」 まさかホントに予告編で使っていた釣りをする親 父出現。(笑) そしてさらにはその次に流れたビル崩壊のシーンが続く。特に、 釣りする親父は、まさか本編に出てくるとは思わなかったから、ここもいいよな ぁ。と思っていた。  そのうえ、このあたりのゴジラの出し方も、日常空間との対比のさせ方がひと つひとつ嬉しい。(^^) 「窓の外はゴジラ」とか「地震かと思ったらゴジラ」と か、ホントに、「思いついたアイデアはすべて映像化してるんじゃないか?」と 思ったくらい。ここまで自分の感覚とフェイズが合う映画って久しぶりだな。  続いての予告編に流れていた、ハンクアザリアの狂喜する部分も、「そりゃそ うだろ!」って感じだったし。(^^)  と、こんな感じで書いて行ったらきりがないので、ペースをあげて行きます。 (笑) まず、ジャンレノは全部良かったなぁ。どうやらマシューブロデリックとジャン レノは脚本書いていた時からずっとエメリッヒ達の頭の中にあったみたいだけれ ど、「そう、これをやるのはジャンレノだよな。」とか「これを言うのはジャン レノだよな。」って感じで、おいしいところ持ってきすぎ。(笑) 同様にして 全部のキャラクタが、見事にはまっていたと思う。全部が全部、それぞれのキャ ラクタを完成させている。マリアピティロもいいし。 (関係無いけれど、エバート市長=青野武もきっとはまり過ぎてるような気もす る。吹替え版も観なくちゃ。(笑))  さらに関係無いが、部下に「ジャン=リュック」なんて名前が出てくるのも好 きだ。あからさま過ぎ。(笑) そんな感じで、名前もかなり遊んでるんだろう なぁ。  そして、遊んでいるといえば、NYでの対ゴジラ戦!! 如何に突然なことで あろうとしても、アタックヘリの何も考えていないミサイルの使い方や、その物 量!! 地上からの射撃にしても、ほとんど効いていないうえに、肝心なものは すべてかわされてビルを破壊しまくっているし、そんな状況をバカだなと思いな がらも、一方で「よし! いけぇ!」って感じにさせられてしまっている。『I D4』では、完全に物量で負けていたアメリカが、今度は物量に物を言わせてバ カをやっているのがなんとも言えなく好き。素早いゴジラはここで絶対必要だっ たし、今までのイメージのゴジラで、それをやらせなかった事もここで、凄く気 に入った。 揚句のはてに、原潜が三隻もハドソン川に潜んでいて(笑)、案の定、一隻轟沈 させられているし。(笑) 完全に楽しんでいるとしか思えない。(笑)  ああいう、アメリカ人をバカにしまくったところが、『スターシップトルーパ ーズ』に続いて『GODZILLA』がアメリカでぱっとしなかった理由か。 (笑) と、続けて攻撃する人間側が物量に物を言わせてひと段落したと思ったら、今度 はゴジラベビーが物量で攻めてくる。(笑) 今度は戦争か?(笑) まるでイ ンド映画みたいな娯楽のオンパレードだ。(笑) ここで、ゴジラ達に人間の味 を覚えさせて、「何があっても絶対にせん滅しなければならない」状況にマシュ ー君=観客に陥らせたのも見事。そしてここで、今まであったキャスターのネタ 横取りとか、マシュー君のチーム離脱の汚名などを一気に挽回。最後のシャンデ リア(笑)はまぁご愛敬として、丸いもので転ぶゴジラ達なんかもなかなか。さ らには後での伏線になっているしね。(笑)  と、あぁ、これで終わったか! と思ったところで、再び大物登場!! しか も今度はタクシーでNY中を逃げ回る。(笑) 鼻づらでタクシーの尻つつきま わされるはなんだかだで、ここも良かったなぁ。あっさり終わりそうな所を、延 々と飽きさせることなくみせてくれる。(笑)  そして、廃墟になったNYでタクシー乗ったら最後は橋に逃げなくちゃ駄目だ よね。(笑)(しかもタクシーは黄色じゃなくちゃ駄目。(笑)) しいて残念 だったのは、アーネストボーグナインがいなかったことか?(前述の映画館でバ ッタリ会った知り合いは、ジョンカーペンターのあの音楽もなくちゃとか、あの シーンも見事に全部覚えていたので驚いた。さすがだ。(笑)) というわけで、後で見直してみよう>『ニューヨーク1997』(笑)  と、ここまで熱狂していたので、ゴジラの最後の余韻なんかも、わりとあっけ なくて良かった。最後消えて行くジャンレノも良かったしね。 そして、最後。(笑) まぁお約束ということで。(笑)  しかし、これをインドやフランスで公開したらどういう印象を持たれるかが、 少し興味があるところではあるな。  そして・・・、これも大勢で観に行って、観た後でばか騒ぎするにはもってこ いの映画だと思いました。大好き!! 〜〜〜〜〜 98/07/11(土) 〜〜〜〜〜〜 かなめ (CXE04355) mailto: takashi.miyamoto@nifty.ne.jp     kaname@a2.mbn.or.jp URL http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『GODZILLA ゴジラ』"Godzilla"(2014)

(2014/09/30記) 『GODZILLA ゴジラ』“Godzilla“(2014)を観ました。 (2014/9/10 at 機内上映) まず最初の旋律でああ、ゴジラ好きなんだなと感じさせてくれた。 厳密に言えば東宝特撮ものの香りか。 それでいて間違いなく最近のアメリカ映画なんだよな。 なんて思って見ていたら。 これはまごうことなく平成ガメラシリーズじゃないか。 いやいや予想外のびっくりだよ。 Mutoが出てきた時点で少しだけそう感じたけれど いやまさかねえと思っていたら。 冷戦時代の原爆実験の件は特に好きだなあ。 とかいろいろあるのだけれど、逆に引っ掛かったのは 奥さんが最後まで残っていたところ。 何かもうひとつ弱いんだよな。 結局三人三様なドラマを作り出せているのだけれど、 あともう一工夫欲しかった。 話戻って最近のアメリカ映画の匂いを色濃く持っている ということは、ある意味とてもゴジラなんだよなあ。 過去から今に至るまでゴジラは常に時代を写す鏡であった事を 考えるとしっくり来る。 いやいや予想以上に楽しませていただきました。 (2017/11/05追記) (2017/11/04 at NHK-BS 録画) ギャレゴジは久々の鑑賞。 前に観たのは機内上映だったし、その時に何を思い何を書いたかは忘れた。 このゴジラ、どちらかと言えばガメラだなあとたぶん改めて。 やってることはガーディアンだし、MUTOは外見バイラスに少しだけ思わせる ギャオスだし。 ところどころで切り取られた構図に見とれさせてくれる。 ロングショットの神々しさが最終的にはゴジラに繋がるところが好き。 見せないで想像させた上で爆発光や照明で時々浮かび上がる巨大な姿もまた ドキドキさせてくれる。 何度も何度も目の前をかする危機。 親子二代の対比や行く場所ごとにまるで追いかけられているかのような遭遇率での 追体験はハリウッド映画らしいアプローチ。 それでいて音楽やらパースなど至るところに見え隠れする愛情もまた良いな。 本家ゴジラにおける核実験をゴジラとの戦いの歴史に置き換えたアバンは本作に おいて最もドキドキさせてくれたシーンの一つ。そこまでやっておいて最後の あれの処理は不満だが。爆発させるべきではなかったよな。させるのならハッピー エンドにするなよと思ってしまうのは個人的な好みだが。

『ゴダールのリア王』"King Lear"(1987)

(98/09/04記 at Niftyserve FYOUGA 2番会議室)  『ゴダールのリア王』を観ました。(98/09/02 at 三百人劇場)  この作品は、よく「タランティーノが出演したことがあると言う話をしている」 (ただし実際には出ていない)と言う話と、『汚れた血』などの監督レオス・ カラックスが出演していると言う話程度の情報しか持っていなかったのですが、 たまたま、なんとなく「ぴあ」を見ていたら、キャストのところに、「ピーター・ セラーズ」と書いてあって、「え!」と驚いてそのまま観に行ってしまいました。 (私は、あの『博士の異常な愛情』などのピーターセラーズが大好きなのです。)  まぁ、そんな感じで劇場に足を運び、まずパンフレット(というかほとんど プレスシートのノリのもの)を購入して、キャストを確認したところ、目当ての ピーター・セラーズは、カナ表記だと同姓同名になってしまう別人(英語のス ペルは違う)でした。  と、少々気を落としながらも、一方で、他のキャストとして、ジュリー・デ ルピーが出ていたり、それよりもモリー・リングウォルドが出ていたり、カ ラックスの他にも、ウッディ・アレンやゴダール本人が載っていたので、 「まぁ、観てみるかな」といったノリで観てきました。(やっと前置き終わり) さて、そんな感じで観に行ったのですが、かなりの展開に、話のほうにはまっ たくついていけなかった。  ただ、ときどき出てくる無表情なモリーのアップに喜んだり、「カラックス って役者している時の塚本しんや(字忘れた)に似てるなぁ」とか、「ボケの まったくないウッディ・アレンを観るのは初めてかもしれない」とか、そんな 事ばかり、考えていました。  ただ、決して不快なわけではなく、心地よい状態で、時を過ごしていました。 かなめ(CXE04355)

『コップランド』"Cop Land"(1997)

(98/03/01記 at Niftyserve FYOUGA 2番会議室) 『コップランド』を観ました。(98/02/28 at 池袋シネマサンシャイン2)  この時期に始まったということもあり、あまり期待せずに観に行ったのです が、なかなか良かった!  特にスタローンに関しては、『ロッキー』以来の違和感のないハマリ役だと 思う。これを観ると、まるで今までのスタローンが間違った道を歩いてしまっ たかのようだ。 (以降、ネタバレ)  語られない多くの物事。その多くはイメージの断片のみで語られ、言葉では なかなか出てこない。 危険の溢れる街、NYを守る警官たちが、自分たちの家族を住まわせるために 築いた街は、遠い昔の記憶を呼び起こすような、片田舎のような時間の止まっ た街。  その、それらの雰囲気に包まれた物憂い世界を観ているのは、とても気持ち が良かった。 デニーロやカイテルは、例によって決して前に出過ぎることなく物語を支え、 リオッタもまた然り。そんな中でスタローンは、その本来の持ち味を存分に発 揮している。  そんな物憂い話の中での圧巻は、やはり聞こえなくなってからの、さらに ゆっくりとした時間の中で行われるクライマックスであろう。 物語は最後まで静かに終わる。それが良い。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 かなめ(CXE04355) mailto: takashi.miyamoto@nifty.ne.jp     kaname@a2.mbn.or.jp URL http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『この森で、天使はバスを降りた』"The Spifire Grill"(1997)

(98/01/16記 at Niftyserve FYOUGA 2番会議室)  『この森で、天使はバスを降りた』を観ました。(98/01/15 at 日比谷 シャンテシネ2)  以前から予告編は観ていて、その時に受けた印象は、映像は奇麗でだ し「サンダンス映画祭」での評判が良かったと言うのは興味をそそった のですが、全体的にやや重いトーンの映画なのかなとの印象も受けてい たので、気分が乗らなければ観れない映画だと思っていました。  ところが、それはとんでもない勘違いでした。アメリカ映画らしい 優しさと心地好さに満ちていて、とても、気分の良い映画でした。堅 苦しさもなく、それでいて、素直に感動させてくれる。こういう映画 はとても好きです。 最近少々イギリス映画的な暗さを秘めた映画ばかり観ていたので、そ の反動もあったのかもしれません。 (さて、これ以降は、映画をご覧になってからどうぞ。ネタをばらし ています。)  また、この映画の予告編で受けた印象は、「きっと主役の彼女の 過去が事あるごとにフラッシュバックして緊迫したものになりそう だな。」とか、「もしくは、彼女は最初は村の皆に受け入れられず 陰惨な所もあるんじゃないかな。」とか、きっと誇張されすぎてい る部分も出てくるんじゃないかというのもあったので、少々構えて いました。  しかし、それも無かった。話は取り立てたエピソードもなく、淡 々と進んでいく。これが凄く楽で、しかも気持ち良かった。彼女は 決して「健気」でも「純粋」でもなく、かといって逆に「悪びれ」 てもなく「普通」なんですよね。普通であると言うことがこんなに 楽だとは思ってもみませんでした。  さらには、それを支える映像。予告編では、ややうるさいかなとも 思えた映像も、本編では何の違和感もなく、全体に融合していた。 それが良かったです。  こういう調和の中で、唯一の障害は、シェルビーの旦那のパーシー に対する疑惑のまなざし。ただ、これもそんなにしつこくなく、さら には周りの人にもあまり相手にされていないせいか、あまり気になら なかった。と、思っていたら、最後に演壇に立ってしまって、ああい う話をしてしまい、それで周りに許されてしまったのが、少々気に入 りませんでした。  さて、クライマックスも過ぎ、村の皆で野外料理を楽しんでいるな ぁ。ああ、これで終わりなんだな。良かった良かった。 と思っていたら・・・、 あれは、もう泣くしかないでしょう。まさかあんな仕掛けを最後に用 意しているとは思ってもみませんでした。これで、「優しくて心地の 良い映画」が、「優しくて心地の良い素晴らしい映画」に変わりまし た。そして、あれを観たいがために、またこの映画をみてしまうだろ うなあとも。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 かなめ(CXE04355) URL http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 B.G.M『ワイルドバンチ』オリジナルサウンドトラック。ううむ(^^;

『御法度』(1999)

(99/12/22記 at Niftyserve FMOVIE 2番会議室)  『御法度』を観ました。(99/12/18 at 池袋シネマサンシャイン 4番館)  あの『戦場のメリークリスマス』から16年。それ以来、未見の 『マックスモンアムール』を除いて、まったく監督をしていなかっ た大島渚の13年ぶりの監督作。  あの、どこまでも透明な印象を持つ作品を作る大島渚が、また 実に合いそうなキャストばかりを集めたこの作品は、早く観たく て観たくてたまりませんでした。 というわけで、初日のオールナイトに行ってきました。 (以降、内容に触れます。)  なんと言えばいいのだろう。  時を刻むこの坂本龍一のスコアにしても、最初、宣伝で 観る限りでは違和感のあった新選組の隊服にしても、もち ろん最初に挙げたある種個性的なキャストにしても、本当 に何もかも、ひとつ残らず、この作品を構成するために必 要な要素ばかり。  そこに描き出された映像の、音の、なんと研ぎ澄まされ たものであることか。  全体的に統一された、透明な青、そして日本的なくすん だ黒の色調。この空間においては、間違い無くあの隊服は、 新選組の隊服だ。  静けさの中、刀と刀の重なり合う音の鋭さ、服の絹ずれ の音など、本来の和的な(と言うよりはストイックな)音 の、なんと研ぎ澄まされてきれいな事か!  そこまで持ってきて、さらにクライマックスには、すべ てがさらに一段上のレベルのものが待っている。  そして、その空間に投げこまれた個性的な人達、キャスト 達の、なんとベストキャスティングであることか。  特に、何を考えているのか判らない雰囲気を持つ崔洋一、 普段とまったく変わらないように見えるのに、間違いなく そこの空間にしか存在しないであろうトミーズ雅、そして これだけの個性の集団の中に居て、ひときわ映えている 武田真治。  そして、今回はナレータ的な立場にあるビートたけし。 いつもと変わらない安心感を与えてくれる坂上二郎、伊武 雅刀、田口トモロヲ。  しゃべった時のややたどたどしさが、演技なのか素なのか (たぶん素だろうなぁ)な松田龍平は、動き・表情・立ち振 る舞いで見事な雰囲気を見せていたし、一途で、ある種周り に対して無遠慮な役どころの浅野忠信も、その個性が発揮さ れていたのだが、こ中では、完全に物語の中の一個性とすぎ ない存在でもある。  それがまた、この作品を見事にひとつの作品にまとめあげ ている。  さらに、唐突に終わる物語。 これがまた、急に見放されたようで、後は「今見た事はなん だったのか。」について、観た人達が考えざるを得ない状況 を作りだしてくれる。  その余韻が、またこのような良質な作品であると、このうえ なく甘美であったりするのだ。 kaname(CXE04355)

『コラテラルダメージ』("Collateral Damage"(2001)

(2005/10/10記 at Production note of ...) (地上波)テレビにて『コラテラルダメージ』を観ました。 (2005.10.8 at フジテレビ) 一時期はシュワルツェネガーといえばテレビ朝日だったと思ったのだが・・・。 という一瞬本気にしそうな話は置いといて。 アンドリューデイビスは『逃亡者』はあまり好きになれない作品ではあったものの 『チェーンリアクション』は割と好きでした。 で、この『コラテラルダメージ』。 ただでさえ強引な話が、テレビ放映のためにさらにカットされていた(のかな?) らしくやや話に置いて行かれ気味。 しかしながら、その中で香ってくる混沌さがなんとなく好きな映画臭を漂わせて いました。 最後がちょっとぐだぐだなのがちょっと残念なのだけれど。 そういう意味でも本来のあの事件によって変わる前の状態で観る機会があれば ぜひちゃんともう一度観てみたいなと思わせる作品でした。

『コン・エアー』"Con Air"(1997)

(97/10/26記 at Niftyserve FYOUGA 2番会議室)  『コン・エアー』を観ました。(97/10/25 at WMC新百合ヶ丘 screen1) この映画は話を聞くと、『ザ・ロック』と比べられる事が多いのですが、私は その『ザ・ロック』を観ていなかったりするのですが・・・、私はいま一つ乗 り切る事が出来ませんでした。 (以降、ネタバレ)  他の映画の例を出して申し訳ないのですが、例えば『ジュラシックパーク』 や『ツイスター』に近いタイプの映画だと思うのですが、(アトラクション ムービーって感じでね。)こういう映画って、観ている時に、ちょっとでも 冷めた目で見つめてしまったら、もうそれ以降は全然面白くなくなっちゃう んですよ。前述のふたつは、もう観ていて気持ち良いくらい乗せられてしま った映画なんですけれども、今年の夏最大の期待作であったはずの『ロスト ワールド』も、途中で登場人物の支離滅裂さに腹が立ってしまって、もう、 それ以降は、ダメでした。  そして今回の、この『コン・エアー』も、話を進めていくうえでの細かい ところで手を抜いていて、「それは強引すぎるんじゃないか」と言う場面が いくつもあって、気になってもう、ダメでした。かと言って、飽きちゃうよ うな場面はないのですけれど。  例えば、飛行場の中の朽ち果てた酒場みたいなところで、ニコラスケイジ が探し物をしている際に、一方で、ジョンマルコビッチが、自分達を裏切っ て一人で逃げようとした、シンディーノを、壊れたセスナごと爆発させてし まうシーンなんですけれど、ここで、酒場まで爆風が来て逃げるシーンで、 何故か「何やってるの?」って思えちゃったんですよ。本来なら、そんなこ と気にならないんですけれど、いままでの不満の積み重ねからなのか、ふと 思ってしまった。  まあ、そういうわけでクライマックスまで冷めて見てしまうと言う、私に とってはダメな映画だったのですが、唯一良かったのは、スティーブブシェ ミの扱い方。登場の仕方からして、「おおっ」と思ったのですが、あのブシ ェミにほとんど何もしゃべらせることもなく、ただ置いてあるだけ状態だっ たのが、とても気に入ってしまった。周りがアクションしている中で、あの 存在のさせ方は偉く気に入ってしまいました。最後のシメまでブシェミだし ね。(^^) 〜〜〜〜〜 1997/10/26(日) 〜〜〜〜〜 かなめ(CXE04355) URL http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『コンタクト』"Contact"(1997)

<その1> (97/09/15記 at Niftyserve FYOUGA 2番会議室)  『コンタクト』を観ました。(97/09/15 at 新宿ピカデリー1) (以降ネタバレあり)  まず、そのオープニングに心惹かれてしまいました。 思い出したのは、梶尾真冶の「100光年ハネムーン」。もしくは 長谷川裕一の「トゥインク」。  例えば、地球から10光年先の場所から、10光年先の地上までを つぶさに観ることが出来る望遠鏡で、今、地球を観たら、そこに映し 出されるのは、10年前の世界。そこには10年前に出会ったもの、 そして10年前に亡くしたものを観る事が出来るはずです。  そんなロマンチックな事を思い出させてくれた、このオープニング。  そして、エリーが「コンタクト」に情熱を燃やすのは、本当はお父 さんを見つけるため、お父さんの優しい声を聞くためであるというの が、その事に重なって、とても良かった。  そして、その夢はかなえる事が出来た。 彼女の夢はかなえられてよかったです。そして、彼女のために開かれ た扉は、また、次の彼女が出現するまで、また閉じられてしまった事 も。  最後に、大きなスクリーンで観る事を強く薦めてくれてありがとう。 この映画に、そういう形で出会えて、とても幸せでした。 kaname(CXE04355) <その2> (97/09/21記)  オープニングシーンが本当に素晴らしかった!  最初、地球の俯瞰をバックに、地球上でのやりとりが騒音の様に聞 こえていたかと思うと、カメラが引いていく。  そして、それと同時に「一秒間に地球を7周半しかできない」電波 とカメラとのずれが、この映画がただでは終わらないことを告げてい た。  カメラはどんどんさらにさらに引いていく。 これで私はこの映画に囚われてしまった。  そして主人公エリーの少女時代。 無線機の出力を上げれば、遠くの人と話せるね。さらにどんどん出力 を上げていったらママとも話せるかな? と父親に聞く。それから少 し経ってその父親も死んでしまう。彼女は考える。無線機の出力をさ らにさらにもっともっとどんどん上げて行ったらお父さんと話せるか なって。  この彼女の動機が彼女をSETIへと駆り立てていく過程が、さら に私を惹きつける。  そして、エリーを演じるジョディフォスターが本当にひたむきで、 まさしくエリーそのものだった。彼女は本当に凄い。  しかし、この話をさらに進ませてしまったのは、S.R.ハデンの 存在。彼の存在は、「通信衛星をも思いのままにできる」と知った時、 完全にこの映画にやられたと思った。  オッカムのカミソリの話を例にあげるまでもなく、たとえ18時間 分のテープがあの外から観ると短い旅行のうちにまわっていたとして も、「宇宙からの通信を解読した機械で、一瞬のうちにワームホール をいくつも潜りぬけ、戻ってきた。」と言う話よりは、「実は密かに 粒子加速により物質の時間を瞬間的に早める事に成功していたハデン が、通信衛星を利用し、エリーと人類に夢を見せた。」の方が、ずっ とたやすそうに思えたから。